2014/03/13

高レベル放射性廃棄物:地層処分、地下水との闘い

高レベル放射性廃棄物:地層処分、地下水との闘い
(毎日新聞 2014年03月13日)

高レベル放射性廃棄物:研究施設

 原発から出る高レベル放射性廃棄物をどうするか。国は地中深く埋める「地層処分」を念頭に置く。その技術を研究する瑞浪(みずなみ)超深地層研究所(岐阜県瑞浪市)を訪ねた。そこでは、地層処分の安全性を脅かしかねない地下水との格闘が続いていた。

 ◇1日850トンくみ上げ

 日本列島は地殻変動や地震、火山活動が活発な「変動帯」にある。地層が古く安定した欧州のデータだけでは不十分なため、国内2カ所に地層処分技術の研究所を設け研究している。地下の岩盤が花こう岩(御影石)質の瑞浪と、堆積(たいせき)岩質の北海道幌延町だ。

 同研究所を運営する日本原子力研究開発機構の福島龍朗上席嘱託の案内で、地下300メートルの水平坑道まで下りた。露出した岩肌から地下水がしみ出し、側溝を流れていく。約1万年前に地層内にたまった水という。どんな岩でも目に見えない隙間があり、地層深くでは水がその隙間に閉じ込められている。そこに坑道などを掘ることで安定状態が崩れ、たるの底が抜けたように水が出てくる。

 水は深さ100メートルごとに設けたポンプで地上までくみ上げる。1日850トンにもなる。近くの川に流すため、岩から溶け出た成分などの排出処理に年間約5億円かかる。施設維持費の半額に相当する金額だ。岩盤中の水の動きを詳しく調べるための電極が坑道に2メートルおきに並ぶなど「置ける限りの観測機器があります」と福島さん。

 水の研究が重要な理由は、地層処分した「核のごみ」から放射性物質が地下水に溶け出し、地層の割れ目などを伝って地表まで達する恐れがないか調べるためだ。

 政府の計画では、使用済み核燃料は再処理工場でまだ使えるウランやプルトニウムを取り出した後、廃液を溶けたガラスと混ぜ、ステンレス容器に入れて固めて「ガラス固化体」にする。直径40センチ、高さ130センチ、重さ500キロ。できたばかりの固化体は、表面の放射線量が毎時1500シーベルト1本で3万人の年間消費電力を発電した場合の廃棄物に相当し、福島第1原発事故で環境中に放出された放射性セシウムに匹敵する量(約2京ベクレル)の放射性物質を含む

 原発が2020年ごろまで稼働する場合、その数は4万本に上る。高線量、高熱の固化体を30〜50年間かけて冷ました後、地層処分する。厚さ19センチの炭素鋼容器に入れ、さらに厚さ70センチの粘土の緩衝材で覆って埋める。放射性物質の溶け出しを防ぐ多重のバリアだ。

 ◇新たな課題も浮上

 だが、同研究所で実物を使ってバリアの有効性を確認する実験はしない。「最終処分場にはしない」という地元との約束から、放射性物質の持ち込みは厳禁。フランスで地下研究所のある土地が処分場の候補地になったことも、地元の疑念をかき立てているだけに、水や岩盤の研究に絞っているのが実情だという。

 地層処分して穴を埋め戻せば地層は再び安定状態に戻り、水も出なくなるとされる。それを確認する埋め戻し実験が2年後に始まるが、今年2月、エネルギー基本計画の政府原案に「回収可能性」が新たに盛り込まれた。技術の進歩で処分方法を見直した場合や不測のトラブルに備えて、いつでも固化体を取り出せるよう坑道を埋めずに残すことが求められたのだ。

 想定される最終処分場の面積は皇居の4〜7倍。研究所よりはるかに広い。膨大な量の地下水が、坑道を埋め戻さないことでより長い期間出続ける。周辺の地下水が坑道に集まる可能性に加え、それが安全性にどんな影響を及ぼすかも未知数だ。

 さまざまな課題はあるが、それでも「人間の世界の方がはるかに不確実。廃棄物を地上で、人の手で管理し続けるより、地下に保管する方が安全だ」と、経済産業省の地層処分技術に関する作業部会の杤山修委員長は強調する。【山田大輔】


高レベル放射性廃棄物処分の危険性と問題点

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