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2015/06/17

今日は、松下竜一さんの命日

今朝、ウインドファームのミーティングで、11年前の今日、67歳で亡くなられた作家・松下竜一さんの話をしました。「いのちを大切にする生き方」を実践された松下竜一さんとの出会いがなければ、自然と共存する森林農法や有機農業を広めるウィンドファームは誕生していませんでした。助け合いや分かち合いをベースにしたフェアトレードという事業も行われなかったでしょう。

今から40年ほど前、当時19歳の私は、環境問題や社会問題にまったく関心を持っていませんでしたが、胎児性水俣病の患者さんとの出会いによって、公害や環境問題に関心を持ちはじめ、松下竜一さんとの出会いによって、自然を守ろうとする人びとの美しさや人生の素晴しさを感じました。

松下さんの後について、自然破壊から海を守る運動や脱原発運動に関わり、チェルノブイリ原発事故の被害者を支援する活動のなかで、助け合うことや行動することの素晴しさと大切さを学びました。

松下さんと中村

今の仕事につながる有機農業の師匠を紹介してくれたもの松下さんでした。
松下さんは、環境運動だけでなく、平和運動においても九州の大黒柱的な存在でした。
マハトマ・ガンジーは、「世界の運命を暴力によって 蹂躙させない唯一の方法は、私たち一人ひとりがあらゆる暴力を肯定しないことにあるという言葉を残していますが、松下竜一さんの「優しいつよさ」は、ガンジーのそれと共通している気がします。

福島をはじめとする放射能汚染地の特に子どもたちの健康や生命が軽視され、原発再稼働が真近に迫り、憲法が破壊されようとしている今、松下さんが生きていたら、どんな行動を起こしているでしょうか・・・。
他界されて11年が過ぎましたが、今も松下竜一さんは私の傍にいます。

松下竜一さんの思いを継ぐ 最後の「竜一忌」に300人 大分・中津
(2014/07/22 風の便り)から抜粋

第八回竜一忌 『暗闇の思想』から学ぶ 小出裕章さん講演
(2012年6月16日 大分県中津市での講演)

チェルノブイリの子どもたちの作文集 
 「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」

(2011/06/18 風の便り)から抜粋

(1995年6月に発行された)この本の解説を「100万人のキャンドルナイト」のキッカケをつくった松下竜一さんが書いている。東京電力の原発事故が起こったいま読み直してみると、出版当時も印象深かった次の文章が当時以上に響いてくる。

 チェルノブイリの事故は、「原発をやめるべきだ」という天の声ともいうべき人類への警告であったのではないか。

 日本政府は「日本の原発技術は卓越している」と過信して、いまや世界でも突出してしまった原発推進政策を改めようとはしない。先の兵庫県南部地震によって、日本の技術神話など吹き飛ばされたというのに。

 ベラルーシの少年少女たちが紙背に涙をにじませて綴った本書を、一番心して読むべきは私たち日本人でなければなるまい。

松下竜一さん逝去によせて(辻信一)

松下竜一さんのスローライフ(中村隆市)

第4回 竜一忌 辻×中村

800人が松下竜一さん追悼 大分県中津市でしのぶ集い
 「豆腐屋の四季」やミニコミ誌「草の根通信」の刊行で知られ6月に67歳で亡くなった、作家で市民運動家の松下竜一さんをしのぶ集いが1日、大分県中津市で開かれ、ファンや支援者ら約800人が、生前の精力的な活動を振り返った。  ホールのステージ中央には、やさしくほほ笑む松下さんの遺影。好きだったというテッポウユリが飾られた。  火力発電所建設や米軍実弾演習の反対運動など松下さんの活動を記録したビデオが上映され、友人代表30人が壇上で追悼の言葉を述べた。  評論家の佐高信さんは「松下さんは紡ぎ出す言葉だけでなく、存在で勇気を与えてくれる人だった」。沖縄大名誉教授の宇井純さんは「小さな体にたくさんの荷物を背負い、活動の先頭に立ってきた」と語った。  会場参加者はエピソードが披露されるごとに、深くうなずいていた。
2004/08/01 09:39 【共同通信】

