【いのちの映画祭】 てんつくマンとの対談から生まれた 「号外」

★いのちの映画祭 最初のゲストは、映画監督 てんつくマン

「いのちの映画祭」の記念すべき第一回(2月5日福岡市)のゲストとして、映画監督であり、「路上詩人」でもある「てんつくマン」が来てくれる。彼との出会いは、2006年に遡る。その日私は、元お笑い芸人で、映画監督であり、「路上詩人」という謎の肩書きをもつ人物と対談するために、福岡から特急電車に乗って、鹿児島の会場に向かっていた。

ところが、めったにない豪雨によって、大分から宮崎に向かう途中で線路が水没し、電車が止まってしまった。田舎町でタクシーもすぐに手配できず、対談を企画した人に連絡した。「対談の時間までに間に合わないので、対談を中止にしてほしい」と。しかし、その人は「遅れてもいいので、とにかく会場まで来て下さい。中止にするかどうかは、会場のお客さんに決めてもらいます」といった返答だった。

対談の予定時間から2時間ほど遅れて、「対談は中止になってるだろう」と思いながら会場に到着したら、なんと会場は満席で、拍手で出迎えてくれた。そんな奇跡的な出来事があったため、私はその日、話す予定にしていなかった青森県六ヶ所村の「核燃料再処理工場」の話をし始めた。「今日はこんな話をしてほしい」と言われていたことだけでなく、「自分が話したいこと」を話すことにしたのです。

「今日は、地球温暖化を防ぐための話をしていますが、今、日本で大変な問題が進行しています。『地球温暖化を防ぐために原発を推進しなければならない』という政治家がたくさんいますが、彼らは原発が抱えている様々な問題―燃料であるウランを掘る段階から環境破壊と放射能汚染を広げている問題に始まり、原発周辺での病気の増加、「被曝労働」や「温排水」の問題、そして、最後の「放射性廃棄物」の問題をよく知らないまま原発を推進しています。

それに加えて、今、大問題が進行しています。それは、青森県六ヶ所村の「核燃料再処理工場」の問題です。私は、1990年からチェルノブイリ原発事故の被害者の医療支援に関わり、ベラルーシやウクライナを何度も訪問して、病院に薬や医療機器を届ける活動のなかで、病気に苦しむ人々の様子を目の当たりにしてきました。特に、放射能汚染地の子どもたちに病気が増えていて、子どもが親よりも先に亡くなるという悲劇があちこちで起きている事実を知り、原発の本当の恐ろしさを身にしみて感じてきました。

そんな体験をしてきた者の責任として、核燃料再処理工場が日常的に放出する放射能の問題を見過ごすことができません。

もしも今、地震などによって原発事故を起こり、放射能が放出されたら、大変な大騒ぎになります。避難が必要になります。ところが、再処理工場は、事故を起こさなくても大量の放射能を日常的に放出するのです。その量は、原発から日常的に「漏れている」放射能の300倍から400倍にもなります。そのため、「再処理工場は、原発が1年間で放出する放射能を1日で放出する」と言われるのです。

原発は事故を起こさなくても原発周辺にガンや白血病を増やしていますが、再処理工場は、その原発の300~400倍の放射能を放出する。つまり、今、日本にある原発54基全部の6倍もの原発が1ヶ所に集まっている、ということを意味するのです。

この再処理工場のことを日本人のほとんどが知らないまま放射能が放出されるのは、大問題です」

人を笑わせることを仕事にしてきた元お笑い芸人のてんつくマンは、初対面の私との対談においても、数分おきに会場を爆笑させていた。しかし、六ヶ所村の核燃料再処理工場の話を聞いたときは、本当に驚いた顔をしていた。対談が終わったあとの懇親会で、それまで沈黙していたてんつくマンが話を切り出した。

「さっきの話にあった原発で使った使用済み燃料の再処理の話ですけど、初めて聞く話でびっくりしました。大変な話だと思うんですけど、会場の人もほとんど知らなかったし、あの話を知ってる人はどのくらいいるんですかね?」

「たぶん、日本人の1%も知らないよね」

「えっ!? あれだけの大問題を1%も知らないんですか?!
どうして知らないんですかね?」

「マスコミがほとんど報道しない、ということが大きいね」

「なぜ、マスコミは報道しないんですか?」

「テレビや新聞にとって、たくさんの広告料を払ってくれる電力会社や原発メーカーとその関連企業は、経営的に最も大事なお客さんだから、そのお客さんが困るようなことは、なるべく報道しない、というのが実態だね」

「じゃあ、どうしたら、再処理工場の問題を多くの人に伝えることができるんでしょう?」

「現状では、この問題を知った人たちが、自分たちで知らせていくしかないよね。例えば、号外をつくって全国で配布するとかね。」

「じゃあ、それやりましょうよ!」

と酒を飲みながら「アホな2人」が話したことが、汗と涙の伝説の「豪快な号外」3000万部発行、全国で2万人以上が号外を配るという一大ムーブメントに展開していったのです。多くの著名人が、この取り組みに賛同して呼びかけ人にもなってくれました。そして、てんつくマンは号外を配る人たちの様子も収録したドキュメンタリー映画 『107+1天国はつくるもの Part2』をつくったのです。

https://www.teamgogo.net/
https://cinema.okagesama.net/archives/118
https://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-2064

【いのちの映画祭】 最初のゲストは、映画監督 てんつくマン

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