2014/03/09

暴走する原子力規制委員会 「20ミリまで安全」「食品基準緩和を」

安倍内閣と同じように、原子力規制委員会の暴走が止まらない。特に驚いたのは、昨秋、福島県民に対して「年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はない」という見解を出したことと、4日前に食品の放射性物質基準を緩和すべきと言い出したことだ。

田中俊一「年1ミリSvなんてとても達成できない」
   (田中俊一氏が原子力規制委員会の委員長になる前の発言)

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし
     (田中氏が原子力規制委員会の委員長になった後の発言)

福島中央テレビ:規制委員長「厳格さに疑問」食品基準、緩和
    (2014年3月6日 19:21 福島中央テレビ)

福島を中心として、宮城や茨城に心疾患死亡率が高まり(福島が心疾患死亡率全国1位になった)、茨城の子どもたちに心電図の異常が急増している。(福島でも心電図の異常が多いという情報があるが、データが公表されていない)そして福島では、チェルノブイリ以上に、子どもの甲状腺がんが激増(昨年11月から7人増え33人になり、「がんの疑い」も9人増えて41人に増加)している。心臓病も甲状腺がんもチェルノブイリ原発事故後に急増したことは、よく知られている。

現状ですら子どもたちを放射能から守る姿勢が弱い中で、原子力規制委員会は、今以上に外部被ばくと内部被ばくを増やす方向に動いている。なんと倫理観のない人命軽視の組織なのだろうか。しかもこの原子力規制委員会が今、原発の再稼動に向けた審査を行っている


専門家から続々!「原子力規制庁の20ミリシーベルト帰還案にNO!」の声
(2013年11月14日 ママレボ編集長通信)から抜粋・一部追加

 提言の内容は、今まで政府が除染目標として定めていた“年間1ミリシーベルト”を事実上撤回し、空間線量ではなく、「個人線量計」による自己管理で「年間被ばく量20ミリシーベルト以下」をめざそうというもの。これにより、除染や賠償の費用をできるだけ軽減させようというねらいがあるものとみられています。

 事故直後から、日本政府は「年間被ばく量100ミリシーベルト以下では、有意な健康影響は認められない」という考え方に依拠した政策を打ち出しており、今回このような検討チームを開いて議論するまでもなく、最初から“結論ありき”で進んでいたと言えるでしょう。

**専門家たちが、年間被ばく量20ミリシーベルトに反対する理由**

◇「年間20ミリシーベルト以下で安全」は政治的・経済的基準 
(元放射線医学総合研究所主任研究官・医学博士/崎山比早子)

国会参考人 元放射線医学総合研究所主任研究間 崎山比早子 
(2011年5月20日 衆議院の科学技術特別委員会で発言する崎山比早子さん

 原子力規制委員会の新指針「年間被ばく量20ミリシーベルト」は、放射線作業従事者の年間線量限度だ。それを放射線に感受性の高い妊婦、乳・幼児、子どもを含む全住民の線量限度とするという神経は、いったいどこから来ているのか?

 これまで科学的に積み重ねられた証拠は「放射線に安全量はない」ということを示しているし、国際機関もこれを認めている。しかもこれは1年間の線量であるから、5年住めば100ミリシーベルトになる。

 それでは、なぜ今になってこれまでの年間1ミリシーベルトではなく、20ミリシーベルトまでを安全とするキャンペーンが声高になってきたのか? そうしないと、避難させなければならない住民、補償しなければならないものがふえるからで、これは人のいのちよりも経済を優先させた考え方だ

 個人線量計をつけさせ、多くの住民を被ばくさせながらその健康を管理するという方針は、これから大規模な人体実験を行いますよということに等しいのだ。
                 

◇10~20ミリシーベルトの被ばくでがんは有意にふえる
(北海道深川病院内科部長/松崎道幸)

政府は、100ミリシーベルト以下の放射線被ばくでは、がんのリスクは無視できるほど小さいと述べている。しかし、2010年以降、重要なデータが3つ公表された。

(1)医療被ばく(CT検査など)10ミリシーベルトごとに、がんのリスクが有意に3%ずつふえていた。(カナダ)

