2011/03/25

子どもたちを放射能から遠ざけて下さい

福島原発事故についてのインタビューを受けましたので、全文を掲載します。

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親愛なる皆さま

東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害を受けた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

スロービジネススクール(SBS)事務局です。

震災に加え、福島原発事故による影響が日増しに大きくなっています。
SBSには東北や関東に多くの学生がいますが、水道水や野菜にまで放射能汚染が広がってきました。

今、この時期に、放射能に対してどのような対応をしたらよいのか。長年、脱原発運動に取り組み、1990年からチェルノブイリ原発事故被害者の医療支援活動に関わってこられた中村隆市さんにインタビューしてみました。(転載、転送歓迎です)

Q,原発事故についての情報が錯綜するなかで、信頼できる情報をわかりやすく伝えることが重要だと考えています。中村さんは、今の事故の状況をどのように捉えているのか、お聞かせ下さい。

A,ここに事故の規模について書かれた2つの記事があります。
どちらも外国での発表です。

まず、3月15日付でフランス原子力安全機関が発表しています。
福島第1の事故、2番目に重大な「レベル6」仏当局者
この記事の時点で、日本の原子力安全・保安院の事故評価は、なんと東海村JCO臨界事故と同じ「レベル4」でした。(今でもレベル5)

もう一つが、昨日(3月24日)オーストリア気象当局が発表している
チェルノブイリの2~5割 福島原発放射性物質で試算

チェルノブイリ原発事故の被害を現地で見てきた者として、「チェルノブイリの2~5割」という汚染規模は衝撃的な数字です。

しかも事故はまだ続いています。特に3号炉はプルサーマルという発電方式で危険な核燃料(MOX燃料)を使ってますから猛毒プルトニウムの放出も心配です。それと、海水を使い続けて蒸発が進むと、いずれ塩ができてしまい冷却が難しくなってしまいます。とても危険な状況です。

一方で、テレビでは「微量」とか「ただちに問題はない」といった解説者が多いのですが、彼らの多くは、原発を推進、あるいは擁護、容認してきた人たちです。

チェルノブイリ原発事故のときもそうでしたが、事故を起こした国の政府発表やマスコミ報道だけでは事故の実態がなかなかつかめません。重要な情報が報道されなかったり、小さく扱われたりするからです。

そうした中で外国の情報は、いのちを守るために大変重要だと思います。放射能は見えないので、大雑把でもいいから事故がどのくらいの規模かを知ることはとても重要です。それをもとに対策を考えられるからです。

Q,中村さんは、チェルノブイリの放射能汚染地や病院を7回も訪問されていますが、その経験を通して今回の原発事故で感じていることがあればお聞かせ下さい。

A,チェルノブイリの医療支援に関わり、現地の病院をいくつも訪問する中で、なぜこんなに子どもたちの被害が多いのか、彼らにはなんの責任もないのに、こんな理不尽なことはない、という思いを抱き続けてきました。

だから、放射能の影響を大きく受ける子どもたちをできるだけ放射能から遠ざけることが、いま最も重要なことだと私は思っています。

確かに「ただちに問題はない」という言葉に間違いはないでしょう。すぐその場で倒れる人はほとんどいませんから。しかし、子どものときに被ばくしてしまうと数年後や十数年後に病気を発症する確率がとても高くなるのです。

チェルノブイリでは4年後くらいから小児甲状腺ガンが激増しはじめ、白血病や胃ガン、糖尿病など様々な病気が増えていきました。そして、25年たった今でも被害が続いています

放射能の怖さは、その被害が幼い子どもほど大きな影響を受けること、そして、長い年月にわたって被害が続くことです。

ですから私は「どうしたらいいですか?」と質問されたらこう答えています。
「今、一番大事なことは、子どもたちを放射能から遠ざけることです。もし、あなたの家族や親戚や友人に子どもがいたら、なるべく早く汚染地を離れるように言ってあげて下さい」と。

Q,避難した方がいい汚染地には、どこまで入りますか? 関東も入りますか?

