楽園「死んでしまう」/上関原子力発

楽園「死んでしまう」/上関原子力発 朝日新聞 2011年02月22日

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上関原発予定地(左)の海上には建設反対派の漁船が集結。北側には資材を積んだ台船(右下)が待機していた=山口県上関町、本社ヘリから、長沢幹城撮影

 中国電力が、建設を計画している上関原子力発電所(山口県上関町)の海面埋め立て工事を本格的に始めた21日、関係者からは、豊かな自然環境保護の視点からも懸念を示す声が上がった。

 上関原発建設予定地周辺には小さな巻き貝や魚類、国天然記念物の海鳥カンムリウミスズメ、スナメリなど希少な生きものが生息している。高度成長期の開発を免れ、手つかずの自然が多く残り「瀬戸内海最後の楽園」とも言われる。昨年10月に名古屋市で開かれた国連地球生きもの会議でも、生物多様性の豊かさが国際的に注目を集めた。

 日本生態学会は2000年と01年に一帯の詳細な環境調査を求めて決議。10年には3度目の決議で、総合的な学術調査と工事の一時中断を求めた。佐藤正典・鹿児島大教授(底生生物学)は「土砂を入れられたら生物が死んでしまう。浅い所ほど貴重な生きものが多く、ショックだ。生物多様性の議論がある中で埋め立てを強行するのはあまりに性急ではないか」と話す。

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