IAEA(国際原子力機関)とWHO(世界保健機関) 疑惑の協定

市民放射能測定所 から引用

1959年のWHO-IAEA協定文書を真下氏が中心となって、日本語に翻訳していただきましたので、掲載いたします。

国際原子力機関(IAEA)と世界保健機関 (WHO)の間の協定
(下に掲載)

この協定文書が大問題である理由が以下の動画で語られています。

「チェルノブイリ・百万人の犠牲者」(動画)
(インタビュー収録 2011年3月5日)

「書き起こし」から関連部分を抜粋します

司会のカール・グロスマンです。
来る4月26日でチェルノブイリの原発事故からまる25年になります。
今日は ちょうど出版された大事な本「チェルノブイリ:大惨事の人と環境に与える影響」について取り上げていきます。

この本は公開された医学的データに基づき事故の起きた1986年から2004年までに98万5千人が亡くなったとしています。死者数はさらに増え続けています。

スタジオにはジャネット・シャーマン博士をお迎えしています。ジャネット博士はこの本の編者でもあります。著者はアレクセイ・ヤブロコフ博士とベラルーシ出身のバシリー・ネステレンコ博士そしてアレクセイ・ネステレンコ博士です。

Q,チェルノブイリ原発事故の死者は100万人ということですが死因は何でしょう?

癌、心臓病、脳障害や甲状腺ガンなど死因はさまざまでした。
何より多くの子供達が死にました。胎内死亡、又は生後の先天性障害です。

Q,科学者たちが98万5千という死者数を特定した方法は?

これは公開されている医学的データを基にしています。原子力を規制・奨励する国際機関である国際原子力機関(IAEA)はチェルノブイリの死者数を約4千人とホームページで発表しています。

Q,これは本に発表されている98万5千人と大きく異なるのはなぜでしょう?

IAEAが発表したチェルノブイリフォーラムという調査書は350の論文に基づき英文で公開されている資料でしたが、ヤブロコフ博士とネステレンコ博士たちは5千以上の論文を基にしています。

それは英文の論文に限りませんでした。また実際に現場にいた人達の声を基にしています。現場にいたのは医師、科学者、獣医師、保健師など地域の人々の病状を見ていた人たちです。

Q,この本によりますと、世界保健機関(WHO)でさえチェルノブイリの真実を語っていないと批判していますね。WHOはIAEAと協定を結んでおり発表することができないとのことですが、それについて説明していただけますか?

1959年に結ばれた協定は、それ以来変わっていません。
一方がもう一方の承諾を得ることなしに調査書を発表することを禁じています。WHOはIAEAの許可なしには調査書を発表できないのです。

IAEAは、世界中の原子力の規制だけではなく原子力の促進を行う機関でもありますからね。当然、WHOに「原子力は健康に有害だ」と言われては困るわけです。こうした協定を終結すべきです。協定は破棄されるべきです。

国際原子力機関(IAEA)と世界保健機関(WHO)の間の協定

第I条 協力と協議

1. 国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合憲章で確立された全般的枠組みの中で、両機関それぞれの憲章に明記されている目的の効果的な達成を促すために、相互に緊密な協力の下に行動し、共通の関心事について定期的に協議することに合意する。

2. 世界保健機関憲章と国際原子力機関憲章、および国際連合との協定、またそれに関係する書簡の交換にもとづいて、また両機関それぞれの連携責任を勘案し、世界保健機関は、とくに、国際原子力機関が全世界の原子力平和利用の研究開発と実用化を促進、支援および調整する一義的責任を負うことを認める。ただし、これは研究を含むあらゆる面での国際的な保健活動を促進、開発および支援に携わる世界保健機関の権利を毀損するものではない。

3. いずれかの機関が、他方の機関が重大な関心を持つか、持つ可能性のある計画または活動を企画するさいには、常に、前者は後者と協議し、相互合意にもとづく調整を図らなければならない。

第II条 相互代表

1. 世界保健機関の代表者は、国際原子力機関の総会に招請され、同総会およびその下位機関(各種委員会等)で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。

2. 国際原子力機関の代表者は、世界保健機関の総会に招請され、同総会およびその下位機関(各種委員会等)で行われる審議のうち、国際原子力機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。

3. 世界保健機関の代表者は、必要に応じて国際原子力機関理事会に招請され、同理事会およびその各種委員会で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。

4. 国際原子力機関の代表者は、必要に応じて世界保健機関理事会に招請され、同理事会およびその各種委員会で行われる審議のうち、世界保健機関が関心をもつ議題について参加するものとする(ただし投票権は持たない)。

5. 国際原子力機関と世界保健機関それぞれの主催により招集するその他の会合で、他方の機関が関心をもつ事項を協議する際には、相互代表について合意にもとづき適宜取り決めを行うものとする。