(2)日本の原発労働者のがん死リスクが、10ミリシーベルトの累積被ばくで、有意に3%ふえていた。

(3)自然放射線被ばくが1ミリシーベルトふえるごとに、子どもの白血病のリスクが12%ずつ有意にふえていた。(イギリス)

このほかにも、10~20ミリシーベルトの被ばくでがんが有意にふえることを証明した科学論文が公表されている。毎年20ミリシーベルトの被ばくを5年間続けると、大人のがんは30%ふえ、子どもの白血病は12倍ふえることになる。

100ミリsv未満の被ばくでがんリスク増加が証明された研究

最新の科学データを無視し、放射線被ばくの影響を一ケタ過小評価した政策を進める政府に、われわれと未来の子どもたちの健康を託してよいのだろうか。


◇私が20ミリシーベルトに反対する理由
(東京大学大学院教育学研究科教授/影浦峡)

(1) 一般公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルトという法的枠組みがある。管理基準とはいえ、社会的な合意であり、事故が起こったからといって基準を変えることは許されない

(2) ICRP(国際放射線防護委員会)の現存被ばく状況では、1~20ミリシーベルトの低いほうから参照レベルを選ぶとされている。これは、やむをえない状況における防護対応のステップを示す目安であって、20ミリシーベルトまで安全だということとはまったく違う。

(3) 国連健康に関する特別報告者勧告(グローバー勧告)も、1ミリシーベルトを達成する具体的な時間を定めるよう求めている

国連専門家が国・県批判

避難区域設定基準の厳格化求める 国連人権理、初動も批判
(2013/05/24 21:40 共同通信)

 【ジュネーブ共同】東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の被災状況を調査した国連人権理事会の健康問題に関する特別報告者、アナンド・グローバー氏は24日までに、避難区域を設ける基準を厳格化し、年間被ばく線量を1ミリシーベルト未満にするよう求める報告書を公表した。

 原発事故発生後の日本政府の初動も批判。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が有効に活用されず、甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤が適切に事故地域に配布されなかったとするなど、日本政府には厳しい内容となっている。

国連人権理報告書 健康である権利 侵害

(4) 20ミリシーベルト以下で影響がないといった主張は、「わからない」ことを「存在しない」ことにすり替える詭弁(きべん)で、非科学的な態度である。

(5) 最近、低線量でも影響があることを、エビデンス(医療的な意味での証拠)とともに示す研究が複数現れている。

もはや「低線量被ばくについてはわからない」と開き直ることは、けっしてできない。


◇年間20ミリシーベルトは、医学的見地からも、きわめて無責任
(医学博士/ヘレン・カルディコット)

 みなさんに認識していただきたいことは、「放射能」に関する安全な数値など存在しないということだ。これは全米科学アカデミーも発表している。しかも、子どもたちは大人以上に「放射能」による人体への影響が高く、「がん」の誘発率は10~20倍になるといわれている。さらに、女性は男性よりも「放射能」に対しても敏感であり、人体に受ける影響の確率が高いのだ。日本政府が今回出した年間20ミリシーベルトという数値は、医学的見地からも、きわめて無責任な行為である。放射能の危険性に対しては、福島のみに限られているようだが、広範囲の地域への対応をただちに開始すべきだ。そして、すでに年間1ミリシーベルト以上の「放射能」を浴びている人々は、すべての病の発生を想定し、長期的な健康診断を続けなければならない

ヘレン・カルディコット「日本政府が子どもを線量の高い地域に住むのを許しているのが驚き」


◇健康障害のリスクを軽視する指針は、医師として許せない
 (内科医/牛山元美)

