「広域処理」本当に必要? がれきの安全性、根拠法なし

「広域処理」本当に必要? がれきの勉強会 安全性問題、根拠法なし
(2012年4月23日 東京新聞)

 国が進める被災地がれきの広域処理の勉強会「そこが知りたかった! がれきの真実」が二十二日、川崎市川崎区の市教育文化会館で開かれた。環境総合研究所の池田こみち副所長ら講師陣は、安全性にも触れつつ、広域処理の法的、行政的問題点をあぶり出した。

 池田さんと、東京都大田区の奈須りえ区議は共に、市民の判断材料になる「情報」を重視。奈須さんは「『絆』との言葉や、がれきの山の写真から、広域処理が必要と思わされる」現象を指摘した。

 十回近く被災地を訪ねた池田さんは「がれきは既に海岸付近の仮置き場に集めてある。現地の住民は『早く処理してほしいが、広域で、とは言っていない』と話している」とし、長回しの映像で現地の様子を紹介した。

 一方で、がれきの処理方法を検討した環境省の有識者会議は非公開。放射能を99・9%除去できるとした根拠も「放射性物質と関係ない一回の(廃棄物)学会論文だけ。これで日本中で焼却して大丈夫とするのは拡大解釈。科学ではない」と批判した。

 安全面では、沿岸域の産業で使用、保管していた膨大な種類と量の化学物質が津波でがれきに付着したと説明し「米国国立環境健康科学研究所がこの問題を指摘。海外の市民が汚染の拡散を心配している。世界の非常識を日本の環境省が進めている」と述べた。

 ごみ処理の調査報道に取り組む山本節子さんは「がれきの広域処理に根拠法はない。国が無法なことをする日本は中世以前の暗黒社会だ」とたとえた。

 勉強会は「ストップがれき川崎の会」が主催し、市民ら約八十人が参加した。 (山本哲正)


細川元首相「がれきを森に」 野田首相に進言
(2012年3月20日 朝日新聞)から抜粋

 野田佳彦首相は20日、都内のホテルで細川護熙元首相と会談し、東日本大震災の被災地のがれき処理について提言を受けた。細川氏は、がれきと土砂で造った高さ20~30メートルの高台に木の苗を植えて森にするプロジェクトを進言。野田首相は前向きに進める意向を示したという。

 細川氏は終了後、「がれきの再利用は、環境省がブレーキをかけて前に進まない。国家プロジェクトとして総理から号令をかけて欲しい」と記者団に語った。横浜国立大学の宮脇昭名誉教授も同席した。


日本はがれき処理でも「焼却主義」の大愚
青山貞一 元東京都市大学教授
(2012年2月19日、4月17日(拡充)E―wave Tokyo)から抜粋

はじめに 日本の異常な焼却主義
  
 がれき広域処理で全国を回っていて分かったことは、私たちがこの20年近く問題にしてきた、世界に類例がないごみを燃やして埋める日本のごみ処理、すなわちゴミ焼却主義・埋立主義がいかに、日本の国土、大気、水を汚染しているかにある。

 世界の先進国や途上国であってもそれらの国々が、いかにゴミを出さない、そして燃やさない、さらに埋め立てない政策に向かっているなか、日本は国(環境省)主導で膨大な廃棄物を燃やして埋める政策が未だまかり通っている。

 当然のこととして、ゴミを燃やして埋めれば、大気、水、土壌がさまざまな汚染物質、有害物質で汚染されることになる。

 にも係わらず、日本では巨額の税金を投入し、国と重厚長大企業が一体となって、鉄とコンクリートよろしく巨大な焼却炉、溶融炉、処分場を全国津々浦々に基礎自治体のほっぺたをカネでたたくようにして建設させてきた。こんな異常な国は世界広と言え、日本以外にない。

