環境省に原発規制庁 菅政権検討、保安院・安全委は統合

環境省に原発規制庁 菅政権検討、保安院・安全委は統合
( 朝日新聞 2011年8月3日3時1分)

 菅政権は、環境省に原子力規制行政を担う「庁」を新設する検討に入った。経済産業省の原子力安全・保安院を同省から切り離し、内閣府の原子力安全委員会と合わせて移行。原発を推進してきた経産省の影響力を排除し、安全規制を強化する狙い。来年4月の新組織移行をめざし、近く原子力行政の改編案を公表する。

 改編案によると、保安院に加え、保安院が電力会社を規制する際の指針を定める原子力安全委の2組織を統合する方向。原子力行政にはかかわっておらず、「原発の規制と推進を区別するのに一番良い」(民主党幹部)という理由で、環境省に移す考えだ。

 文部科学省の放射線の安全規制部門を統合する案も検討。細野豪志原発担当相らが今後、党内や関係省庁間の調整を進める。原子力の推進政策を担う内閣府の原子力委員会の扱いも課題になっている。


保安院独立、細野氏「来月に試案」 「菅VS経産省」全面対決か
(産経新聞 7月18日(月)7時56分配信)

 菅直人首相の退陣時期をめぐる攻防が激しくなる8月に、新たな「論点」が加わった。細野豪志原発事故担当相が、原子力規制新組織の青写真提示時期を「8月上旬」と前倒ししたためだ。原子力安全・保安院を切り離される経済産業省は「なんとか次の政権で」と先送りを模索するが、首相と細野氏の新チームは作業を加速させる。首相と経産省の全面対決に発展しそうな雲行きだ。(岡田浩明)

 「これだけ大きな問題が出て、組織の在り方も問われているのに、2年も3年も放置できない。短距離走で方向性を出したい」

 テレビでスピード感を強調した細野氏。それが首相の意向なのは明らかだ。

 細野氏は6月27日の閣僚人事で新設の原発事故担当相に抜擢(ばってき)された若手のホープ。数日後に首相自らブログに「細野君のがんばりに期待する」と書き込んだほどで、内閣で存在感を示そうと意欲的な細野氏と首相の利害は一致した形だ。

 3月の東日本大震災直後から、首相は原子力行政の見直しに前のめりだった。3月30日には社民党の福島瑞穂党首に、保安院の経産省からの分離を示唆。7月13日の記者会見では「保安院が原子力政策を進める経産省にあることでチェックが不十分になった」と、事故拡大の原因の一つとして保安院を名指しした。

 そもそも経産省への不信感が強い。九州電力玄海原発再稼働では「官邸の頭越しに動こうとした」(首相周辺)と首相は怒り心頭だったという。

 攻められっぱなしの経産省は、将来の保安院分離は「やむを得ない」(経産省幹部)とするが、「菅内閣ではいじられたくない」(同)という思いが強い。首相側が、経産省と保安院の人事交流や、経産省から電力各社への天下りを含めて問題を拡大させ、経産省内部に手を突っ込んでくるとの疑念もふくらむ。

 海江田万里経産相は1日の記者会見で、保安院の分離・独立には理解を示しつつも「経産省に任せておくと独立できないとの誤解があるが、そんなことはない。内閣官房と協議しながら、経産省自身の手で独立性を高めていく」と、組織改編の主導権を握ろうと躍起になっている。海江田氏と細野氏の権限争いも激しくなりそうだ。与党内からは「首相は経産省を悪者にして、8月政局を乗り切ろうとしている」との臆測も出ており、原発規制行政の組織改編論議は政局的な色彩を強めている。

最終更新:7月18日(月)9時53分



細野原発相「8月に組織改編試案、来年4月に新組織」

(2011年7月17日18時56分 朝日新聞)

 細野豪志原発担当相は17日、原子力行政の組織改編について「8月上旬に試案を出し、来年4月に組織が出発できるようなペースで議論したい」と述べた。東京都内で記者団に語った。経済産業省の原子力安全・保安院を同省から分離・独立させ、内閣府の原子力安全委員会や文部科学省の一部の機能と統合することが柱になる見通しだ。

 菅直人首相が試案づくりを急ぐよう細野氏に指示した。細野氏は同日のNHKの番組で「(保安院を)独立させて権限と人材を投入して新しくスタートする。安全委の機能を残しながら一緒にしていく。(放射線量を)モニタリングしている文科省の機能も一部移行できる」と説明した。

 東電福島第一原発の事故後、原子力行政を推進する経産省の傘下に、規制する保安院がある点が問題であると指摘されていた。一方、助言機関に過ぎない安全委の権限強化や、放射線量調査を文科省が担っている行政組織の複雑さも議論になっている。細野氏はこれらを一本化して国民にわかりやすい規制機関をつくりたいと考えている。

首相、保安院の見直し案作成指示 民主の政調幹部に
( 2011年6月28日3時2分 朝日新聞)

 菅直人首相は、民主党の政策調査会幹部に対し、原子力安全・保安院の経済産業省からの分離・改編など原子力行政の見直し案作成を指示した。首相は5月18日の記者会見で「チェック機関と原子力行政を進めていく立場の両方が共存していた」と、根本的に見直す考えを表明した。原子力安全・保安院には原発を規制・監視する役割があるが、原発を推進する経済産業省の一機関。


発送電分離、首相が検討意向 保安院分離も言及
2011年5月18日20時59分

 菅直人首相は18日、首相官邸で記者会見し、昨年6月に策定した政府のエネルギー基本計画を見直す中で、電力会社から送電部門を切り離す発送電分離を検討すべきだとの考えを示した。また、原子力行政の見直しに言及し、具体的な課題として経済産業省から原子力安全・保安院を分離することを挙げた。

 首相は会見で、電力業界の形態について「電力会社自身が大きな発電所に合わせた形の配電システムをつくっている」と指摘。その上で、発電部門と送電部門を切り離す案について「今後のエネルギーのあり方を考える中では議論が及んでいくことになるだろう。また、そう(議論)すべきだ」と述べた。

 首相はまた、「長年の原子力行政のあり方を根本的に見直さなければならない」と発言。原発の規制や監視を担う原子力安全・保安院が、原発を推進する経済産業省の下にあることを取り上げ、「チェック機関と原子力行政を進めていく立場の両方が同じ役所のもとに共存していた」と見直す考えを表明した。近く立ち上げる政権の原発事故調査委員会で組織再編を検討させる意向だ。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次