なぜ福島市と南相馬市で子ども・妊婦の基準が違うのか?

重要なメールが届いたので、紹介します。

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みなさまへ(拡散希望)

特定避難勧奨指定―なぜ福島市と南相馬市で子ども・妊婦の基準が違うのか?

南相馬市で設定されている子ども・妊婦基準がなぜ福島市では設定されていないのか?国と福島市の言い訳が全くいい加減で、言い訳にもなっていないことが、南相馬市の担当者への取材で明らかになりました。

特定避難勧奨地点は、避難区域外でスポット的に線量の高い地点を世帯ごとに指定し、賠償や免税、移転先の提供など、避難に際して国が支援する制度で、避難するしないを選択することができることから、指定を受ける者にとって有利な制度となっています。その一方で、避難しない者への賠償はなく、世帯ごとに指定されることから、避難者と残留者、指定を受けたものと受けなかった者との間で地域が分断されるなどの問題があります。

その特定避難勧奨地点の指定に際して、南相馬市では、一般の基準(地上1メートルで毎時3.2マイクロシーベルト)の他に、それよりも厳しい子ども・妊婦基準(地上50センチメートルで毎時2.0マイクロシーベルト)を設けています。18歳以下の子どもか妊婦がいる世帯では、より厳しい基準が適用されます。

ところが、福島市では、一般の基準(地上1メートルで毎時3.0マイクロシーベルト;測定の時期により基準は徐々に下がっていく)があるだけで、子ども・妊婦基準は設定されていません。

10月8日の福島市渡利地区の特定避難勧奨指定についての説明会では、なぜ南相馬市では設定された子ども・妊婦基準が福島市にはないのか、子どもの命に差をつけるのはおかしいではないか…といった批判が相次ぎました。

この問題について国は、子ども・妊婦基準は一般の基準で指定された世帯に隣接する場合に設定されるが、渡利地区の場合、一般の基準を超えた世帯は集落の端に位置し、隣接する世帯に該当する世帯がなかったと説明しました。

また、福島市は、子ども・妊婦基準の設定は、国がやることで、福島市には何もできない、意図的に指定しないということはできないと説明しました。

上記の釈明は、明文化されたものは示されず、それだけでも問題なのですが、実際に南相馬市に行き(11月4日に FoE Japan の満田さんと共に大山市議の紹介で伺いました)、市の災害対策担当(理事の林さん)に話を聞くと、実状は全く違うことが明らかになりました。

まず、子ども・妊婦基準による指定について、南相馬市では、50センチの高さで毎時2.0マイクロシーベルトを超える世帯で、子ども・妊婦がいる場合は、周辺が一般の基準で設定されていないかには関わりなく、それだけで特定避難勧奨地点に指定されるということです。国の説明はでたらめでした。

さらに、子ども・妊婦基準の設定を要請したのは南相馬市側であり、自治体か要請をすれば国は受けるのではないかということです。福島市は何もできないのではなくて、できることをしていないだけなのです。

南相馬市では、特定避難勧奨の指定を受けた実に8割が子ども・妊婦基準によるものでした。これは政府交渉のときに確認しましたが、原子力安全委員会は、放射線に感受性の高い子ども・妊婦に対する配慮が必要だとしています。

福島市において、南相馬市と同様な子ども・妊婦基準を適用すれば、300世帯以上が指定を受けられたことになります。これで救われた子どもたちが大勢いたはずです。

南相馬市役所に行った後、特定避難勧奨地点のエリアに行き、畑仕事や家の除染をしている方に話を聞きましたが、指定を受けたエリアをなんとなく知っているが正確にはわからないという状況でした。避難してお金をもらっているのに、残って地区を守っているものには一銭も入らない、逃げ得だと避難者を批判する言葉もありました。

誰が指定を受けたのか、指定されると何がどうなるのかわからない、残ったものに対する対応がない…といったことが疑心暗鬼を生んでいます。今の世帯ごとに秘密裏に指定するやり方にはやはり問題があります。地域全体に対して公明正大に、避難希望者にも残ったものに対しても支援が受けられる措置が必要だと改めて感じました。

阪上 武 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

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