 この1年、3.11の被災地の現地を9回つぶさに見て歩き、調査してきた上で言えることは、国の上記の焼却主義・埋立主義という無策の弊害が顕著にでていることだ。

 このまま全国各地で災害廃棄物を焼却すれば、日本全体が放射性物質だけでなく、さまざまな汚染、非意図性有害物質で汚染されることになる。

 もとより、政府が決めた償却可能な災害瓦礫の圧倒的多くは一般廃棄物どころか所沢でかつで燃やしていた 建設廃材以上にプラスチック、金属などさまざまなものが付着している。宮城県北部の気仙沼などでは石油タンク流出に伴い海外では発ガン物質のトップになっているPAH(多環芳香族炭化水素)のもととなる油性分も付着している。

 また2月11日に明治大学リバティータワーで行われた広域処理シンポのトップバッターにたった永倉さん(築地市場のアスベスト問題を永年調査してきた魚河岸の方)らの調査では、被災地各地で解体された建設廃材瓦礫には、アスベストが含まれているものも多々あるという。これがが現実だ。
       
◆3.11とがれき(災害廃棄物)処理問題

 3.11の東日本大震災・津波とそれに続く福島原発事故は、私たち日本国民にとって、いまだかつてない多くの問題を突きつけてきた。

 とりわけ前代未聞の原発事故がもたらした放射性物質に汚染された災害廃棄物の国による広域処理推進の方針は、現在、日本の津々浦々の基礎自治体であらたな問題を引き起こしている。

 周知のように、3.11直後から国や東京電力は、「想定外」という言葉を乱発し「千年に一度の自然災害」を強調してきた。

 しかしながら、歴史をひもとけば誰でも分かるように、比較的甚大な津波ものだけをとっても、次のようなものがある。

  869年 貞観三陸津波
 1611年 慶長三陸津波
 1896年 明治三陸津波
 1933年 昭和三陸津波
 2011年 東日本大震災・津波

 このように我が国では、千年に一度ではなく、百年に一度は類似の大震災や津波が三陸及びその周辺地域で起きてきたと言える。
 
 国や東京電力がことさら千年に一度あるいは想定外を繰り返すのは、その後の国家賠償や民事の損害賠償の免責をねらうレトリックであることは容易に分かるというものだ。

筆者らは3.11の大震災以降、昨年末までに都合9回、被災地を現地調査してきた。また福島県にも6回、放射線測定ででかけた。

そこで見たこととして、「3.11」が過去の震災・津波と明らかに異なるのは、災害廃棄物(以下単に瓦礫)の量と質のすさまじい多様さにある。

 福島県を中心に被災地の瓦礫にはコンクリート片、木材等の建材、プラスチック類、金属類、生ごみ(魚類、水産加工物等)、油類など、まさに現代経済社会を象徴そして反映する多種多様なものが含まれている。

 初期段階での環境省調査によれば、内訳は可燃ごみ(柱、壁、家具)23%、不燃ごみ(コンクリート等)66%、不燃ごみ(金属くず)2%、不燃ごみ(家電等)4%と報告され、本来その多くは家庭から出る一般廃棄物として処理されるものである。

 だが現地を子細に調査すると、多くは産業廃棄物の様相を呈している。加えて問題解決を複雑かつ困難としているのは、福島原発事故により周辺に移流、拡散、飛散し沈降した大量の放射性物質が瓦礫、下水汚泥、浄水発生土、通常の焼却炉の焼却残渣(主灰、飛灰など)に高濃度に濃縮され含まれていることである。

 これら瓦礫の量は太平洋沿岸域で2011年8月30日現在、岩手508万t、宮城1,584万t、福島228万t、青森22万t、茨城50万t、千葉12万tと実に2,400万トン超に達しており、その後も増え続けている。平成21年度の日本の一廃の年間排出量が4,625万tなので瓦礫の総量はその半分に相当する。

 さらに、実際には上記に加え膨大な数の船舶、自動車などの廃棄物もある。また保管されていた農薬類、PCBを含む化学物質、重油・石油・ガソリンなどの燃料・油類が津波で流出し、海水と共に瓦礫に付着ししみ込んでいる。また古い建築物が破壊され、そこからアスベストが流出している可能性も高い。川や海の底質から高濃度の砒素が検出されているという調査報告もある。

