2014/10/12

ハビエル村長と森を守るコーヒー

1980年代後半からコーヒーのフェアトレード事業に取り組んできた私は90年代後半に、森と共生しながら(あるいは、森を再生しながら)農薬も化学肥料も使わずに、コーヒーや果物を栽培しているアグロフォレストリー(森林農法)の生産者に出会い感動しました。

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インタグの雲霧林

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インタグの森林農法

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インタグコーヒーの赤い実


特に、エクアドル・インタグ地方で、森林農法のコーヒー栽培をしながら、「鉱山開発」という名の自然破壊をくい止めている人々に感銘を受け、1999年からフェアトレードを続けてきました。(インタグコーヒー物語

それから15年が経った今年、最大の危機が訪れています。

森を守ろうとする人を逮捕・拘留

今年4月10日、エクアドル・インタグ地方のフニン村で、「子どもたちに美しい自然を残したい」という村長が逮捕されたという記事を書きましたが、不当逮捕による拘留が未だに続き、一昨日(10月10日)で半年が過ぎました。この異常な逮捕と長期拘留に対してエクアドル内外からの批判が高まっています。

1994年に始まるインタグの鉱山開発計画が地域住民全体に知られるようになったのは、17年前に日系企業によって鉱物の試掘が行われたときです。試掘程度の小規模な作業でさえ、森が破壊され、フニン村の住民にとって唯一の水源であるフニン川が砒素やカドミウムなどの重金属によって汚染されたことで、鉱山開発への反対運動が始まりました。この試掘によって銅があることが判明しましたが、それを採掘するには環境へ非常に大きな影響を与える「露天掘り」という方法を取らなければならず、さらには4つのコミュニティ(集落)が移住を余儀なくされるということがわかったのです。

鉱山開発2
         (鉱山開発の実例)

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         (鉱山開発の実例)

鉱山開発を「発展のモデルだ」「雇用が増える」「学校や病院などの設備も充実する」などと鉱山開発側は訴えますが、それは、地下資源を採掘するわずか10数年しか続かない「発展」であり、目先の利益だけを考えた約束事であることをフニン村の住民は理解していました。それによって、森が、そこに生きる多くのいのちが、そして自分たちの自然と寄り添った生活と子どもたちの未来が奪われることをわかっていたのです。

鉱山開発の実例
         (鉱山開発の実例)

ペルーの鉱山開発 Mina-de-cobre-Peru-Cerro-Verde-crp
         (鉱山開発の実例)

鉱山開発側は、コミュニティ内部に影響力のあるリーダーたちを取り込み、開発を強引に進める方法を取ってきましたが、フニン村の人たちはそうした動きに屈することなく、美しく豊かな自然を未来の子どもたちに残していくため、アグロフォレストリー(森林農法)に基づく有機コーヒ―栽培やエコツーリズムなどの「持続可能な発展」の道を選んできました。そうした活動の中心にいたのが、フニン村の村長ハビエル・ラミレスさんなのです。

フニン村のハビエル・ラミレス親子と中村
(不当に逮捕されたハビエル・ラミレスさん親子と中村、8年前の写真)

ハビエルさんが不当逮捕された4月10日以前から、インタグでは、ほとんど毎週のように、エクアドル国営鉱山開発公社(ENAMI)が開発対象の村々(フニン村も含む)に入ろうとし、その度に住民に拒否されるという状況が続いていました。反対する住民は政府によってチェックされ、身元を調べ上げられました。公の場で「発展を阻害する民衆の敵」として名指しでコレア大統領本人に批判された人もいます。(私は、2006年当時、次期大統領の立場にあったラファエル・コレア氏に手紙を書いたことがあります。その頃のコレア氏は、「国の資源を切り売りするような政治のあり方を疑問視」していました。)

ハビエルさんは、村に入ろうとしたENAMIの職員に暴行を働いたということで訴えられ、逮捕されました。しかし、現地調査では、ENAMIの支持者でさえハビエルさんが、その場にいなかったことを認めている上、事件当時、ハビエルさんはバイク事故の治療中でした。実際に彼を治療した医者もいます。明らかに彼の無実を証明する証拠が提示されている一方で、ENAMIはハビエルさんが犯人であるという証拠は何一つ提出していません。

フニン村住人と警官隊

当初、ENAMIの職員とともに、400人の警官隊がインタグ入りし、現在でも40人以上の警官がフニン村に駐留しています。たった60世帯程度の小さな村に、40人(私服警官も含めるとそれ以上と言われています)もの警官が監視するかのように村に駐留している中で、村人が安心して日常の暮らしを続けることは難しくなっています。そして、それまでインタグを訪れていた観光客も、警官隊の駐留が始まってから激減しています。

ハビエルさんは、調査のためと当初言い渡された3か月の拘留期間が過ぎても釈放されず、1か月延長となり、さらに2カ月延長されても未だに釈放の目途がたっていません。そして、弁護を受ける機会も与えられないまま長期拘留の手続きが進められています。

ハビエルさんの家族は、有機コーヒー農園を営んでいますが、一番の働き手を失ったまま収穫の最盛期を迎え、残された家族がなんとかコーヒー園の作業をこなそうとしてきました。しかし、奥さんはハビエルさんの司法手続きすべてに立ち会わなければならず、4人の子どもたちもまだ幼いので、精神的にも経済的にもとても厳しい状況にあります。

ハビエル家族
    (8年前の写真:ハビエルさんファミリー)

いつ釈放されるか分からない状況で不安が大きく、奥さんは夫のことを話す度に涙があふれ、子どもたちもあまり食事をとっていないそうです。留置場はフニン村より標高が高くて寒いため、ハビエルさん自身も体調を崩しているようです。

