2012/06/08

原子力村 「全電源喪失の対策は不要」 専門家に関連企業が寄付

「原子力ムラの腐臭」
(2012年06月05日 紀伊民報)

 産官学が結びついて形成した「原子力ムラ」が腐臭をまき散らしている。最近の全国紙をみても、官僚組織と電力会社、研究者の不適切な関係が次々と暴露されている

 ▼4日の産経新聞は、東京電力福島第1原発事故の原因となった長時間の全電源喪失について、国の原子力安全委が「対策は不要」という文書を電力会社側に出すよう指示。東電が作った文書をもとに報告書を作成して、安全指針の改正を見送っていたと報じた。安全確保より、電力会社側の利益を優先したといわれても仕方がないだろう。

 ▼3日の朝日新聞は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の安全性を調べるための専門家委員会の委員3人が原子力関連企業・団体から、5年間に1610万円の寄付を受けていたことを調査報道で明らかにした。それぞれ、阪大、京大教授など立派な肩書を持った専門家だが、賄賂まがいの寄付をもらって恥じない様子である。

 ▼労組も負けてはいない。東電労組の委員長は先日、中部電力労組の大会で「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」と脅迫、脱原発に動く民主党の政策に不満を示した

 ▼みんなまるで、あの原発事故がなかったかのような振る舞いである。多くの人が故郷を追われ、今も苦しんでいるのに、こんな連中が国の原子力政策を牛耳っているとはどういうことか。それを制御できない政治が嘆かわしい。もう、市民が立ち上がるしか手はないのだろう。 (石)


全電源喪失 「対策不要」業界に作文指示 安全委、指針改定見送り
(2012年6月4日 Sankei Biz)

 東京電力福島第1原発事故の原因となった長時間の全電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が平成4年、対策が不要な理由を文書で作成するよう電力業界側に指示し、東電が作成した文章をほぼ丸写しした報告書をまとめ、安全指針の改定を見送っていたことが3日、分かった。安全委は事実関係を隠蔽(いんぺい)してきたが、国会事故調査委員会が受理した同部会の内部資料で判明。規制当局側が業界側と癒着し、不適切な指針を容認してきた実態が明らかになった。

 この作業部会は「全交流電源喪失事象検討ワーキンググループ」。海外で全電源喪失の事例が起きたことを受けて3年に設置され、有識者の専門委員のほか東電、関西電力、日本原子力研究所(当時)の外部関係者が参加した。

 長時間の全電源喪失は原発の過酷事故につながる重大事態だが、2年に策定された国の安全設計審査指針は「長時間(30分程度以上)の全電源喪失は考慮する必要はない」としており、作業部会はこの妥当性について非公開の会議を開き検討した。

 会議では、全電源喪失対策を指針に盛り込むことについて、関電が「指針への反映は行き過ぎ」、東電が「(過酷事故の)リスクが特に高いとは思われない」と反発。新たに対策が必要になると設備などでコストが増えるためとみられる。

 これに応じる形で作業部会は4年10月、当時の安全委事務局だった科学技術庁原子力安全調査室経由で、東電と関電に「今後も長時間の全電源喪失を考えなくて良い理由を作文してください」と文書で指示。規制当局の安全委が、規制方針にかかわる文書作成を業界側に丸投げした格好だ。

 これに対し東電は同年11月、「わが国の原発は米国の基準に比べると設計の余裕があり、十分な安全性が確保される」などと回答。報告書案にほぼそのまま盛り込まれ、5年6月に「重大な事態に至る可能性は低い」とする最終報告書が作成され、指針の見直しは見送られた。

 安全委は福島第1原発事故を受け昨年7月、作業部会の議事などを公表し、関連資料はすべてホームページで公開したとしていた。しかし、全電源喪失の対策が不備だった経緯を調査している国会事故調が今年に入って、業界側とのやりとりを示す内部資料が隠蔽されている可能性を安全委に指摘、提出を求めていた。

 原発の全電源喪失 原発に送電線経由で送られる外部電源と、ディーゼル発電機などの非常用電源がともに失われる緊急事態。国の安全設計審査指針では国内の原発で発生しても30分程度で復旧するとされ、長時間の発生は考慮する必要はないとされていた。しかし、東京電力福島第1原発事故で長期間にわたり発生し、原子炉の冷却機能が失われ炉心溶融などの深刻な事態を招いた。


原発業界、もんじゅ委員に寄付 3人に計1610万円
(2012年6月3日15時8分 朝日新聞)

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の安全性を調べるために設置された専門家委員会の委員7人のうち3人が、原子力関連の企業・団体から寄付を受けていたことが、朝日新聞の調べでわかった。寄付は、もんじゅのストレステスト(耐性評価)の業務を受注した原発メーカーなどからで、5年間で計1610万円になる。

 委員会は、昨年11月に文部科学相の指示で機構が設置した「もんじゅ安全性総合評価検討委員会」(委員長=片岡勲・大阪大教授)

 朝日新聞が委員の所属大学に情報公開請求し、対象となる過去5年分(2006~10年度)が開示され、委員に直接取材した。寄付を受けていたのは宇根崎博信・京都大教授(計180万円)、片岡教授(計450万円)、竹田敏一・福井大付属国際原子力工学研究所長(計980万円)で、3人は取材に対し受領を認めたうえで、審議への影響を否定している。

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