◆日本は世界一のゴミ焼却大国

 もともと日本は人口で約2.5倍、面積で約25倍の米国よりも廃棄物の焼却量が多く、先進諸国のなかで飛び抜けた「焼却主義」をとってきた国である。こうした多種多様な汚染物質が渾然一体となった災害廃棄物を通常の一般廃棄物と同様に全国各地の基礎自治体で焼却処理そして処分することには極めて問題が多い。

 しかも、以下の論文で明らかなように、日本の異常な焼却主義は、..重工、..造船、...鋼管などの産業、企業の利権と密接に結びついていることが分かる。

◆青山貞一、「廃棄物焼却主義」の実証的研究 ―財政面からのアプローチ― 武蔵工業大学環境情報学部紀要https://www.yc.tcu.ac.jp/~kiyou/no5/P054-059.pdf

 歴史を見れば明らかなように、先進諸国はゴミを燃やせばダイオキシン類などの有害物質が生ずるとして早くからゴミの焼却量を減らし、厳しい規制基準を制定してきた。しかし、日本はと言えば、1999年に起きたいわゆる所沢ダイオキシン大騒動に至るまで法規制をせず、ゴミ処理を優先しまさに野放図としてきた。

 いうまでもなく、瓦礫を焼却すれば、飛灰、焼却灰、煙、下水に、浸出水などに放射性物質が濃縮されて残る。

◆がれき(災害廃棄物)の焼却・埋立は禍根を残す!

 もとより、廃棄物の焼却は、焼却しない場合と比べて非意図的な有害化学物質が多数生成される。この研究分野の国際的第一人者である宮田秀明大阪工大教授(元摂南大学薬学部教授)によれば、プラスチックを含む廃棄物を焼却すれば、「短時間で1種類の化合物から千種類もの非意図的物質が生成される」と述べている。

 同様のことをゴミ弁護会長の梶山正三弁護士(理学博士)も東京都日の出町広域最終処分場に関して東京地裁八王子支部で開かれた行政訴訟の公判で述べている。

 このようにさまざまな物質が付着、混ざった災害廃棄物を被災地から各地の市町村の焼却炉で安易に焼却処理することは、セシウム137などの放射性物質のみならずダイオキシン類などの有機塩素系化合物、多環芳香族炭化水素類(PAH)、水銀など重金属類、また、がん発生との因果関係が明確となっているアスベストなどを未汚染地しかも人口の超密集地域に広め新たな問題を作り出すことになりかねない。

◆まったく信憑性がないバグフィルター99.9%削減

 環境省の検討会では、バグフィルターが放射性物質の99.99%を除去するなど、まったく実証実験、それもさまざまな状況下での効果測定、測定デーもないまま述べている。しかし、過去、多くの焼却炉、溶融炉裁判で焼却炉メーカーなどの専門家、技術者の証人尋問、反対尋問を行ってきた梶山正三弁護士(理学博士)は、環境省の言い分は根拠がないと以下のように述べている。長文だが重要な事項なのでそのまま掲載する。

◆梶山正三:バグフィルターがもつ問題点  

 以下は、ゴミ弁連のメーリングリストにおける議論から梶山正三弁護士がバグフィルターがもつ問題点、留意点について書かれた部分を当人の承諾を得て掲載するものです。

 現在、政府ががれき広域処理において焼却処理する際に、バグフィルターにより放射性物質が99.99%除去されるなど、およそ根拠薄弱かつ第三者による実証試験データがないまま、基礎自治体、市民に言い放っています。

 梶山弁護士は、従来のダイオキシン類などの有害物質に加え放射性物質の除去についても言及されています。参考にしてください。

 バグフィルターについては、材質的には現在多数のものが実用化されています。 私は、バグフィルターの構造、機能、その限界については、多数の書面を書いていますが、そのほとんどか裁判所向けの文書です。