 CTスキャンや心臓カテーテル検査によって、約10ミリシーベルトの医療被ばくを受けた方の発がん率は、およそ3%上がるという報告がある。

オーストラリアやイギリスからも、5ミリシーベルトを超える被ばくで白血病やがんの発病率がふえたという大規模な研究報告が相次いでいる。

低線量による健康障害の実態は、まだ未解明な部分が多いとはいえ、新たな研究報告があるたびに、やはりより低線量でも危険であることが立証されているところだ。明らかに多大な健康障害を生み、でも個人が努力することで解消できる喫煙習慣を引き合いに出し、のがれられない年間20ミリシーベルトの被ばくによる発がんリスクを軽視させ、発がんを国民の自己責任にしようとする責任転嫁、健康的生活を営むという基本的人権の侵害、経済効果を優先し健康障害のリスクを明らかに軽視する今回の指針は、医師として許せない。


◇「カネのための科学」で、棄民政策が恒常化される
(北海道がんセンター名誉院長/西尾正道)   

 政府・原子力規制委員会は、「年間20ミリシーベルトで安全・安心」として、福島県民の帰還促進をはかる方針を打ち出した。事故前は年間1ミリシーベルトだったが、事故後はあと出しジャンケン的手法で20ミリシーベルトまで引き上げるという国家的な犯罪行為を行ったが、今度はその犯罪行為を恒常的なものとしようとしている。1ミリシーベルト以上の住民は低線量被ばく下におかれ、長期的な生体実験をされているようなものである。

医学論文では20ミリシーベルト以下でも健康被害が生ずるとする多くの報告があるが、こうした科学的な証拠は無視し、原子力政策を進めるために棄民政策を正当化することに奔走している。「国民のための科学」ではなく、御用学者が作った疑似科学物語に依拠して「カネのための科学」となっている日本の現状は、悲惨な結果につながることになるだろう。

「5ミリシーベルト以上は強制移住」西尾正道


***海外の医師たちからの批判***

ノーベル平和賞の「社会的責任を果たすための医師団」が警告
(2011/04/16 風の便り)から抜粋

「社会的責任を果たすための医師団」(PSR)は、福島第一原子力発電所事故が進行している中で、事故による放射能が日本の食品の中に発見されたという最近の報告に深い憂慮を表明する。PSRは、どのくらいの放射線被曝まで「安全」と考えられるかについて、メディアで誤った情報が流布している点にも注意を呼びかける。

米国科学アカデミーによれば、安全な放射能の線量というものはない。過去数十年にわたる研究から、放射線はどんなに少ない線量でも、個々人の発癌リスクを高めることがはっきりと示されている

「社会的責任を果たすための医師団」で前代の会長を務めたジェフ・パターソン、オステオパシー医学博士は、「食品経由でも、水経由でも、どのような線源からでも、放射線被曝に安全なレベルはありません」と言う。「ヨウ素131やセシウム137のような放射性核種に晒されると、発癌の発生数が増加します。そのため、食品と水に含まれる放射性核種を最低限に抑えるようあらゆる努力を払う必要があります」。

「とりわけ、放射性核種を含んだ食料を摂取するのは危険です。放射性の微粒子を経口摂取したり吸入したりすると、粒子が放射能を保ち続け、その粒子が体内に留まり続ける限り、身体に放射線を浴びせつづけることになります」。「社会的責任を果たすための医師団」理事で医学博士のアラン・H・ロックウッドはこう語った。「日本政府は、原発事故が起きる以前と比べてより多くの放射性物質を含んだ食品の販売を禁止し、影響地域の食品と水の幅広いモニタリングを続けるべきです。さらに、アメリカ食品医薬品局とアメリカ合衆国環境保護庁は、ここアメリカでの食品に含まれる放射性核種に関する既存の規制と基準を強化すべきです」。

PSR ノーベル賞受賞 医師団

日本で危機が続く中、人に発癌の危険が生じるのは最低100ミリシーベルト(mSv)被曝したときだという報道が様々なメディアでますます多くなされるようになっている。これまでの研究で確立された知見に照らしてみると、この主張は誤りであることがわかる。100 mSv の線量を受けたときの発癌リスクは100人に1人、10 mSv では1000人に1人、そして1 mSV でも1万人に1人である

