2002/09/10

コタカチ国際会議・主催者あいさつ

2002年9月9日にエクアドル・コタカチ郡で開催された「有機コーヒー・フェアトレード国際会議」での、中村隆市の開会式でのあいさつです。


 皆さん、おはようございます。
 日本から来ました中村です。今日のこの会議の準備は2000年の5月から始まりました。
 4年前の98年に、日本で国際有機コーヒーフォーラムを開催したときに、アウキ知事とインタグの有機コーヒー生産者に日本に来てもらいました。そのときに、日本の企業が、インタグで銅山開発のために森林を破壊し、露天掘りをして、重金属での汚染を招き、住民からの再三の話し合い申し入れにも応じず、住民の怒りが焼き討ち事件にまで及んだという話を聞きました。そして、その環境破壊型の開発に替わる持続可能な発展を目指して、有機コーヒーの生産者協会がつくられ、フェアトレードの相手を探していることを知りました。
 それから3ヵ月後に、私は自分の目で現地を見て、住民の皆さん、有機コーヒーを生産している皆さんと話がしたいと思って、このコタカチにやって来ました。そのときに私は、インタグでの取り組みを含めたコタカチでの取り組みが持続可能な社会作りにとって、また、世界の環境保護運動にとって大変重要であることを理解しました。
 インタグを訪れる前までの私は、インタグコーヒーを輸入するかどうかは、現地を見て、生産者と話をして、日本に帰ってゆっくり検討しようと思っていました。しかし、実際には、インタグを訪問したその日に、輸入を決断しました。インタグのコーヒーの品質や価格のことを話し合う前に決めました。それほどに、環境保護団体DECOINと有機コーヒー生産者協会を中心としたインタグでの環境保護運動とその思いは素晴らしかったのです。
 今日、この会場には、イタリア、ベルギー、アメリカ、フランス、スペイン、ドイツ、オーストラリア、キューバ、コロンビア、メキシコ、ブラジル、日本、そして、エクアドルを加えると13ヶ国から参加されています。日本からは約50名の方が参加されています。
 98年に日本、2000年にブラジル、2002年にエクアドルと今回が3回目の「有機コーヒー、フェアトレード国際会議」となるわけですが、今回はサスティナブルという言葉を前面に出しました。この言葉は、2000年のブラジル会議にも参加し、今日もこの会議に参加しているパトリシア・モグエルさんからの希望でもありました。私とパトリシアとの最初の出会いは98年にコロンビアで開催された国際有機コーヒーセミナーの会場でした。私はそこで、フェアトレードについて話し、パトリシアはアグロフォレストリーによる有機コーヒー栽培の重要性について講演しました。私は、そこで初めて、アグロフォレストリーの重要性を深く理解しました。いのちの源、命のゆりかごともいえる森林を守りながら、一方で、私たちの食料をも生産できるアグロフォレストリーは、自然と調和した持続可能な社会をつくるときの重要なものとなるでしょう。
 20世紀という時代は、人類の歴史上で最も自然を破壊し、環境を汚染してきた時代です。そして、貧富の差を拡大してきた時代です。人類が、21世紀も今までと同じように、自然との調和よりも「目先の経済成長」を優先するならば、地球は未来世代が生きることができない環境になってしまいます。
 21世紀における人類の最大の課題は、「持続可能な社会づくり」であると私は考えています。
 この地球をひとつの生物だと見ると、地球は、現在、満身創痍で、病気が年々悪化しており、このままの状態が続けば、死んでしまいます。また、途上国の対外債務の問題をはじめとして、世界の不平等、アンフェアな社会構造が、さまざまな問題を引き起こし、環境の悪化に拍車をかけています。このアンフェアな状況をそのままにして、持続可能な社会をつくることは不可能です。 そうした困難な状況の中で、「助け合いと分かち合い」の精神を大切にしてきたコタカチの人々は、世界でもほとんど例がない民衆議会や生態系保全自治体宣言を生み出し、民族融和と自然との調和を推し進めています。
 民衆議会の最初の開催は、1996年の9月11日です。昨年の同じ日にアメリカで不幸な出来事が起こりました。そのことを生み出した背景には、アンフェアな社会状況がありますが、アメリカ政府はそのことをじっくりと省みることもなく、更なる暴力で問題を解決しようとしています。そして、日本政府もそれを支持しています。私は、この会議に参加されている方は、違う考えを持たれていると思っていますが、世界の富をたくさん集めているアメリカと日本から多くの方が参加されているので、あえて発言しておきたいと思います。
 コタカチでは、独り占めではなく、分かち合いを大切にしています。そして、誰もが平等に参加できる参加型民主主義や民族融和の政策を推進しています。私はコタカチでの取り組みが環境保護だけでなく、平和を育てるモデルケースにもなっていくと信じています。
 今、暴力が前面に現れてきた時代だからこそ、コタカチで9月11日までの3日間、この会議とオルタナティブエキスポが開催されることに大きな意義があると思っています。
 最後に、この会議を開催するために協力してくださった全ての皆様、そして、この会場に参加してくださった皆様に心から感謝します。ありがとうございました。

Comments are closed.

Copyright © 2009 株式会社ウインドファーム.  

中村隆市ブログ「風の便り」 コーヒー関連ブログ「豆の便り」 スタッフブログ「土の便り」 /abbr/li