 比較的最近(といっても、2~3年前です)書いたものとして、2つ添付します。

 なお、バグフィルターの機能に関しては、先月、東京地裁立川支部で 相手側技術者の証人尋問を担当しました。そこでの尋問内容も一部、下記に取り入れています。 構造、機能の概要については、添付ファイルに要点を述べています(準備書面16の15p以下等)。

 上記文書の説明に補足して要点を述べます。

1 バグフィルターの濾過効果は、「確率的」です。

 その意味は、粒径が大きいものは濾過される確率が高まるが、全部濾過されることはない。その逆に粒径が小さいものでも、低い確率で除去されることになります。つまり、ある粒径を境に、それ以上は濾過されるが、それ以下は濾過されないというall or nothingの関係は成り立ちません。

2 バグフィルターの濾過効果は、日々変動します。

 バグフィルターはいわば「自らの目詰まりを利用して濾過効果を高める」という原理に基づいているので、未使用のバグフィルターほど濾過効果は低い(準備書面16の16ページのグラフ)。

 使用するにしたがって、粒径の小さいものでも、濾過される確率は高まりますが、それとともに圧力損失が高まり、破裂の危険が増すので、定期的に「払い落とし」(ジェット気流による吹き払い方式もあります)をするので、その直後には、圧力損失は減少し、同時に濾過効果も低くなります。

3 いずれにしても、バグフィルターの濾過効果については、以下のことが言えます。

 第1に、気体状(気体分子)のものは濾過できない

 第2に、2μmという比較的大きな粒子(バクテリアの平均粒径の2倍程度)でも、未使用のバグフィルターでは50%程度しか除去できない

 逆に濾過効果は「確率的」ですから、そのようなバグフィルターでも、0.05μmという小さな粒子でも、その一部は濾過できる。

4 現実に使用されているバグフィルターがどの程度、有害物質の除去に効果を上げているかというのは、「理論的な視点」と「実証的データ」で議論する必要があります。

  前者の「理論的視点」とは、主として、バグフィルター入口温度における「当該物質のガス化割合」(蒸気圧)の問題です。

5 前者の「理論的視点」に関して、廃棄物焼却炉では、以下の点に特に留意すべきです。

廃棄物焼却によって生ずるダイオキシン類に関しては、その15~20%は除去できない(200℃におけるダイオキシン類のガス化割合)

重金属については、その融点(MP)又は沸点(BP)以下でもガス化する(蒸気圧が観測される)ので、常にその一部はバグフィルターを通過して、環境中に排出される。

・注意すべきは、多くの論者は、バグフィルターにおける重金属の「ガス化割合」を当該温度における重金属の「単体」の蒸気圧で論じているが、このような想定は現実的ではない。

・廃棄物焼却炉中では、多くの重金属は、「単体」ではなく、塩素化合物、硫酸塩、炭酸塩、酸化物等になっています。注目すべきは、「塩素化によるMP及びBPの低下」現象です。

 塩化物の多い廃棄物(多くの廃棄物がこれに該当します)中では、主たる燃焼室で多くの重金属が塩素化合物になります。その結果MP及びBPの低下が生じ、ガス化割合が著しく高まるのです。つまり、バグフィルターで補足されず、大気環境中に多くの重金属が「ガス化」して放出されます。

 バグフィルターではなく、仮にサイクロンだけを使用していた場合には、「ほぼ全量が大気環境中に排出される」という結果になります。

6 セシウム、ヨウ素、ストロンチウムなどの、放射性同位元素については、その化学的性質は、安定型同位体と理論的には、ほとんど変わらないはずです。

7 放射性元素の廃棄物焼却炉における挙動については、多くの理論的仮説(推定)は可能ですが、結論としては実証データが不可欠です。

 いずれにしても、「バグフィルター神話」(バグフィルターで100%除去できる」は成り立ち得ません。問題は、「どれだけのものが環境中に排出されるのか」という程度問題です。私が担当している裁判では、その点に関しても興味あるデータが得られています。添付の準備書面23にその一部を記述しています(14p以下)。

