2012/01/01

生涯100ミリシーベルトの基準で、本当に健康への影響はないのか?

追跡!真相ファイル(NHK 12月28日放映)から抜粋

“生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?”

福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告
広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。

しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。

当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。
そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。

アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増。
25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。

いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。
国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡する。


NHK 追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺れる国際基準」文字起こしから抜粋

ナレーション:福島第一原子力発電所の事故から9カ月、私は作家の室井佑月さんとともに千葉県の柏市を訪ねました。原発からおよそ200キロ、一部の場所で今も放射性物質が検出されています。

食品に含まれる放射性物質の量を調べる民間の施設です。国は生涯100ミリシーベルトを上限に食品の安全基準を定めています。しかし人々の反応は・・・母親の声「子どもに関しては、この数値でも心配だなと思っています」「みなさん今の(国の)基準を信じている方はいらっしゃらないと思います」

国が根拠としているのがICRP(国際放射線防護委員会)が定める基準です。100ミリシーベルト以下の低線量の被曝のリスクは極めて小さく、ほとんど影響がないとしています。本当にそうなのか?

低線量被曝の実態を調べるため、追跡チームは海外を取材しました。チェルノブイリ原発事故の影響を受けた北欧スウェーデン。放射線のレベルはあまり高くなかったこの地域でも、ガンが増えていました。食べ物を通して被害が広がったと見られています。

これまで、ほとんど影響がないとされてきた低線量被曝。それに疑問を投げかける事態が世界で起きています。スウェーデン北部ベステルボッテン県。古くから少数民族サーメの人々が暮らしてきました。

住民:いま周辺でガンが増えています。放射能が原因ではないかと疑っています。

<ナレーション> 原因と見られているのは、25年前に起きたチェルノブイリ原発事故。放射性物質を含んだ死の灰は、1500キロ離れたサーメの町まで降り注ぎました。当時の放射線レベルは、年間およそ0.2ミリシーベルト。国際基準の5分の1程度の低いレベルでした。

 しかし今、ガンになる住民が増えています。事故の前と比べると、34%増加しました。事故直後スウェーデン政府は、食べ物に含まれる放射性物質の安全基準を設けました。人々がよく食べるトナカイの肉は1kgあたりの上限が300ベクレル。現在の日本の暫定基準値(500ベクレル)より厳しい値です。サーメの人々は食べる肉の量も減らし、身体への影響を抑えようとしてきました。

なぜガンが増えたのか。住民の調査を続けてきたマーティン・トンデル博士は汚染された食べ物を体内に取り込んむことでリスクが高まったのではないかと見ています。トンデル博士は汚染地域で暮らすすべての住民110万人のデータを解析。ガンになった人の被曝量を調べると、事故後10年間の積算でいずれも10ミリシーベルト以下だったことがわかりました。ICRPがほとんど影響がないとしている低線量でも、ガンになる人が増えていたのです。

トンデル博士:この結果に驚きました。明らかになったリスクがICRPより高かったからです。リスクは外からの被曝だけでなく、内部被曝に左右されるのです。


<ナレーション> 次に追跡チームが向かったのは、世界一の原発大国アメリカ。ここではより影響を受けやすい子供たちに深刻な問題が起きていました。イリノイ州シカゴ郊外。周辺に3つの原発が集中しています。原発から排出される汚水には放射性トリチウムが含まれていますが、アメリカ政府は国際基準以下なので影響はないとしてきました。しかし近くの町では子供たちがガンなどの難病で亡くなっていました。

ソウヤーさん夫妻はガンと原発との関係を証明するため、州政府からあるデータを取り寄せました。過去20年間、全住民1200万人がどんな病気にかかったかを記した記録です。小児科医の夫ジョセフさんが分析したところ原発周辺の地域だけが脳腫瘍や白血病が30%以上増加。なかでも小児ガンは、およそ2倍に増えていました。

ソウヤーさん夫妻は全住民の徹底的な健康調査を求めました。しかし国は「井戸水による被曝量は年間1マイクロシーベルトと微量で健康を脅かすことはない」と回答してきました。

<NHKのスタジオ>
室井:いまのVTRはショックでしたね。基準値内だと「リスクは低い」って言い方をするんですけど…ガンにかからない人もいるだろうけど、セーラさんみたいにかかってしまう人もいるわけで。だから「リスクは少ない」という言い方は、逆にして言うと「リスクを背負い込む人もいる」ということですね。

西脇:これはどれだけ被曝したらガンで亡くなるリスクが高くなるかということを示したグラフです。ICRPでは100ミリシーベルトでは0.5%ガンになるリスクが高くなるとしています。一見すると「大したことないじゃないか」と思われるかもしれませんが、例えば1万人の人がこれを浴びた場合は50人が、100万人の人が浴びた場合は5000人がガンで亡くならなくてもいい方がリスクを負ってしまうと。

鎌田:我々がいつも疑問なのは、じゃあこれ(100ミリシーベルト)より低い場合は…これが正しいかどうかも含めて、本当にこれでいいのかどうかわからない。

室井:しかも幼児や子供はもっとリスクが上がるじゃないですか。

西脇:そうですね、実はそのICRP自身がこの基準を見直すべきかどうか議論を進めていることがわかってきたんです。

<ナレーション> 10月、アメリカでICRPの会議が開かれました。ICRPはおよそ30カ国250人の科学者や政府関係者でつくるネットワークです。会議の一部だけが音声での取材を許可されました。

福島第一原発での事故を受けて低線量被曝のリスクの見直しを求める意見が相次ぎました。
会議での発言:「8歳や10歳の子供がなぜ原発労働者と同じ基準なのか。福島の母親や子供たちは心配している」「ICRPの低線量リスクがこのままでいいのか、大きな疑問が持ち上がっている」

ICRPは低線量のリスクをどう見直そうとしているのか。カナダのオタワにある本部に直接聞くことにしました。事務局長のクリストファー・クレメンス氏です。すでに作業部会を作り、議論を始めているといいます。

クレメンス:問題は低線量のリスクをどうするかです。

<ナレーション> クレメンス氏は私たちに驚くべき事実を語りました。これまでICRPでは低線量の被曝のリスクは低いとみなし、半分にとどめてきたというのです。

クレメンス:低線量のリスクを半分にしていることが本当に妥当なのか議論している。

<ナレーション> 低線量のリスクをめぐる議論は、実は1980年代後半から始まっていました。基準の根拠となっていた広島・長崎の被爆者データがこの頃修正されることになったのです。それまで原爆で1000ミリシーベルトの被曝をした人は5%ガンのリスクが高まるとされてきました。それが日米の合同調査で、実際はその半分の500ミリシーベルトしか浴びていなかったことがわかったのです。半分の被曝量で同じ5%ということは、リスクは逆に2倍になります。しかしICRPは低線量では半分のまま据え置き、引き上げないことにしたのです。

なぜ低線量のリスクを引き上げなかったのか。私たちは議論に関わったICRPの元委員に取材することにしました。当時の主要メンバーは17人。そのうち13人が核開発や原子力政策を担う官庁とその研究所の出身者だったのです。その一人、チャールズ・マインホールド氏。アメリカ、エネルギー省で核関連施設の安全対策にあたっていた人物です。電話での交渉を重ねて、ようやく私たちの取材に応じました。チャールズ・マインホールド氏、1970年代から90年代半ばまでICRPの基準作りに携わってきました。

低線量のリスクを引き上げなかった背景には、原発や核関連施設への配慮があったといいます。

マインホールド:原発や核施設は、労働者の基準を甘くしてほしいと訴えていたその立場はエネルギー省も同じだった。基準が厳しくなれば核施設の運転に支障が出ないか心配していたのだ。

<ナレーション> マインホールド氏は自らも作成に関わったという、エネルギー省の内部文書を取り出しました。1990年、ICRPへの要望をまとめた報告書です。低線量のリスクが引き上げられれば、対策に莫大なコストがかかると試算し、懸念を示していました。

マインホールド氏はアメリカの他の委員と協力し、リスクの引き上げに強く抵抗したといいます。

マインホールド:アメリカの委員が低線量では逆に引き下げるべきだと主張したのだ。低線量のリスクを引き上げようとする委員に抵抗するためだった。

<ナレーション> その後ICRPは、原発などで働く労働者のために特別な基準を作ります。半分のまま据え置かれていた低線量のリスクをさらに20%引き下げ、労働者がより多くの被曝を許容できるようにしたのです。

マインホールド:労働者に子供や高齢者はいないので、リスクは下げてもよいと判断した。科学的根拠はなかったが、ICRPの判断で決めたのだ

<ナレーション> いまアメリカでは原発や核関連施設で働いていた人たちが、相次いで健康被害を訴えています。女性たちは核燃料の再処理施設で、長年清掃の仕事をしていました。

元労働者:乳がんと喉頭がん、そして顔に皮膚がんを患っています。健康への影響はないと信じて働いてきた女性たち。いま国に対して補償を求める訴えを起こしています。

元労働者:私たちはモルモットでした。どんなに危険かも知らされませんでした。

NHKのスタジオ

室井:ICRPの人が出てきましたけど、「根拠がない」って。「半分に減らしてもかまわない」みたいなことを言ってましたけど、「根拠がない」って初めて聞いたんで驚いちゃったんですけど。

西脇:こちらをご覧いただきたいんですけど、これは2010年のICRPの予算がどこから来ているのかを示したものなんですけども、アメリカの原子力規制委員会を筆頭に、原子力政策を担う各国の官庁から・各国政府からの寄付によって成り立っているんですね。

西脇:日本も原子力を推進する日本原子力研究開発機構が毎年それなりの額を寄付している

室井:そうするとICRP自体が原発を推進したい人たちの側が作ったものだから、安全基準値を決めるわけだから…それじゃいけないんですよね。自分で判断していくしかないと思うんです。しかも安全な方に。

最後のVTR

<ナレーション> 原発の近くで暮らし、幼いころ脳腫瘍を患った18歳のセーラさんです。治療の後遺症で右手が麻痺し、いまも思うように動かすことができません。被曝から健康を守るための基準があるのに、自分のような被害が後を絶たないことにやりきれない思いを感じています。

セーラ:科学者には私たちが単なる統計の数値でないことを知ってほしい。私たちは生きています。空気と水をきれいにして下さい。たくさんの苦しみを味わいました。誰にも同じ思いをしてほしくはありません。

3月、国と県は放射性物質の拡散予測を公表せず、住民が大量被ばく

★保存しておきたい記事(1)

【浪江町の津島避難】 
線量情報なく町民孤立 国と県、予測伝えず 安全信じ…空白の4日間
(2011年12月11日 福島民報 3.11大震災・検証)

 東日本大震災から11日で9カ月を迎える。震災と東京電力福島第一原発事故により、今も多くの県民が県内外で避難生活を送る。原発から北西に約25キロ離れた浪江町津島地区。事故後の3月12日から4日間にわたり、多くの町民が避難生活を送った。国は12日、津島地区がある原発から北西方向への放射性物質拡散を予測し、13日には地区の10キロほど東側で高い線量を計測していた。しかし、国、県からは何も伝えられず、町は線量を把握できずにいた。

■避難者あふれる

 「津島に行こう。支所があるし学校を避難所として使える」。国の避難指示が原発から10キロ圏に拡大した3月12日、浪江町災害対策本部会議で幹部職員の意見が一致した。町内の津島地区は誰もが安全だと信じていた。

 原発から29キロほどの距離にある町津島支所。固定電話は一切使用できず、無線もない。通信手段は時折つながる携帯電話だけだった。根岸弘正町総務課長(58)は放射性物質の飛散を心配していた。12日午後には国の指示は20キロ圏内の避難に拡大された。「まだ、それよりは10キロほど離れている」。不安を打ち消した。

 人口1400人ほどの津島地区は約8000人の町民であふれた。津島小、津島中の体育館では避難住民が肩を寄せ合う。馬場績町議(67)の自宅にも22人が寝泊まりした。見知らぬ顔もあった。避難者は井戸水や沢の水を飲み、しのいだ。

 避難者の多くは津島地区で避難生活を続けた。車のガソリンが底を突くケースもあった。馬場町議は「町の災害対策本部がとどまっていたため、避難住民は安全だと思っていた」と振り返った。

 14日夜、津島地区の南に隣接する葛尾村で「全村避難する」との防災無線が流れた。静かな山あいにある津島地区にもその声が届いた。「ここにいて本当に大丈夫なのか」。避難住民に動揺と不安が一気に広がった。

■伏せられたデータ

 原子力安全技術センター(東京)は震災直後から一時間ごとの「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算を開始した。12日には津島地区への放射性物質飛散を示すデータもあった。

 根岸課長は後に公表されたSPEEDIを見て目を疑った。住民が避難した津島地区は茶褐色の線に囲まれ、高線量を示していた。「(線量の)情報さえあれば…」

 国は試算が不正確で誤解を招くとして公表を見送った。しかし、早い段階で公表していれば避難の参考になったと国の対応を非難する声もある。

 県は13日にSPEEDIの試算結果をファクスで32枚、国から受け取っていたが、公表しなかった。その理由について「予測の前提となる放射性物質の放出量が現実と懸け離れていると考えられた」と説明する。

 12日の県の調査で町中心部の酒井、高瀬地区は高い線量が計測されていた。津島地区から10キロほど原発寄りの町内室原地区は13日に国の調査が行われ、線量計は毎時30マイクロシーベルトを振り切った。しかし、国や県から放射線の情報が町に伝えられることはなかった。

 14日正午ごろ、根岸課長は3号機の爆発を伝えるニュースに言葉を失った。これまで漠然と抱いていた不安が一気に強まった。

 町は線量計2台を保有していた。12日、町は線量計が必要になると想定せず、町役場に線量計を置いたまま移動していた。「数日後には役場に戻れると思った。事態がどんどん悪化するとは…」。町の関係者は今も悔やむ。

町民被ばくどれほど 不安、悔恨、憤り… 浪江町の津島避難

 浪江町の避難は3月14日午前11時1分、東京電力福島第一原発3号機の爆発で急展開する。津島地区に滞在していた住民には不安が渦巻いていた。

■苦情相次ぐ

 浪江町は3月14日午後から断続的に対策本部会議を開き、再避難するかどうかを協議した。「一刻も早く避難すべきだ」。周辺の放射線量の情報は全くなかった。それでも避難の必要性を訴える意見が相次ぎ、移転先は二本松市に決まった。

 15日朝、馬場有町長が二本松市に受け入れを要請した。同日午前10時、町は津島地区の区長を集め、住民らに避難を呼び掛けるよう求めた。

 町の移転とともに、住民の避難がせきを切ったように始まった。町のバスで二本松市に向かう避難者もいれば、会津地方や県外に車を走らせる町民もいた。ただ、家畜の世話などを理由にとどまる住民がおり、町は支所に職員数人を残し、避難の説得に当たった。

