2013/06/18

経済成長に原発利用「反対」59% 原発輸出、58%が支持せず

経済成長に原発利用、「反対」59% 朝日新聞世論調査
原発輸出、58%が支持せず─支持は24%=時事世論調査

社説:安倍政権の原発政策 逆戻りは許されない
(毎日新聞 2013年06月16日 東京朝刊)

 原発政策が、「3・11」前に逆戻りし始めたのではないか。安倍政権の姿勢に、そんな懸念を持たざるを得ない。

 経済政策「アベノミクス」の第三の矢として閣議決定した成長戦略に、原発再稼働への決意と原発輸出への強い意欲が盛り込まれた。それを先取りするように、安倍晋三首相は原発輸出の「トップセールス」にまい進している。

 東京電力福島第1原発の過酷事故を踏まえて自民党は、昨年末の総選挙で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」を公約に掲げたはずだ。なし崩しの方向転換は、とうてい認められない。

 ◇首相主導の輸出を懸念

 成長戦略には、原子力規制委員会の規制基準で安全性が確認された原発の再稼働を進めると明記された。原発を含めたインフラの輸出については、2020年に今の3倍の約30兆円にするという目標を掲げた。そのために、首相・閣僚レベルが毎年10件以上をトップセールスし、官民一体で売り込んでいくという。

 安倍首相は4〜5月の外遊で、トルコやアラブ首長国連邦、サウジアラビアに原発や関連技術を売り込んだ。インドのシン首相とは、原発輸出の前提になる原子力協定の締結交渉を促進することで合意した。

 そして今度は、ポーランドを訪問してチェコ、スロバキア、ハンガリーを加えた東欧4カ国の首脳に日本からの原発輸出を働きかける。

 「アベノミクス」を看板にする首相にとって、成長戦略は政権浮揚のカギを握る大事な一手だ。ところが、盛り込まれた政策の多くは即効性に乏しく、市場の評価も厳しい。

 その中にあって、原発輸出は1基数千億円の巨大ビジネスだ。国内での原発の新増設は極めて難しいだけに、原発需要が高まっている新興国は、垂涎(すいぜん)の市場に映るのだろう。原発関連の技術を維持・承継するためにも輸出は必要という議論もある。

 しかし、そうした理由を重ねても、首相が先頭を切って輸出にまい進することは、正当化できない。

 安倍首相は「日本は世界一安全な原発の技術を提供できる」と言い切る。しかし、2年前の3月11日に起きた原発事故の原因究明は、終わっていない。「世界一安全」という根拠はどこにあるのか

 事故の現場では、放射能の脅威にさらされながら、出口の見えない収束作業が続いている。毎日400トンずつ増える汚染水の処理もままならない。そして、今なお多くの被災者が故郷を離れた生活を余儀なくされている。原発事故がもたらす犠牲の大きさは、計り知れない。このままでは、ビジネス上の利益を優先させて過酷事故のリスクを輸出することになりかねない。

 原発の立地や安全性にお墨付きを与えてきたのは自民党の長期政権だった。安倍首相は「安全だ」と胸を張るのではなく、その責任を自覚し、反省を今後のエネルギー政策に生かす姿勢を示すべきだ。

 一方、国内のエネルギー政策の中で原発をどう位置づけるかの議論は全く進んでいない。民主党政権は、国民的な議論を経て「30年代に原発稼働ゼロを目指す」という方針を打ち出した。首相はそれを「白紙見直しする」というが、具体化は先送りしたままだ。

 ◇廃炉技術で国際協力を

 海外で「原発推進」の実績を積み重ね、国内での方針転換の地ならしにする思惑があると見られてもしかたがない。むしろ、今、成長戦略として力を入れるべきは、再生可能エネルギーや省エネであり、そのための具体的な議論こそ早急に進めてもらいたい。

 安倍政権が、フランスと核燃料サイクルでの協力を打ち出したことの違和感も大きい。日本は使用済み核燃料の全量を再処理し、取り出したプルトニウムを再び燃やす核燃料サイクルを国策としてきたが、実用化の見通しはまったくたっていない。

 核燃料サイクルの一翼を担う高速増殖原型炉「もんじゅ」は、度重なるトラブルで止まったままだ。運営主体である日本原子力研究開発機構の安全文化が劣化しているとして、原子力規制委から運転再開準備の停止命令も出されている。もんじゅの直下を活断層が通っている疑いもある。安全面、技術面のいずれからみても、廃炉にするのが妥当だ。

 青森県六ケ所村に建設中の再処理工場も、すでに19回の完工延期を重ねている。たとえ稼働したとしても、燃やすあてのないプルトニウムが増え続け、核不拡散上の問題は大きい。

 再処理工場は、原発推進が国策だった時代に、仏企業から技術移転を受けたものだ。原発政策を見直す中で、協力関係のあり方も見直すのが当然ではないか。

 原発に依存しない社会をめざす以上、核燃料サイクルに意味はなく、あるのはリスクだけだ。国際協力は廃炉や除染、安全技術や核不拡散で行うのが筋だろう。

 使用済み核燃料の最終処分について何の見通しもないまま、原発を動かすこと自体にも問題がある。安倍政権は、すでにたまってしまった使用済み核燃料の保管や処分にこそ、真剣に取り組んでほしい。

原発輸出、58%が支持せず─支持は24%=時事世論調査
(2013年 6月16日 時事通信社)

 時事通信が7〜10日に実施した6月の世論調査によると、安倍政権が海外への原発輸出を推進していることについて、「支持しない」との回答は58.3%で、「支持する」の24.0%の2倍以上となった。7日の日仏首脳会談では、第三国への原発輸出推進で合意したばかり。東京電力福島第1原発事故から2年余りが経過したが、原発の安全性に対する国民の強い懸念が背景にあるとみられる。 

経済成長に原発利用、「反対」59% 朝日新聞世論調査
(2013年6月10日 朝日新聞)から抜粋

 朝日新聞社が8?9日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、日本経済の成長のためだとして原発を積極的に利用する安倍政権の方針について、反対が59%に上り、賛成27%を大きく上回った。

 停止している原発の運転再開の賛否も聞くと、やはり反対は58%で、賛成28%と大きく差がついた。

 安倍首相は5日、成長戦略の第3弾を発表。この中に「原子力発電の活用」や「安全と認められた原発の再稼働」を盛り込んだが、原発に対する有権者の抵抗感はなお根強いようだ。

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