電気の消費を減らすムーブメント

2001年に自主停電運動を始め、2003年から「100万人のキャンドルナイト」を広めてきた環境=文化NGO「ナマケモノ倶楽部」が、3年前から「電気の消費を減らそう」と呼び掛けているムーブメント「アンペアダウン」がこの夏、大きく広がりました。家庭だけでなく、職場でも「電気の消費を減らす実践」が広がることを期待しています。

家庭の節電は“アンペアダウン”で NHKニュースおはよう日本
2011年6月10日 放送 動画(5分26秒)

契約アンペア絞って節電 ブレーカー落とさぬように…
(8月26日 朝日新聞)

 この夏、家庭の契約電流の容量を引き下げる「アンペアダウン」が広がっている。基本料金が安くなるうえ、ブレーカーを落とすまいとする心がけが節電につながるという。手間をかけながら、電気への依存度を下げる生活を楽しむ人たちもいる。

 東京都品川区の会社員平戸実生(みしょう)さん(38)は6月、30アンペアだった社宅の契約を20アンペアに下げた。819円だった毎月の基本料金は273円安くなった。照明の使用を抑え、髪はドライヤーを使わずに自然乾燥させる。その結果、7月の使用電力量は昨年より24%減った。

 アンペアダウンに踏み切った決め手は、東京電力福島第一原発の事故。以前から関心はあったが、「我慢を強いられるのでは」とためらっていた。事故後に原発反対のデモに参加し、アンペアダウンを実践する人の話を聞き、背中を押された。

 妻の美登里さん(34)も「やってみると、無駄遣いをしないように少し意識する程度。それで結果的に使用量や電気代も減るから、いいですね」と話す。

 東電は10~60アンペアの間で契約アンペアの変更に無料で応じている。今年の変更申込件数は4~7月、前年同期の2倍以上に急増。6月には約5倍に上った週もあり、一時は工事が1週間待ちになったことも。

 東電は「例年、夏はアンペアを上げる依頼が多いが、今年は10アンペア程度引き下げる家庭が多いようだ」(広報部)とみる。8月の変更依頼も昨年の約1.3倍という。

 2年半前に30アンペアから20アンペアに落とし、今年5月にさらに5アンペア下げた東京都中野区の志村瑞枝さん(46)も、節電生活を工夫してきた。夫婦2人暮らしの契約は15アンペアで月額基本料金は409円50銭。猛暑だった7月も、電気代は2千円を下回った。

 窓にすだれをかけて日差しを遮り、エアコンはつけない。炊飯器はやめて鉄釜にし、掃除機でなくほうきを使う。食卓にはろうそくをともす。「ご飯はお釜で炊いた方がおいしいし、ろうそくなども良い素材のものが見つかるとうれしい」

 「無理をしない」をモットーに、予約録画の多いDVDレコーダーは常時電源を入れ、オーブンレンジなども使う。ただ、使う前に一声かけ合い、消費電力の多い別の家電との同時使用は避けるという。

 志村さんは自らの体験を環境NGO「ナマケモノ倶楽部」(東京)の催しで伝えている。「家庭のアンペア設定は工務店や家主任せが多く、余裕を持たせてある。アンペアダウンは設定の適正化」「多くの家庭がピーク時の使用電力を下げれば、無駄な発電施設を造らずに済む」と訴える。

 地域ぐるみで取り組む例も出てきた。神奈川県鎌倉市、逗子市、葉山町の住民約60人でつくるグループ「たいよう講」では16世帯が計320アンペア引き下げた。「竹製の枕で寝ると涼しい」など実践中の工夫を披露し合い、再生可能エネルギーの勉強も重ねる。安くなった電気代の明細を見て、「もっと節電したい」と意欲的になる人も現れている。

    ◇

 関西、中国、四国、沖縄の各電力会社は電気料金体系が異なるため、アンペアダウンはできない。(壱田和華子)


キャンドルナイトに寄せて 引き算 減らして 空を広げる

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