 津島地区は16日の測定で毎時58.5マイクロシーベルトの放射線量が計測され、4月22日に計画的避難区域に設定された。局地的に放射線量が高い場所も見つかった。7月26日時点で、赤宇木は最大毎時26.3マイクロシーベルト、南津島は同40.1マイクロシーベルト。避難の目安となる年間積算線量「20ミリシーベルト」を短期間で上回る線量が計測された。

 津島地区で過ごした住民は再避難後も被ばくの恐怖におびえる。「なぜ危ない津島地区に避難したんだ」。町には春から夏ごろにかけ、このような苦情が多数寄せられた。

 「町職員の誰1人、津島地区の放射線量を把握していなかった」。苦情の対応に当たった担当者は、放射線量の情報が全くない当時の状況を繰り返すしかなかった。

■子どもの将来は

 「子どもの将来は大丈夫なのか」。県北地方の仮設住宅で暮らす40代女性は不安に駆られる。8月に茨城県東海村で受けた内部被ばく検査で、高校生の子どもから微量の放射性物質が検出された。

 女性の家族は町の避難指示に従って3月12~15日まで津島地区の避難所で過ごした。水はミネラルウオーターを飲んだが、野菜などの食材は沢の水で洗っていた。

 検査の担当者から「体に影響はない」と説明されたが、結果を知った子どもは食事を取らずにふさぎ込んだ。子どもを励ます言葉は見つからなかった。「何を根拠に津島にとどまらせたのか。線量が計測できていれば、安全か、危険かの判断はついたはずだ」。国、県、町の対応に憤る。

 自身を責める母親もいる。津島地区に一家4人で避難した女性(40)は「一生、子どもに謝り続けなければならない」と表情をこわばらせる。夫(41)、中学2年の長女(13)、次女(3つ)の4人で15日まで津島地区の親戚宅に滞在した。

 退屈する次女を外で遊ばせていた。次女は内部被ばく検査の対象年齢に達していないため、検査を受けることはできない。「ごめんなさい。遊んだあの場所の線量が高かったかもしれないの」

※内部被ばく検査 警戒区域と緊急時避難準備区域、計画的避難区域、特定避難勧奨地点の住民のうち4歳以上を対象に6月から始まった。3歳以下の乳幼児は、行動を共にしていた保護者が対象。10月31日現在、6608人が検査を受け、浪江町では2618人が受けた。また、甲状腺検査は10月から始まり、3月11日時点で18歳以下だった全県民を対象にしている。

2011/12/31

ICRPが「政治的判断」で、被曝でガンになる数値を半分に減らしていた

追跡!真相ファイル(NHK 12月28日放映)から抜粋

“生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?”
福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。
国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。
その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告

広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。

しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。
当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。
そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。

アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増
25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。
いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。
国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡
する。


NHK 追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺れる国際基準」文字起こし

<オープニングのVTRが流れます>

室井:幼稚園とかも普通にやってますね。こんな住宅街の中にあるんですか?

ナレーション:福島第一原子力発電所の事故から9カ月、私は作家の室井佑月さんとともに千葉県の柏市を訪ねました。原発からおよそ200キロ、一部の場所で今も放射性物質が検出されています。

リポーター:住民の人たちにとって本当に驚きだろうし…
室井:不安だと思いますよ。

<ナレーション> 一児の母親でもある室井さんは、同じように不安を抱える人たちからの依頼を受けて、各地で放射線量を測る活動を続けてきました。

室井:0.55(マイクロシーベルト)毎時
リポーター:年間にすると・・・4.8ミリシーベルト

<ナレーション> 食品に含まれる放射性物質の量を調べる民間の施設です。国は生涯100ミリシーベルトを上限に食品の安全基準を定めています。しかし人々の反応は・・・

母親の声「子どもに関しては、この数値でも心配だなと思っています」「みなさん今の(国の)基準を信じている方はいらっしゃらないと思います」

室井:だから、やっぱり根拠なんですよ。「ただちに影響がない」とか言われても根拠がないので、よけいいっそう不安なんですよ。

<ナレーション> 国が根拠としているのがICRP(国際放射線防護委員会)が定める基準です。100ミリシーベルト以下の低線量の被曝のリスクは極めて小さく、ほとんど影響がないとしています。本当にそうなのか?

低線量被曝の実態を調べるため、追跡チームは海外を取材しました。チェルノブイリ原発事故の影響を受けた北欧スウェーデン。放射線のレベルはあまり高くなかったこの地域でも、ガンが増えていました。食べ物を通して被害が広がったと見られています。

住民:私たちは何も悪くないのに、なぜこんな目に遭うのでしょうか。

<ナレーション> さらに国際基準を作ったICRPの当事者たちにも取材。低線量のリスクはどう決められたのか。驚くべき事実が明らかになりました。

ICRP名誉委員:「低線量のリスクはどうせわからないのだから、半分に減らしたところで大した問題はない。」「科学的な根拠はなかった。我々の判断で決めたのだ」

<ここから本編に入ります>

<ナレーション> 揺れ動く国際基準。知られざる低線量被曝の実態とは・・・追跡が始まる。
これまで、ほとんど影響がないとされてきた低線量被曝。それに疑問を投げかける事態が世界で起きています。スウェーデン北部ベステルボッテン県。古くから少数民族サーメの人々が暮らしてきました。

住民:いま周辺でガンが増えています。放射能が原因ではないかと疑っています。

<ナレーション> 原因と見られているのは、25年前に起きたチェルノブイリ原発事故。放射性物質を含んだ死の灰は、1500キロ離れたサーメの町まで降り注ぎました。当時の放射線レベルは、年間およそ0.2ミリシーベルト。国際基準の5分の1程度の低いレベルでした。

 しかし今、ガンになる住民が増えています。事故の前と比べると、34%増加しました。事故直後スウェーデン政府は、食べ物に含まれる放射性物質の安全基準を設けました。人々がよく食べるトナカイの肉は1kgあたりの上限が300ベクレル。

現在の日本の暫定基準値(500ベクレル)より厳しい値です。サーメの人々は食べる肉の量も減らし、身体への影響を抑えようとしてきました。

住民:いつガンになるかわからないし、子や孫への影響も心配です。

<ナレーション> なぜガンが増えたのか。住民の調査を続けてきたマーティン・トンデル博士は汚染された食べ物を体内に取り込んむことでリスクが高まったのではないかと見ています。トンデル博士は汚染地域で暮らすすべての住民110万人のデータを解析。

<ナレーション> ガンになった人の被曝量を調べると、事故後10年間の積算でいずれも10ミリシーベルト以下だったことがわかりました。ICRPがほとんど影響がないとしている低線量でも、ガンになる人が増えていたのです。

トンデル博士:この結果に驚きました。明らかになったリスクがICRPより高かったからです。リスクは外からの被曝だけでなく、内部被曝に左右されるのです。

<ナレーション> 次に追跡チームが向かったのは、世界一の原発大国アメリカ。ここではより影響を受けやすい子供たちに深刻な問題が起きていました。イリノイ州シカゴ郊外。周辺に3つの原発が集中しています。原発から排出される汚水には放射性トリチウムが含まれていますが、アメリカ政府は国際基準以下なので影響はないとしてきました。しかし近くの町では子供たちがガンなどの難病で亡くなっていました。

6年前に建てられた慰霊碑。足元のレンガにはこれまでに亡くなった100人の名前が刻まれています。

住民:これが亡くなった息子の写真です。この痛みは誰にも伝えずに抱えてきました。

<ナレーション> 住民を代表し、被害を訴えている親子がいます。シンシア・ソウヤーさんとその娘セーラ(18)さんです。セーラさんは10年前、突然脳腫瘍を患いました。治療の後遺症で18歳になった今も身長は140cmほどしかありません。

セーラ:みんな死んでしまったのに、私だけが生きていて悲しいです。

<ナレーション> セーラさんが脳腫瘍になったのは、この町に引っ越してきて4年目のことでした。

シンシア:セーラはあの井戸の水をまいて遊び、食事をしていたんです。病気になってからはシカゴから水を取り寄せるようになりました。怖かったので、その水で料理をし皿を洗い、歯を磨かせていました。

<ナレーション> ソウヤーさん夫妻はガンと原発との関係を証明するため、州政府からあるデータを取り寄せました。過去20年間、全住民1200万人がどんな病気にかかったかを記した記録です。小児科医の夫ジョセフさんが分析したところ原発周辺の地域だけが脳腫瘍や白血病が30%以上増加

<ナレーション> なかでも小児ガンは、およそ2倍に増えていました。ソウヤーさん夫妻は全住民の徹底的な健康調査を求めました。しかし国は「井戸水による被曝量は年間1マイクロシーベルトと微量で健康を脅かすことはない」と回答してきました。

シンシア:あまりに多くのものがセーラから奪われてしまいました。低線量の被曝が何をもたらすのか知ってほしいのです。

<NHKのスタジオ>
室井:いまのVTRはショックでしたね。基準値内だと「リスクは低い」って言い方をするんですけど…ガンにかからない人もいるだろうけど、セーラさんみたいにかかってしまう人もいるわけで。だから「リスクは少ない」という言い方は、逆にして言うと「リスクを背負い込む人もいる」ということですね。

鎌田:彼女の場合は具体的にどのくらいの量の被曝をしたと考えられているんですか?

西脇:それが彼女がどれだけ被曝したのかはわかっていないんですね。政府や電力会社は「基準以下だったので健康被害はない」として、実際の被曝量を測っていないんです。

室井:そんなの、すごくわかりづらいですね。子供が病気になったとしたら、別に損害(賠償)を求めたいんじゃなくて、病気にかかる前の健康な状態に戻してもらいたいと思うけど…それは、かかってからだと無理な話じゃないですか。

西脇:これはどれだけ被曝したらガンで亡くなるリスクが高くなるかということを示したグラフです。ICRPでは100ミリシーベルトでは0.5%ガンになるリスクが高くなるとしています。一見すると「大したことないじゃないか」と思われるかもしれませんが、例えば1万人の人がこれを浴びた場合は、

西脇:50人が、100万人の人が浴びた場合は5000人がガンで亡くならなくてもいい方がリスクを負ってしまうと。

鎌田:我々がいつも疑問なのは、じゃあこれ(100ミリシーベルト)より低い場合は…これが正しいかどうかも含めて、本当にこれでいいのかどうかわからない。

室井:しかも幼児や子供はもっとリスクが上がるじゃないですか。

西脇:まさにそこのところはVTRで見ていただいた通りに、内部被曝の影響とか感受性の高い子供への影響ということで。やはり低線量であっても影響が高いのではないかという意見もある一方で、少しずつ浴びていく場合には細胞が放射線に対して抵抗力を持つとか…

西脇:そういうような理由で低いんじゃないかという意見もあって、ここ(低線量被曝)での意見は分かれているわけなんですね。

鎌田:意見が分かれているという現状について、ICRPは今どういうことをやろうとしている?

西脇:そうですね、実はそのICRP自身がこの基準を見直すべきかどうか議論を進めていることがわかってきたんです。

再びVTR

<ナレーション> 10月、アメリカでICRPの会議が開かれました。ICRPはおよそ30カ国250人の科学者や政府関係者でつくるネットワークです。会議の一部だけが音声での取材を許可されました。福島第一原発での事故を受けて低線量被曝のリスクの見直しを求める意見が相次ぎました。

会議での発言:「8歳や10歳の子供がなぜ原発労働者と同じ基準なのか。福島の母親や子供たちは心配している」「ICRPの低線量リスクがこのままでいいのか、大きな疑問が持ち上がっている」

ICRPは低線量のリスクをどう見直そうとしているのか。カナダのオタワにある本部に直接聞くことにしました。事務局長のクリストファー・クレメンス氏です。すでに作業部会を作り、議論を始めているといいます。

クレメンス:問題は低線量のリスクをどうするかです。

<ナレーション> クレメンス氏は私たちに驚くべき事実を語りました。これまでICRPでは低線量の被曝のリスクは低いとみなし、半分にとどめてきたというのです。

クレメンス:低線量のリスクを半分にしていることが本当に妥当なのか議論している

<ナレーション> 低線量のリスクをめぐる議論は、実は1980年代後半から始まっていました。基準の根拠となっていた広島・長崎の被爆者データがこの頃修正されることになったのです。それまで原爆で1000ミリシーベルトの被曝をした人は5%ガンのリスクが高まるとされてきました。

それが日米の合同調査で、実際はその半分の500ミリシーベルトしか浴びていなかったことがわかったのです。半分の被曝量で同じ5%ということは、リスクは逆に2倍になります。しかしICRPは低線量では半分のまま据え置き、引き上げないことにしたのです。

クレメント:この問題は何度も議論されてきた。なぜ引き上げなかったのかは、私が委員になる前のことなので詳細はわからない。

<ナレーション> なぜ低線量のリスクを引き上げなかったのか。私たちは議論に関わったICRPの元委員に取材することにしました。調べてみると、ある事実がわかりました。当時の主要メンバーは17人。そのうち13人が核開発や原子力政策を担う官庁とその研究所の出身者だったのです。その一人、チャールズ・マインホールド氏。アメリカ、エネルギー省で核関連施設の安全対策にあたっていた人物です。電話での交渉を重ねて、ようやく私たちの取材に応じました。チャールズ・マインホールド氏、1970年代から90年代半ばまでICRPの基準作りに携わってきました。

低線量のリスクを引き上げなかった背景には、原発や核関連施設への配慮があったといいます。

マインホールド:原発や核施設は、労働者の基準を甘くしてほしいと訴えていた。その立場はエネルギー省も同じだった。基準が厳しくなれば核施設の運転に支障が出ないか心配していたのだ。

<ナレーション> マインホールド氏は自らも作成に関わったという、エネルギー省の内部文書を取り出しました。1990年、ICRPへの要望をまとめた報告書です。低線量のリスクが引き上げられれば、対策に莫大なコストがかかると試算し、懸念を示していました。

マインホールド氏はアメリカの他の委員と協力し、リスクの引き上げに強く抵抗したといいます。

マインホールド:アメリカの委員が低線量では逆に引き下げるべきだと主張したのだ。低線量のリスクを引き上げようとする委員に抵抗するためだった。

<ナレーション> その後ICRPは、原発などで働く労働者のために特別な基準を作ります。半分のまま据え置かれていた低線量のリスクをさらに20%引き下げ、労働者がより多くの被曝を許容できるようにしたのです。