・焼成系はバグフィルターを二重に装備し、乾燥系はバグフィルターを1つ装備しているが、水銀は1日当たり40グラムを大気環境中に放出している。

・粉じんについては、焼成系はバグフィルターを二重に装備しているが、バグフィルターを2つとも通過する(濾過されない)粉じん量は1日当たり20グラム、年間7.3キログラムに達する。

・窒素酸化物(これ自体はガス状ですが、バグフィルター入口前で消石灰と活性炭噴霧で固体粒子にしているはず)は、バグフィルターを二重に通過させても、焼成系、乾燥系の合計で142kg/日、年に300日稼働として、年間42トンの窒素酸化物を大気中に放出しています。

これらの実証データは、事業者による「いいとこどり」のデータに基づいているので、「過少評価」の可能性が高いのですが、それでも、バグフィルターによる有害物質除去機能は、とても欠陥の多いものだと言うことは言えます。

 バグフィルターの機能について、大切なこと

1 重金属類に対するバグフィルターの濾過機能については、既存の多数の廃棄物焼却炉(バグフィルター付き)が稼働しているので、そこで 実証データが得られるのでないかというご意見があるかも知れません。

2 ところが、廃棄物焼却炉については、排ガス中の重金属については、排出規制が一切ありません。そのため、ルーティンワークとしては、 重金属の測定データはないのです。重金属類の排出を一切規制しないという異常事態は、多くの識者には理解不能と思いますが、それが現実です。

5 重金属の塩素化による気化とその排出量はおそらく予想外に多いと思います。先月の裁判所における事業者側技術者もその点は明確に認めていました。単体よりもはるかに気化しやすくなるという点に特に留意する必要があります。

 バグフィルターとEP(電気集塵機)があれば99.99%の放射性物質が除去できるなどというのは、現場、実務を知らない官僚や御用学者の先に結論ありきの言い分であることが分かるであろう。

◆焼却と埋立は環境負荷、環境汚染を拡大する

 またライフサイクルアセスメント(LCA)を用いた残飯はじめ下水汚泥など有機廃棄物の処理方法毎の環境負荷比較でも、焼却処理が最も環境負荷が高いという東京都市大学大学院環境情報学研究科湯龍龍氏の研究論文がある。

 このように、国がさしたる根拠もなく、放射能レベルが低いことのみを理由に瓦礫を広域処理しても問題ないと結論づけたことは、熱力学第二法則、エントロピー理論など、物理学の原理からしても過ちであると言える。また放射性物質が最終的に海に流れ込めば、食物連鎖、生物濃縮により魚介類が高度の汚染されることを知らねばならない。

◆まったく不透明な立法過程と憲法違反の官僚立法

 にもかかわらず環境省は2011年5月以降、非公開の「災害廃棄物安全評価検討会」を重ね、途中からは議事録も公開せず、さらに最新の情報開示では環境省は議事録もつくっていないと情報開示請求をしている鷹取敦氏に通知している。その上で、さしたる根拠なく広域処理を正当化してきたことはきわめて遺憾であり、およそ民主主義国家にあるまじき行為であると思える。

◆環境省「災害廃棄物安全評価検討会」委員名簿
井口 哲夫
 名古屋大学大学院工学研究科教授
大垣 眞一郎(座長)
 独立行政法人 国立環境研究所理事長
大迫 政浩     
 独立行政法人 国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長
大塚 直
 早稲田大学大学院法務研究科教授
酒井 伸一
  京都大学環境科学センター長
杉浦 紳之
 独立行政法人 放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センター長
新美 育文
  明治大学法学部専任教授
森澤 眞輔
  京都大学名誉教
出典:環境省公式Web

 これについては、環境総合研究所の鷹取敦調査部長による一連の論考を見て欲しい。科学的根拠がない、あるいは乏しいことを無理矢理強行しようとするから国の検討会を非公開にし、議事録を出さず、あげくの果ては録音をせず、議事録をつくっていないなどと鷹取氏の正規の開示請求に「堂々」と回答してきているのである。