ある食品の汚染レベルで個々人が癌になる危険は小さいとしても、数千人、数百万人の人々がそのレベルの放射線に晒されるならば、癌になる人が出てくる。

PSR理事から会長に選出されたアンドリュー・カンター博士は、「放射線の影響は子どもの方がはるかに大きく、癌になる可能性は大人よりはるかに高いのです」と語る。「ですから、子どもが放射能を含む食品や水を摂取することは特に危険です」。

日赤、原子力災害時に救護指針「累積被曝1ミリまで」
 (2013年6月16日 朝日新聞)

 【大岩ゆり】日本赤十字社が、原子力災害時の医療救護の活動指針を作った。住民の立ち入りが制限される警戒区域内には入らず、累積被曝(ひばく)線量が1ミリシーベルトを超えない範囲で活動すると決めた。1ミリは一般住民の平常時の年間限度。これに対し、被曝医療の専門家から「被災者への救護、対応が十分にできない」と見直しを求める声が出ている。

 日赤は法律により、災害時の被災者の救護が業務の一つと定められている。医師1人、看護師3人、運転手1人、事務職員1人が1組の救護班を全国に500組以上、組織している。

 東日本大震災では延べ900組の救護班が被災地に入ったが、当初、原子力災害への備えがなく、東京電力福島第一原発事故直後の福島県内では、救護班がいない「空白期間」が生じた。その反省から、原子力災害の活動指針を作ったという。救護班は線量計や安定ヨウ素剤を携行し、累積被曝線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば、安全な地域に退避するとした。


内閣官房参与の小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)が抗議の辞任

原発事故が起こった3年前の2011年4月29日、内閣官房参与だった小佐古敏荘東大教授が辞表を提出した。学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されず、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と涙を流しながら抗議の辞任をした

小佐古敏荘「小学生に20ミリSvは、私には許すことができません」

小佐古敏荘「自分の子どもをそういう目にあわせるのは絶対にいやですよ」


◆◆20ミリ以下、大きな影響なし 規制委、住民帰還で提言へ◆◆
 (2013/11/08 共同通信)から抜粋

 東京電力福島第1原発事故で避難している住民の帰還に向け、放射線防護対策の提言を検討している原子力規制委員会が、年間の追加被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はないという見解を提言に盛り込む方針を固めたことが8日、分かった。

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

「年20ミリシーベルト以下影響なし」提言方針で各首長憤り
(2013年11月9日 福島民友ニュース)

年間の被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はないとする見解を原子力規制委員会が放射線防護対策の提言に盛り込む方針を固めたことを受け、双葉郡8町村長でつくる双葉地方町村会は8日に広野町で開いた会合の席上、事前に説明がないことなどに不快感を示し、各首長がそれぞれ国に対して説明を求めることを確認した。

 同町村会長の山田基星広野町長は「これまで1ミリシーベルトとして除染などを進めてきたのに、住民にどう説明するのか。安全の基準が不透明になってしまうし、除染や支援策などを打ち切りにされれば復興の足かせになる」と憤った。来春に帰還を判断する松本幸英楢葉町長は「一方的なやり方に疑問を抱く。『1ミリシーベルト以下が安全』ということは町民に刻まれている。基準を上げる理由をしっかりと説明してほしい」と語った。

*****

最も放射能の影響を受ける子どもたちの命が軽視されている。「子どもの命」よりも「目先の経済」を優先するような組織が「食品の放射性物質基準」の緩和まで言い出した。

食品の放射性物質基準、緩和検討 規制委員長
(2014年3月5日 21時55分 中日新聞)

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日の記者会見で、一般の食品に含まれる放射性物質濃度を1キログラム当たり100ベクレルとした国の基準について「欧州の10分の1以下(の厳しさ)で非常に疑問だ」と述べ、近く設置する放射線審議会で、基準の緩和も含めた見直し議論が必要との認識を示した。

 放射線審議会は、被ばく線量評価や放射線医学などの専門家10人前後で構成する予定。

 また田中委員長は、原発事故の発生時に避難を始める放射線量の基準はあるが「(事故収束後に地元に)帰る基準は国際的にも明確じゃない」とし、日本が主導して、新基準を検討する必要があるとの考えを示した。
(共同)

この「原子力規制委員会」委員長は、チェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けたベラルーシやウクライナなどの基準を知らないのだろうか?

