原発を推進してきた電力会社の莫大な資金力を生み出す仕組み

原発は、事故を起こさなくても様々な問題を引き起こしている。

まず、燃料のウランを掘る段階で採掘地の環境を破壊し、放射能で汚染して、住民に被曝させている。

次に、原発の運転が始まると原発周辺にガンや白血病を多発させている。

そして、原発で働く人たちの被曝労働や海の環境を破壊する温排水の問題

さらに、100万年後まで毒性が消えない「放射性廃棄物」の問題がある。

このような無責任で、危険極まりないものを「原発はエコ」と莫大な資金を投入して宣伝し、「原発は安全です。絶対に事故は起こしません」と言い続けて推進してきた電力会社と日本国政府(経産省、文科省、自民党、民主党の歴代政権・・・)

電力会社は、絶大なる経済力によって、日本最大の「官僚の天下り先」となって、官僚を支配下に置き、大半の政治家も専門家もマスメディアも思うように操ってきた。

3日前に経産省を退職した古賀茂明氏は、こう言っている。「独占企業で、料金を勝手に国と電力会社が決めて家庭に押し付けている。家庭は、電力会社を選ぶ自由がないから、ほとんど税金と同じです。今回の原発事故は天災じゃない。電力会社は(天下りを受け入れて)経産省に対しても優越的な立場に立ち『事故を起こしちゃいけない』とか、事故後の対応についても『ウソをついちゃいけない』とか、普通の組織だと当然あるはずの規律が働かない」

一般の会社ではありえない「総括原価方式」という「電力会社の利益保障システム」があり、人件費や燃料費、修繕費など1年間にかかると想定する原価に、必要な利益を上乗せして電気料金を決めている。

この総括原価方式を続けられるのも「地域独占発送電の独占」を許されているからである。

7月21日『そもそも総研』 総括原価方式を解説
<出演>
京大原子炉実験所の小出裕章氏
立命館大の大島堅一氏
自民党衆議院議員の河野太郎氏

玉川:そもそも電気料金が何故こういう決め方なのか分からない。
電気料金の決め方ってご存知でしたか?
色々と調べてみると奇妙なのでそのテーマで行きます。

日本の電気代は先進国の中では高い方に入っています。
アメリカに比べると倍なんですね。

まず、総括原価方式 
これが電気料金を決める元になっています。
聞いたことないですよね。これっていったい何なんだ。

(VTR)
玉川:総括原価方式ってどんなものなんですか?

大島:電気事業者の利益というのは施設の資産の量に一定の報酬率を掛けて
これが今は3%なんですけれども、これで計算したものが利益になるのです。

玉川:何が不思議なんですか?

大島:施設を持っていれば持っているほど利益が上がるという仕組みになっているのです。

玉川:同じ電気を生むのにたとえばAというやり方だったら1兆円かかり、Bというやり方であれば5000億円というのであれば、1兆円の方が利益が高いという事ですね。

大島:施設の価値が高ければ高いほど報酬が上がりますからそのように言うことが出来ますね。

玉川:という事は原子力と作るのと火力で作るのとでは施設費は原子力の方がやっぱり高くなるのですか?

大島:固定資産部分が大きいですね。燃料費では火力の方が大きいけど原子力は固定施設部分が大きいので原子力は利益を生む

玉川:電力会社としてはなるべく高い施設を作った方が利益が大きくて、結果として電気代も高くなるわけですよね。

大島:そうですね。

玉川:我々にとって、それ、よくない事ですよね。

大島:以前の事業報酬の考え方は電気事業者の利益を保証してやることが公益性が高いので必要なんだという議論から出来ているものですけど、今となっては、本当に3%という高率の利益があらかじめ保証されているというのは、一般的な常識からすれば何なんだと言われてもおかしくはないですよね。

(スタジオ)
玉川:これですね、たとえば同じ電気を作るのに、安い発電所で作るのと高い発電所で作る場合、高い発電所で作った方が電力会社の利益になる

:だから原発をどんどんどんどん作ってきたという事なんですね。

玉川:そういうふうに思うでしょ?
で、その部分についても、小出先生。新しく本を出しましたけれども、
この本の中にもコストの事は書いてありますけれども
小出先生はこれについて何とおっしゃるか。で、VTR

VTR
小出:国が誘導してきたという事なんですね。原子力発電所を電力会社にやらせるために。

玉川:総括原価方式なんですけれども、これはどういう役割があったと先生は思われますか?

小出:電力会社の資産に比例するという形で利潤が決められたが為に電力会社としては資産を持てば持つだけ利潤が膨れ上がるという、そういう構造だったわけです。原子力発電所というのは1基造れば何千億円という資産になりますので、造ってしまえば、それだけ比例計算で利潤が懐に入るという。もう、とてつもないうまい方式で電力会社が優遇されてきてしまったのですね。

玉川:同じ電気を作るのでもたとえば、火力発電所よりも原発の方が高い訳ですよね。

小出:高いです。

玉川:ということは、高い施設を造った方が儲けになるという事ですか?