マインホールド:労働者に子供や高齢者はいないので、リスクは下げてもよいと判断した。科学的根拠はなかったが、ICRPの判断で決めたのだ。

<ナレーション> いまアメリカでは原発や核関連施設で働いていた人たちが、相次いで健康被害を訴えています。女性たちは核燃料の再処理施設で、長年清掃の仕事をしていました。体に異変が起きたのは、仕事を辞めてしばらく経ってからのことでした。

元労働者:乳がんと喉頭がん、そして顔に皮膚がんを患っています。健康への影響はないと信じて働いてきた女性たち。いま国に対して補償を求める訴えを起こしています。

元労働者:私たちはモルモットでした。どんなに危険かも知らされませんでした。

NHKのスタジオ

室井:ICRPの人が出てきましたけど、「根拠がない」って。「半分に減らしてもかまわない」みたいなことを言ってましたけど、「根拠がない」って初めて聞いたんで驚いちゃったんですけど。

西脇:ちょっとこちらをご覧いただきたいんですけど、これは2010年のICRPの予算がどこから来ているのかを示したものなんですけども、アメリカの原子力規制委員会を筆頭に、原子力政策を担う各国の官庁から・各国政府からの寄付によって成り立っているんですね。

西脇:日本も原子力を推進する日本原子力研究開発機構が毎年それなりの額を寄付していると。

室井:そうするとICRP自体が原発を推進したい人たちの側が作ったものだから、安全基準値を決めるわけだから…それじゃいけないんですよね。

西脇:ICRPというと日本では科学的な情報を提供してくれるイメージがあるんですけれども、彼ら自身も繰り返し言っていたんですけれども…彼らは政策的な判断をする集団だと。どこまでが許容できて許容できないのかを、政治的に判断する組織だと。

室井:ということは、自分で判断していくしかないと思うんです。しかも安全な方に。どれだけ取らないようにするか、自分で決めっていった方がいいのかなと思いますね。

鎌田:低線量でも実は被害が出ているんじゃないかという海外のケースをこれまで見てきたんですけれども…いまの我々と決定的に違うのは、彼らはこういうことだと全く知らなかったわけですね。その基準自体も曖昧だ、あるいは基準に沿っていればいいわけではないということを彼らは知らなかった。

鎌田:我々は少なくとも知ってるわけですから…。国に対してこういうことを求めたいということが…もしあるとすれば、どうですか?

室井:正しく怖がるには、やっぱりある程度情報公開してくれないと…知らないのが怖いと思うんです。知ったら、それをもとに考えることができるから。いちばん…情報を上げてこないというのが良くない気がします。

鎌田:それを政府に求めたいということですね?

室井:求めたいですね。

最後のVTR

<ナレーション> 原発の近くで暮らし、幼いころ脳腫瘍を患った18歳のセーラさんです。治療の後遺症で右手が麻痺し、いまも思うように動かすことができません。被曝から健康を守るための基準があるのに、自分のような被害が後を絶たないことにやりきれない思いを感じています。

セーラ:科学者には私たちが単なる統計の数値でないことを知ってほしい。私たちは生きています。空気と水をきれいにして下さい。たくさんの苦しみを味わいました。誰にも同じ思いをしてほしくはありません。

<ナレーション> 日本政府は食品のさらに厳しい安全基準を新たに示し、4月から適用することにしています。「自分と同じ苦しみを誰にも味わってほしくない」セーラさんの言葉を重く受け止めて、私たちは放射能のリスクにこれから立ち向かっていかなければならないのです。


低線量被曝、揺らぐ国際基準

青山貞一
掲載月日:2011年12月29日
 独立系メディア E?wave

 福島第一原発事故後、 “生涯100ミリシーベルト”、”年間20ミリシーベルト”とされてきた被曝基準で、”本当に健康への影響はないのか”が、我が国でも徹底議論されてきた。

当時、イタリアのテレビで何度も見た福島原発事故の映像
◆青山貞一・池田こみち:海外メディアは大震災・原発事故をどう伝えたか

●ドイツ『シュピーゲル』山下俊一インタビュー

 たとえば原発事故の現場である福島県では、事故以来、山下俊一氏を福島県放射線健康リスク管理アドバイザーとして低線量被曝の健康影響について対応してきた。山下氏は医学者であり、現在、福島県立医科大学副学長となっている。

 その山下氏は放射線防護の専門家で59歳、放射線の影響を解明するうえで長崎の被爆者や1986年のチェルノブイリ原発事故の影響を研究し、チェルノブイリについても日本の科学調査団の一員として現地を100回近く訪問している。

 だが、山下氏の仕事は地元福島県の住民の強い反発を買っている。 刑事告発まで受けている。

 ドイツの『シュピーゲル』は、その山下氏にインタビューし、福島で予想される被曝の影響について聞いている。以下はその一部である。

 インタビューの全容はこちら

山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。

シュ:だが、そうやって安心させようとすることが、住民の方々の怒りと恐怖をかえって高めることになるとは思わなかった?

山下:日本政府が年間被曝上限を20mSvに設定したことが、混乱に拍車をかけたと思います。国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。リスクと利益をはかりにかけて考えなくてはいけません。避難するにしてもリスクを伴うからです。放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。

シュ:あなたはご自身の数々の発言のため世間で物議をかもしている。あなたを刑事告発したジャーナリストがいるし、反原発の活動家は……

山下:……そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。

シュ:だが専門家は原発は100%安全だと何十年も言い続けてきた。そんな専門家を信じられるわけがない。

 上記、ドイツの『シュピーゲル』による山下俊一氏へのインタビューでも、山下氏が、「そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。」 と述べてきたのが、”国際基準”である。

 山下氏を批判する市民に対し、「研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。」と山下氏は切り捨ててきたのである。

 では、世界各国で低線量被曝の基準としているICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告値は、山下氏が言明するように、本当に「研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準」なのだろうか?

●NHK総合テレビ「追跡真相ファイル」

 NHK総合テレビは2011年12月28日夜10時55分より30分間の「追跡真相ファイル」において「低線量被曝、揺らぐ国際基準」を放映した。

 番組では、現在、世界各国で低線量被曝の基準としているICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告値が、米国はじめ主要原発保有国の意図(「政治的な判断」)により、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきたことを明らかにしている。

ICRP(=国際放射線防護委員会)加盟国
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 以下は<低線量被ばく 揺らぐ国際基準 – NHK 追跡!真相ファイル>の番組案内文である。

 福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告。広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。

 しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。

 当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。

 そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。

 アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増。

 25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。

 いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡する。

 以下に、NHKの番組の核心部分を紹介する。

 ただし、以下のトランススクリプトは番組中のナレーションとは異なる部分があります。

・スウェーデンの事例

 番組では、スウェーデンと米国における低線量被曝とがんとの関係を現地取材により追跡する。

 チェルノブイリ原発事故の影響が1500km離れたスウェーデンのヴェステルボッテン県に。

 ここでの年間線量は0.2mSv程度。しかし、事故前に比べ1年あたりのがん発生が34%増加した。外部被曝だけなく、トナカイの肉などを食べることによる内部被曝が増えたためと見られている。

チェルノブイリ原発事故の影響が1500km離れた
スウェーデンのヴェステルボッテン県に。
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 トンデル博士は汚染地域に居住する110万人すべてのデータを解析したところ、積算線量が10mSv以下でがんになる人が増えていた。

出典:NHK「追跡真相ファイル」より

積算被曝量が10mSv以下でもがん患者が増加している
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 リスクは外部被曝だけでなく、内部被曝によって左右される。

 地域では汚染されたトナカイの肉を食べていた。トナカイ肉の基準値は1kg300ベクレルと日本の以前の基準より低かった。

 住民は食べる肉の量も減らし、体への影響を抑えようとしてきた。

 なぜガンが増えたのか?マーティン・トンデル博士、汚染地域の住民110万人のデータを解析した。発症者はいずれも内部被曝10mSv以下だったがリスクは内部被曝に左右される。

出典:NHK「追跡真相ファイル」より

・米国イリノイ州の事例

 現地調査はさらに米国イリノイ州で3つの原発が立地する地域に及ぶ。ここでは、周囲に3つの原発が集中。原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域で幼児のガンが急増していた。

シカゴがある米国イリノイ州(IL)には米国で最も多くの原発がある!
出典:Wikipedia

米国イリノイ州の原子力発電所立地
出典:Medill Report

 米国イリノイ州、シカゴ郊外、原発立地周辺の子供への影響。
 

出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 この地域では約100人の幼児や子供ががんで死んだ。

がんで死んだ幼児、子供100人の名前が石に刻まれている
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 住民を代表して被害を訴えるソウヤーさん親子。娘セーラさん18歳、いまも身長は140cmにしかならない。

 セーラさんが脳腫瘍になったのは、この街に引っ越して4年目。井戸の水をまいて遊び、食事をしていた。病気になってからは母親はシカゴから水を取り寄せる。州政府からデータを取り寄せる。過去20年間、住民1200万人がどんな病気にかかったかのデータ。小児科医の夫が分析。

生き残ったセーラちゃんの言葉
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 井戸水を利用していた女の子が脳腫瘍に。州政府から1200万人に及ぶ住民の健康データを入手して解析。原発周辺だけが脳腫瘍・白血病が30%に増えていたと分析。

出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 さらに原発周辺では、脳腫瘍・白血病などが30%以上増加。小児がんは約2倍に増加していると分析。。

出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 しかし、米原子力規制委員会(NRC)は、井戸水による被曝は1mSv以下、健康を脅かすことはないとしてきた。

出典:NHK「追跡真相ファイル」より
 
・カナダのオタワにあるICRP事務局を取材

 その上で、話はICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告値など、基準値の妥当性、信頼性そして根拠に及ぶ。

 2011年10月、ICRPの会議が開催された。ICRPは30カ国、250人のネットワーク。この国際会議は音声のみの取材が許可された。

 会議では、「8歳や10歳の子供が、なぜ原発労働者と同じ基準なのか」「ICRPの低線量リスクがこのままでいいのか」など、福島原発事故を受けた問題提起がなされた。

 取材班はカナダ・オタワにある本部に行き直接事務局長のクレメント氏に聞く。

ICRP(=国際放射線防護委員会)の科学事務局長
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 カナダのオタワにあるICRPにて、ICRP事務局長のクレメンスは、「問題は低線量」であり、基準値設定に際して、広島と長崎のデータが修正されたことを暴露する。

 すなわち、本当は半分の被曝量だった。本当の低線量被曝がもたらすリスクは現在示されている量の2倍だった。にもかかわらず現在も、従来のまま据え置かれている。

本当の低線量被曝がもたらすリスクは現在示されている量の
2倍だったにもかかわらず現在も、従来のまま据え置かれている。
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 修正データが出された時、基準値を見直すべきであったが、当時のICRP委員17人のうち13人が原子力行政や原子力産業の委員であり委員の「配慮」から実際のリスクは据え置かれた。

当時のICRP委員17人のうち13人が原子力行政や原子力産業の委員
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 その配慮とは「リスクを引き上げれば原発など核関連施設の運営に支障が出る」とし「米国の委員は、原発労働者にさらに20%リスクを引き下げる様に求め、ICRPは根拠なく従った」そして「再処理施設の女性達に異変が起こった」と。

「リスクを引き上げれば原発など核関連施設の運営に支障が出る」
とし「米国の委員は、原発労働者にさらに20%リスクを引き下げる様
に求め、ICRPは根拠なく従った」
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

 結局、80年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、低線量被曝でガンになるリスクを実際の半分に減らしていたことになる。 ICRPはあたかも科学的な根拠であるかのように日本では考えられてきたが、ICRP委員は「政策的さらに政治的な判断」を出しているに過ぎないとのことが明確になった。

 しかも、ICRPの予算の大部分は下の写真にあるように、原発保有国の原子力政策や研究開発機関から拠出されている。ちなみに日本原子力研究開発機構は、原発安全神話の本拠地と言ってもよい組織(独立行政法人)であり、除洗事業でも総額の30%ピンハネ問題の中心にある組織である。

ICRP予算への各国機関からの拠出金
出典:NHK「追跡真相ファイル」より

・テネシー州再処理施設の元女性労働者ら

 アメリカ・テネシー州。再処理施設で清掃の仕事をしていた女性たちは仕事をやめてしばらくすると、体に異変が起きた。

 「乳がん、喉頭がん、顔に皮膚がんを患っています」国に補償を求める訴えを起こしている。

 「私たちはモルモットでした。どんなに危険か知らされませんでした」

  ICRPの核関連施設用基準について「科学的根拠はなかったがICRPの判断で決めた」「子供や高齢者はいないから」その後、核施設で働いていた女性などが健康被害を訴え「我々はモルモットだった。危険を知らされていたなかった」。

 低線量被曝を引き上げると、対策コストが増加する。3億6900万ドルと試算。原発で働く基準、労働者は、さらに20%引き下げた。労働者は子供や高齢者ではないので、科学的根拠はないがICRPで決定。核燃料の再処理施設で働いていた女性、健康被害

●山下俊一氏発言の検証

 ここで、再度、山下氏へのドイツ『シュピーゲル』のインタビュー記事に戻ってみよう。

山下:日本政府が年間被曝上限を20mSvに設定したことが、混乱に拍車をかけたと思います。国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。リスクと利益をはかりにかけて考えなくてはいけません。避難するにしてもリスクを伴うからです。放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。

 上を見ると、山下氏は今回、NHKが暴露したICRPの内部事情を知りつつ、発言していたのではないかと思わせる。

 とりわけ、「国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。」の部分である。

 問題は、「年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言」というよりは、低線量被曝でガンになるリスクを実際の半分に減らしていたことを知りながら上記を言っているかどうかである。

 もし、知っていて「放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。」 と述べているとすれば、とんでもないこととなる。

 山下氏は自分を批判する人たちに対し、「そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。」と言っている。

 だが、あらかじめNHKが暴露した事実を知っていたのだとしたら、事実と真実を隠してきたことになる。そうだとしたら、山下氏は科学者や研究者ではない。

 そうだとしたら、山下氏は到底、科学者でも医者でもなく、ICRPの委員同様、人命よりも行政当局や関連業界による避難経費などの放射線暴露対策費の削減を重視した「政治判断」をした人物ということに他ならない。

 山下氏問題と離れても、いずれにせよ、今回のNHK番組からは、国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告している“生涯100ミリシーベルト”、”年間20ミリシーベルト”などの被曝基準は科学的根拠に乏しく、委員の大部分がいわゆる「原子力村」の住民であり、きわめて政治的なものであることが分かる。

原発のこと、みんなで決めようよ

友人からのメールを抜粋して転送します。

★原発のこと、みんなで決めようよ★
(12月29日 西表島の三線アーティスト、まーちゃんうーぽー)

みんなに聞いていい

2011年をこのまま終わらせていい?