飲み物と食べ物の放射能基準

この3年間に起こった出来事をふり返ってみたい。

関東、東海まで子どもの体内被曝が判明 【主食の米】要注意
(2013/10/15 エコロジーの風)から抜粋

子どもたちの体内被ばくが広がっている中で、福島県の米から基準値を超える120ベクレル/kgの放射性セシウムが検出された。一方、福島県やJA(農協)は「子どもたちが 福島の米を食べれば、安全性を全国にアピールできる」と、学校給食に福島米の導入を補助金まで使って推進している。

原発事故のあと、年間1ミリシーベルトの被ばく限度量を20ミリシーベルトに引き上げたまま2年半以上も元に戻さず子どもたちの外部被ばく量を増やし続け(呼吸などから内部被ばくも増える)更に、給食で汚染された食べ物を食べさせて、内部被ばくを増やし続けている

内部被ばく(体内被ばく)の話の前に、外部被ばくの状況を再確認しておきたい。 政府は、原発事故のあと「非常時の被ばく限度量」として設定した20ミリシーベルトを1ミリシーベルトに戻さないだけでなく、チェルノブイリ法では「移住義務エリア」となる5ミリシーベルトにすら下げていない。

福島の帰還基準、避難者と賠償額の増加を恐れて「年5ミリ」とせず

原発事故で避難した住民が自宅に戻ることができる基準を「年20ミリシーベルト以下」から「年5ミリシーベルト以下」にする案を政府が検討したが、避難者が増えることを懸念して見送っていた。

「多くの医者と話をする中でも5ミリシーベルトの上と下で感触が違う」と5ミリ案を検討。チェルノブイリ事故では、5年後に5ミリの基準で住民を移住させた。(日本では、原発事故による放射能汚染地以外は)年換算で、5.2ミリ超の地域は 放射線管理区域に指定され、原発労働者が同量の被曝で白血病の労災認定をされたこともある。ところが、5ミリ案は実行されなかった。「20ミリ案は甘く、1ミリ案は 県民が全面撤退になるため、5ミリ案を検討したが、避難者が増えるとの議論があり、固まらなかった」 「賠償額の増加も見送りの背景にある」(2013年5月25日 朝日新聞)から要約

記事全文

その5ミリシーベルト以下のエリアでも26年後のチェルノブイリでは、75%以上の子どもたちが病気になっている

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』

(2012年9月にNHKで放送されたドキュメンタリー番組の書籍版 NHK出版)
ウクライナのコロステンの市内は、年間0・5~1ミリシーベルトの「放射線管理区域」と年1~5ミリシーベルトの「移住権利区域」が半分ずつ占めている。日本でも同程度の汚染地域は広く分布しており、年0・5ミリシーベルト以上の汚染地域ならば1千万人以上が暮らしているだろう。チェルノブイリから26年後のコロステンの現状は、目をそらすことなく凝視すべきだろう。子供たちの75%以上が何らかの疾患を抱えているという「現実」はあまりにも重すぎる。

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』


ウクライナ政府(緊急事態省)報告書
『チェルノブイリ事故から25年“Safety for the Future”』

(2011年4月20―22日、チェルノブイリ25周年国際科学会議資料)


1996年からベラルーシの国立甲状腺がんセンターにて、小児甲状腺がんの外科治療を中心に医療支援活動に従事した菅谷昭さんは、次のように語っています。

「チェルノブイリでは、国立甲状腺がんセンターだけで子どもの手術をしましたので、データが非常にしっかり残っています。それによると、子どもの甲状腺がん患者のうち6人に1人が肺に転移しているんですね。ですから、甲状腺がんの疑いがあるのだったら早く手術をした方がいいと思うんです」

そして、子どもたちの「疎開」や「留学」に言及されています。

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セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度
(週刊朝日 2013年10月4日号)

