2012/04/05

福島の無料情報誌に「放射能特集」 

先週、福島を訪問したとき、目に留まった情報誌に「放射能特集」の記事があった。「市民による市民のための放射能測定所」が県内6ヵ所に設立されたという記事や「銀河のほとり」というお店では、店内の放射能測定器で測定した食材を使って料理を提供しているといった記事が出ていた。

「この冊子はいいなあ」と思いながら読み進めると、「野呂美加さんに聞く」というインタビュー記事が出ていた。昨年6月、福島で対談したこともある野呂さんのメッセージには、長年チェルノブイリの子どもたちをサポートしてきた人だからこそ分かる重要な視点が感じられた。多くの人に読んでほしい記事である。

福島県郡山市を中心とした地域情報誌「だいすき」2012.3月号より転載

NPO法人チェルノブイリへのかけはし代表 野呂美加さんに聞く

福島第一原子力発電所の事故より一年が経とうとしています。今後のこの地で住み続けたい私たちは、どのような生活をしていけば良いのでしょうか。NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」にて長年チェルノブイリの子供たちと接してきた野呂美加さんにお話を伺いました。

NPO法人チェルノブイリへのかけはし代表 野呂美加さん
1992年結成された母親たちのボランティア団体。チェルノブイリ原発事故で汚染された地域に住む小学生たちを1か月間日本に招待し、19年間で648名の子供たちを招待してきた。(福島原発事故により昨年より保養は休止。)
http://www.kakehashi.or.jp

◆「風評被害」と「予防原則」

昨年、放射能による汚染で被害が報道されるたびに「風評被害」という言葉が使われました。放射能は見えないから、みんなが疑心暗鬼になります。しかし、事故から1年が経過しようとしています。もうそろそろ冷静に放射能の対策に取り組むことを考え始めてもいいのかと思います。実は「風評被害」の反対語は「予防原則」といいます。

チェルノブイリで子供たちに起こった悲劇はまさに「予防」を怠ったからにほかなりません。私たちが事故のあと6年後に汚染地域に救援に入った時、ちょうど小児甲状腺ガンが多発し始めたときでした。

このときは、小児甲状腺がんの原因はまだ「放射能のせいではなく、ヨード不足の風土病」とIAEA(国際原子力機関)は診断していて、救援活動が遅れ、彼らがそれを放射能が原因であると認めたのは事故から10年経ってからだったのです。それまで人々は汚染された食べ物を子供たちに食べさせ続けていました。

放射能に汚染されたものを食べたり、吸い込んだりする「内部被ばく」はどのようなレベルであれ子供には後遺症を残しますので、世界中の30カ国以上にわたる救援グループが、「子供たちをたとえ1カ月でもいいから、放射能から切り離そう!放射能からの夏休みをプレゼントしよう」と海外保養運動が始まりました。

◆保養が心身に及ぼす効果

保養をすると、1ヵ月~45日くらいで放射能の排出力が高まります(個人の新陳代謝の差によって違います)。そのため、「予防原則」で子供たちを保養に出そうという活動が事故から25年経過した現在でもイタリアやドイツ、スペインなどで継続されています。海外に出るだけではなく、国の責任で子供たちは、国内の保養所にも1ヵ月ずつの滞在で年に2回、学校ごとに避難させ、そこで医療的なチェックを定期的に受けたり、汚染のないものを食べさせています。

私たちの里子たちに甲状腺ガンがでていないと言うのも、もしかしたらこの予防原則のおかげではないかと私は思うことがあります。夏に汚染地域に行っても、子供たちはもぬけのからで、誰にも会えないほどです。学校ごと、施設ごとに招待されています。

また、汚染された地域から離れることが子供のためになるもう一つの大きな理由は、心の抑圧から解放されることだと思います。被災地域にいると、家族や大人をおもんばかって、不安な気持ちや身体の具合の悪いところを隠していたりします。

そういう意味で、まったく違う環境で子供たちが心身ともに解放され、身近な大人たちに相談したり「放射能を忘れる時間」を持つことがとても大事です。「精神的健康」というのは、「気にしない」ということではなく、「気にしている」自分を認めて前に進むことが前提です。不安を感じている自分を、気にしていないと思いこませることは、精神的な病の原因につながります。

◆効果的な食事療法

最後に、発酵食品や新鮮な果物、野菜や微量ミネラルの含んだものを毎食食べてください。発酵したものにはビタミンやミネラル、アミノ酸などが多数含まれています。ベラルーシの科学者たちは、子供を保養させるときには「『新鮮な』ビタミンやミネラルをたくさん食べさせて」と言っていました。

それは傷ついた細胞や遺伝子を修復させる酵素が働くときに必要な栄養だとしていました。彼らは米ソ核実験によるデータをもとに子供たちに特製のビタミンを配っていました。保養では私たちは子供たちに果物や野菜をたくさん食べさせました。

たった1ヵ月で、伸びなかった身長が3~4センチ伸びる子もいたり、体重が増え始める、髪の毛が伸び始めるなど目に見えて子供たちが元気になっていくのを見続けて、この活動は人々の募金で19年間も続いたのです。日本の伝統食である漬物や味噌汁はまさに消化酵素を補い、多数のビタミンやアミノ酸などを提供してくれる宝です。

大人にとっても健康診断は必要です。国家の責任で毎年1回、ホールボディーカウンターで体内の汚染値を把握しチェックをしてもらったり、保養に出ることはとても大切です。それはベラルーシの人たちが健康を保つために行ってきた制度です。

口先だけで、「大丈夫」と言う期間も過ぎました。それを制度にしていくことが大人の役割です。避難を個人で考えるとつらくなりますが、市町村単位での保養所を持ってもらい、つらくなったらいつでも保養できる場があると、そこへ行ってもさみしくないです。母親たちを納得、安心させるための、新しい制度の創設を願ってやみません。

※微量栄養素:たとえばセレンや亜鉛などのミネラル類。錠剤などで摂取すると不自然にとりすぎることになりそれもまた問題になるので、食物からとってください。

放射能に気をつけるポイント

1.食べ物、水などからの内部被ばくに気をつける
2.家の中を徹底して拭き掃除
3.カテーンはこまめに洗う
4.家の外での靴の泥を落とすことを徹底する
5.外套や仕事着など放射能が付着していると思われるものを家の中に持ち込まない
6.心配、恐怖、そうした気持ちをごまかしたり、おしこめたりせずにオープンにできる場をつくること
7.定期的に放射能から離れる(1週間でも、1ヵ月でも)

<転載以上>

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