2011/11/20

もんじゅ浪費17年 事業費1兆円 停止中の維持費に年200億以上

strong>国のメンツ 浪費17年 仕分け「もんじゅ」存廃議論へ
(2011年11月19日 東京新聞朝刊)

 「夢の原子炉」と呼ばれながら、トラブル続きでほとんど稼働していない高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の存廃が、二十日の政府政策仕分けで議論される。その歩みを振り返ると、この先も膨大な国費を浪費し続けるのかと、率直な疑問が浮かんでくる。 (谷悠己、福田真悟)

 ◇事故

 総事業費に約一兆円もかけながら、稼働してから十七年間で、動いたのはたった二百数十日間。「発電しながら燃料を生む未来の原発を開発する」とのふれこみだったが、実績からすると、もんじゅは壮大な無駄遣いだったといえる

 文殊菩薩(ぼさつ)に由来するその名を広めたのは、試運転後すぐの一九九五年に起きた事故だ。核燃料を増殖させるため、冷却材に使う液体ナトリウムが配管から漏れ、空気に触れて火災を起こした。事故映像を隠していたことも発覚した。

 昨年、十四年ぶりに運転再開にこぎ着けたのもつかの間、燃料交換用の機器が原子炉容器に落下し、あえなく再停止に追い込まれた。停止中でも、液体ナトリウムを循環し続けるなどの維持費が年間二百数十億円かかる。機器落下による炉内の損傷状況を調べようとすると、百七十億円もかかることが判明している。

 動いていても止まっていても、途方もない金食い虫だ

 ◇背景

 扱いの難しいもんじゅだが、核燃料と液体ナトリウムさえ抜けば停止できる。

 それでも国がこだわってきた背景には、原発が抱える最大の課題である使用済み核燃料の存在がある。

 全国の原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、高速増殖炉の燃料として再利用できれば、燃料は節約、核廃棄物の処分量も減る―。こう強調され、半世紀前から国の原子力政策の要に据えられてきた。

 もんじゅのパートナー役が再処理工場(青森県六ケ所村)。電力各社の資金で九三年に着工したものの、トラブル続きで竣工(しゅんこう)予定は十八回も延期を繰り返してきた。総額二兆円を投じながら稼働のめどが立たない点は、もんじゅそっくりだ

 もんじゅをあきらめれば、ここに燃料を供給するための再処理工場も不要になる。日本が保有するプルトニウムは核兵器ではなく発電のため、との主張の根拠がなくなる

 巨額の資金をかけ、国の重要施策として進めてきただけに、やめるにやめられないのが実情だ。

 ◇地元

 立地対策として交付金だけで百三億円を受けてきた地元・敦賀市の受け止め方は複雑だ。事故の不安もつきまとうが、もんじゅがあり続ければ一定の雇用効果が期待でき、国内外の研究者の往来も見込める。河瀬一治市長は「いまさら廃止は考えられない」と話す。

 福井県にとっては、もんじゅを受け入れるかわりに北陸新幹線を延伸させる取引材料として政治利用を模索してきた経過もある。

 もんじゅの廃止論は九五年の事故後にも浮上したものの、いつの間にか必要論にすり替わった。仕分けのメスはどこまで入るのか。二十日の議論に注目が集まる。


仕分け 高速増殖炉抜本見直しを
(11月20日 18時46分 NHK)

政府の行政刷新会議が国の政策や制度の問題点を検証し、改革案を提言する「政策仕分け」が始まりました。初日の20日は、原子力の研究開発のあり方が議論され、高速増殖炉の開発について、「福井県にある『もんじゅ』の存続の是非を含めて抜本的に見直しを行うべきだ」とする提言をまとめました。

「政策仕分け」は、これまで「事業仕分け」で行ったむだの洗い出しに加え、政策や制度そのものの問題点を検証して改革案を提言するもので、「仕分け」としては野田政権で初めての取り組みです。初日の20日は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原子力政策が取り上げられ、国会議員と民間の有識者の「仕分け人」が作業にあたりました。このうち、原子力の研究開発の見直しを巡っては、40年以上、1兆8000億円を超える予算をかけても実用化のめどが立たない高速増殖炉の開発が取り上げられました。

これについて、仕分け人から、「福井県にある『もんじゅ』の本格的な運転が実現しない上、2050年までに商業化を目指すという不透明な計画では、もはや国民の理解を得られない」といった意見が出されました。これに対して、文部科学省側は「高速増殖炉開発を含め、原子力政策については、政府のエネルギー・環境会議で議論が行われていて、その議論を踏まえて対応したい」と述べました。

その結果、高速増殖炉開発については、「『もんじゅ』の存続の是非を含め、抜本的に見直しを行って再検証し、国民に説明すべきだ」という提言をまとめました。そして、来年度の概算要求で求めている「もんじゅ」の予算については、来年夏以降の運転再開後に行う試験費用の22億円の計上を見送り、維持管理の経費についても確実に必要なものにとどめ、削減すべきだと結論づけました。

また、原子力発電所を受け入れた自治体に、毎年合計1000億円以上、国が支出している交付金についても議論が行われました。仕分け人からは「原発事故に備え、より多くの交付金を安全対策に使うよう、使いみちを制限すべきではないか」という意見が出た一方、「交付金の使いみちを国が議論すべきではなく、安全対策は国が責任を持ってやるべきだ」という意見も出されました。この結果、提言では、「原発事故に対する安全対策を拡充する仕組みを検討すべきだ」としましたが、「自治体の使い勝手のよさにも配慮すべきだ」として、具体的な交付金のあり方については結論は出ませんでした。

そして最後に、蓮舫行政刷新担当大臣と、原子力政策の関係閣僚が取りまとめの議論を行っています。この中で、枝野経済産業大臣は「『これまで高速増殖炉の関連で使ってきた2兆円を、すべて再生可能エネルギーや省エネルギーの開発に使っていたらどうなっていたか』という視点が必要だ。原子力がなくても、やっていける社会を作っていくにはどうすればいいのか検討するのが、今、政治がやならければならない仕事だ」と述べました。

また、細野原発事故担当大臣は「これまでの原子力関連の予算の使いみちを大きく変え、除染や廃炉、福島の皆さんの健康被害対策などに予算を確保できるようにシフトすべきだ。エネルギー対策特別会計という枠組みが必要かどうかということも、考えてもいいのではないか」と述べました。「政策仕分け」は、今月23日まで、社会保障制度や公共事業のあり方などを対象に、東京都内の会場で一般に公開して行われることになっています。

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