原発なき韓国 実現を ソウル5000人集会 福島の被災者参加

原発なき韓国 実現を ソウル5000人集会 福島の被災者参加
(2012年3月11日 東京新聞朝刊)

 【ソウル=篠ケ瀬祐司】ソウル市中心部の市庁舎前広場で十日、東京電力福島第一原発事故から一年に合わせ、「脱原発」を訴える集会が開かれた。韓国内の七十余りの市民団体でつくる「核のない社会のための共同運動」が企画し、市民ら五千人以上が参加した。

 集会では東日本大震災発生時に福島市内に住み、現在は母親と京都市内で避難生活を送る阿部ゆりかさん(10)=小学校四年=も壇上でマイクを握った。

 ゆりかさんは原発事故発生後にガソリン不足で避難が遅れたことを説明。被ばくした不安や仕事で福島県内に残る父親と離れて暮らす寂しさを訴えた後、韓国語で「大人たちに聞きたいです。私は何歳まで生きられますか。私は結婚できますか」と問い掛けると、会場は重苦しい空気に包まれた。

 参加した環境団体の任昭姫(イムスヒ)事務局長は「事故から一年たった今も、避難生活を強いられている皆さんにお見舞い申し上げる。原発の事故や安全性は世界的な問題だ。子どもたちのために、韓国は原発推進の方針を転換すべきだ」と、脱原発を政府に働き掛けていく考えを強調した。

 韓国では二十一基の原発が商業運転し、電力の三割以上を原発に依存。福島第一原発事故後も二基の新設を許可するなど、原発推進を明確にしている。

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