原子力安全・保安院 やらせ要請 九電幹部にも動員依頼 

菅首相 保安院を激しく批判 「私が厚相の時に体験した薬害エイズの構造とそっくりだ。国民の安全を担当する厚生省薬務局長が、天下りしてメーカーの利益を尊重する薬務行政になっていた。(原発の)安全性を国民の立場でチェックしなければいけない保安院が、逆に推進する側のお手伝いを超えた形を取っている。根本的な問題だ」と述べ、保安院を経産省から分離する政府方針の意義を訴えた。

原子力安全・保安院:やらせ要請 九電幹部にも動員依頼 元課長認める

 経済産業省原子力安全・保安院が国主催の原発シンポジウムで四国電力に動員と円滑な運営を依頼したとされる問題で、2日に毎日新聞の取材に応じた元保安院課長(55)は、四電だけでなく九州電力幹部に対してもシンポに社員を積極的に参加させるよう依頼したことを認めた。四電は「やらせ問題」に関する内部調査で、保安院が社員の参加を促した事実を認めた一方、九電は保安院の関与を否定している。近く設置される経産省の第三者委員会は、元課長から事情を聴いて事実関係を明らかにする方針。

 2電力会社に依頼していたのは、保安院の元原子力安全広報課長。四電伊方原発でのプルサーマル発電を巡って愛媛県伊方町で開かれたシンポ(06年6月)の直前に東京支社幹部を呼び、「電力会社は当事者であり、どんどん参加して意見を出してほしい」と要請。九電幹部に対しても玄海原発でのプルサーマルを巡るシンポに関し、同様の依頼をしたことを認めた。

 しかし、時期など詳細については「覚えていない」と話した。シンポは05年10月に佐賀県玄海町で開かれた。
 九電は2日、「本社原子力管理部幹部などに再確認したが、国から動員要請があった事実は認められない」とコメントした。【中西拓司】

毎日新聞 2011年8月3日 東京朝刊


菅首相:「薬害エイズとそっくり」 保安院を激しく批判

 「私が厚相の時に体験した薬害エイズの構造とそっくりだ」

 菅直人首相は31日、長野県茅野市で開かれた市民団体のシンポジウム「みんなのエネルギー・環境会議」に出席した。首相は経済産業省原子力安全・保安院の「やらせ質問」問題について、96年の厚相時代に真相解明に取り組んだ薬害エイズ事件と重ね合わせ、過去の原子力行政を激しく批判した。

 首相は薬害エイズ事件について「国民の安全を担当する厚生省薬務局長が、天下りしてメーカーの利益を尊重する薬務行政になっていた」と振り返った。その上で「(原発の)安全性を国民の立場でチェックしなければいけない保安院が、逆に推進する側のお手伝いを超えた形を取っている。根本的な問題だ」と述べ、保安院を経産省から分離する政府方針の意義を訴えた。

 政府のエネルギー・環境会議が29日に原発依存度を低減させていく中間整理をまとめたことについては「どういう政権ができるにしても、避けて通ることができない議論の道筋だ」と述べ、自身の退陣後の次期政権にも引き継がれるべきだとの認識を示した。【中井正裕】

毎日新聞 2011年7月31日 19時37分(最終更新 7月31日 19時51分)


保安院:元課長、要請認める 原発シンポ動員で四国電に

  経済産業省原子力安全・保安院が2006年6月の国主催の原発シンポジウムで四国電力に動員を依頼したとされる問題で、当時の保安院原子力安全広報課長が2日、四国電幹部にシンポに社員を積極的に参加させるよう自ら依頼していたことを認めた。

 元課長によると、四国電の東京支社の幹部を呼び「どんどん参加して意見があるなら主張してほしい」という趣旨の内容を伝えた。発言内容などは依頼しなかったとしている。元課長は「地元には原発関係者も多く、それを無視して(愛媛県)伊方町の『意見』はないと考えた。動員との認識ではなく参加招請だ」としている。

 四国電は最終的に動員方針を決定、関係会社などにも参加を呼びかけた。当日の出席者の過半数が四国電関係者だった可能性もあり、保安院幹部の依頼がこうした結果につながった可能性がある。

毎日新聞 2011年8月2日 12時19分(最終更新 8月2日 13時15分)

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