2011/04/30

ノーベル賞受賞の医師団体が「子どもの許容被ばく線量高すぎる」

文部科学省が設定した子どもの被ばく線量「20ミリシーベルト」問題で、米国、オーストラリア、ドイツなど世界から批判の声が上がっています。


【原発】「子供の許容被ばく線量高すぎる」と疑問
 (動画)
(04/27 11:51 テレ朝ニュース)

ノーベル賞も受賞した国際的な医師の団体がワシントンで会見し、文部科学省が子供の1年間の許容被ばく線量の目安を「20ミリシーベルト」に設定したことに疑問を呈しました。

 アイラ・ヘルファンド医学博士:「衝撃的だったのは、日本政府が福島の子供たちの許容被ばく線量の基準を高く設定したことだ」
 ヘルファンド博士は、「子供の場合、がんになるリスクが成人よりも2倍から3倍高くなる」と指摘して、許容される被ばく線量の基準を引き下げるよう求めました。アメリカでは、原子力関連施設で働く人の1年間の許容量の平均的な上限が年間20ミリシーベルトとされています。


福島の子どもたちを守らねばならない(4月26日 共同通信の英語版)
ティルマン・ラフ 
メルボルン 

今週初め、私は文部科学省が福島の子どもの電離放射線の許容線量を引き上げたと知り、私は大変な不安に襲われた。

かれらが定めた毎時3.8マイクロシーベルトという値は、一年分にして33ミリシーベルト(mSv)以上に相当する。それが幼稚園児、保育園児、小学生、中学生に対し適用されるのである。このことについて正確に考えてみたい。(訳注参照)

放射線が健康にもたらす危険は線量に比例する、というのが一般的な科学的見地である―線量が高ければ高いほどリスクは大きく、リスクが発生しないレベルなど存在しない。

すべての放射線被曝はできるかぎり低く抑えられるべきであり、一般人については自然放射線と医療措置によるものを含めても年間1mSvを超過すべきではない、と国際放射線防護委員会(ICRP)は勧告している。また原子力産業で働く労働者については5年間の平均線量として年間最大20mSvまでとし、かつ年間50mSvを超える年があってはならない、と。

すでに国際基準より高かった日本の労働者の最大許容線量100mSvは、福島の大事故を受けて250mSvまで引き上げられた。

米国国立科学アカデミーBEIR VII報告書によれば、1mSvの放射線(被曝)は固形癌(白血病以外の癌)については約1万人に1人、白血病では約10万人に1人、癌による死亡では17500人に1人のリスク上昇をもたらすものとみられる。

だがもっとも見落としてならない点は、全ての人間が同じレベルのリスクに晒されるわけではないということだ。放射線による癌のリスクは幼児(一歳未満)の場合、成人の3~4倍になる。また、女の幼児は男の幼児に比べ、2倍感受性が強い。

女性全体の放射線被曝による癌のリスクは、男性に比べ4割高い。また放射線に対して誰よりも敏感なのは、母親の子宮にいる胎児である。

母親がX線検査を受けると胎児は10~20mSvの線量を被曝する。これにより15歳までの子どものあいだの癌の発症率が四割上昇していることが、この分野では先駆的な「オックスフォード小児癌サーベイ」の調査で判明した。

ドイツで最近行われた全国の小児癌登録データ25年分の研究では、通常運転時であっても、原発はそこから5キロ圏内に暮らす5歳以下の子どもの白血病のリスクを2倍以上上昇させていることが明らかになった。

50km以上離れた場所でも、リスク上昇がみられた。これは予想をはるかに上回っており、子宮の中ないし外にいる子どもが放射線に対して特にぜい弱であることを強く示している。

よくある外的な放射線計測器で測られる被曝だけでなく、粒子を呼吸によって肺に吸い込んだり、汚染された食物や水を通して取り込んだりすることで、福島の子どもたちは内部被曝をすることになる。人々の体内には食物連鎖を通して多量の放射性物質が濃縮されるのだ。

一人の親、そして医師として言う。福島の子どもたちがそのように有害なレベルの放射線被曝をすることを許容することは、我々の子どもたちや未来の世代にたいする保護・管理責任の許されざる放棄である。

ティルマン・ラフ 核兵器廃絶国際キャンペーン代表 
オーストラリア・メルボルン大学ノッサル国際医療研究所準教授

==共同

訳注:国は、一般人の年間被曝は1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)としてきたが、今回の事故が起こり、大人どころか子どもの年間被ばく量の許容範囲を20倍の20ミリシーベルトに引き上げた。文科省は校庭活動などの屋外活動を一日8時間、残りの16時間は屋内で過ごすと想定し、毎日8時間3.8マイクロシーベルト、16時間1.52マイクロシーベルト浴びたとして、年間20ミリシーベルト(20,000マイクロシーベルト)になるという計算の上で校庭活動等の限度を毎時3.8マイクロシーベルトと定めている。この計算過程は報道ではっきり示されなかったこともあり、ティルマン・ラフ氏はそのまま毎時3.8を24と365でかけて、年間33ミリシーベルトと算出しているようだ。これは誤りではあるが、年間20ミリシーベルトだろうが33ミリシーベルトだろうがこの記事におけるラフ氏の論点や結論には影響を及ぼさない。(参考:『福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について』文科省ホームページhttp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm )

原文:http://english.kyodonews.jp/news/2011/04/87835.html 

翻訳:田中泉 訳注:乗松聡子


2011年4月21日付ドイツシュピーゲル誌
20ミリシーベルト設定に関する記事(「文部科学省、子どもたちに対してドイツの原発労働者と同様の被爆限度基準を設定」)より、専門家のコメント

エドムント・レンクフェルダー(オットーハーグ放射線研究所)
明らかにがん発症の確率が高まる。基準設定により政府は法的には責任を逃れるが、道徳的には全くそうではない。」


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