 まさに設置、委員選任などまったく正当性がない検討会が、非公開できわめて重要な事項を審理し、その結果を細野大臣らが国民や基礎自治体に押しつけるという、民主主義国家であるまじき対応、態度である。

◆鷹取敦:議事録作成をやめた「災害廃棄物安全評価検討会」
鷹取敦:環境省への議事録開示請求の経過報告(2012/02/17現在)
青山貞一:立法府が本来の機能を取り戻すために You Tube

 しかも、根拠となるがれき特措法は、見かけは「議員立法」となっているが、その実態は強権的な官僚立法である。梶山正三弁護士(理学博士)は、同法は一般廃棄物処理に関する地方自治を侵害する憲法違反法ではないかと危惧されている(以下参照のこと)。

◆青山貞一:がれき特措法は「議員立法」の顔をした強権的な官僚立法

◆梶山正三: 「がれき特措法」は憲法違反

 ガレキ特措法は、おっしやるとおり、「議員立法」の顔をした官僚立法だと思いますが、 私は憲法違反の立法だと思います。

 特に、地方自治法との関連で言えば、「除染のための調査」「除染計画」「除染の実施」「除染土壌の保管」などについては第1号法定受託事務として、最終的な国の強権的介入を可能にしています。さらに、「除染の基準」「調査区域の指定」「措置命令」「調査方法」なども、全て国(環境省令)がイニシアチブを取り、かつ、令状等もなしに、強制的な立入調査権限を与えています。

 これは、今までの環境法令にはなかったことで、国の職員に限り(地方自治体の職員には与えられていません)その立入を妨害してはならないことを規定し(27条6項)、それに従わない者に対する罰則まで規定しています(62条)。

 総じて、国家権力の無謬性を大前提として、地方自治体を国の支配下に置き、したがわない者は処罰し、従わない自治体に対しては、直接的な国の介入を可能にしている点で「恐るべき立法」と言えます。

 無能で実務能力のない環境省が、これほど大きな権限をいつのまにか手中にしているのは、正に「亡国のきざし顕著」と言えます。

 一方で、同法の施行規則の一部改定について、環境省はパブコメを募集し、一部の市民団体が、それに異を唱えていましたが、問題の大本は、特措法それ自体にあり、さらには、同法施行令、施行規則の全部が環境省の強大な権限を裏付けています。

 この法律が生きている限り、地方自治体は、気まぐれで、やる気のない、格好付けだけの環境省の思惑にしたがって、右往左往することでしょう。

◆世界は日本をどう見ているか?

 最後に、毎年冬、スイスで開催されている通称ダボス会議、世界経済会議で今から10年前、米国のエール大とコロンビア大が世界各国の「環境保全力ランキング」を公表した。

 日本は何と62位であった。エンド・オブ・パイプあるいはバック・エンド・シンキングと呼ばれるように、日本は本質的な問題解決をせず、巨額の税金と巨大な装置(技術依存)で事後処理的に焼却に依存し対応してきたこと、すなわち何でもかんでも燃やして埋めるの愚をしてきたことが、現在の国の苦境に繋がっていることを厳しく反省しなければならない。

 さらに環境省の検討会を非公開にし、議事録を公開しないことで分かるように、そこにいる委員はおよそ科学者や研究者に値しないだろう。

 ひとことでいえば、この検討会はどうみても非科学的なことを国民や住民に押しつける、いわば政治家がすることをしているのである。こんな環境省に原子力規制庁を設置しても到底国民の理解など得られるはずもない。

出典:青山貞一、世界の「環境保全持続力」ランキング、AISブログ

◆環境省は環境汚染省である!
 
