2010/05/07

もんじゅ原子炉内のガス検知器、6度の警報 公表遅れ

(2010年5月7日朝日新聞)
 6日に運転再開した高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、6日深夜から7日午前にかけて6回にわたり、原子炉内のガスを監視する検知器の警報が鳴った。事業主体の日本原子力研究開発機構は7日正午ごろ、報道各社や自治体に事実関係を伝えた。今のところ放射能漏れなどの異常は確認されておらず、機器の誤作動の可能性もあるが、公表が遅れた機構の対応については批判の声が出そうだ。

 監督官庁の経済産業省原子力安全・保安院などによると、6日午後11時9分に1度目の警報が鳴り、さらに、7日午前10時すぎから正午にかけて5回警報が鳴った。検知器は、原子炉下部にある炉心の核燃料から上部に注入されたアルゴンガスに放射性物質が漏れた際に異常を検知する機能をもつ。

 保安院などが調べたところ、炉心から炉内上部に放射性物質が漏れた形跡は認められなかった。このため、誤警報の可能性もあるとみて、機構と保安院が詳しい原因を調べている。

 機構は1回目に警報が鳴った際、職員が検知器を確認。数値がいったん正常に戻ったため、通常通りの作業を続けた。しかし、約11時間後から再び警報が鳴り続けた。

 警報後に公表が遅れた点について、機構は「検知器の故障が原因と推定している。いま思えば、警報が鳴ったことを早く公表すべきだった」と認めた。保安院は「機構は早く公表すべきだった。改善を求めたい」と指摘したが、試験運転を継続することに問題はないとの見解を示した。

 敦賀市原子力安全対策課によると、機構側は警報について、7日午前11時28分に連絡してきたという。同課長は「故障やトラブルはあってはならないこと。住民の不安につながるので、しっかりと原因究明をしてもらいたい」と話した。福井県も今後、機構側に事実関係の説明を求める方針。

 1995年末のナトリウム漏れ事故で停止していたもんじゅは6日午前10時半すぎ、14年5カ月ぶりに原子炉を再起動したばかりだった。

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(2010/5/7 13:37 日本経済新聞)
もんじゅ、核燃料破損示す検出器の警報作動

 日本原子力研究開発機構と経済産業省の原子力安全・保安院は7日、6日に14年5カ月ぶりに運転を再開した高速増殖炉「もんじゅ(福井県敦賀市)で、原子炉内の核燃料破損を示す検出器の警報が鳴ったと発表した。保安院は「検知器の故障と推定される」と説明、安全性に問題ないという。

 警報が鳴ったのは2回で、1回目は6日午後11時9分、2回目は7日午前10時1分。3つある検出器のうち1つが異常を示していた。残る2つは、キセノンやセシウムなどの放射性物質の漏れを示す数値は表れていなかった。また、核分裂生成物の漏れを測る3種類の検出器も放射線を検出しなかった。

 原子力安全・保安院は「原因は調査中で誤作動かどうかよく原因を特定しないと申し上げられないが、安全には影響なく試験は続行する」という。

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※この日経記事に関する補足
日本原子力研究開発機構の会見では、警報回数が、2回・4回・6回と訂正になったため、日経は最初の2回という数字を記事にしている。

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京都新聞 凡語 2010年05月07日掲載
もんじゅ試験運転再開

 「もんじゅ」白煙発生。手動で炉停止?。高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)のナトリウム漏れ事故を報じた1995年12月9日付本紙朝刊の見出しだ▼私事で恐縮だが、当時この紙面編集の担当デスクだった。事故発生は8日夜。2次冷却系のナトリウム配管室で火災報知機が鳴り煙が発生、炉を手動停止させた。確かな情報はごく限られていた▼人命には異常なし。周辺地域に被害は出ていない。紙面でどの程度扱ったらよいか悩んだ。これまで起こったことがないような異常さは直感できたが、最悪の事態ではないからと、1面ニュースの2番手扱いとした▼だが、いま振り返れば、大惨事につながりかねないトラブルだった。約640キロもの漏れたナトリウムが空気と反応して激しく燃えた事実や、地元自治体への連絡遅れ、撮影ビデオの作為的なカットなどが後日、明らかになった。トップニュースの判断を誤った苦い思い出とともによみがえる▼あれから14年半。もんじゅは長い停止期間を経て試験運転を再開した。改造工事でナトリウム対策が強化されたという。だが先月下旬にもナトリウム漏れ検出器が故障した。住民は不安を抱えたままだ▼使った以上のプルトニウム燃料を生み出す「夢の原子炉」と言いはやされてきた。だが実用化への道筋はまだ見えない。厳格な安全管理と情報公開で信頼を回復させる姿勢をまず示してもらいたい。
[京都新聞 2010年05月07日掲載]