関東15市町で実施されている最新検査で、子どもたちの尿の7割からセシウムが検出されていたことがわかった。ジャーナリストの桐島瞬氏は、その被曝の深刻度を明らかにする。

入手したショッキングなデータをまず、ご紹介しよう。常総生活協同組合(茨城県守谷市)が、松戸、柏、つくば、取手など千葉、茨城の15市町に住む0歳から18歳までの子どもを対象に実施した尿検査の結果である。

「初めの10人を終えたとき、すでに9人からセシウム134か137を検出していました。予備検査を含めた最高値は1リットル当たり1.683ベクレル。参考までに調べた大人は2.5ベクレルという高い数値でした。いまも検査は継続中ですが、すでに測定を終えた85人中、約7割に相当する58人の尿から1ベクレル以下のセシウムが出ています」(常総生協の横関純一さん)

検査を始めたのは、原発事故から1年半が経過した昨年11月。検査対象全員の146人を終える来年明けごろには、セシウムが検出される子どもの数はさらに膨れ上がっているだろう。

セシウム134と137はウランの核分裂などにより生じ、自然界には存在しない物質だ。福島から近い関東の子どもたちが、原発事故で飛び散ったセシウムを体内に取り込んでいるのは間違いないだろう。副理事長の大石光伸氏が言う。

子どもたちが食べ物から常時セシウムを摂取していることが明らかになりました。例えば8歳の子どもの尿に1ベクレル含まれていると、1日に同じだけ取り込んでいると言われます。内部被曝にしきい値はないので、長い目で健康チェックをしていく必要があります

関東だけではない。放射能汚染による体内被曝が、東海や東北地方にまで及んでいることも分かった。福島を中心に200人以上の子どもの尿検査を続けている「福島老朽原発を考える会」事務局長の青木一政氏が、実例を挙げて説明する。

「昨年11月に静岡県伊東市在住の10歳の男児、一昨年9月には岩手県一関市在住の4歳の女児の尿からセシウムが出ました。この女児の場合、4.64ベクレルという高い数字が出たため食べ物を調べたところ、祖母の畑で採れた野菜を気にせずに食ベていたのです。試しに測ってみたら、干しシイタケから1キロ当たり1810ベクレルが検出されました」

食品に含まれる放射性セシウムの基準値は、1キログラムあたり一般食品100ベクレル、牛乳と乳児用食品50ベクレル、飲料水と飲用茶10ベクレルだ。ただし、基準そのものに不信感を持つ消費者も多い。検査もサンプル調査だから、東日本の食材を敬遠し、なおかつ1ベクレルでも気にする風潮につながっている。

体内にセシウムを取り込むと、どういう影響が出るのか。内部被曝に詳しい琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏が解説する。

セシウムは体のあらゆる臓器に蓄積し、子どもの甲状腺も例外ではありません。体内で発する放射線は細胞組織のつながりを分断し、体の機能不全を起こします。震災後、福島や関東地方の子どもたちに鼻血や下血などが見られたり甲状腺がんが増えているのも、内部被曝が原因です。怖いのは、切断された遺伝子同士が元に戻ろうとして、間違ったつながり方をしてしまう『遺伝子組み換え』で、これが集積するとがんになる可能性があります

矢ケ崎氏は、尿中に含まれるセシウム137がガンマ線だけ勘定して1ベクレルだとすれば、ベータ線も考慮すると体内に大人でおよそ240ベクレルのセシウムが存在し、それに加えてストロンチウム90もセシウムの半分程度あるとみる

体に入ったセシウムは大人約80日、子ども約40日の半減期で排出されるが、食物摂取で体内被曝し、放射線を発する状態が続くことが危険だと言う。

常総生協が昨年度、食品1788品目を調査した資料がここにある。結果を見ると、280品目からセシウムが検出されていた。米74%、きのこ63%、お茶50%、それに3割近い一般食品にもセシウムが含まれていたのだ。

※週刊朝日  2013年10月4日号


南相馬の玄米2袋から基準値超セシウム検出
(2013年10月9日 福島民友ニュース)

