怒りは反原発派に限らない。地元住民に再び不信(新潟日報)

「言ってることと、やってることが違うじゃないか」「いい加減にしてくれ」。怒りは反原発派に限らない。地元住民に再び不信と不安の種をまいてしまった
https://www.niigata-nippo.co.jp/nipposho/173.html

▼東京電力柏崎刈羽、福島第1、第2原発で計30カ所の配管接続ミスが見つかり、放射性物質を含む水が18カ所で放出されていた。経産省原子力安全・保安院は東電に厳重注意し、原因究明を指示した
▼東電は「環境に影響はない」とし、保安院も追認したが、それで済ませていい話だろうか。問題は犯したミスを見逃し、長期間放置していたことにある。東電は管理体制をあらためて見直してほしい
▼柏崎刈羽原発についていえば、中越沖地震の被災後、運転再開に向かう中で構内火災が相次いだ。体内への放射性物質の取り込みにつながるために法律で喫煙が禁止されている放射線管理区域で、多数のたばこの吸い殻が発見された
▼千丈の堤もアリの一穴から崩れる―のことわざもある。ささいな油断、組織の緩みが、とんでもない厄災を招く。茨城県東海村の臨界事故は記憶に新しい。掛け声だけの「安全」ならかえって有害だ
▼折しも、国から柏崎市と刈羽村に約36億円の原発立地特別交付金が出ることになった。原発でプルトニウムを燃やす「プルサーマル」を推進する交付金制度も復活する。脱原発を掲げる社民党との調整を経ずに、鳩山政権は原発・核燃サイクル推進に向かっている。旧政権の「アメとムチ」路線も引き継がれたようだ。ただし、アメでは決して「安心」や「信頼」はあがなえない。

新潟日報2010年2月7日

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