2012/04/03

原発の不都合な真実 「再生可能エネルギー100%の島」

【原発の不都合な真実?番外編】 Power To The People―再生可能エネルギー開発プロジェクトのキャッチフレーズは「人々に力を、人々に電力を」
(2012/03/24 18:59 共同通信)

 3・11の東日本大震災とそれに続く東京電力福島第1原発の事故から1年を迎える直前の3月10日の夕方、私は東京銀座の書店の6階で開かれたささやかな集まりに参加した。集まりは、新聞社の科学記者の経験もある女流歌人の松村由利子さんと、「再生可能エネルギー100%の島」として知られるデンマークの小島、サムソ島で、市民出資で21基の風車を建設したプロジェクトのリーダー、ソーレン・ハーマンセンさんとのトークイベントだった。

 ハーマンセンさんを主人公に、サムソ島の人々が市民出資の風車を建設するなどして、10年間で自分たちが使う電力のすべてを再生可能エネルギーでまかなうことができるようになるまでの経緯を描いた米国の絵本作家、アラン・ドラモンド氏の絵本「Energy Island」を松村さんが翻訳した日本語版の絵本「風の島へようこそ くりかえしつかえるエネルギー」(福音館書店)が出版されたのを記念して開かれた。

 ハーマンセン氏は強調するのは、ごくわずかでもいいから市民が自らの手でエネルギーを作り出すことの重要さだ。「遠くの発電所から送られてきた電気を、スイッチ一つで利用できるというのが当たり前になるとみんなエネルギーのことを考えなくなる。でも自らの手で風車や太陽光パネルを建てたことによってエネルギーの大切さを多くの人が考えるようになった」と言う。

 市民出資で建設される再生可能エネルギーの発電施設を「コミュニティー・パワー」と呼ぶ。エネルギーを自らが作り出し、余った電力を電力会社に得ることで、地元に利益が還元され、雇用創出にもつながる。海外の石油などへの依存度も下げることができるし、温室効果ガスの排出削減にも貢献する。サムソ島の21基の風車は今、島民が使う以上の電気を作りだし、余剰分をデンマーク本土に売るまでになった。

  「大きな音ではないけど、風車が回る音が聞こえることがある。どこかよそからやってきた知らない会社が建てた風車の音なら気に入らないと思うだろう。だけどそれが自分の風車だと考えてごらんよ。風車が回って電気を作り、お金が儲かるんだと思えば、音が聞こえないことが不安になってくるから」―。ハーマンセン氏はそう言って笑い、「政治家に自分たちのエネルギーのことは、自分たちで決めさせろと要求すること。それが第一歩だ」と話した。

■茨城県神栖市の市民風車「なみまる」
 「東京電力福島第1原発の事故は、日本人にとってはもちろん、サムソ島の人にとってもウェイクアップコールだった。日本の人も今こそ、自分たちの手で自分たちのエネルギーを作りだすための努力を始めるときだ。日本人ならきっとできる」と集会で、ハーマンセン氏はエールを送った。

 サムソ島のようなコミュニティー・パワーの実例は海外で多数、積み重ねられている。

 米国での市民出資の再生可能エネルギー開発プロジェクトのキャッチフレーズは「Power to the people」である。「人々に力を、人々に電力を」という訳だ。

 日本でも既に市民の出資によって北海道や東北を中心に12基の風車が建設されている。「はまかぜちゃん」「のとりん」「なみまる」などといった愛称が地元の小学生などの公募によって付けられ、出資者の名前が刻まれたプレートがはめ込まれ、市民に親しまれている。

 長野県飯田市では市民出資で太陽光発電所が建設され、富山県では小水力発電所の建設準備が進んでいる。3・11後の日本。さらに多く土地で市民の手による発電所建設が進むことを期待したい。

 

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