松下竜一さんを偲ぶ集い

2015/03/24

森と共存する農法を紹介する動画 「コーヒーを育てる恵みの森」

森と共存する「森林農法」によって、30年以上も森を守ってきたメキシコ、クェツァランのトセパン協同組合の皆さん(大半が先住民のナワット族とトトナカ族)。しかし今、その豊かな自然環境が「鉱山開発」によって破壊されようとしています。私たちは、森林農法で栽培された有機コーヒーをフェアトレードで輸入するだけでなく、様々な形でトセパンの皆さんが取り組んでいる自然保護活動に「参加」しています。その取り組みの一つが、農薬がほとんど使用されていない地域で採れるハチミツの輸入です。
詳しくは「豊かな森を守るメキシコ固有の不思議なハチミツを日本に届けたい」をご覧下さい。
皆さんにもこの取り組みに参加していただければ幸いです。

この森を守っている人々を紹介した動画がNHKによって制作されています。2005年に開催された「愛・地球博」の基本理念継承のために制作された「モリゾー・キッコロ 地球環境の旅」(DVD)に収録され、日本全国の小学校等に配布されました。その動画の一部がyoutubeにアップされていましたが、その動画を友人が書き起こしてくれました。

コーヒーを育てる恵みの森 〜メキシコ〜

0:00
モリゾー:さー出発じゃー!
キッコロ:ヒャッフー!

0:05(ナレーター:竹下景子)
命あふれる地球。大切なこの星を守るために、何ができるんでしょう。モリゾーとキッコロが、その答えを探しに世界中を旅します。さあ、私たちも出かけましょう!

0:20
今回の舞台は、先住民の文化が残る、メキシコ。一風変わったコーヒーづくり。森の豊かな自然を生かして農業を進める、メキシコの先住民たちのお話です。

0:40
ラテンアメリカの国メキシコ。そのほぼ中央、標高900メートルの高地に、クェツァランの町があります。

0:55
17世紀にスペイン人によって作られた、石畳の街並み。愛・地球博でも紹介されていましたが、メキシコは豊かな農業の国。市場はトウモロコシやトマトなど、新鮮な野菜でいっぱい。コーヒー栽培も盛んで、世界でも有数のコーヒーの生産国なんです。

1:25
コーヒーは、山の斜面の、ちょっと変わった農園で栽培されています。

1:35
キッコロ:キッコロ、コーヒーの木を見るの、初めて!
モリゾー:そりゃそうじゃ。日本は寒くてコーヒーが育たんからのう。
キッコロ:コーヒーの木ってどんな木?
モリゾー:どれどれ、あー、あそこに生えておるぞ。ほーれ、あの赤いのがコーヒーの実じゃ。
キッコロ:へー、サクランボよりも少し小さいくらいだね。
モリゾー:この赤い実を干して取り出した種が、コーヒー豆なんじゃ。

2:10
モリゾー:ところでキッコロ、この農園ちょっと変わっとらんか。
キッコロ:うん、いろんな木があって森みたいだね。
モリゾー:お、だれか来たぞ。どうやらこの農園のご主人みたいじゃな。
キッコロ:おじさん、この農園、まるで自然の森みたいだね。
農園の主人:ああ、ここはね、自然の森でコーヒーを作りたくて、28年かけて作り上げたんだよ。いろんな種類の木を植えてあるんだ。良かったら、見て回ってごらん。

2:55
モリゾー:よーしキッコロ、森の中を探検じゃ。
キッコロ:行こう!

キッコロ:あ、高いところになにかなってる!
モリゾー:あれはバナナじゃ。たわわに実っておるのう。
キッコロ:ほかにどんな木があるんだろう?
モリゾー:おー、トウガラシじゃ。
キッコロ:うわー辛そう!
モリゾー:コショウの木まで植わっておるわい。
キッコロ:本当にいろんな木がある農園だね!