 環境省の前身、環境庁(当時、総理府)は、もともと人材不足で各省庁からの出向が幹部を占め、いわば他省庁の植民地であった。しかし、人材不足、力量不足は今まででも変わっていない。

 その環境省やつくばの研究所(国立環境研究所)は、3.11以前は、法的にだけでなく研究や実務面でも無関係だった環境省が、誰が見ても経済産業省の暴走をとめられるはずもない。これはまるで自民党から民主党に政権が移っても政治主導も利権構造も変わらなかったことと酷似している。

 結局、新設される環境省の原子力規制庁は、人材の多くを経済産業省、その独立行政法人はじめ「原子力村」に依存せざるを得ず、巨額をかけても肝心なときに何一つ役に立たないSPEEDIと同じ運命をたどるだけだ。元も黙阿弥である!

 上述のように原理的に間違ったこと、すなわち世界に類例のない廃棄物をもやし埋め立てる危険きわまりない「焼却主義」をとり続ける環境省に将来はないだろう!

全文


「がれきで鎮守の森を作りましょう、地元雇用も作りましょう」
― 動き始める宮脇昭「森の防波堤」プロジェクト ―

(2012/03/30 08:03 園田義明めも)から抜粋

宮脇昭氏の『瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る』片手に議員会館周辺をうろちょろ。その甲斐もあって宮脇ファンが急増中。

「がれきで鎮守の森を作りましょう、地元雇用も作りましょう」 
宮脇氏の「森の防波堤」プロジェクトがまもなく本格的に動き始めるだろう。

がれき利権は森に包んで地元優先に落とせばいいと思う。

<関連記事>

「宮脇先生の話を聞いて、また希望を持った。日本の伝統的な鎮守の森をモデルにし、エコロジーと総合した21世紀の新しい鎮守の森づくりを科学的な脚本にしたがってやろうとしている。それも市民を主役にして。これは素晴らしいことです。しかも、国内だけでなく、アマゾンやボルネオ、中国でもやろうとしている。このノウハウを日本から世界に発信していけば、再び私は日本がナンバーワンになると信じています」=エズラ・ボーゲル
https://bird.zero.ad.jp/~zas03830/seitaigaku.html

河北春秋
https://www.kahoku.co.jp/column/syunju/20120320_01.htm

「身の回りにある緑はほとんどが偽物」。植物生態学者の宮脇昭さんがそんな意味のことを書いている。「偽物」とはその土地本来の植生ではないということ▼では本物の緑とは? 人間が全く手を付けずに、気候や風土に応じ、自然に育つ森のこと。専門家は「潜在自然植生」と呼んでいる。各地に残る鎮守の森がその例

 ▼土地本来の樹木は強い。根をまっすぐ深く張り、激しい風雨に耐える。もともとそこに自生する植物だから、人があまり管理しなくて済む。これを利用し海沿いに「森の長城」を築こうと、宮脇さんが提言している▼しかも震災のがれきを使ってだ。土と混ぜて土塁を築き、多くの木を植える。根はがれきをがっちりと抱く。有機性のがれきなら、分解され養分になる。強固な防災林、環境保全林に育つという

 ▼細野豪志環境相がおととい、がれきを防災林の土台に活用する方針を明らかにした。場所は仙台平野の沿岸部の数十キロ。処分に苦慮するがれきだ。苦肉の策にも見えるが、取り組む価値は十分ありそうだ▼「災害は生命の醸母である」と書いたのは物理学者の寺田寅彦。無数の災害を乗り越え、文明を築いてきたのが人間だ。災害に強くかつ環境に優しく。復興に立ち向かう中で、多彩なアイデアも生まれる。 2012年03月20日火曜日

なぜ東京で「がれき処理」をするのか?-「がれき処理」は地元でという自治体首長の声は無視された
https://www.otonano-kaisha.com/news_LfHpCwayw.html

2012年2月29日の朝日新聞が報道した「復興に向けて 首長に聞く」という企画で、伊達勝身・岩泉町長のインタビュー記事が掲載されている。

そこで同町長は、かれき処理について急ぐ必要はないと明言している。

同町長は、復興支援を急ぐ意味について、民主党が「公約に縛られている」ために起きていることだと指摘している。

もともと、土地は余っているのでがれきの処理を焦る必要はなく、10年でも20年でもかけてやった方が、地元に雇用が生まれるので望ましいとコメントしているのだ。

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