放射能汚染で、未来をあきらめ自殺していく農家がいる

国もメディアも、大事なときには、本当の事実を伝えてくれない

もしもまた、原発事故が起きれば、この国はもう住めなくなるかもしれない

そして今生きているぼくたちは、

責任の持てない恐ろしいゴミを未来の子ども達に押し付け

今だけ、自分達だけ、楽をして生きている

そうですよね

(知らない、または知らされていない人もいるかもだけど)

もうそんなの、やめようよ

出来ることでいいから、動いていこうよ

この国を変えて行く、大きなチャンスがあります

◆『みんなで決めよう!原発★国民投票』

これは、法的に効力のある署名です

つまり成功すれば、確実に変化が起こっていくのです

この年末?お正月の、少しの時間でいいです

力を貸して下さい

■□■□■□■□■□

突然ですが、

みなさんは、今後日本が原子力発電を続けるかどうかを、

A.「政治家、官僚、電力会社」

B.「国民」

どちらの判断に委ねるべきだと思いますか?

ほとんどの方は「国民」と答えますよね。

しかし、選挙時の公約が守られていない現状では

民意とかけ離れた決定をされてしまい、

とても「国民が決めている」とは言えない状況です。

原発はその最たる例で、

日本国民の98%が「脱原発」に賛成しているにも関わらず、

日本政府は原発推進に向かっています。

○参考:「脱原発」が98% 原子力委への国民意見
(2011.9.27 11:42 産経ニュース)

 国の原子力委員会(近藤駿介委員長)は27日、東京電力福島第1原発事故で中断していた「原子力政策大綱」の見直しを議論する策定会議を半年ぶりに開き、東京電力福島第1原発事故後、同委に国民から寄せられた意見のうち98%が「脱原発」に賛成する意見だったことを明らかにした。

 寄せられた原発に関する意見は、約4500件。うち「直ちに廃止すべきだ」が67%、「段階的に廃止すべきだ」が31%で、計98%に達した。理由としては、「環境への影響が大きい」「放射性廃棄物の問題が解決していない」などがあった。

 近藤委員長は会議の冒頭で、「原子力政策を決めることが使命。悩んだが、再開を決意した」と述べたその後、東電や政府が事故の概要や住民避難の状況などについて説明した。

 現行の大綱は、2005年に策定され、同委では昨年12月に改定に着手。事故前までに5回の会議を開いた。今後1年をめどに、新大綱をとりまとめる。

そこで今、原発の是非について、国民の声を直接届ける「住民投票」の実施を

行政に求める動きが東京都と大阪市で起こっています。

○東京「原発」都民投票/大阪「原発」市民投票
http://kokumintohyo.com/branch/


■どうすれば住民投票が実施できるの?

住民投票の実施を東京都議会や大阪市議会に求めます。

それには署名が必要です。

これは、普段見かける街頭署名とは異なり、「法的に効力のある署名」です。

今回の署名のポイントをかんたんにまとめます。

○署名を届ける先:
 東京では東京都議会、関西では大阪市議会

○必要な署名数:
 有権者の50分の1の署名があれば議会に実施を請求できます。
 東京都では約21万4200人、大阪市では約4万2600人の署名が必要です。

○「誰が」「誰の」署名を集めればいい?
 署名を集める人(「受任者」と言います)になれるのも、署名ができる人も、
 東京都では東京都に住む有権者、大阪市では大阪市に住む有権者だけです。

 <ポイント>
 それ以外の地域にお住まいの方にも、署名集めに付随するお仕事が
 たくさんあります。1日でも数時間でも結構です。ぜひご協力ください!

○署名の期限:
 東京では12/10?翌年2/9、大阪市では12/10?翌年1/9です(もう始まっています!)
 ※法律で、都道府県では2カ月、市では1カ月という収集期間の制限があります。

その他、詳細はホームページをご覧ください。

http://kokumintohyo.com/branch/

■ご協力のお願い【重要】

(1)東京都と大阪市にお住まいの方は

 署名をしてください。また、署名を集める協力者(受任者)になってください。

 東京都や大阪市に住むお知り合いにもこの活動を広げてください。

(2)東京都と大阪市「以外」にお住まいの方は

 東京や大阪の投票事務所、署名場でのお手伝いをお願いします。

 今、各投票地域では現場の人手が不足しています。1日でも、数時間でも結構です。

 投票権がなくてもできることがたくさんあります。
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

東京、大阪、いずれの住民投票も、苦戦を強いられています。

必要な票数と残された日数を考えると、日々ギリギリの戦いが続いており、

あと一歩、あともう少しだけ力が必要です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたが勇気を出すことで、未来が変わるかもしれません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『あたなの力』を貸して下さい!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

このお正月を使って、日本初の挑戦に協力してください。

子どもたちに、モノでもお金でもなく、

希望に満ちた未来を残すため、チカラを合せる時です。

一生の思い出に残り、歴史にも残る、熱い冬を共に過ごしましょう!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ご不明な点がありましたら、都民投票・市民投票の事務局やウェブサイト、

【東京「原発」都民投票 事務所】
電話/FAX 03-6434-0579
tokyotomin.vote@gmail.com
〒107-0052東京都港区赤坂7-2-6 赤坂ナショナルコート507

【大阪「原発」市民投票 事務所】
TEL 06-4390-5930 FAX 06-7635-5392
gvotekansai@gmail.com
〒550-0015大阪市西区南堀江3丁目8番12号良友ビル1F

※「みんなで決めよう『原発』国民投票」ウェブサイト
 http://kokumintohyo.com/branch/

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2011/12/23

海に流出ストロンチウム、462兆ベクレル セシウム、政府推計の3倍放出

ストロンチウム、462兆ベクレルが海に流出
(2011年12月18日3時2分 朝日新聞)

 東京電力福島第一原発から事故後、海洋に放出された放射性ストロンチウムの総量は、少なくとも約462兆ベクレルになることが朝日新聞の試算でわかった。水産庁は魚介類への蓄積を調べるサンプリング調査の強化を検討している。

 試算は東電などが発表した資料をもとに行った。4月に2号機、5月に3号機から流出した放射能汚染水については、流出源である両号機の建屋内のたまり水に含まれる放射性ストロンチウムの濃度を、流出した水の体積にかけて算出。これらに、今月4日に流出が確認された処理水に含まれていたと見られるストロンチウムの量を足し合わせた。大気から海への降下量は含まれていない。

 東電は4~5月に海に流出した汚染水中の放射性ヨウ素とセシウムの総量を推定約4720兆ベクレルと発表した。ストロンチウムの量はその約1割に相当する。


セシウム放出量「政府推計の3倍」 欧米の研究者ら
(2011年10月30日6時58分 朝日新聞)

 東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性セシウムは、内閣府の原子力安全委員会が公表した推定値の3倍になるとの試算を、ノルウェーなど欧米の研究チームが発表した。チェルノブイリ原発事故の放出量の4割にあたるという。大気物理化学の専門誌に掲載された。

 研究チームは国内の測定データのほか、核実験探知のために設置された北米や欧州などの測定器のデータを使い、事故が起きた3月11日から4月20日までのセシウムやキセノンの放出量を分析した。

 セシウムの放出量は約3万5800テラベクレル(テラは1兆)で、原子力安全委の試算値1万1千テラベクレルの約3倍。降下物は大部分が海に落ちたが、19%は日本列島に、2%は日本以外の土地に落ちた。

 キセノンの放出は地震で原子炉が緊急停止した直後に始まったとみられ、原発が地震で損傷した可能性があるという。

 4号機の使用済み核燃料プールへ注水を開始した直後から放出量が激減したといい、プール内の核燃料が損傷して放出された可能性を挙げた。ただ、燃料の外観が保たれていることは東電の調査で確認されている。

 研究チームは、これらの分析結果は、測定データが不足し、放射能汚染で信頼性の高いデータが得られないことなどから、不確かさを伴うとしている。

 今年5月にも、核実験の監視システムなどのデータをもとに、福島第一原発で原子炉の停止後に連鎖的な核反応が再び起きた「再臨界」の可能性が指摘されたが、その後、データが訂正されたことがある。

汚染水、海へ150リットル流出 福島第一の漏水
(2011年12月6日20時10分 朝日新聞)

 東京電力福島第一原発の水処理施設から放射能汚染水が漏れた問題で、東電は6日、その一部が海に流出していたと発表した。流出量はドラム缶1本弱に当たる約150リットルで、含まれる放射能の総量は260億ベクレル。その大半は、内部被曝(ひばく)の際に問題になる放射性ストロンチウムという。

 汚染水の海への流出は、4、5月にそれぞれ2号機と3号機のタービン建屋の高濃度放射能汚染水が坑道を伝って海に流れ出たのが確認されて以来。このとき漏れた量は、推定計770トンで、放射能量は4720兆ベクレルだった。

 水漏れは、原子炉内の燃料を冷やした冷却水から放射性セシウムを取り除いた後、蒸発させて塩分を取り除く施設で、4日に起きた。塩分を取り除く前か、処理後の濃縮廃液のいずれかとみられる。

 漏出量は45トンと見積もられたが、詳しく調べると15トンだった。このうち240リットルがコンクリートの隙間から施設外に流れ出し、施設周辺に水たまりとなって残っている分を除いて150リットルが海に流出したという。

 東電は装置からの漏出を止めた後、海につながる排水溝の水を採取し、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す物質の放射能量を調べた。1リットルあたり4億9千万ベクレルで、通常流れている排水の300万倍を超えていた。これが雨水とともに海に流れ出たとみられる。

 原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「流出量は少なく、海に流れ出ても約6万倍に希釈されるので環境への影響はほとんどないと考えるが、広く社会のみなさまに心配をかけて申し訳ない」と話した。(坪谷英紀)


震災直後、東京都内でも微量ストロンチウム
(2011年11月3日1時57分 朝日新聞)

 東京都内の大気中から、3月の震災直後に微量の放射性ストロンチウムが検出されていたことがわかった。世田谷区内の都の関連施設で検出されたが、都は「数値が低く、健康に影響を及ぼす可能性は低い」として公表していなかった。

 施設の敷地で3月15日に採取した大気中1立方メートルの浮遊物質の中から、ストロンチウム90が0.01111ベクレル検出された。検査機関が6月21日に都に報告した。都は「セシウムが検出されれば、一定の割合で微量のストロンチウムも出る。特段問題だとは考えていない」と説明している。

 ストロンチウム90は半減期が29年。化学的な性質がカルシウムと似ていて、骨に沈着して白血病を引き起こす原因になるとされる。


横浜市検査でもストロンチウム検出 港北区の側溝
(2011年10月15日5時31分 朝日新聞)

 市民から「放射線量が高い場所がある」との指摘を受けて周辺の土壌の検査を進めていた横浜市は14日夜、港北区大倉山5丁目の道路の側溝の堆積(たいせき)物から1キロあたり129ベクレルの放射性ストロンチウムを検出したと発表した。ストロンチウム89と同90を合わせた値。同じ物から放射性セシウムも3万9012ベクレル検出した。

 また、同区新横浜3丁目にある噴水(停止中)の底の部分にあった堆積物からもストロンチウム59ベクレル、セシウム3万1570ベクレルを検出した。結果について市は「東京電力福島第一原発の事故に由来するものと考えている。危険性を判断できない。国と協議したい」と説明した。

 港北区は福島第一原発から約250キロ離れている。

 市の調査は、区内のマンションの住民が独自調査の結果として屋上の堆積物から195ベクレルのストロンチウムが検出されたと市に連絡したことが発端。市は9月中旬、屋上と周辺2カ所から堆積物を採り、同市鶴見区の民間の分析機関「同位体研究所」に測定を依頼していた。

 今回公表された値は周辺2カ所の結果で、市は屋上の検査結果については「マンション住民の同意を得ていない」ことを理由に公表しなかった。だが、最初に市に連絡した住民によると、屋上の堆積物からは236ベクレルのストロンチウムが検出された、との説明を市から受けたという。

 堆積物はすでに取り除かれており、空間放射線量は大倉山が毎時0.91マイクロシーベルトから0.13マイクロシーベルトに、新横浜は0.13マイクロシーベルトから0.09マイクロシーベルトにそれぞれ下がったという。

 市は、局所的に高い放射線量が検出された理由を「現場は水やホコリがたまりやすく、蓄積しやすい条件にあった」と分析。「高い数値の場所は除染していきたい」とした。ただ、市の検査機関にはストロンチウムの測定機器がなく、「独自に検査はできない。国が実施しているモニタリング調査の範囲を広げ、横浜も含まれるように要望していきたい」としている。(佐藤善一)

山本太郎さん 脱原発 住民投票呼びかけ

山本太郎さんが脱原発署名活動 大阪で市民団体と
(2011/12/21 10:25 共同通信)

 原発稼働の是非を問う住民投票の実施を求めている市民団体「みんなで決めよう『原発』国民投票」が21日に大阪市内で署名活動を実施した。俳優の山本太郎さんも参加した。

 市民団体は東京都内でも署名活動をしており、山本さんは東京の請求代表者を務める。大阪市が関西電力の筆頭株主であることから、同市での住民投票実施を求めている。住民投票条例の直接請求には有権者の50分の1の署名が必要で、大阪市では4万2千人分。市民団体は6万人分を目標にしている。

 署名活動は10日から始めており、各電力会社の稼働中や停止中の全ての原発を対象とする考え。


みんなで決めよう「原発」国民投票プロジェクト


山本太郎さん 脱原発 住民投票呼びかけ
(2011年12月23日12時44分更新 毎日放送・動画)

 各地で脱原発の動きが活発化していますが、大阪・ミナミでは21日、俳優の山本太郎さんらが原発の是非を問う住民投票の実施を呼びかけました。

 「大阪へ来ました。原発を市民の力で止めようじゃないか、そういった署名です」(山本太郎さん)

 大阪・なんば駅前で、こう訴えるのは俳優の山本太郎さんです。

 原発に反対する市民グループ、「みんなで決めよう『原発』国民投票」のメンバーらと共に、原発の是非を問う住民投票実施に向けた署名を呼びかけました。

 「大阪市は関西電力の株主なんですよ。皆さん、大阪に税金納めてますよね。ということは、皆さんひとりひとりが株主なんですよ。だから止められるんです」(山本太郎さん)

 住民投票条例の制定を市議会に請求するには、有権者の50分の1以上の署名が必要で、市民グループは「関西電力の筆頭株主である大阪市にも強くはたらきかけたい」
としています。

