「大飯原発の破砕帯、現地調査が必要」 多くの専門家が指摘  

大飯原発の敷地内に「活断層の疑いが極めて高い」断層(破砕帯)が存在し、多くの専門家が「現地調査が必要」と指摘しています。渡辺満久東洋大教授、鈴木康弘名古屋大教授など以前から問題を指摘してきた専門家だけでなく、国の「地震・津波に関する意見聴取会(活断層関係)」委員の杉山雄一氏や斑目春樹・原子力安全委員会委員長も再評価すべきと発言しています。

【市民団体による緊急署名の呼びかけ】も始まりました。

大飯原発の破砕帯、総点検を 渡辺教授(東洋大)が講演 
(2012年6月21日午前7時04分 福井新聞)

 関西電力大飯原発の敷地内を通る破砕帯が活断層である可能性を指摘している渡辺満久東洋大教授(変動地形学)が20日、福井市の福井県生活学習館で講演した。同原発周辺の破砕帯を総点検する必要があると指摘。原子炉直下に活断層が見つかった場合は「土地のずれによる被害が避けられない。建設地としての根本的な欠陥であり、廃炉や移転の決断をすべきだ」と述べた。

 市民団体のサヨナラ原発福井ネットワークが主催し、県内を中心に約40人が訪れた。

 渡辺教授が着目するのは、大飯2号機と3号機の間の地下を通る「F6」と呼ばれる破砕帯。岩盤と上部の地層が同様にずれた形跡があり、破砕面に粘土が付着している点から「典型的な活断層の構造だ」とし、国に地質の調査を求めた。調査に必要な期間については「数日で十分やれる」とも話した。

 原子炉直下も含めた他の破砕帯に関しても早急に確認する必要があると指摘。土地のずれにより、耐震性とは無関係に被害が生じる恐れがあるとし「建屋には相当大きなダメージがあり、配管などが無事ですまないことが推定できる」とした。

 政府の再稼働の決定に対しては「最高レベルで安全性を判断したとは思えない」と強調。これまでの国の審査体制について「委員会にいるのは活断層の専門外である地震・地質研究者のみで、変動地形学の研究者が加わってこなかった」と問題点を挙げた。


大飯原発下の断層「再度評価を」 原子力安全委員長が見解
(2012年6月8日午前7時30分 福井新聞)

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)で敷地内を走る軟弱な断層(破砕帯)が動いて地表がずれる可能性があるとの専門家の分析について、原子力安全委員会の班目春樹委員長は7日の記者会見で「最新の知見が出たなら、原子力安全・保安院で評価をしっかりやり直すべきだ」との見解を示した。

 安全委は、大飯3、4号機の再稼働の条件となる安全評価(ストレステスト)の1次評価を妥当とした3月23日付の文書で、常に最新の知見に基づき継続的に安全性の向上に努めるよう求めていた。保安院の森山善範原子力災害対策監は7日「破砕帯の活動性はないと判断しているが、情報収集を続けたい」とした。

 大飯原発の破砕帯をめぐっては、東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)らが、近くにある活断層と連動して動く可能性があるとの分析結果をまとめている。


【大飯原発、地表ずれる可能性】「早急に現地調査を」専門家指摘 
(2012/06/06 21:48 共同通信)から抜粋

 再稼働問題で注目される関西電力大飯原発(福井県)で、敷地内を走る軟弱な断層(破砕帯)が近くの活断層と連動して動き、地表がずれる可能性があるとの分析結果を渡辺満久東洋大教授(変動地形学)と鈴木康弘名古屋大教授(同)が6日まとめた。渡辺教授は「原子炉直下を通る破砕帯もあり、早急に現地調査すべきだ」としている。

 原子炉直下の破砕帯が動いて地表がずれると、安全上重要な設備を損傷させる恐れがあるため、原発の立地場所として不適格となる可能性もある。

 経済産業省原子力安全・保安院は「既に専門家会議で破砕帯の活動性はないと評価済みだ」としているが、専門家会議委員で産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員は「大飯原発など若狭湾の原発は、現地調査であらためて状態を確認するべきだ」としている。

 日本原子力発電敦賀原発(福井県)では、原子炉直下の破砕帯が動く可能性が4月、保安院の現地調査で判明。国の基準を満たさず、廃炉の可能性が浮上している。

◎全原発で破砕帯調査を 

 【解説】原発の安全審査でこれまで国は、地震の揺れによる影響を重視してきたが、地表にずれを生じさせる破砕帯には注目せず、十分な調査も求めてこなかった。最近になって日本原子力発電敦賀原発で原子炉直下の破砕帯が動く可能性が判明しており、最新の知見に照らして全原発で破砕帯の調査をするべきだ。

 保安院の専門家会議委員を務める産業技術総合研究所の杉山雄一主幹研究員は「国の安全審査では事業者の調査データのすべてを確認しきれてはいない。全データの再確認や現地調査が非常に重要だ」と訴えている。
(共同通信)


署名:大飯原発の破砕帯に関する緊急要望書

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