第III条 情報と文書の交換

1. 国際原子力機関と世界保健機関は、提供を受けた機密情報の保護のために、何らかの制限を適用する必要があると判断する場合があり得ることを認める。このため両機関は、本協定内のいかなる規定も、その情報を保有する側が、そのような情報を提供した加盟国等の信頼を損ねたり、自らの機関の業務の正常な遂行を阻害する可能性があると判断するような情報の提供を求めていると解釈されてはならないことに合意する。

2. 機密資料の保護のためにこのような取り決めが必要になる場合があり得るとの前提の下で、国際原子力機関事務局と世界保健機関事務局は、双方が関心をもつ可能性のある活動計画や事業計画について充分な情報を相互に提供するものとする。

3. 世界保健機関事務局長と国際原子力機関事務局長、またはその代表者は、いずれかの側から要請があった場合には、相手が関心を持つ可能性のあるそのような特殊情報をいずれかの側が提供することについての協議の場を設けるものとする。

第IV条 議案の提案

こうした予備協議を必要に応じて行った後に、世界保健機関はその総会議案または理事会議案に国際原子力機関が提案した項目を含めなければならない。同様に、国際原子力機関はその総会議案または理事会議案に世界保健機関が提案した項目を含めなければならない。いずれかの側が他方による検討を求めて提出する項目には、説明の覚書を添付しなければならない。

第V条 事務局間の協力

国際原子力機関事務局と世界保健機関事務局は、両機関の事務局長の間で適宜合意される協定にもとづき緊密な業務関係を維持しなければならない。とくに、双方にとって重大な関心のある問題については、適宜合同委員会を招集して検討するものとする。

第VI条 技術上ならびに運営上の協力

1. 国際原子力機関と世界保健機関は、職員と資源の最も効率的な利用と、競合または重複する施設や業務の設置・運営を避ける適切な方法について適宜協議することに合意する。

2. 国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合が人事に関する協力を目的として行うあらゆる一般的取り決めの枠内で、両機関が講じる措置に以下のものが含まれることに合意する。

a. それぞれの機関の職員の採用に際して競合を避ける措置、および
b. それぞれの機関の業務を最大限に活用するために適宜一時的または恒常的な職員の交換を促進し、以て関係職員の年功、年金等の権利保護のための必要な規定を定める措置。

第VII条 統計業務

統計の分野では、最大限の協力を行い、情報源となる各国政府その他の機関にかかる負担を最小化することが望ましいことに鑑み、国際原子力機関と世界保健機関は、国際連合が統計に係る協力を目的として行っている一般的取り決めを勘案しつつ、統計の収集、編纂ならびに公表をめぐる両機関の間での無用な重複を避け、統計分野における情報、資源および技術職員の有効活用と、共通の関心事項を扱うすべての統計計画について、相互に協議し合うものとする。

第VIII条 特別業務の財源

いずれかの機関から他方に対して行われた支援要請への応諾が、その要請に応える機関の多額の出費をともなうか、その可能性がある場合は、そのような出費をもっとも公平に負担する方法を決めるために協議を行うものとする。

第IX条 地域事務局および支局

世界保健機関と国際原子力機関は、できる限り、いずれかの機関がすでに設置しているか、将来設置する可能性のある地域事務局および支局の施設、職員および共通の業務を他方の機関が利用することに関する協力準備に入るために、合同の協議を行うことに合意する。

第X条 協定の実施

国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の実施のために、両機関の業務経験に照らして望ましいと思われる取り決めを行うことができる。

第XI条 国際連合への通知と保管・記録

1. 各機関と国際連合との協定にもとづき、国際原子力機関と世界保健機関は、ただちに国際連合に対して本協定の規定を伝える。

2. 本協定の発効後、本協定はただちに国際連合事務局長に提出され、国際連合の既存の規定にもとづいて保管・記録される。

第XII条 改定と失効

1. 本協定は、世界保健機関と国際原子力機関のいずれかの側からの要請により両機関間の合意により改正することができる。

2. 改正の対象について合意が得られない場合、任意の年の6月30日までにいずれかの側が他方に対して通知を行うことにより、その年の12月31日を以て本協定を失効させることができる。

第XIII条 発効

本協定は、国際原子力機関総会と世界保健機関総会で承認されることにより発効する。

B. 議定書

本協定は、1958年10月1日に国際原子力機関総会で、1959年5月28日に世界保健機関総会でそれぞれ承認され、第XIII条の規定にもとづき1959年5月28日に発効した。

以上を証するため、国際原子力機関事務局長と世界保健機関事務局長は、本協定の英文と仏文による等しく真正なる定本2部に署名した。

国際原子力機関を代表して:(署名)スターリング・コール 1959年7月13日
世界保健機関を代表して:(署名)M. G. キャンドーの代理としてP. ドロール 1959年7月24日

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仮訳:真下俊樹(日本消費者連盟)

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