 一方、その大阪市役所では、被災地で出た瓦礫の受け入れに反対する別の市民団体が橋下市長あてに意見書を提出しました。

 「私たちは大阪にだけガレキを持ち込むなと言っている訳ではありません。日本全国どこにおいてもガレキを燃やすことはやめていただきたいと思います」(市民団体のメンバー)

 橋下市長は、安全性が確認されれば瓦礫を受け入れる意向を示していますが、メンバーの医師らは、瓦礫を持ち込めば放射性物質が拡散すると指摘しました。

 また、京都では原発事故で福島から京都に自主避難してきた家族らが、東京電力への損害賠償請求に際して不誠実な対応を受けたとして、原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てを行いました。

 国の基準とは関係なく、被害に応じた賠償を求めています。
(12/21 18:59)

玄海原発 原子炉鋼材に不純物6倍 配管溶接検査せず記録改ざん

原子炉鋼材に不純物6倍 早期劣化指摘も、玄海原発
(12/21 23:40 北海道新聞)

 老朽化が指摘される九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町、55・9万キロワット)の鋼鉄製の原子炉容器に、不純物である銅が同社保有の他の原発と比べ最大約6倍含まれていることが21日、九電への取材で分かった。銅の含有率が高いと、核分裂で生じる中性子を浴びた際、原子炉の劣化が早く進むとの指摘もある。

 九電によると、1975年に運転開始した玄海1号機の原子炉に含まれる銅の割合は0・12%。94年に運転開始した3号機は0・018%で約6・6倍に相当する。1号機は71年に着工しており、同社は「当時の技術ではこの程度しか不純物を取り除けなかった」と説明している。


玄海原発4号機、配管溶接検査せず記録も改ざん
(2011年12月22日20時34分 読売新聞)

 経済産業省原子力安全・保安院は22日、九州電力玄海原子力発電所4号機(佐賀県)で使用予定の配管の溶接検査で、九電から作業を受託した「発電設備技術検査協会」(東京)が電気事業法で定められた必要な検査を怠ったうえ、実施したかのように記録を改ざんしていた、と発表した。

 今年9月に保安院に情報提供があり、発覚した。保安院は協会と九電に厳重注意の処分を下すとともに、他の電力8社に同様の事例がないか調査を指示した。

 保安院によると、協会の検査担当者が今年8月、勘違いから検査の一部を実施しなかった。後日、誤りに気づき、書類を改ざんした。協会は「自主的に実施した検査項目もあり、誤記と判断して修正した」と説明したという。九電は不十分な管理体制を問われた。


九州電力株式会社玄海原子力発電所第4号機二次系配管に係る協力事業者による溶接事業者検査の一部未実施について(12月22日 経済産業省)

本件の概要

 原子力安全・保安院は、九州電力株式会社(以下「九州電力」という。)が、九州電力玄海原子力発電所第4号機において取替えのための施工を実施中であった二次系の低温再熱蒸気管(注1)について、電気事業法に基づく溶接事業者検査を実施したところ、当該溶接事業者検査の協力事業者である財団法人発電設備検査技術協会(以下「発電技検」という。)が溶接事業者検査の一部(溶接後熱処理)について、法令上の検査対象項目であるにも関わらず、検査当日は検査不要と判断し、検査記録には不要を示す斜線を記載していたこと、さらに、その後、検査当日に任意で記録確認等が実施されていたことを根拠として、当該検査記録の斜線を誤記として処理し、検査が実施されていたものとして処置がなされていたことを確認しました。本日、その内容について、原子力施設安全情報申告調査委員会報告書として公表されました。
 なお、当該蒸気管の溶接工事は、次回定期検査での取替えのために施工していたものであり、現時点において実際に設置されておらず、また、施工会社による施工及び必要な試験が適切に実施されていたことを確認しております。
 本件に係る調査結果を踏まえ、当院は、溶接安全管理検査制度の適正な運用の観点において、必要な検査が実施されておらず、また検査結果に係る不適合管理についても不適切な処理がなされたことは遺憾であり、発電技検に対して厳重に注意するとともに、本件を踏まえた根本的な原因を含む原因の究明及び再発防止対策を平成24年1月20日までに報告するよう指示しました。また、九州電力に対しても、協力事業者である発電技検に対する調達管理が十分ではなく、発注者として看過していたことから、調達管理を徹底するよう厳重に注意し、発電技検を協力事業者として実施した溶接事業者検査について、本件を踏まえ、実施されていない項目の有無を調査し、
平成24年1月20日までに報告するよう指示しました。
 なお、その他の電力会社に対しても調達管理の充実を図ることについて注意喚起を図るとともに、発電技検を協力事業者として実施した溶接事業者検査について、九州電力に対する指示と同様の調査を指示しました。
担当

原子力安全・保安院 原子力発電検査課
公表日 平成23年12月22日(木)


九電の原発耐震安全性データ、誤記載26件
(2011年11月1日 読売新聞)

 九州電力は31日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)1?4号機と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の耐震安全性を評価した報告書について、計26件のデータに記載ミスがあったと発表した。九電は「安全性の評価結果に影響はない」としているが、ずさんなチェック体制が改めて浮き彫りになった形だ。

 報告書は、2008年12月?10年3月にかけて国に提出し、いずれも原発の耐震安全性に問題はないと結論づけた。ミスがあったのは、原子炉建屋の揺れやすさなどを表す数値で、「0・078」とすべきを「0・076」と記載したりしていた。耐震安全性の評価に使った値そのものは正しかったが、九電や業務委託先の担当者が評価結果を報告書に取りまとめる段階で、間違った値を記載したという。いずれも数値の打ち間違いなど単純ミスが原因だった。各担当者が個別に間違いの有無を確認し、他者などを交えた追加のチェックはしていなかった。

2011/12/22

「チェルノブイリの子どもたちの作文集」が注目されている

チェルノブイリの子どもたちの作文集「わたしたちの涙でゆきだるまが溶けた」
(放射能防御プロジェクト 木下黄太のブログ 2011-10-18)

作文集『わたしたちの涙で雪だるまが溶けた』子どもたちのその後
(スローライフスタイル ショップ膳 2011年12月22日)

チェルノブイリの子どもたちの作文集 『私たちの涙で雪だるまが溶けた』
(風の便り 2011/10/06)

チェルノブイリの子どもたちの声を今、伝える意味

この本は、1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故の被害にあった子どもたちが書いた作文集である。彼らは、自分の意思とは関係なく放射能の洗礼を受け、その汚染された土地に住み、そして今なお放射能による被曝にさらされ続けている。

 作文を書いたのは、主として中等学校(11年制で、6歳から16歳までの子どもが学ぶ)の高学年の生徒たちである。事故が起きた時、彼らはまだ幼く、なにが起きたのかを正確に理解することができなかった。

 そんな子どもたちに襲いかかった悲しみや苦悩が、一人ひとりの体験として綴られている。たった1回の原発事故がいかに多くの人々の運命を変えてしまったことか。

東電、電気料金に上乗せ 保養所維持管理費 高利子の財形貯蓄

東電、電気料金に上乗せ 保養所維持管理費 高利子の財形貯蓄
(2011年12月20日 07時07分 東京新聞)

 東京電力が、保養所や接待施設の維持管理費、年8・5%もの利子が付く財形貯蓄などさまざまな社員優遇に必要な費用を、電気料金を決める際の原価に算入し、電気料金で回収していたことが本紙の調査で分かった。こうした事実を東電も認めている。東電の手厚い福利厚生は、電力会社を選ぶことができない消費者の負担によって維持されてきたことになる。

 電力料金は「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出される。施設の修繕費や燃料費など発電に必要な費用を積み上げ、電力会社の利益を上乗せし、その総額を電力料金で回収する仕組み

 ただ、費用に何を計上するかは電力会社の判断に任されている面が強い。既に、官庁OBを受け入れている財団法人への拠出金や広告宣伝費など発電とは関係のない費用に入れられていたことが判明している。経済産業省の有識者会議(座長・安念潤司中央大教授)は今後、これらの費用は計上を認めない考えを示し、同省もその考えに従う方針だ。

 発電とは無関係のものが費用計上されていると新たに判明したのは、ハード面では静岡県熱海市など各地にある保養所や社員専用の飲食施設、PR施設などの維持管理費

 ソフト面では、財形貯蓄の高金利、社内のサークル活動費、一般企業より大幅に高い自社株を買う社員への補助、健康保険料の会社負担など

 福島第一原発事故を受け、東電の電力料金引き上げが検討される中、経産省の有識者会議は、手厚い福利厚生費用を電力料金に転嫁することを問題視している。燃料費などに比べれば金額は小さいが、不透明な部分はなくすため、原価から除外させる方向で議論を進める見通しだ。東電自身も保養所の廃止や福利厚生の縮小などを決めている。

 東電は原価に計上してきた事実を認めた上で、「(電気料金を決める)経産省の省令に基づいて、福利厚生の費用は過去の実績や社内計画に基づき適切に原価に算入してきた」とコメントしている。

(東京新聞)

「事故収束」 原発事故現場の作業員 「政府ウソばかり」

作業員「政府ウソばかり」
(2011年12月17日 東京新聞朝刊) 

 「冷温停止状態」を通り越し「事故収束」にまで踏み込んだ首相発言に、福島第一原発の現場で働く作業員たちからは、「言っている意味が理解できない」「ろくに建屋にも入れず、どう核燃料を取り出すかも分からないのに」などと、あきれと憤りの入り交じった声が上がった。

 作業を終え、首相会見をテレビで見た男性作業員は「俺は日本語の意味がわからなくなったのか。言っていることがわからない。毎日見ている原発の状態からみてあり得ない。これから何十年もかかるのに、何を焦って年内にこだわったのか」とあきれ返った。

 汚染水の浄化システムを担当してきた作業員は「本当かよ、と思った。収束のわけがない。今は大量の汚染水を生みだしながら、核燃料を冷やしているから温度が保たれているだけ。安定状態とは程遠い」と話した。

 ベテラン作業員も「どう理解していいのか分からない。収束作業はこれから。今も被ばくと闘いながら作業をしている」。

 原子炉が冷えたとはいえ、そのシステムは応急処置的なもの。このベテランは「また地震が起きたり、冷やせなくなったら終わり。核燃料が取り出せる状況でもない。大量のゴミはどうするのか。状況を軽く見ているとしか思えない」と憤った。

 別の作業員も「政府はウソばっかりだ。誰が核燃料を取り出しに行くのか。被害は甚大なのに、たいしたことないように言って。本当の状況をなぜ言わないのか」と話した。


「冷温停止」も 「事故収束」も  国内外で、誰も信用していない

2011/12/20

フェルネックス教授の 放射線被曝に関する重要な論文

長年、放射性物質による影響(特に内部被曝)を研究してきたミッシェル・フェルネックス教授の論文が届きました。 また、その論文を紹介するメッセージも届きました。これ以上、被ばくを増やさないために、多くの人に読んでほしいと思います。

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フランスのNPO<チェルノブイリ/ベラルーシのこどもたち>
会長 : イヴ・ルノワール

2011年12月16日パリ

主題 : ミッシェル・フェルネックス教授の論文のプレゼンテーション

拝啓 EPP参加の皆様へ

私はイヴ・ルノワールと申しまして、フランスのNPO<チェルノブイリ/ベラルーシーのこどもたち>の会長をしております。当会は2001年4月27日にベルラド放射線防護研究所(政府とは独立した機関)所長をしていましたヴァッシーリ・ネステレンコ教授からの要請に基づいて設立されたものです。

私たちの会は、ベルラド研究所 の科学的、人道的な活動に財政支援し、 ミンスクのベラルーシー科学アカデミー の遺伝子保全研究所に近代的な機材投資を行ない、それによって、体内に取り込まれたセシウム137の遺伝上の影響を調べるためです。ベラルーシー政府は、これらの課題に財政投資することを拒んでいます。

ここに添付しております書類に署名しているミッシェル・フェルネックス教授は世界保健機関(熱帯病治療)の専門家でした。20年以上、彼は、卓越した医者、学者などと連携しながら、体内に取り込まれた放射性物質による影響の問題〔内部被曝問題〕を非常に身近に追求してきました。

この資料は、放射線による危機の初期の保健衛生上の影響について皆さんの注意を喚起するだろうと思います。特に卵割から八週以内の胎児、それ以後の胎児に対するヨウ素131の重大な衝撃を彼は強調しています。汚染から免れた地域で収集されたデータと比較して、彼が記述する偏差を明らかにすることは、福島の惨事が開始された後、放射線汚染による環境の公共衛生上の問題の重要性に関して、明白な証拠をもたらすでしょう。

私たちは、彼の発表に、性差と比率の問題と放射性物質による内部被曝の他の影響に関する二枚の論考を添えておきます。

これらの資料を皆さんに知って頂けたことに感謝致します。

敬具

Yves Lenoir

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ミッシェル・フェルネックス
 
2011年11月30日 
フランス、オー=ラン県 ビーダータル

AP通信社は11月21日、「福島第一原発の事故による健康被害の実態は、明らかにならない可能性がある」という記事を配信した。これを読むと、次のような疑問が浮かぶ。「人々をできるだけ被ばくから守り、犠牲を最低限に食い止めるための最適な方策を、いったいどの機関が日本政府に進言できるだろうか」。

福島原発の管理者は、原発の計画をたて、建設を実行した最初の誤ちから、津波到来の1時間も前、すでに地震によって原発が壊れていたことを隠蔽した過ちまで、一貫して責任を負っている。これは明らかな人災で、結果として、環境中への放射能漏れの対応に遅れが生じた。

●● IAEAに従属するWHO

1946年の世界保険機構(WHO)憲章で、WHOは、医療部門において適正な技術を提供する義務がある、と定められている。緊急時には、政府が要請するか、あるいはWHOの介入に合意が得られたあとで、その役割を実行することになっている。WHOは健康に関する全ての情報、アドバイスおよび援助を与え、健康に関する世論をしっかり記録に残す義務がある。ところが、これらの義務はまったく遂行されていない。

WHOはもともとこうだったわけではない。1957年に設立された国際原子力機関(IAEA)との間で交わされた合意(1959年、 WHA12.40)によって、原子力分野での独立性を失ったのである。より最近では、放射線関連分野におけるWHOの活動は縮小しており、福島に介入したのもIAEAであった。

あまり問題とされてはいないが、IAEAは、福島やチェルノブイリのような原発大惨事が起こるたびに、大きな決定権を発揮できる、という国際原子力機関憲章をもつ。IAEAは自らの憲章に忠実で、1996年4月8日~12日にウィーンで開催されたチェルノブイリに関する国際会議会報のように、IAEA出版物には度々、憲章の第二条が引用されている。IAEAの主要目的は「全世界の平和、健康、繁栄に対して原子力産業が果たす役割を推進し拡大すること」なのである。

