九電やらせ問題 佐賀知事「メモは真意と違う」と誘発否定

九電やらせ問題:佐賀知事「メモは真意と違う」と誘発否定(毎日新聞)

 佐賀県の古川康知事が九州電力の「やらせメール」を誘発する発言をした問題で、同県議会は9日、知事から説明を受ける原子力安全対策等特別委員会を開催した。古川知事は同社幹部に対する発言の趣旨が早期に原発を再稼働させたい考えだったことを認めたが、幹部が知事発言として残したメモについては「真意と違った形で九電に伝わった」と述べ、やらせ要請と自らの責任は否定した。

 発言メモの概要が明らかになって以降、知事が自らの発言について説明するのは初めて。メモは、知事が玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働に向け、賛成意見の投稿や県議会の工作を要請する内容で、九電はこの日の特別委に全文を提出した。

 知事は冒頭、「今回の発言でお騒がせしていることを県民に心からおわびする」と改めて陳謝し、メモについて「確かに当日話した項目が書かれている」と認めた。その上で「県民の生活を考えると夏場のピークに再稼働を間に合わせたいとの思いがあった」と早い段階から再稼働容認姿勢だったことを明らかにした。

 しかし、自らの責任については「(自分の発言とメモは)内容やニュアンスが相当違う。(やらせを)要請した事実はない。私の発言が誤解され、増幅された。責任を取らねばならないとの認識はない」と否定した。

 九電のやらせメールの舞台となった経済産業省主催の説明番組で、当時は公表されていなかった出演者を事前に九電幹部に伝えたことについては「しゃべりすぎだった」と自らの非を認めた。

 一方、自身の政治団体が玄海原発所長ら九電幹部から個人献金を受けてきたことについては「これからは受けないよう後援会に提案している」と述べ、辞退を検討していることを明らかにした。

 終了後、古川知事は報道陣に対し「私の思い、考え方を誠意を持って説明できたと思う」と述べた。

 メモは6月21日に古川知事と面談した段上守・九電副社長(当時)の指示で、同席した佐賀支社長が作成。その後、同社原子力部門の社員約100人にメールで配信され、九電の「やらせメール」につながった。特別委は23日も審議し、参考人として段上氏や佐賀支社長ら3人の出席を求めることを決めた。【斎藤良太、竹花周】

毎日新聞 2011年8月9日 21時16分


九電やらせ問題:古川知事発言 佐賀支社長メモ全文

2011年8月9日 20時3分

 九電佐賀支社長作成のメモ全文は以下の通り(実物はA4判2枚の横書き。左上に「関係者外秘」の判が押されている)。

平成23年6月21日

 段上副社長・諸岡常務退任挨拶(あいさつ)メモ

 1・日時 平成23年6月21日 8時50分~9時15分

 2・場所 知事公舎

 3・挨拶先 佐賀県 古川知事 (当社)段上副社長、諸岡常務、大坪支社長

 4・内容 副社長、常務から退任の挨拶を行った後、懇談に入った。以下、古川知事発言のみ記載

 ○発電再開に向けた動きを一つ一つ丁寧にやっていくことが肝要である。

 とりあえず、「国主催の県民向け説明会」を26日(日)午前中に開催することとなった。その後、月末から来月初めにかけて「経済産業大臣に来県」いただく予定である。

 ○20日から始まったIAEA閣僚級会議にも注目しており、国には「IAEAから緊急時対策を評価するコメント」を出してもらえるように説得工作すべしと進言しているが、国側は「今回は裁かれる側の立場なので言いにくい」と頼りない返答ぶりであった。

 ○「国主催の県民向け説明会」は、ケーブルTVやインターネットで中継し、県民の代表者5人程度が質問する形で開催する予定である。

 ・県民5人の構成をどうするかだが、一人は商工会議所の島内専務理事を予定している。

 ・反対派も一人入れようかと考えたが、反対を標榜(ひょうぼう)する人達(たち)にもいろいろな考えがあり、複数のグループから代表者を一人選抜することが難しいとのことであったため、残りは県民代表として普通の参加者を選ぶことになるであろう。(イベント企画会社が運営する予定)

 ・普通の人に素朴な疑問をぶつけてもらうのが会の趣旨に沿うことになると思う。反対派はかなり勉強もしており、専門的議論になってしまうと、一般県民にはつまらなくなる懸念がある。

 ○県民の不安は原子力発電所そのものではなく、目に見えない放射線への恐怖に対してである。それに答えるべき保安院は全く信用を失っている状況。そのような不安に答えるために長崎大学の放射線医学の専門家に同席してもらうことも考えているが、国主催の説明会なので難しいかもしれない。(専門家の承諾が貰(もら)えないかもしれないとのこと)

 ○今後の動きに関連して、以下の2点を九電にお願いしたい。

 (1)自民党系の県議会議員さんはおおかた再起動の必要性について分かっているが、選挙を通じて寄せられた不安の声に乗っかって発言している。議員に対しては、支持者からの声が最も影響力が大きいと思うので、いろいろなルートで議員への働きかけをするよう支持者にお願いしていただきたい。

 (2)「国主催の県民向け説明会」の際に、発電再開容認の立場からも、ネットを通じて意見や質問を出して欲しい。(6月2日の県執行部に対する保安院説明時と同じ対応をお願いしたい)

 ○このような段取りを踏んでいく際、危惧される国サイドのリスクは「菅総理」の言動である。発電再開に向けての総理自身のメッセージが発せられない。全国知事会議では、発電再開に向けてのメッセージを読み上げる予定で、経産省とすり合わせた原稿が用意されていたのに、その場になって読み上げてくれなかった。6月末から7月にかけて「菅さん」が首相のままかどうか分からないが、首相の言動で考えているスケジュールが遅れることを心配している。以上

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