玄海1号機 検査入り 再稼働見通し立たず

玄海1号機 検査入り 再稼働見通し立たず
(2011年12月2日 東京新聞朝刊)

 九州電力は一日午後六時ごろ、佐賀県玄海町の玄海原発1号機(加圧水型軽水炉、五五・九万キロワット)の発電を停止し、定期検査を開始した。これにより、国内商業炉五十四基のうち運転中の原発は九基となった。

 玄海1号機では、定検終了後の再稼働の条件となる安全評価(一次評価)が既に始まっている。だが、同原発をめぐるやらせメール問題などの混乱が長期化し、国に評価結果を提出する時期が決まらないため、運転再開の見通しは立っていない。

 また、運転開始から三十五年以上経過している玄海1号機は原子炉の老朽化を懸念する声も上がっており、特に再稼働には曲折が予想される。

 玄海2、3号機と鹿児島県薩摩川内市の川内原発1、2号機は定検入りしており、九電管内で稼働中の原発は玄海4号機だけになった。4号機も十二月二十五日に発電を停止し、定検に入る予定。

 九電は保有原発六基の全停止を受け、十二月二十六日から来年二月三日まで、利用者に最大電力の5%以上の節電を要請する。


日本一危険な玄海原発1号機 炉内試験片 測定せず

炉内試験片 測定せず
老朽化の指標 09年 温度急上昇
来月から玄海1号定期検査
(11月26日 西日本新聞朝刊1面トップニュース)

運転開始後36年の九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)1号機について、九電が12月1日からの定期検査で、原子炉圧力容器の老朽化の度合いを知る方法の一つである試験片の取り出し測定を実施しないことが25日、分かった。直近の2009年に測定した試験片温度が想定を大幅に超えたことが今春判明したばかり。九電は「炉の健全性に問題はなく、想定上、今回の測定は不要」とするが、地元議会などで不安が広がっているだけに、「型通り」の対応を問題視する声も出ている。

玄海1号機は1975年の運転開始で、鋼鉄製の圧力容器は核反応で中性子を浴び、粘り強さが低下する。九電は、この「脆化」と呼ばれる老朽化の状況を把握するため、同容器と同じ鋼鉄製の試験片を6個設置し、過去4回取り出して温度測定してきた。

温度が高いほど脆化が進んでいるとされ、測定結果は35度(1976年)を皮切りに、37度(80年)56度(93年)と推移した後、09年には九電の従来想定を20~30度上回る98度に急上昇。全国の原発の中で最も高くなっており、研究者の一部や佐賀県議会などで「緊急時に冷却水を注入すると圧力容器が損傷する恐れが高まっているのではないか」との懸念が出ていた。

九電は想定温度を上方修正する一方、試験片は圧力容器より燃料に近い位置にあるため、同容器自体の温度は80度程度と推定し、「60年間運転したとしても安全基準を下回る水準」と説明。次回の測定について「日本電気協会の規定に基づき、2033年までの適切な時期に行う」とした。

九州大応用力学研究所の渡辺英雄准教授(照射材料工学)は「温度は老朽化を判断する指標の一つにすぎず、98度に上昇した原因も分析できていないのに短期間で測定するのは意味が乏しい」と、九電の判断を支持している。しかし、東京大の井野博満名誉教授(金属材料学)は「温度が異常に高いことは事実。不安に応えるためにも、温度がどう変化しているのか、今回の定期検査で調べるべきだ」と話している。

<ワードBOX 原発の老朽化>
一律的な「寿命」は定められていない。国は電力会社に対し、運転開始後30年と40年を経過する前に「高経年化技術評価」などを提出させ、その後10年間の運転継続の是非を判断している。しかし福島第一原発事故や玄海原発1号機の試験片温度の上昇を受け、経済産業省原子力安全・保安院は従来の高経年化評価の妥当性を議論するため、専門家の意見聴取会を今月29日に新設する。


「玄海原発1号炉は日本一危険な原子炉」 井野博満・東大名誉教授
(2011/06/10 風の便り)

玄海原発は、周辺住民に白血病が増えているという問題だけでなく、井野教授が指摘している「ひと言で言えば、圧力容器そのものが劣化し、いつ“破断”してもおかしくない。浜岡原発より、玄海1号炉のほうがはるかに危険。原子炉は陶器のようなもので、簡単にひび割れ、破断してしまう。もし現実になれば、炉心の燃料棒が吹っ飛ぶような大爆発を引き起こす可能性もある」という問題も抱えている。

日本の最西端にある玄海原発で事故が起こった場合、西から東に向かって流れる偏西風に乗って、福岡、広島、関西、中部、関東など大都市の多くが風下汚染地になる可能性が高い。

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