3:36
この森は、森林農法をしている農園です。背の高い作物や低い作物をいっしょに植え、自然の森と同じような環境を作ってする農業なんです。もちろん、農薬も化学肥料も使いません。栄養の元は、降り積もった落ち葉です。虫や微生物が落ち葉を分解して、豊かな土を作るんです。

4:05
今、地球の温暖化や木の伐採によって世界中で森が減っています。この森林農法、自然を守りながら進める新しい農法として期待を集めています。

4:23
メキシコにヨーロッパからコーヒーがもたらされたのは、今から300年前。

4:34
山岳地帯の気候がコーヒー栽培に適していたため、20世紀にはメキシコ全体に広がりました。

4:44
しかし森林農法によるコーヒー栽培が始まったのは、実は最近のことなんです。

4:55
クェツァランの町に森林農法を広めた、ドン・ルイスさんです。以前は、コーヒー協会という全国組織の指導で、全く違った栽培をしていました。

5:10
ドン・ルイス:収穫量が増えるという栽培方法を、コーヒー協会が教えに来たんだ。私たちは、何も知らずに教えられたとおりにやったんだよ。

5:25
30年前、メキシココーヒー協会が農家に配ったテキスト。コーヒーの木の周りは、草を刈るように書かれています。また、化学肥料を使ったり、農薬をまいて害虫を駆除するように教えていました。こうした、森を切り開いて作る農園を、プランテーション農園と呼び、これが世界のコーヒーづくりの主流なんです。

コーヒー園での農薬散布・メキシコ

6:00
しかし、この方法は、収穫量が増えますが、自然を破壊する恐れがあります。コーヒー以外の木が切られると、露出した地面は荒れてしまいます。下草の生えない地面には虫はいなくなり、鳥などの生き物も姿を見せません。

6:27
ルイスさんも、一度はプランテーション農園にしましたが、収穫量は減っても自然に優しい森林農法に切り替えたんです。研究機関の教えも受け、ルイスさんは町中に森林農法を広めました。

6:46
ドン・ルイス:収穫量がもっと上がれば、森林農法を選ぶ人は世界中に広がり、自然を守る意識も高くなると思います。私たち農家が森を守らなければ、誰が守るというのでしょうか。

笑顔のドン・ルイスと中村
(ドン・ルイスと中村隆市 2003年)

7:06
23年前に撮った写真。当時、教会の下には、プランテーション農園が広がっていました。

7:17
キッコロ:おじいちゃん、この写真の場所を探してみようよ。
モリゾー:今はどうなっているんかのう。
キッコロ:すみません、この写真の場所を探してるんだけど、分かりますか?
花屋:うーん、わからないわ。
モリゾー:はて、どこじゃろうか。

7:44
モリゾー:あ、この場所を知っておるかのう。
通りがかりの男性:クェツァランだね。おー、これは、もっと上の方から写しているようだよ。

8:00
キッコロ:なんだか近づいてきた気がするよ。

8:12
男性:うーん、見覚えがあるよ。わかった、この場所を知っているよ。
男性:ここから見た景色さ。

8:28
ようやく見つけた場所は、景色がすっかり変わっていました。以前、協会の下にあったプランテーション農園。今は一面の森です。20年ほど前、この土地の持ち主が森林農法を取り入れたためです。森を歩くと、木漏れ日が舞い落ちます。森には花々が咲き、そこには虫たちが集まります。そして、虫や木の実を食べに、多くの鳥たちがやってきます。一度壊された森が、森林農法でよみがえったんです。

9:32
モリゾー:よいしょ、よいしょっと。なかなか固いもんじゃのう。
キッコロ:がんばって、おじいちゃん。

9:43
モリゾー:うーん!うまいコーヒーじゃ。
キッコロ:うわー、いい香り!どんな人がこのコーヒーを飲んでるんだろうねえ?
モリゾー:よし!次はそれを調べることにしよう。

10:03
モリゾーとキッコロが訪ねたのは、コーヒー農家の協同組合の倉庫です。

モリゾー:誰かおるんかのう。
キッコロ:わーすごい袋!これみんなコーヒーが入ってるんだね!

クェツァランで森林農法によるコーヒーづくりをしている農家の数は、年々増えて、今ではおよそ5800世帯。収穫したコーヒーは、すべてこの倉庫に集めて出荷しています。

10:39
キッコロ:あ!人がいるよ!
キッコロ:すみません、このコーヒーどこに売るの?
男性:主に輸出さ。アメリカ、ヨーロッパ、そして日本にも売っているんだよ。

10:51
農薬や化学肥料を使わない森林農法のコーヒーは、環境にも人の体にも優しいので、世界中にファンがいます。普通のコーヒーの3割ほど高い値段で取引されています。

