「誤入力」 九州電力「耐震性に影響ない」 保安院「影響が出る」

原子炉建屋内にあり、非常時に原子炉を冷やす水が入った復水タンクの屋根の重量データを約260トンと、実際の10分の1の重さで入力するなどしていたデータ「誤入力」問題で、九州電力は「耐震性に影響ない」といい、保安院は「(影響は)非常に小さい」 ただ、建屋自体の耐震性に影響が出るため、内部に設置した機器や配管の再評価も必要  

「誤入力は2カ所」という報道と「3カ所」という報道がある。

7月23日、西日本新聞朝刊トップニュースより抜粋
九電データ誤入力
玄海、早期再開望めず
3号機 川内含め再確認

九州電力玄海原発3号機の耐震データ誤入力問題で、経済産業省原子力安全・保安院は22日、「安全確保の観点から大変遺憾」として九電を厳重注意した。併せて九電に対し、原因究明と再発防止、玄海原発1、2、4号機や川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の耐震安全性評価の確認結果を7月末までに、正しいデータに基づく玄海3号機の再解析結果を10月末までに、それぞれ提出するよう指示した。

保安院は九電以外の電力各社に対しても、同様の誤りがないかなど調べ8月22日までに報告するよう指示した。政府は全原発を対象に新しい安全評価を実施する予定だが、保安院は、今回の報告内容を確認するまで、全国の各原発の1次評価を受け付けない方針。玄海3号機の1次評価の報告は、11月以降となる見通しが強まり、早期の再稼動は絶望的となった。

九電の発表によると、誤入力は3カ所。九電がグループ会社を介して委託した建設会社が、データの計算と入力を誤り、九電も誤入力に気付かなかった。原子炉建屋内にあり、非常時に原子炉を冷やす水が入った復水タンクの屋根の重量データを約260トンと、実際の10分の1の重さで入力するなどしていたという。

九電は、正しいデータを入れて再計算しても「耐震性に影響はなかった」とした。

玄海原発のデータ誤入力、保安院が九電を厳重注意から抜粋
(日本経済新聞)

 九電は関連会社の西日本技術開発を通じ、大林組に解析を委託していた。保安院は、九電以外の全原子力事業者に対しても、大林組が携わっていた場合は同様のミスがないかどうか、別の会社に委託していた場合にも誤入力を防ぐチェック体制の点検をして、それぞれ8月22日までに報告するよう指示した。

 今回入力ミスがあったのは、原子炉建屋の復水タンクの重量と地盤ばね定数の2カ所で、安全性評価全体に与える影響は「非常に小さい」(保安院)という。ただ、建屋自体の耐震性に影響が出るため、内部に設置した機器や配管の再評価も必要になる。


玄海原発、耐震データ入力ミス 再稼働さらに遅れも
(日本経済新聞 2011/7/22 13:37)

 九州電力の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で、運転再開の前提となるストレステスト(耐性調査)に必要な耐震基準に関するデータを同社が誤入力していたことが22日、分かった。経済産業省原子力安全・保安院によると入力ミスは2カ所。修正には一定の時間が必要となるもよう。テスト実施は修正後となるため、運転再開はさらに遅れる可能性が大きくなった。

 入力ミスがあったのは、玄海原発の原子炉建屋などの耐震性などを検証する解析モデルの入力データとみられる。

 東京電力福島第1原発の事故を受け、政府は全国の原発で自然災害など最悪の事態に耐えられるかを調べるストレステストを実施する。玄海原発では「やらせメール」問題が判明するなど、運転再開が当初の見通しから大幅にずれ込んでいる。

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