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5月8日京都新聞社説
もんじゅ再開  信頼回復へ安全最優先

 高速増殖炉の原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)が運転を再開した。
 日本原子力研究開発機構は徐々に出力を上げて試験運転を続け、2013年春に本格運転に移る予定という。
 1995年に冷却材のナトリウム漏れ事故を起こして停止以来、実に14年5カ月ぶり。多くの懸念を抱えたままの運転再開となった。
 事故や情報隠しで失墜した信頼の回復に向け、安全最優先は言うまでもない。それでもトラブルは起き得る。早速、初日から燃料漏れ検出機器の警報が作動したが、公表が遅れたのはどういうことか。軽重にかかわらず、公正、速やかな情報開示を強く求めたい。
 発電しながら燃料となるプルトニウムを増やせる高速増殖炉は、天然ウランの利用効率を飛躍的に高める「夢の原子炉」とも呼ばれた。エネルギー資源の乏しい日本では、原子力政策の基本とされる核燃料サイクルの柱の一つでもあった。
 実験炉常陽(茨城県大洗町)で開発が始まったものの、第2段階のもんじゅの事故で停滞。ナトリウムは空気や水に触れると激しく燃焼し、火災が起きやすい。事故後、ナトリウム漏えい時の対策を軸に改造工事が実施されたが、漏えい検出器の誤作動などで再開はたびたび延期されてきた。
 先月末にも検出器の故障が起きた。安全確保にかかわる最重要機器の一つだけに気がかりだ。14年間も運転停止し、設備の老朽化も懸念される。細心の注意を払ってもらいたい。
 地元では、運転再開に伴う雇用や経済効果、北陸新幹線の延伸など地域振興への期待もある半面、懸念は根強い。不安の解消を最優先すべきだ。
 もんじゅの運転再開は高速増殖炉の実用化に向けた一歩にすぎない。民間主体の実証炉を経て、商用炉を目指すが、計画が順調に進んでも実用化は「50年ごろ」。道のりは遠い。
 欧米では、安全性や高コスト、核兵器に転用される恐れのあるプルトニウム不拡散の観点から高速増殖炉から撤退する動きが目立つ。
 もんじゅには既に9200億円余りを注ぎ込んだ。それでも安全性の問題を克服できないならば、開発の断念もひるむべきでない。再開後も年間230億円以上の経費がかかる。コストダウンが不可能なら実用化は難しい。国内外のエネルギー事情や技術開発状況を踏まえた見極めが要る。
 地球温暖化防止の動きを受け、二酸化炭素を排出しないとされる原発があらためて注目されている。
 ところが、高速増殖炉開発を今後どう進めるのか、国が掲げる核燃料サイクルは実現可能なのか?政策的にも技術的にも本質的な問題は未解決だ。計画に沿ってことを急ぎすぎては、またも国民の不信を招くに違いない。

[京都新聞 2010年05月08日掲載]

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もんじゅ検出器でまた異常
2次系ガスの温度低下も
 (2010年5月9日京都新聞)

 高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で6日から7日にかけ、燃料漏れを検出する機器が計6回の誤警報を発した問題で、日本原子力研究開発機構は9日、正常に作動していた同型の検出器2台のうち1台にも異常が見つかったと発表した。

 原子力機構によると、この検出器は同型のものが計3台あり、炉内で燃料が破損した場合、発生する放射性ガスを監視するための機器。別の機器のデータから、実際にはガスの漏えいはないのに、放射線量を示す数値が上昇を続けたという。

 残り1台が正常に作動しているほか、別の機器でも監視できるため、運転に影響はないとしているが、誤警報を発する可能性があり、原子力機構は9日、この検出器を停止、前に誤警報を発した1台とともに今後詳しく検査する方針。

 またもんじゅでは9日午前、2次主冷却系タンクから排出されるアルゴンガスの温度が規定値を下回ったことを示す警報が作動。温度低下は一時的なもので、安全性に問題はないとしている。(共同通信)

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