 県は8日、2013(平成25)年産米の全量全袋検査の結果、3年ぶりに作付けを再開した南相馬市原町区の旧太田村の農家1戸が生産した玄米2袋から、食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える同120ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。13年産米が基準値を上回ったのは初めて。基準値超の玄米は同市が隔離して処分するため、市場には流通しない。

 県によると、3日の検査でこの農家が生産した「ひとめぼれ」の玄米52袋(1袋30キロ入り)のうち、44袋がベルトコンベヤー式検査機器で設定した水準(同65ベクレル)を上回った。44袋の詳細検査を行い、2袋の玄米が基準値を超えた。基準値以下の玄米は出荷できる


◆◆給食に福島米を推進する中で、セシウム基準値超え120ベクレル

南相馬市旧太田村産玄米の放射性セシウム濃度(2013年10月3日採取)
厚生労働省が2013年10月8日公表した食品中の放射性物質の検査結果データ45袋の玄米セシウム合計は、ほぼ60~80ベクレル/kg

2013年玄米のセシウム濃度グラフ:南相馬120?60ベクレル


国体などで福島県産米使い支援
(2013年10月3日 NHK)から抜粋

原発事故による風評被害にあっている福島県の農業を支援しようと、東京都は国民体育大会とそれに続く全国障害者スポーツ大会に参加する選手団やスタッフに配る弁当に福島産の米を使う取り組みを始めています。

国体などで福島産の米を使い支援


ユーリ・バンダジェフスキー博士(元ゴメリ医科大学学長)の警告
子どもの体重1kgあたり、セシウム137が10ベクレル(体重5kgの子どもなら50ベクレル)蓄積するだけで遺伝子に影響を与え、不整脈を引き起こす可能性がある(不整脈は、心臓病につながる)と警告していまます。
体重5kgの幼児が、セシウム137を毎日0.32ベクレル摂取し続けると体内10ベクレル/kgになります

バンダジェフスキー研究 セシウム濃度と不整脈

子どもの体重1kgあたり0~5ベクレル セシウム137が蓄積している子どもでは、80%の子どもたちは正常な心電図です(20%は正常ではない)。しかし、子どもの体重1kgあたり12~26ベクレル セシウム137が蓄積している子どもたちでは、正常な子どもは40%になります。60%の子どもたちが不整脈を引き起こしています。

国際放射線防護委員会(ICRP)は一度に1000ベクレル摂取した場合、毎日1ベクレル摂取した場合、毎日10ベクレル摂取した場合の体内セシウム137蓄積量のグラフを公表しています。(ICRP Publication 111)

毎日1ベクレル摂取で、2年後には体内蓄積200ベクレルに

毎日1ベクレル摂取しただけで、700日後(約2年後)には体内蓄積量は200ベクレル近くにもなります。毎日10ベクレル摂取していると、700日後(約2年後)には体内蓄積量は1400ベクレルを超えます。


◆チェルノブイリでも日本でも心臓病が急増
チェルノブイリ原発事故の後、放射能汚染地の住民に心臓病が急増していきました。原発事故から22年が過ぎた2008年、ベラルーシで亡くなった人の半数以上(52.7%)が心臓病でした。何故、心臓病が激増したのか―私たちは学ぶ必要があります。

2008年のベラルーシの死因 52.7%心臓病

チェルノブイリ原発事故後のベラルーシで、バンダジェフスキー博士が病気で亡くなった人を解剖して分かったことは、心臓病の多くは、放射性セシウムが心筋(心臓の壁を構成する筋肉)に蓄積して起こったということです。

日本では、心疾患死亡に関する人口統計において、福島県の心疾患死亡率が2011年度の全国一位になっています。(秋田県が公開したデータ)


◆2011年度 心疾患死亡率は、福島が全国一位
福島は、2010年度の8位から2011年度(2011年4月~2012年3月)は1位になっています。また、福島に近いほど心疾患死亡率が増加しています。