A,問題は、政府がちゃんとした測定をしていないことです。自ら進んで測定していこうという姿勢がありません。チェルノブイリでもそうでしたが、後になって実は、この地区は放射能のホットスポット(高線量汚染地域)だったということが、分かることが多いのです。

この間、私は、不特定多数の人に自分の考えを公表することにためらいを感じていました。なぜなら、避難したくても避難できない被災地の人たちにとって、その言葉は酷ではないかと思えるからです。

それでも、一人でも多くの子どもたちを救いたいから、恐れずに言います。放射能に関しては、予防原則に則って考える必要があります。オーストリアの推測、チェルノブイリの20~50%の放射能を放出したとすれば、関東は相当に汚染されている可能性があります。

もし、自分の孫が関東にいたら、どんな事情があっても避難させます。まず、一時避難して、原発の状況、放射能の状況を見極めることが大事だと思います。大人は残っても構わないけど、子どもだけは避難させて下さい。
幼い子どもは大人に比べ甲状腺ガンになる確率が100倍以上も高いのですから。

Q,事情があってどうしても汚染地を離れられない場合は、どうしたらいいでしょうか?

A,まず、子どもたちには辛いでしょうが、外で遊んではいけません。放射能の粒子が小さいほど風に乗って飛んできます。どうしても外に出なければならないときは、マスクを必ず着用して放射能を吸い込まないようにして下さい。そして、雨にぬれてもいけません。

また、飲食にも気をつけて下さい。放射能に汚染された水や牛乳や農産物、そして、これからは水産物も汚染されていくでしょう。飲み物と食べものが特に問題なのは、放射能を体内に入れてしまうと内部被ばくが続くからです。

テレビで解説者が放射能の比較をするときに、レントゲンやCTスキャンと比較して、だから安全ですと言っていますが、まず知っておきたいことは、CTスキャンでガンが発症するという報告もあるのです。CTスキャンは、なんと1回で10ミリシーベルトも被ばくします。

日本は世界一の医療被ばく大国で、イギリスのべリングトンによれば、X線検査による各国の発がん増加数0.5~1.8%と比べ、日本は4.4%にもなると医学専門LANCETに発表されています。つまり、ガンになる原因の4,4%がレントゲンやCTスキャンなどの医療被ばくだということです。

特に、CTスキャンは1回で10ミリシーベルトも被曝するので、できるだけCT検査は受けない方がいいのです。(※10ミリシーベルトは、年間被ばく限度の10倍)そして、レントゲンやCTスキャンは、放射性物質を体内に取り込む体内被曝(内部被ばく)ではなく体外被曝(外部被ばく)ですから一時的なものです。その一時的な被曝でも大きな影響があるのです。

チェルノブイリの子どもたちを苦しめたのは、内部被ばくです。空気から吸い込んだり、飲み物と食べものを通して体内に入ってきた放射性物質が甲状腺や肺や内臓などの細胞に接触しているから、例え、「微量」であってもその影響は大きいのです。

原発事故の後に、原子力安全委員会(原子力推進の中心的な組織)が急遽問題が大きくならないように放射能の「暫定基準値」というものを高めに設定し直して、少々の数字では基準内に収まるように設定した、けれども水や野菜が基準を上回ったわけです。

水道水を例にとると、放射性ヨウ素の基準値が原発事故の前は10ベクレルだったものを300ベクレル(現在、200ベクレルに変更)に設定し直し、乳児のみ100ベクレルに設定したわけですが、その100ベクレルをも超えてしまったわけです。WHO(世界保健機関)の基準値が10ベクレルですから、その10倍以上の汚染値ということになります。

野菜からは、基準値(1キロ当たり500ベクレル)の164倍に当たる8万2千ベクレルの放射性セシウムも検出されています。

チェルノブイリで未だに問題になっているのが、このセシウムです。特にセシウム137は、放射能の半減期が30年ですから、30年で50%、60年で25%、90年で12.5%と減っていきますが、環境汚染がおおよそなくなるのに300年ほどかかるといわれています。

Q,最後にメッセージがあればお願いします。

A,私が今、伝えたいことは、ひとつだけです。とにかく、子どもたちを放射能から遠ざけてほしい。
そのために大人は尽力してほしいということ、それだけです。

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一般社団法人スロービジネスカンパニー事務局◆
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