言い換えれば、国連組織であるIAEAは、原子力産業を推進し、その商業プロジェクトを支援するための機関である。WHO、FAO(国連食糧機構)、ユニセフなどの国連諸機関のなかで、IAEAはその最上部に位置している。さらに、法的に見ると、WHOは、健康および放射線分野での独立性をもたない、あるいは存在すらしていない。原子力産業を代弁するIAEAは、深刻な病気の数々と放射能の関係を認めない。

彼らの意図は原子力産業を保護することであり、放射能汚染から人々を保護したり被災者を支援することではない、とIAEAの指針にはっきり示されている。従って、国の保健当局は、原発事故の際にIAEAに忠告を求めてはならない。IAEAは経済的配慮を優先するため、被ばくによると思われる健康被害を過小評価したり否定したりする。その結果、強度の汚染地域からの住民の避難が遅れる可能性もある。

●● まず性差に表れる放射線の影響

行政が福島の住民、特に放射能の影響を受けやすい子供たちにヨード剤を配布しなかったのは理解に苦しむ。ヨード剤は高価なものではない。ポーランドの例を見るように、たとえ百万単位の子供たちに配布しなければならないとしても、効果があったことだろう。原発から放出されたヨウ素131が到来する前に一錠飲むだけで予防になった。

AP通信社の記事は、原発事故の影響がまず子供たちに現れることを伝えていない。細胞分裂の早い成長期の子供は、成人に比べて千倍も放射能の影響を受けやすい。妊娠八週以内の胎芽が死亡するリスクもある。すなわち早期流産である。86年のチェルノブイリ事故前の統計と比較すると、事故後、女児新生児の5%が死亡している。最も汚染されたベラルーシとロシアでは、このために新生児の男女比が最大となっている。分娩時の女児死亡はチェルノブイリ後の東欧およびバルカン諸国でも見られ、ドイツでも同様に急増した。しかし汚染が局地的あるいはほとんどなかったフランスやスペインでは性差にあまり差異は見られなかった。このデータは性比が放射能汚染の度合いに比例して変化することを示している。

通常の性比は男1045に対して女1000前後で、地域別に見ても大差はない。放射能の影響で性比が変化した例は他にもある。例えば高濃度のトリウムを含むモナザイト岩地域、インドのケララ谷は、自然放射線レベルが通常の6倍も高く、ここの住民にはダウン症などの先天性異常が多い。また、自然放射線レベルが通常の周辺地域には見られない性比が認められている。(Padmanabham)

チェルノブイリでは死産、周産期死亡および先天性異常の増加が見られた。もっと後になってからだが、心臓の先天異常も見られた。50年代に行われたアリス・スチュワート医師の研究では、胎内で被ばくした胎児は後に白血病や癌(脳腫瘍)を発病するリスクが高いことが分かっている。

●● 放射線と免疫機能低下

チェルノブイリでは子供たち、特に小さい子供や幼児の1型糖尿病が増加し、昏睡の症状が確認された。通常は、遺伝的要因からくる自己免疫異常や新たな突然変異によるものだが、チェルノブイリで1型糖尿病を発病した小さい子供や幼児たちは糖尿病家系ではないことが特徴的だった。

事故後、被ばくが免疫機能に影響を与えることがベラルーシで明らかとなっている。そのため、福島周辺住民の白血球および抗体グロブリンの長期的調査が必要である(チトフ教授の研究を参考)。調査結果は、福島から離れた九州などの汚染されていない地域の対象群と比較しなければならない。

汚染地域の子供たちの免疫調査では、膵臓ランゲルハンス島のベータ細胞および甲状腺細胞に対する自己抗体に注意を払う必要がある。橋本甲状腺炎の原因には1型糖尿病と同じように遺伝子が関連すると考えられている。性ホルモンなどその他の内分泌腺は、特に思春期に機能不全を引き起こすリスクがある。たとえば、生理の遅れやウクライナで急増した男性不妊症だ。アレルギー性疾病も汚染地域の子供たちの間で増加すると思われるが、これらの調査はいずれも、非汚染地域の対象群と比較すべきである。

チェルノブイリでペレヴィナ教授が子供にレントゲンを短時間照射し細胞の過敏性(リンパ球培養)を調査したが、同じ調査を福島でも行う必要がある。

食品による内部被ばくにより免疫が低下したチェルノブイリの子供や幼児は、事故から何年も経ってからも頻繁に感染症にかかっている。汚染されていない地域に比べて合併症や慢性化によって悪化する率が高い。被ばくによって引き起こされるゲノム不安定性は遺伝的に受け継がれる。調査は、子どもの祖父母から始まって、これから何世代にも渡って続ける必要がある。

●● 被ばくとガン

甲状腺ガンは五歳児では百万人に一人という、子どもには稀な病気だが、今後は五歳未満の子供たちの間でも増大するだろう。被ばくした胎児・新生児の場合、甲状腺ガンの潜伏期間は非常に短く、浸潤性の甲状腺乳頭ガンが極めて速く進行する可能性がある。チェルノブイリ後、甲状腺腫、甲状腺炎および甲状腺機能不全などの甲状腺の病気が増加した。その他のガンは潜伏期間が長く、最大で35年である。スウェーデンのクロンベルクとベラルーシのオケアノフは、チェルノブイリ事故から十年後に様々なガンが増加する、という明白な傾向をつかみ、二十年後には一般的なガンの発生率が統計的に顕著に上昇することを確認した。

放射線を受けた若い人々は、若くしてガンを発病するなど、若年性老化のリスクがある。被ばく量の等しいリクビダートル(原発事故処理作業員)たちと比較すると、若いリクビダートルの発ガン率は年配のリクビダートルより著しく高かった。オケアノフはまた、被ばく総量より被ばくした時間の長さがよりリスクを高める要因であることを示した(1996年4月8日~12日のウィーン国際会議のIAEA会報279ページ参照)。ガンの調査においては、年々減少するであろう死亡率をパラメータにするのではなく、特に被ばくした人々の発ガン率、また従来より20年早まるであろう発ガン年齢に注目する必要がある。発ガン率と発ガン年齢は10~20年後、統計的に顕著な変化が見られると思われる。

若いリクビダートルの失明も、年配者より頻繁に発生した。これは微小循環障害を伴う網膜の変性疾患で、数年後に黄斑に現れる。

チェルノブイリ事故後、最初の死因はガンではなく、脳と心臓の合併症を伴う心臓血管病と高血圧だった。医師にはこうした合併症の予防に力を尽くして欲しい。

被ばくした幼児は、通常より若い年齢で橋本甲状腺炎および1型糖尿病を示す危険がある。性ホルモンの異常による症状などその他の内分泌腺の病気は性機能を不調にし、特に思春期の女性には生理の遅れ、男性には男性不妊症という症状が現れる。

●● 内部被ばくを避けるには

放射能から子供を守るために最も重要なのは、食べ物による内部被ばくを避けることだ。危険なのは外部被ばくよりもむしろ内部被ばくである。体内に取り込まれた放射性物質は、胸腺、内分泌腺、脾臓、骨の表面および心臓といった特定の内臓に蓄積する。チェルノブイリの事故後にバンダジェフスキーが行った研究によると、大人の内臓に蓄積された濃度の二倍近いセシウム137が同地域の子供の内臓から検出された。最も濃度の高かったのは、新生児、乳幼児の膵臓および胸腺だった。

チェルノブイリ後にセシウム137が体内に蓄積された子供たちの八割は病気で、心臓疾患も多い。事故前のベラルーシでは健康に問題のある子供は2割程度で、ベラルーシの汚染されていない地域では事故後でも変化が見られなかった。

子供たちは放射線測量計を身につけるより、ホールボディカウンターを定期的に学校に搬送し、子供たちのセシウム137体内蓄積量を調査する必要がある。体重1キロ当たり20ベクレルの値を超えている場合にはペクチンを与え、汚染された食品の摂取を避ける必要がある。また子供を汚染地域外でしばしば保養させるのも効果的だ。

ペクチンはストロンチウム90、セシウム137、ウラン誘導体の体内摂取を減らすとともに、体外への排出を促進する。イタリア、イスプラの欧州委員会研究所の専門家たちは、ペクチンが安全で放射能の排出に効果的なサプリメントであるとみなしている。(Nesterenko V.I.他「アップルペクチンによるチェルノブイリの子どもの体内のセシウム137の除去効果」 SMW 134: 24-27. 2004)

汚染された子供たちには、抗酸化物質として作用するビタミンE、ビタミンA、カロチンも有効であり、ニンジン、赤かぶ、赤い果物などを与えるのが効果的だ。

以上はAP配信記事に対する意見である。記事によると、放射能事故を原因とする成人の死亡例はまだ出ていないようだ。汚染地域で小児科医、遺伝学者、免疫学者たちによる出生時から思春期までの継続した疫学調査・医学調査を行うことを強く要請したい。この調査には、汚染されていない地域で、年齢・性別の分布、職業、生活水準、居住地域の人口密度など環境的に類似した対象群を選ぶことが重要である。

(翻訳:小川万里子  編集:藤原かすみ)

ミッシェル・フェルネックス Michel Fernex 略歴
1929年ジュネーヴ生まれのスイス人。医学博士。ジュネーヴ、パリ、ダカール、バーゼルで医学を学ぶ。後、セネガル、マリ、ザイール、タンザニアなどアフリカ諸国に勤務、またフランス、スエーデンでも勤務し、寄生体学、マラリア、フィラリア症の問題で、世界保健機関と15年間,共同作業を行う。スイス・バーゼル大学医学部教授に任命。臨床医学,及び熱帯医学専門医。66歳で退職。以後、IPPNWの会員、またNPO「チェルノブイリ/ベラルーシーのこどもたち」(ETB)を仏緑の党創立メンバーで反核の闘士であった夫人のソランジュ・フェルネックスと2001年に創設。また2007年から、ETB、IPPNW, CRIIRAD、仏脱原発ネットワークなどとWHO独立のためのキャンペーン(Independent WHO)を組織。キャンペーン会員はジュネーヴのWHO本部前で毎日8時から18時までピケを張っている。(過去に、ジャン・ジーグレール、ダニエル・ミッテラン、クリス・バスビー、チェルトコフ、ヴァシーリ・ネステレンコがヴィジーに参加)

2011/12/18

避難した少女の手紙 & 安全な場所で学びたい児童の願い 「却下」

茨城から沖縄に避難した十五歳の高校一年女子生徒が恩師にあてた手紙
(2011-12-17 19:37 木下黄太のブログ)から抜粋

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  お元気ですか?私たちは沖縄に移住し、 父、 妹は茨城に残っています。

 私は確実に被爆をしています。症状がかなりでています。主に甲状腺が腫れたり、鼻血 じんましん 免疫力低下などです。          

 自分でもびっくりするくらい体に異常が起きていて、あのまま茨城にいたら、近い将来 死んでいたかもと 沖縄の医師に言われました。

先生方は 公務員ですから、動けないことも、放射能について生徒に教えることができないのもよく分かっています。 様々な情報から真実を知った時、すごく苦しみました。もうすでに何人の人が死んでいるのか、ご存知ですか?私たちの世代が、あと10年後、それよりも早くごっそりいなくなると言われています。     

 茨城にいる友達が心配で仕方ありません。ネットを通して、みんなに情報を流していますが、 今がよければいい どうせ子供産めないから、うちの親は公務員だから動けないなど将来に対して後ろ向きな考えばかりです。仕方ありません。高校生が事実を知っても、親に言えず、不安な毎日を過ごすばかりです。だから その親に一番 放射能の怖さを伝えられるのは教師だと思いませんか? そのためにリスクはかなりあるかもしれません。それでも子供たちは 大人の宝物ではありませんか?今の子供たちを守れるのは大人しかいません。 残念ながら、国は子供の命より経済をとってしまいました。もし、将来 がんが増えて、国に あの時の放射能が原因だと 訴えても 因果関係なしといわれるでしょう。 原発が爆発したときの「 ただちに影響はない」、 ただちにですよ!将来はどうなのかです。                                                                            
 もし、今までどおり普通に暮らしていれば、将来苦しむことは、はっきりわかっています。 私は今がよければいいなんて絶対に思いません。今 なんてどこでもできます。今いる場所によって将来が大きく変わるのです。私はこちらにきてよかったと本当に思います。 ですが、一番気掛かりは 茨城 関東 東北にいる子供たちの未来。本当に怖いです。誰も悪くありません。誰も責められません。 しいていうなら、国と東電。私たちは皆 被害者です。だからこそ、自分の命は自分で、子供の命は親で 守らなければいけないと思います。                                                                 
先生 どうか放射能について真実を調べてください。どうかそれを たくさんの人に教えてあげてください。大事な生徒を守ってください。 そこからは、それぞれが決めることです。                                          茨城での食生活 空気感染に十分お気をつけてください。ありがとうございました。

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茨城県より9月に沖縄に移住した 高校一年の女子生徒さんの手紙です。 4月より自転車通学で水戸へ登校。往復で五キロ以上、 雨が降っても、傘ささないで半年近く通いました。体調不良が多くなり、大量鼻水 や鼻血、鼻血は1日に、二回から三回ふつうに出始め、首が腫れてのどが痛み、顔にむくみ、胸の上と腕に赤い大きな発疹も出ているそうです。

 ネットを通して、茨城の同世代のみんなに呼びかけているそうですが、そちらから返ってくる答えが「のどが痛い」「鼻血が突然出る」「体が前より疲れやすくなっていてだるい」という体調不良を訴える友達が多くなっているそうです。漠然とした不安を抱えている女の子たちが多いそうで、あきらめにも似た気持ちを彼女へ吐露してくることも多いといいます。

若い世代の女の子たちの中で、リアルにこうしたやり取りがされていることを知ると、この社会のあり方はどうすべきなのかと思います。

 闘っていくしかないと、僕は思っています。

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★「事故収束」を宣言しながら、緊急時の20ミリシーベルトを1ミリシーベルトに戻さない政府。そして、安全な場所での教育を求める子どもたちの願いを 「却下」する裁判所。この国の政治と司法をこのまま放置したら、子どもたちの犠牲がますます拡大する。

今、問われているのは、「日本の大人たちに、本気で子どもを守ろうとする気持ちがあるかどうか」 つまり、愛があるかどうか、ではないだろうか。

安全な場所での教育を求める 子どもたちの願いを 「却下」

子どもの安全な場所での教育を求める
ふくしま集団疎開裁判 「却下」決定に対するコメントから抜粋

(2011年12月16日 ふくしま集団疎開裁判)