福島と周辺県の心疾患死亡率が増加

     2010年度  2011年度  増加率   
福島   197.6   226.0   14.4%  
宮城   141.3   160.0   13.2%  
茨城   150.1   165.9   10.5%  
岩手   202.6   219.3    8.2%  

全国平均 149.7  154.4    3.1%  

心疾患死亡率 2011年と2012年度の比較


体内にセシウム 心臓疾患まねく チェルノブイリ事故で警鐘
(2013年7月29日 東京新聞 朝刊)

チェルノブイリ原発事故最大の被災国ベラルーシで、死亡した人を解剖して臓器ごとの放射性セシウムを測定した医師がいる。ウクライナ在住の病理解剖学者ユーリー・バンダジェフスキー氏(56)だ。低線量内部被ばくに警鐘を鳴らす研究は当局に危険視され、投獄される憂き目も見た。来日した「不屈の学者」に聞いた。

東京新聞:体内にセシウム 心疾患招く バンダジェフスキー


福島米の安全性のアピールに貢献するのは
国体選手と障害者、地元の学童たち

(2013年10月3日 みんな楽しくHAPPYがいい)から抜粋

「自分で食べないものを」といわれて福島市のJA新ふくしま組合長、吾妻雄二(66)は考えた。自分たちが食べるしかない。とくに、学校給食に福島市産米を使うことだ。子どもたちが福島の米を食べれば、安全性を全国にアピールできる――。

プロメテウスの罠 給食に福島米

福島 給食で地元米の使用再開
福島県内の学校給食 「県産食材」震災後も使用 
さらに新年度、県産食材使用市町村に食材購入費を補助
県は新年度、県産食材を給食に使う市町村に食材購入費を補助する。


日本では、チェルノブイリの経験がまったく生かされていない
【ウクライナで5万人の子どもを診察したエフゲーニャ・ステパノワ博士】

エフゲーニャ・ステパノワ「汚染地の子ども 病気になりやすい」

日本人へのアドバイス 病気予防対策の一番目
放射能に汚染されていない食べ物をとること

加えて、充分なビタミンをとること。体力増進に努めること。
汚染地域を離れて保養施設などで休むこと(最低でも4週間)


ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』

「日本の脱原発運動を象徴する人物」とも評された高木仁三郎さんが、ライト・ライブリフッド賞の受賞式で「科学者としてこの世で最も尊敬するジョン・ゴフマン教授」とスピーチしたように、ゴフマン博士は多くの心ある科学者に影響を与えました。

京都大学原子炉実験所の今中哲二さんや小出裕章さんが中心となって翻訳したゴフマン博士の名著 『人間と放射線―医療用X線から原発まで―』について、小出さんは講演などで「放射線被ばくに関して最も信頼できる本」として、よく引用されています。

ゴフマン著 『人間と放射線―医療用X線から原発まで』

ゴフマン博士の【年齢別、放射能の影響】の研究によれば、55歳以上と子どもを比べると、10歳の児童は200倍以上の影響を受け、0歳の乳児は、300倍以上も大きな影響を受けます。

ゴフマン 年齢別がん死者数グラフ

児童が5~10ベクレル/kg汚染された給食を食べているというのは、55歳以上の大人が、その200倍の1000~2000ベクレル以上に汚染されたものを食べているのと同じです
 
福島県と小中学校は、まず、福島の米や野菜の給食での使用を取りやめ、ゴフマン博士やバンダジェフスキー博士の研究、ウクライナ政府報告書「チェルノブイリの被害の全貌」などを時間をかけて慎重に検討した上で、どのような食材を給食に使用するのかを決めてほしい。ただでさえ、日常的に外部被ばくを受けている子どもたちに、これ以上内部被ばくを加えるべきではありません

南相馬市 妊婦の被ばく状況 平均2.8ミリ

ブログの最後に、もう一度、書いておきたいことは、現状ですら子どもを放射能から守る姿勢が弱い中で、「年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はない」「食品の放射性物質基準を緩和すべき」という原子力規制委員会――なんと倫理観のない人命軽視の組織なのだろうか。

今こそ、ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉をかみ締めたいと思います。

チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です


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