小出:そうです。

玉川:そしたらやっぱり、高い方高い方っていきますよね。

小出:そうやってきてしまったわけですね。今日まで。

玉川:という事は逆に言うと総括原価方式があったから、利益を出すために原発をいっぱい造ったという側面もあるんですか?

小出:そうです。
そのように、逆な言い方をすれば国が誘導してきたという事なんですね。
原子力発電所を電力会社にやらせるために。

スタジオ
:えーっ
:ひどいですね

玉川:総括原価方式ってみなさんちょっとモヤモヤしているでしょ。
ちょっと説明しますね。ここが違う利益の出し方。
まず、一般企業は売り上げがあります。
売り上げの中身はコストと利益に分かれるわけですね。
普通の企業であれば、利益を大きくするためにコストを下げる。
だからみんなコストを下げる下げると言って頑張っているわけです。
そうしないと利益が上がらない

じゃぁ、電力会社はどうなっているのか。まずコストがあるでしょ。
このコストは何か、中身は「適正な原価」
どういうこと?人件費、燃料費、修繕費など
これが適正かどうかというのを審査してもらうんです。
だから、人件費、たとえば、今回、東京電力の社長とか役員が半分にします。
役員報酬 半分にしたらいくらになったか。3000万
もと、7000万かよって話ですよね。
それが適正かどうかも全部電力会社は決めてもらっているわけです。

これがまず「適正な原価」 じゃぁ利益はどうやって決めるか。
利益はこことは違う訳ですよ。
別に利益を考えるための「レートベース」がある
ベースってなんだって言うと、中身は固定資産、核燃料なんです。
だから、どれくらいの金額の発電所を持っているかとか。
どれくらいの核燃料を持っているかというのを元にして
これに約3%をかける

この3%をかけた分が利益として計上されるわけです。
で、原価と利益を合わせてこれが電気料金
これを単価で割って私達が払っている

玉川:からくりはですね。さっきからVTRにあるように
この報酬を大きくするためには、どうしたらいいですか?

コストかければいいって事ですよね。

玉川:そうなんですよ。このコストがいっぱいあるほど利益が増えるようになっているんです。

:民間企業って言えるんですか?

玉川:これでも一応民間企業なんですけど、全く逆の考え方になっているんですね。

:商売敵がいないですからね

玉川:火力発電所よりも原子力発電所の方が高いとなればそれがいっぱいあった方が利益が増える

原子力発電所を作ることに賛同を得るために「発電コストは安いんだ」という事を言い続けてきたという事ですか。

玉川:まぁ、さっきの話しにかかわることではそうですね。
ここで二つ問題があって、利益を出すためにはいっぱい高いものを持っていた方がいいということ。普通と逆のことが起こることと「適正な原価」
本当に適正なのかどうか。普通はここは競争で決まるわけですよね。
どんどん安くしようと、でも、
競争がないから「言い値」になるわけです。

電力会社が力を持っているのは「言い値」」で買う訳ですよ。
そうすると買ってもらう方からするとものすごくいいお客さんになる訳で
これで支配力がある
と古賀さんもおっしゃっているのですね。

:こちらは買わざるを得ないですもの。電気使わなきゃならないから

玉川:顧客のほうはね。電気を使う方は。
これ以外にもまだ、おかしなことがあるということで大島先生です。

VTR

大島:もう一つ不思議なのは、施設とともに事業報酬を計算する時に、資産の中に、レートベースというんですけど、その中に使用済み核燃料が入っているんです。

玉川:燃料というかゴミですよね。

大島:一般的にはゴミです。だから、使用済み燃料をレートベースに入れるということには批判があります。やっぱりそれは使用済み核燃料であって資産ではないと

玉川:当然ですよね。ゴミだから

大島:でしょ。でも、資産扱いされている。レートベースの中に含まれている。だから、使用済み燃料を持てば持つほど利益が出てくることになる。

玉川:それはなんでですか

大島:笑)だからそれはおかしいです。合理的説明が付かないのです。
使用済み燃料ってなんで資産扱いされているかというと「再処理をするので将来の資産だ」と

玉川:燃料

大島:燃料。資産なんだと。だからレートベースに入れるんだという説明ですけど。それは・・さすがにちょっと・・・あまりにもおかしいですよ。

スタジオ

:うーーん

玉川:これね、利益を計算する元になるベースの中に核燃料どのくらい持っているかっていうのも入ってるって話しましたよね。これは、これから使う燃料だけじゃなくって、使い終わった燃料もここに入っているんですよ。