そうした状況の中、ハビエルさんには、インタグ地方で森林農法を広めているインタグコーヒー生産者協会の会長からのメッセージをはじめとして、多くの支持や連帯の表明が寄せられています。そして、7月6日にハビエルさんは、インタグ地区があるコタカチ郡より「母なる大地賞」を授与されました。

ハビエルに母なる大地賞 妻が代理で授賞

この賞は2006年に設立され、コタカチ郡の環境保全への貢献者に授与されるものです。授賞式には、拘留されているハビエルさんは出席できないため、彼の奥さんが代理を務めました。

そして、ハビエルさんは、FIDH(国際人権連盟)の「良心の囚人」にラテンアメリカから初めて認定されました

国際人権連盟の#ForFreedomキャンペーン

さらに日本の環境NGO「ナマケモノ倶楽部」が、10年に一度授与する「スロー大賞」をハビエルさんに授与しました。

「スロー大賞の受賞理由」は、ハビエル村長と地域住民の意義深い取り組みをよく表現しています。

ハビエル・ラミレス殿

貴方は、エクアドル・インバブラ県・コタカチ郡・フニン村の村長として、村民や地域の人々の先頭に立って、生態系保護区に隣接する、生態学的に極めて重要な地域の自然と、そこで営まれてきた人々の暮らしを守ってきました。短期的な経済効果だけのための開発の代わりに、未来の世代まで長く持続する地域発展への道を選んだ地域住民を支えながら、そのリーダーとして、エコツーリズム・アグロフォレストリー・有機農業・フェアトレードなどの代替案を提示し、自らも実践されてきました。

大規模鉱山開発を性急に進めようとする政府や巨大企業に対して、貴重な森を守るべく、貴方やフニン村をはじめとする地域住民たちが示してきた毅然たる態度は、自治と民主主義、非暴力平和とエコロジーを基盤とする未来へと向かう、世界中の多くの人々を鼓舞してきました。貴方たちのビジョンと活動は、すでに世界に先駆けて新しいエコロジカルな文明へと歩み出したエクアドルのみならず、私たちの住む日本を含む世界全体にとっての道標に違いありません。

そのことに対する大いなる感謝と敬愛の念をこめて、ここに謹んでスロー大賞を授与いたします。
Viva Javier! Viva Junin! Viva Intag! Viva Ecuador! Viva Pacha Mama!

2014年8月11日
環境NGOナマケモノ倶楽部

こうした賞の受賞は、多くの人びとが「破壊的開発に依存しない生き方を選んだインタグの人たち」を支持しているということを示しています。
ハビエルさん、ご家族、そして、「鉱山開発」と闘い続けているインタグの人たちにとって大きな励ましになります。

しかし、ハビエルさんを釈放させ、鉱山開発をくい止めるには、不当逮捕の事実と鉱山開発による自然破壊の真実をできるだけ多くの人に伝えるための活動費、広報費用、弁護士費用などが必要です。そのために、ウインドファームと有機コーヒー社でも、現地の環境団体DECOIN)に寄付をしてきましたが、まだまだ資金が足りません。

そこで、ハビエル村長の一刻も早い釈放とインタグの人たちの自然保護活動を支援するために、「ハビエル村長と森を守るコーヒー」をつくり、販売していくことにしました。

ハビエル村長と森を守るコーヒー

このコーヒーは、森を守るアグロフォレストリー(森林農法)で栽培されたインタグコーヒーとメキシコ、東ティモールのコーヒーを中心に、ブラジル、ペルー、コロンビア、グァテマラの7か国の有機コーヒーをブレンドしてつくります。7か国の有機コーヒーをブレンドしたコーヒーは、おそらく 世界にもないだろうと思います。

このコーヒーを「有機レインボーブレンド」と名付けました。
コーヒーの焙煎は、26年の経験を生かして、私が担当します。

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また、カフェインが飲めない方のために、有機カフェインレスコーヒーも販売します。どちらも100gパックを3パックで送料を含めて1800円(税込1944円)で販売し、500円をハビエルさんと森を守るために寄付します。

まず、今月と来月の2回やってみます。20日までに注文していただき、月末までにメール便でお届けします。1回目は10月20日、2回目は11月20日までに注文をお願いします。

◆注文方法◆
Eメール siencoffee(a)windfarm.co.jp  *(a)を@に変えて下さい。
以下の内容をお知らせください。

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タイトル:ハビエル村長と森を守るコーヒー希望

【1】商品(有機レインボーブレンド 3パック、または、有機カフェインレス3パック、あるいは、有機レインボーブレンド2パックと有機カフェインレス1パックなど。もし、多量に必要な方はご相談下さい。)
【2】豆・粉の希望
【3】名前
【4】郵便番号
【5】住所
【6】電話番号

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◆支払方法◆
コーヒーと一緒にコンビニでの支払い用紙を同封しますので、到着後に支払をお願いします。
(このコーヒーは、クレジットカード、代金引換での支払いはできません)

  *        *        *

「ハビエルさんと森を守る」ためには、この問題を多くの人にシェアしたり、 署名をしたり、 寄付をしたりと、できることがいろいろあります。このコーヒーもその一つです。私が期待しているのは、コーヒー以外の商品やサービスでも売り上げの一部を寄付する動きが広がっていくことです。この記事を読まれて、私もやってみようという方は連絡して下さい。
一緒に、こうした動きを広めていきましょう。

(連絡先)Eメール siencoffee(a)windfarm.co.jp   *(a)を@に変えて下さい。

<追記>ハビエル・ラミレスさんは、2015年2月10日に釈放されました
こちらにも記事があります。

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