11:07
日本にも森林農法のコーヒーを応援する人たちがいます。東京、国分寺にあるこのカフェは、森林保護のために、最近、クェツァランのコーヒーを扱い始めました。コーヒーを買うと、森林農法の農家にお金が渡り、日本にいてもメキシコの森を守る手助けができます。そう考えるお客さんたちが店に集まってくるんです。

11:43
女性:どうしても安い商品に目が行きがちなんですけども、それも価格破壊と言うことで環境を破壊していたりと言うことも、つながってきたりするので、地域を助けるという意味では、何かの一滴になれば、すごくうれしいのはうれしいですよね。

12:10
キッコロ:この森は世界中の人たちが支えているんだね。
モリゾー:お金の使い方次第で外国の森も守れるということじゃのう。
キッコロ:あ!おじいちゃいん、鳥がいるよ!
モリゾー:おー、七面鳥じゃ。家畜にしておるんじゃな。農薬を使ってないから、放し飼いできるんじゃのう。

12:48
この農園で暮らしている、シモン君とジュリサさんの一家です。おじいさんのマルティンさんは、長く続けてきたプランテーション農園を、5年前に森林農法に切り替えました。孫たちに綺麗な自然を残してあげたいと思ったのがきっかけなんです。以前は、この農園にコーヒー以外の作物はありませんでした。でも今は、食べられるものも育つようになりました。こうしたキノコなどが、一家の大切な食糧になります。

13:38
マルティンさん:自然をもう汚したくなかったのさ。森で採れるものを、何の心配もなく食べられるようにしたかったんだよ。

13:50
キッコロ:うわーいいにおい!
モリゾー:燃料の薪も、森から拾ってきたんだそうじゃよ。

14:00
軽く焼いたキノコは、トウモロコシで作った手作りのパンで包んで食べます。森で採れる食べ物が並ぶ、シモン君一家の食卓。森林農法で取り戻した自然の恵みいっぱいの暮らしです。

14:20
キッコロ:森のおかげで、とっても素敵な暮らしだね!
モリゾー:森林農法のような自然に優しい農業が広がれば、人はいつまでも森と一緒に生きていけるんんじゃ。
キッコロ:みんなで頑張ろう!
モリゾー:さあ、次の旅に出かけるとするか。

「モリゾー・キッコロ 地球環境の旅」の制作配布について
(平成19年1月18日(財)2005年日本国際博覧会協会)から抜粋

博覧会協会は、愛・地球博の基本理念継承のため、「モリゾー・キッコロ 地球環境の旅」と題するDVDを制作し、順次、全国の小学校に無償配布致しましたのでお知らせします。このDVDは、愛・地球博で展示・紹介された環境保護の取り組みをモリゾー・キッコロの二人が日本と世界を旅してレポートするもので、各15分 全8話から構成されています。なお、今回のDVDは、昨年10月より今年年始にかけ、NHKハイビジョン、NHK教育テレビ及び国際放送を通じて全世界で放映されてきたもので、愛・地球博の基本理念を、愛・地球博閉幕後1年を経てなお人気のあるモリゾーとキッコロを通じて、より一層効果的に継承するため、日本全国の小学校等への配布を目的に、博覧会協会解散以前よりDVDの制作を行ってきたものです。

本DVDの構成(各15分 詳細は別紙参照PDF
第1話 ジンベエザメ Uターン!〜フィリピン・ルソン島〜
第2話 蝶は森の救世主〜ケニア〜
第3話 ゴミから生まれるエネルギー〜スウェーデン〜
第4話 250キロ!湖畔にアサザを〜茨城県・霞ヶ浦〜
第5話 植物プラスチックが地球を救う!〜名古屋 / アメリカ・ネブラスカ州〜
第6話 絶滅脱出!珍獣カモノハシ〜オーストラリア・タスマニア島〜
第7話 コーヒーを育てる恵みの森〜メキシコ〜
第8話 田んぼに舞ったコウノトリ〜兵庫県・豊岡〜