じゃ、どんどん利益が増えていきますね

玉川;増えるんです。どんどん どんどん増える。
だから、原発がいっぱいあると利益が増えると言う事だけじゃなくて、いっぱいあれば使用済み核燃料もどんどん増えてきます。それを持っていれば持っている程また利益が増えるんです。

:再処理に明るい未来があればまだ、考え方が分からないでもないですがね。

玉川:たしかに、再処理をするという前提に立てば、またこれも燃料になりますよと言う話しは、分からないではないんですが、今現在止まってますから。

これで電気代が上がっていってるんですね

玉川:そうですよ。こうやってどんどん大きくして、もちろんこれも元にお金はかかるわけですが、ここを大きくして報酬が大きくなればなるほど電気料金は高くなる。

:こうやって決まってるんですよ、電気代

:えーっ。もう、すごいですよね。
なんか、国が電力会社とタック組んで、国が原発を推進する代わりに電力会社が儲かる仕組みっていうか。なんか、共犯じゃないけど、国ぐるみで電力会社巻き込んでみたいな、わたしたちが何も分からないところで話しをどんどん進めちゃってる。

玉川:そう。まさに一体になって進めてきているというのがここからも分かるんですね。じゃぁ、総括原価方式ってやめられないんですか?
それを今までずっと進めてきたのが自民党だったので河野(太郎)さんにお話しをうかがっています。

VTR
玉川:そもそも総括原価方式っていうのは止めることはできないんですか?

河野:総括原価方式というのはむしろ、辞めなければならないものの一つだと思っています。今、日本の電気料金が高いのは、一つは地域独占。東京電力の管内は東京電力からしか買えない。値段が高かろうがなんだろうが東京電力からしか買えませんということ、もう一つは発電と送電を東京電力が両方持っているので、他から、なかなか託送して電力を送ることが出来ない。それから3番目がこの総括原価方式という国家社会主義みたいな値決めになっている。

この3つをやめれば日本の電気料金はきちんと市場原理で決まってきますから、今よりもはるかに安くなってくると思います。

玉川:今まで辞めた方がいいという話しは出なかったんですか?

河野:ようするに、この3つを守るために一生懸命、自民党に献金し、民主党には労働組合が票を選挙で稼ぎ、天下りを経産省から受け入れ、マスコミはお金を出して黙らせ、という事をやってきたわけですから。

もちろん今までも総括原価方式はおかしいと、これがあるから原子力のような、巨大な投資を必要とするものが、むしろ好まれて入ってくるという議論はありましたけれども、それを止めようという声は、実は、その利権の構造の中で、どんどん薄められてきてしまった、という事が現実だと思います。

玉川:そこを突破するためには非常に大きな力が必要になると思うんですけれども、それは、今の民主党、今の自民党でできますか?

河野:やっぱり次の総選挙で総括原価方式なんてバカなものは、法律を改正してやめます。電力業界をふつうの一般の業界に変えていきますということを政党として訴えていかなければいけないと思います。

スタジオ
:うーん・・・
:いやぁー・・・

玉川:これね、3本セットなんですよ。
おっしゃってたように、地域独占発送電一体、それから総括原価方式
これは絶対に譲れない部分、多分今でもそうです。
今でもそうだから、ものすごい巻き返しに今出ているわけですね。

:日々使っている電気なのに知らないことが沢山ありましたね。

とてつもないカラクリだったっていう感じですね。

玉川:結局、国としては何としても原子力発電所を増やしたかったわけですね。もちろんそのためには民間企業にやってもらうんですから国としては、民間企業がそれを進める飴というか、そういうものがないと進んでいかない訳で

:利益は保証しますよってことだったんですね。

玉川:それから、原子力発電が増えると利益が増えますよという
総括原価方式もアクセルになってきたという事は間違いないんです。
で、なぜ、そこまでして国は原子力発電をすすめたかったのか。
という部分になるんですが、これにはいろいろな見方があります。
そのなかで、小出さんがこんな話をされています。

VTR

小出:原子力というものは私からみると核と同じものなんですね。
日本人が言う「核」と同じものです。つまり、軍事利用と切っても切り離せない技術なのであって、国家としてはそのことを初めから知っていて、原子力の平和利用だと標榜しながらも核兵器を開発する能力という技術的能力を保有し続けたいという思惑が国にはずーっとあった
と思います。

いずれにしても日本の国というのは原子力をやると決めたのですね。
やると決めた以上は民間企業を巻き込まないとできなかった訳で
そのためには電力会社にうまみを与えなければいけないと
その一つが総括原価方式で原発を誘導するという事だった。

スタジオ

これは福島の人が聞いたらどう思うんでしょうね

(後略)

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