1 本日12月16日、福島地方裁判所郡山支部で仮処分申立に対する決定が出されました。
→裁判所の決定(2頁に「判断の理由の要約」 13頁末行から最後までが判断の理由のポイント)

 以下その解説を述べるにあたって、一言、弁護団長(柳原敏夫)の感想を述べさせていただきたい。

      ********************

「子どもを粗末にするような国は滅びる、そのような国には未来はない」
これが真実であることの確認を求め、混乱と異常事態に陥っている国政の是正を「人権の最後の砦」を本来の任務とする裁判所に求めたのが疎開裁判です。

 しかし、本日、裁判所は自らその任務を放棄することを宣言しました。福島第一原発に劣らず、我が国の三権も首をそろえて混乱と異常事態に陥っていることを余すところなく証明しました。それが本日の決定の唯一の意義です。

 これに対しては、私たちは2世紀以上前のアメリカ独立革命の人権宣言の初心に返って、「子どもを粗末にするような国は廃炉にするしかない。未来は子どもを大切にする国作りの中にしかない」ことを宣言する。

「政府は人民、国家または社会の利益、保護および安全のために樹立される。いかなる政府も、これらの目的に反するか、または不十分であると認められた場合には、社会の多数の者は、その政府を改良し、変改し、または廃止する権利、いわゆる革命権を有する。この権利は、疑う余地のない、人に譲ることのできない、また棄てることもできないものである。」(米国ヴァージニア憲法3条)

      ********************

 結論となる主文は「本件申立を却下する」というものです。

 決定中には「判断理由の要約」として、以下が記載されています。
放射線による影響を受けやすい児童生徒を集団で避難させることは、政策的見地からみれば、選択肢の一つとなり得るものである。しかし、債務者には、郡山市に居住する他の児童生徒が存在する限り、教育活動を実施する義務があり、教育活動の性質上、債権者らに対する教育活動のみを他の児童生徒に対する教育活動と区別して差し止めることは困難である。

債権者らの申立の趣旨は、事実上、債権者らが通学する小中学校の他の児童生徒に対する教育活動をも含め当該小中学校における教育活動の実施をすべて差し止めること等を求めるものと認められるから、その被保全権利の要件は厳格に解する必要がある。しかるに、債務者による除染活動が進められていることや放射線モニタリングの結果などを考慮すると、現時点において、警戒区域でも計画的避難区域でもない郡山市に居住し債権者らと同じ小中学校に通学する他の児童生徒の意向を問うことなく、一律に当該小中学校における教育活動の実施の差止めをしなければならないほど債権者らの生命身体に対する具体的に切迫した危険性があるとは認められない。また、債権者らに対する損害を避けるためには、債権者らが求めている差止め等が唯一の手段ではなく、区域外通学等の代替手段もある。したがって、本件申立てについては、被保全権利が認められない。」

2 今回の決定の骨子は次のようなものです。

(1)債権者らは、債権者らを避難させることを求めているが、実質的には、各学校における他の児童生徒の教育活動の差止めを求めているから、その被保全権利の要件は厳格に解する必要がある。
(2)現時点で、他の児童生徒の意向を問うことなく、一律に各小中学校の教育活動の実施の差止めをしなければいけないほど、債権者らの生命身体に対する切迫した危険性があるとは認められない。その理由は、(1)空間線量が落ち着いてきている、(2)除染作業によって更に放射線量が減少することが見込まれる、(3)100ミリシーベルト未満の低線量被曝の晩発性障害の発生確率について実証的な裏付けがない、(4)文科省通知では年間20ミリシーベルトが暫定的な目安とされた、(5)区域外通学等の代替手段もあること、等である。

3 裁判所は、まず、被保全権利がないこと、すなわち、子供たちに切迫した健康被害の危険がないことを理由に、申立を却下しようと考えたのだと思います。しかし、その点だけでは決定理由を書けなかった。そこで、他の子供達についても避難させようとしているなどということを持ちだして、「被保全権利の要件を厳重に解する必要がある」などということを言い出したのです。

確かに、私たちは、14人の子どもの避難だけではなく、他の子供達の避難も実現したいと思っていました。しかし、それは、裁判所の決定が出た後の行政交渉で実現できることであって、司法で実現できることではないし、司法判断の対象になるものではないと位置づけていました。個人の権利救済を目的とする民事訴訟手続においては、それは当然のことです。審理の対象は、申立人の子供たちの健康被害を避けるために、申立人の子供たちを避難させる必要があるかどうかだけなのです。他の子供達に対する事実上の影響の問題を司法判断に持ち込み、厳しい要件を課したのは、民事訴訟の原則に違反するものであると考えます。

4 100ミリシーベルト以下での低線量被曝のリスクが証明されたとはされていないことや文科省の20ミリシーベルトの判断を理由に子どもの健康のリスクを否定した内容は、結局、行政の判断に追随しているだけであり、司法の役割を全く果たしていないというしかありません。

チェルノブイリでの避難基準との比較、ベラルーシやウクライナの子供たちの現状、福島の明日は今のベラルーシやウクライナであること、多くの子供達が被害を受ける危険があることを、裁判所はどう考えたのでしょうか。

科学的な証明のためには膨大なデータの収集が必要であり、そのためには長い時間がかかります。児玉龍彦東大教授が言っておられるように、科学的に証明できてから対策をとっても遅いのです。ことは子供たちの生命、健康の問題です。予防原則が徹底されなければなりません。

我が国の政府は、国民に対し、年間20ミリシーベルトまでの被曝をさせる意思です。ウクライナやベラルーシでは、年間5ミリシーベルトを超える地域は強制避難地域とされました。それでも大変な健康被害が生じています。我が国における子供たちの保護が、旧ソ連の各国よりもはるかに劣っていること、そのことを我が国の司法すら安易に追認することに驚きを禁じえません。

5 司法の仕事は、苦しみの中で救済を求めている市民を救うことであって、市民を苦しめる行政の行為にお墨付きを与えることではありません。

 今回の裁判所の決定に対し、私たちは十分に検討の上、今後の道を探りたいと考えます。

安全な場所での教育を求める 子どもたちの願いを 「却下」

「事故収束」を宣言しながら、緊急時の20ミリシーベルトを1ミリシーベルトに戻さない政府。そして、安全な場所での教育を求める 子どもたちの願いを 「却下」する裁判所

子どもの安全な場所での教育を求める
ふくしま集団疎開裁判 「却下」決定に対するコメントから抜粋
(2011年12月16日 ふくしま集団疎開裁判)

1 本日12月16日、福島地方裁判所郡山支部で仮処分申立に対する決定が出されました。
裁判所の決定(2頁に「判断の理由の要約」 13頁末行から最後までが判断の理由のポイント)

 以下その解説を述べるにあたって、一言、弁護団長(柳原敏夫)の感想を述べさせていただきたい。

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子どもを粗末にするような国は滅びる、そのような国には未来はない
これが真実であることの確認を求め、混乱と異常事態に陥っている国政の是正を「人権の最後の砦」を本来の任務とする裁判所に求めたのが疎開裁判です。

 しかし、本日、裁判所は自らその任務を放棄することを宣言しました。福島第一原発に劣らず、我が国の三権も首をそろえて混乱と異常事態に陥っていることを余すところなく証明しました。それが本日の決定の唯一の意義です。

 これに対しては、私たちは2世紀以上前のアメリカ独立革命の人権宣言の初心に返って、「子どもを粗末にするような国は廃炉にするしかない。未来は子どもを大切にする国作りの中にしかない」ことを宣言する。

政府は人民、国家または社会の利益、保護および安全のために樹立される。いかなる政府も、これらの目的に反するか、または不十分であると認められた場合には、社会の多数の者は、その政府を改良し、変改し、または廃止する権利、いわゆる革命権を有する。この権利は、疑う余地のない、人に譲ることのできない、また棄てることもできないものである。」(米国ヴァージニア憲法3条)

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 結論となる主文は「本件申立を却下する」というものです。

 決定中には「判断理由の要約」として、以下が記載されています。
放射線による影響を受けやすい児童生徒を集団で避難させることは、政策的見地からみれば、選択肢の一つとなり得るものである。しかし、債務者には、郡山市に居住する他の児童生徒が存在する限り、教育活動を実施する義務があり、教育活動の性質上、債権者らに対する教育活動のみを他の児童生徒に対する教育活動と区別して差し止めることは困難である。

債権者らの申立の趣旨は、事実上、債権者らが通学する小中学校の他の児童生徒に対する教育活動をも含め当該小中学校における教育活動の実施をすべて差し止めること等を求めるものと認められるから、その被保全権利の要件は厳格に解する必要がある。しかるに、債務者による除染活動が進められていることや放射線モニタリングの結果などを考慮すると、現時点において、警戒区域でも計画的避難区域でもない郡山市に居住し債権者らと同じ小中学校に通学する他の児童生徒の意向を問うことなく、一律に当該小中学校における教育活動の実施の差止めをしなければならないほど債権者らの生命身体に対する具体的に切迫した危険性があるとは認められない。また、債権者らに対する損害を避けるためには、債権者らが求めている差止め等が唯一の手段ではなく、区域外通学等の代替手段もある。したがって、本件申立てについては、被保全権利が認められない。」

2 今回の決定の骨子は次のようなものです。

? 債権者らは、債権者らを避難させることを求めているが、実質的には、各学校における他の児童生徒の教育活動の差止めを求めているから、その被保全権利の要件は厳格に解する必要がある。
? 現時点で、他の児童生徒の意向を問うことなく、一律に各小中学校の教育活動の実施の差止めをしなければいけないほど、債権者らの生命身体に対する切迫した危険性があるとは認められない。その理由は、?空間線量が落ち着いてきている、?除染作業によって更に放射線量が減少することが見込まれる、?100ミリシーベルト未満の低線量被曝の晩発性障害の発生確率について実証的な裏付けがない、?文科省通知では年間20ミリシーベルトが暫定的な目安とされた、?区域外通学等の代替手段もあること、等である。

3 裁判所は、まず、被保全権利がないこと、すなわち、子供たちに切迫した健康被害の危険がないことを理由に、申立を却下しようと考えたのだと思います。しかし、その点だけでは決定理由を書けなかった。そこで、他の子供達についても避難させようとしているなどということを持ちだして、「被保全権利の要件を厳重に解する必要がある」などということを言い出したのです。確かに、私たちは、14人の子どもの避難だけではなく、他の子供達の避難も実現したいと思っていました。しかし、それは、裁判所の決定が出た後の行政交渉で実現できることであって、司法で実現できることではないし、司法判断の対象になるものではないと位置づけていました。個人の権利救済を目的とする民事訴訟手続においては、それは当然のことです。審理の対象は、申立人の子供たちの健康被害を避けるために、申立人の子供たちを避難させる必要があるかどうかだけなのです。他の子供達に対する事実上の影響の問題を司法判断に持ち込み、厳しい要件を課したのは、民事訴訟の原則に違反するものであると考えます。

4 100ミリシーベルト以下での低線量被曝のリスクが証明されたとはされていないことや文科省の20ミリシーベルトの判断を理由に子どもの健康のリスクを否定した内容は、結局、行政の判断に追随しているだけであり、司法の役割を全く果たしていないというしかありません。チェルノブイリでの避難基準との比較、ベラルーシやウクライナの子供たちの現状、福島の明日は今のベラルーシやウクライナであること、多くの子供達が被害を受ける危険があることを、裁判所はどう考えたのでしょうか。科学的な証明のためには膨大なデータの収集が必要であり、そのためには長い時間がかかります。児玉龍彦東大教授が言っておられるように、科学的に証明できてから対策をとっても遅いのです。ことは子供たちの生命、健康の問題です。予防原則が徹底されなければなりません。我が国の政府は、国民に対し、年間20ミリシーベルトまでの被曝をさせる意思です。ウクライナやベラルーシでは、年間5ミリシーベルトを超える地域は強制避難地域とされました。それでも大変な健康被害が生じています。我が国における子供たちの保護が、旧ソ連の各国よりもはるかに劣っていること、そのことを我が国の司法すら安易に追認することに驚きを禁じえません。

5 司法の仕事は、苦しみの中で救済を求めている市民を救うことであって、市民を苦しめる行政の行為にお墨付きを与えることではありません。

 今回の裁判所の決定に対し、私たちは十分に検討の上、今後の道を探りたいと考えます。

2011/12/17

「冷温停止」も 「事故収束」も  国内外で、誰も信用していない

日本人も世界中の人々も「事故収束」という日本の総理大臣の宣言をほとんど信じていない。「日本政府はウソをつく」という認識が世界に広まっている。世界から信用を失うことの重大さを政府と民主党は認識していない。また、原発を推進してきた自民党もまったく反省していない。この国の政治を根本から変える必要がある。

海外メディア 冷温停止を疑問視
(12月16日 17時50分 NHK)

野田総理大臣が、「原子炉は『冷温停止状態』に達した」と述べ、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」を完了したことを宣言したことについて、海外のメディアは宣言の信ぴょう性を疑問視する見方や、完全な収束には相当な時間がかかるという見方を伝えています。

このうち、アメリカの新聞、「ニューヨークタイムズ」は、電子版で「専門家は『冷温停止状態』の宣言を強く疑問視している」としたうえで、「年内にステップ2を達成するという公約を果たすための、現実を無視した宣言であり、原子炉の安全性への脅威から目をそらせることがねらいだ」とする専門家の見方を伝えています。

また、イギリスのBBCは、野田総理大臣の記者会見の模様を生中継で放送し、「冷温停止は1つの節目だが、それは汚染された地域の除染や福島第一原発の廃炉といった今後の長い道のりの中の一歩にすぎない。避難を余儀なくされている人々が故郷に戻って普通の生活を始められるめどは立っていない」と伝えました。

このほか、中国国営、新華社通信の英語版は、複数の専門家の話として、「損傷した原子炉内の温度を正確に測定することはできず、原子炉がどれほど安定した状態にあるかを断定することはできない」としたうえで、「世界の人々に間違った印象を与えるおそれがあり、日本政府は、ステップ2を年内に達成するということに固執しすぎるべきではない」と伝えています。


冷温停止宣言:ドイツ通信社が速報 批判的見解も紹介
(毎日新聞 2011年12月16日 19時20分)

 【ベルリン篠田航一】東京電力福島第1原発の原子炉が冷温停止状態になったとの宣言について、ドイツのDPA通信は16日、「フクシマの原発の廃虚が制御された」と速報した。ドイツは福島第1原発事故を受け、今年6月、国内17基の全原発を22年までに順次停止する「脱原発」を決めた。

 一方でDPA通信は「燃料棒が溶融し、圧力容器を破って地上に漏れているともみられ、まだ安全な状態には程遠い。これで冷温停止を宣言するのは意図的なウソと紙一重。日本政府は国民をミスリードしている」と批判するオーストリアの専門家の見方も紹介した。


福島第一原発 「事故収束」首相が宣言
(2011年12月17日 07時09分 東京新聞)

 野田佳彦首相は十六日、政府の原子力災害対策本部の会合で、東京電力福島第一原発で原子炉を安定して冷却する「冷温停止状態」を達成し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了できたとして「事故そのものは収束に至った」と宣言した。

 三月十一日の事故発生から九カ月余り。記者会見した細野豪志原発事故担当相は、今後は住民の帰還に向けた対策に政府を挙げて取り組む方針を示した。

 しかし、今月四日には敷地内の放射能汚染水の海への流出が確認され、溶けた核燃料の状態も分からない。そんな中で早々と「事故収束」を宣言したことには、住民や専門家から批判が出ている。

 事故対応に当たってきた国と東京電力の統合対策室は十六日に解散し、新たに「政府・東京電力中長期対策会議」を設置した。近くとりまとめる中長期の工程表をもとに、三十年以上かかるとされる同原発1~4号機の廃炉に向けた作業に取り組む。周辺住民の帰還に向け、避難区域の見直しに向けた考えも示す方針。

 対策室は四月に工程表を発表。三カ月程度を目標にした「ステップ1」で、原子炉から漏れ出した汚染水を浄化して再び炉内の冷却に使う循環式冷却を実現した。続くステップ2では、原子炉内の温度を一〇〇度以下に保つとともに、放射性物質の外部への放出を抑える「冷温停止状態」の実現を目指した。

 その結果、炉心溶融を起こした1?3号機の原子炉内の温度が三〇~七〇度程度に落ち着き、安定的に冷却できる状態になった。放出が続く放射性物質による被ばく線量は、敷地の境界で年〇・一ミリシーベルトと一般人の限度の十分の一にとどまっているとされる。

 さらに、東電や経済産業省原子力安全・保安院は、東日本大震災と同規模の地震や津波に襲われても安全性が保たれると確認。国として安全が確保できたと判断したという。

 記者会見で、細野担当相は「事故収束は極めて難しいと考えていた。日本が瀬戸際でとどまった大きな日と思う」と述べた。東電の西沢俊夫社長は「福島県、社会に迷惑を掛け、深くおわびする。今後は中長期の対策にしっかり取り組む」とあらためて謝罪した。


達成強弁 実態は道半ば
(2011年12月17日 東京新聞朝刊)

 本来の「冷温停止」と似て非なる「冷温停止状態」という用語を事故収束に向けたキーワードに用い、批判を浴びてきた政府。この日は、その達成を理由に「事故収束」宣言にまで突き進んだ。

 苦しい避難生活を迫られる人たちに配慮してか、サイト(福島第一の敷地)内の出来事に限っては「収束」とし、サイト外は「収束していない」という論法を持ち出した。

 確かに福島第一の周辺は、除染もほとんど手つかずで、放射性物質を含んだがれきの中間貯蔵施設の設置も具体化しておらず、収束どころではない。

 一方、福島第一の中も、とても収束とは言えないのが現状だ。日々原発を見ている現場の作業員たちは「収束などとんでもない」と口をそろえる。

 「冷温停止状態」かどうかも怪しい。そもそも「冷温停止」は、単に原子炉が冷えているだけでなく、放射性物質を密封できて初めていえること。その定義は東電の保安規定に明記されている。

 「冷温停止状態」の定義の一つは「圧力容器底部の温度が一〇〇度以下」。それは達成したが、炉内の別の場所は今も一〇〇度を上回るところがある

 圧力容器の底が抜けて、溶けた燃料が落下しているが、実際にどんな状態なのかも分からない。最後の“壁”である建屋も損傷。地下水の流入が止まらないが、海への流出を阻む遮水壁もできていない。高濃度汚染水は、いつ外部に漏れてもおかしくない状態だ。

 実際、四日には放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れたと判明。すると、政府の担当者は「水は関係ない」と抑制する対象ではないと言う。

 収束と言いながら、原子力緊急事態宣言は解除されない矛盾も。「収束宣言」は政治的な節目にすぎず、実態は収束への道半ばだ。 (原発事故取材班)


福島第1冷温停止宣言 再生実感程遠く、住民に諦め 
(2011年12月17日 河北新報)

 国は福島第1原発事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」完了を宣言し、原子炉が一定の安定状態になったと発表した。しかし、原発の安全性への信頼を裏切られ、古里を追われた福島県の住民や自治体に達成感はほとんどない。近く公表される避難区域の見直しをめぐっても疑念や諦めが渦巻き、「福島の再生」を実感するにはほど遠い

 福島第1原発が立地する大熊、双葉両町から避難した住民には「もう帰れない」という諦めが広がっている。福島市の仮設住宅で暮らす双葉町の無職山下忠宏さん(82)は「放射線量が高すぎる。政府は帰れるかどうかを判断できないあいまいな表現をやめて、土地を買い上げて最終処分場にすると決断すべきだ」と語る。

 住民は事故当初から二転三転する国や東電の情報に振り回された。大熊町で畜産業を営み、会津若松市に移った志賀美代子さん(51)は「原子炉が安定状態になったと聞かされても信じられない。こんなに早く完了宣言して大丈夫なのか」と疑いの目を向ける。

 国は線量が低い地域については帰還を認める方向で、近く避難区域の見直しを進める。しかし楢葉町の農業草野邦応さん(53)は「子どもを連れては帰れない。自分が避難先のいわき市と地元を行き来することになるだろう」と家族全員の帰還を諦めている

 「病院や上下水道、商店など生活基盤の整備がなければ帰るのは難しい」と言うのは、南相馬市小高区で老舗のラーメン店を営んだ豊田英子さん(62)。「元の場所で営業再開してもお客さんが来てくれないだろう」と二の足を踏む。

 国が帰還に向けて実施する除染についても期待感は薄い。富岡町の自営業安類聖子さん(66)は「除染作業はパフォーマンスだと思う。『やったけど駄目でした』と言うためではないか。いつまでも生殺しのように待たされるのは耐えられない」と批判する。

 避難住民の間では、広大な避難区域を全て除染するのは現実的ではないという見方が一般的だ。浪江町の会社員今野悦男さん(60)は「たくさんの放射性物質がまき散らされた。地区の約8割を占める山林の除染は不可能で、無駄金を使うことになる。何十年後かに帰れても、その時は復興の気力はないだろう」と話す。

◎「根拠なき宣言早計」/地元首長、信頼性を疑問視

 事故を起こした福島第1原発1?4号機が立地し、全域が警戒区域に指定されている大熊町の渡辺利綱町長はステップ2の完了宣言について「一歩前進」とした上で、「私たちにとっての事故収束は町民が町に戻って安心して暮らせること」と強調した。

 原発は今月に入っても放射性ストロンチウムを含む汚染水が流出するトラブルが続く。渡辺町長は「トラブルにはしっかり対応してほしい」と注文を付けた。

 一部が警戒区域に当たる南相馬市の桜井勝延市長は、完了宣言の信頼性に疑問を抱く。「炉心や燃料を完全制御できていることを確信できる根拠はなく、宣言は早計ではないか」と述べた。

 「事故発生以来、国や東京電力の情報開示には不信感があり、まともに受け止められない」。浪江町の馬場有町長は警戒区域指定に伴って役場機能を移した二本松市で記者会見し、完了宣言を批判した。避難指示が解除されても帰還に消極的な町民が一定数いる実情を踏まえ、「戻らないと判断する町民への支援策も持っていたい」と話す。

 佐藤雄平知事は県庁で取材に応じ「期待感は持たせるが、完全収束までは道半ばという認識。県としては安全安心を大前提に何ができるのか見極めたい」と語った。


<冷温停止宣言>国内外の不信払拭を優先 「拙速」指摘も
(毎日新聞 12月16日21時45分)

 東京電力福島第1原発事故の収束に向けた工程表のステップ2完了を受け、野田佳彦首相は16日の記者会見で「事故そのものは収束した」と訴えた。「同原発が安全になった」ことを宣言し、政府への国内外の懸念と不信を払拭(ふっしょく)することを優先したためだ。しかし、原発の外の「三つの課題」を解決する道筋は見えていない。記者団からは「宣言は拙速」との指摘も相次いだ。

 首相は原発事故について「全ての国民、世界中の皆様に多大な迷惑をかけ申し訳ない」と改めて謝罪。「原子炉の安定状態が達成され、不安を与えてきた大きな要因が解消される」と強調した。

 しかし、依然9万人近くが事故に伴う避難生活を余儀なくされ、全国で放射性物質の検出が続く中での「事故収束宣言」は、被災地の実態とあまりにかけ離れている。首相も、宣言はあくまで工程表で政府が自ら定めた条件を満たしたに過ぎないことを認めた上で、「被災地感情として『まだ除染や賠償があるじゃないか』という気持ちがある。オフサイト(原発施設外)で事故対応が終わったわけではない」と釈明した。

 ステップ2達成の前倒しは、細野豪志原発事故担当相が9月の国際原子力機関(IAEA)年次総会で表明した。これは国内よりもむしろ国際社会に向けて、早期収束への決意を示すのが狙いだった。

 事故直後、米国が福島第1原発から半径約80キロ以内の米国人に一時退避を勧告するなど、各国は独自の対応を進めた。日本政府の対応の遅れに対する不信感が背景にあったのは明らかだ。国産食品の輸入規制や海外からの観光客の大幅減などの風評被害を一掃するためにも、ステップ2完了で、日本政府は海外からの信頼を取り戻す必要に迫られていた。

 一方、原発の外に目を向ければ、住民生活の回復に向けた課題は山積している。首相は16日の記者会見で放射性物質の除染、住民の健康管理、被害者への損害賠償の三つを重点課題に挙げた。

 特に「最大のカギ」と指摘した除染は、12年度と合わせて1兆円超の予算確保を明言。「さらに必要なら国が責任をもって予算を確保する」と語ったが、今後どこまで費用が膨らむか、有効な除染が本当にできるのかが見通せているわけではない。放射性物質への不安がぬぐえない中での避難区域の見直しに、自治体や住民から反発が出る可能性もある。【笈田直樹】


首相、原発事故「収束」宣言へ 冷温停止達成を認定
(2011年12月16日15時0分 朝日新聞)

 野田政権は16日午後、原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)を開き、東京電力福島第一原発事故収束に向けた工程表ステップ2(冷温停止状態の達成)終了を確認し、事故の収束を宣言する。「事故の収束」という踏み込んだ表現をすることで、内外に安全をアピールする狙いだ。住民帰還のめどが立たない中での収束宣言には、避難住民から反発が出そうだ。

 ステップ2の終了確認を受けて、野田首相は同日夕に記者会見する。政権が今夕公表予定の宣言文案は、事故で放射能を拡散させた原発について「冷温停止状態に達し、万一事故が発生した場合も、(原発の)敷地境界線における被曝(ひばく)線量が十分低い状態を維持することができるようになった」と認定。さらに「安定状態を達成し、事故の収束に至ったと判断される」と踏み込んだ。

 政権は「冷温停止状態」について、1?3号機の圧力容器底部を安定的に100度以下に保ち、放射性物質の拡散を抑制する――などと定義している。

 これを「事故の収束」という、より強い表現に置き換えることで、風評被害など国内外に根強い原発事故への不安を払拭(ふっしょく)したいという狙いがある。政権は今後、放射性物質の除染を進めていく方針。避難区域の縮小も行い、住民の帰還へとつなげたい考えだ。

 ただ、溶融した炉心は場所の特定すらできていない。放射性物質の大気への放出も続いている。

 政府の原子力委員会が30年以上かかると見解を示した廃炉についても、政権は「中長期的課題」と位置付け、「事故の収束」とは切り分けた。

 政権は当初、ステップ2の達成目標について来年1月中旬までと示していた。その後、細野豪志原発相が9月の国際原子力機関(IAEA)総会で、目標を前倒しし、冷温停止状態の年内実現を宣言した。

 「事故収束」に絡み、細野豪志原発相は16日午前、東京都内で開かれた「アジア原子力協力フォーラム」閣僚級会合で「今日午後には冷温停止状態を報告することができる。オンサイト(原発敷地内)の事故は収束になる」とあいさつした。


「事故収束」を宣言しながら、緊急時の20ミリシーベルトを1ミリシーベルトに戻さない政府。そして、安全な場所での教育を求める 子どもたちの願いを 「却下」する裁判所 海外でも国内でも信頼を失っている行政、そして、司法

福島原発吉田所長のガンについて、矢ヶ崎克馬名誉教授 「繰り返し被曝することで、短期間でガン細胞が成長する可能性がある」

福島原発吉田所長の「食道がん」について、内部被曝に詳しい琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授はこう指摘している。「内部被曝では放射性物質が体のいたるところに運ばれ、あらゆる疾病の原因になる。繰り返し被曝することによって、短期間でがん細胞が成長してしまう可能性も否定できません。被曝の可能性は決して否定すべきではないと思います」

福島原発吉田所長の食道がん 内部被曝との関係を専門家解説
(2011.12.17 07:00 NEWSポストセブン)

 福島第一原発事故の収束作業を陣頭指揮し、病気療養のために退任した吉田昌郎・前所長(56)。その病名は「食道がん」だった。

 3人の子供とともに、都内のマンションに暮らす吉田氏の妻は、がんの前兆はなかったことを本誌にこう明かした。

「これまでがんになったことは決してありませんが、専門家ではないので、放射能が病気の原因なのかはわかりません。家族としては、ただ心配で…」

 事故後、ほとんど不眠不休の状態で、エネルギッシュに事態の収束にあたった吉田氏。休みの日も本社で行われた会議には、上京して出席した。

 しかし、10月下旬に異変が起きた。

「随分トイレが長いなと思っていたら、ずっと吐いていたんです。11月にはいると顔色も悪くて、“食べ物がのどを通りづらい”とか“食欲がない”とかこぼしていて、大丈夫かなと心配していたんですが…」(福島第一原発関係者)

 まだ50代という若さで突然の発病だが、東電の説明によると「食道がんの潜伏期間は5?10年のため、被曝が原因の可能性は低い」とのこと。

 しかし、内部被曝に詳しい琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授はこう指摘する。

「内部被曝では放射性物質が体のいたるところに運ばれ、あらゆる疾病の原因になる。繰り返し被曝することによって、短期間でがん細胞が成長してしまう可能性も否定できません。被曝の可能性は決して否定すべきではないと思います」

※女性セブン2012年1月1日号

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