配布部数及び配布先
・配布部数:約23,000部
・主な配布先:全国の都道府県及び政令指定都市の教育委員会並びに全国の小学校


40年前に姿を消した鳥たちを呼び戻した男の物語

40年ほど前、メキシコのクエツァランに鳥が大好きなドン・ルイスという先住民がいました。彼は「コーヒーの収穫量が増える」というコーヒー協会の指導に従って「農薬と化学肥料を多用する近代農法」に取り組みました。ところが、近代農法が広まるほどに鳥が激減していることに気づきました。「鳥がいない人生ほど寂しいことはない。鳥がいなくなる農法は間違っている」と確信したルイスは、鳥を呼び戻すために勉強し、森や森の生き物たちと共生する「森林農法(アグロフォレストリー)」を地域に広めました。40年後の今、この地域の森には、渡り鳥もたくさん飛来し、年間200種類もの鳥を見ることができます。「クエツァランという地名は、世界で最も美しい鳥とも言われているケツァール(手塚治虫が描いた火の鳥のモデルとなった鳥)に由来しています」と嬉しそうに話してくれたドン・ルイスは、鳥たちの鳴き声に包まれながら人生を終えました。

火の鳥 ケツァール

ケツァール(みどり系胸は赤)

物語は、ここで終わりませんでした。「近代農法」の次に「鉱山開発」という自然破壊の危機がこの地に迫っています。ドン・ルイスの意志を継ぐ人々が今、鉱山開発から森や川や全てのいのちを守る闘いに立ち上がっています。

シエラノルテの大地に命をかけて
(鉱山開発から自然を守る闘い)書き起こしから抜粋

◆シエラノルテの大地に命をかけて
(鉱山開発から自然を守る闘い)の書き起こしから抜粋

6:16?(ナワット族の男性)
今は亡き母が いつも言っていました
「大地を大切にしなさい」と

トセパン 亡き母がいつも言っていました 「大地を大切にしなさい」と

農薬や化学肥料の利用はもってのほかです
私たちは この土地がさらに豊かになる
方法を模索しています

有機コーヒー オールスパイス 野菜
とうもろこし 豆 穀物
これらの恵みがあるからこそ
私たちは生きていけるのです

ここに鉱山開発の手が及び
その影響が及ぶなんてことは
想像もできません

水が奪われ 汚染される

ここで水力発電が始まれば
90%の水が失われます

金 銀 銅の鉱脈が確認されています
鉱山開発が進めば シアン化合物も
使われます

いのちの源である川や水源に 
毒物が流されることと同じです
決して許されることではありません

先住民であろうとなかろうと
目を覚ます時が来たのです

7:28?(青いシャツの女性)
この森には コーヒー オレンジ 
バナナ パパイヤがあります
この地域には あらゆる恵みが
あるのです

もし私たちが 鉱山開発を許したならば
今あるすべてのものが失われてしまいます

8:07?(ナワットの男性)
私たちが望んでいるのは
この土地に暮らすすべてのいのち
を守ることです

いま メキシコ政府は 外国企業と
協定を結び 鉱山開発が始まろうと
しています

メキシコの鉱山開発反対デモ

しかし この土地には
私たちが先祖から受け継ぎ
大切に守ってきた
自然があるのです

8:38?(赤いチェックのシャツの女性)
私たちは今 とても危険で困難な局面を
むかえています
プエブラ州シエラノルテの一帯で
鉱山開発 そして水力発電所の建設が
まさに始まろうとしているのです

このシエラノルテの地域に暮らす
ナワット族 トトナカ族 メスティーソ
そして農業を営む人たち
すべての人たちの命が脅かされます

金 銀 銅 亜鉛の鉱山開発に対する
許可だけに着目しても
その開発予定面積は
14万ヘクタールにも及びます

15:45?(花柄の服の女性)
ここに豊かな森があることを
もう一度 考え直しましょう

森は 単なる植物ではありません
私たちの命を支えてくれているのです
本当の意味で 私たちの生活を
豊かにしてくれます。

金とは比較できない
私たちの資源なのです

18:45?(赤いベストの男性)
この土地で 
平和に生活を続けたいだけです

鉱山開発による発展は
私たちが考える発展ではありません

27:56?(帽子をかぶった男性)
年老いた私は 息子 孫そして
ひ孫のために 必ずこの土地を
守り抜きます

動画(全編21分) 

2015/03/12

福島で育児 半数 「不安」 できるなら避難したい 24.6%

原発事故補償に不公平感を覚える 70%
出費が増え、経済的負担を感じる 59%
放射能の健康への不安が大きい 58%
放射線量の低い所に保養に行きたい 55%
福島での子育てに不安を感じる 51%
地元産食材は使わない 28%
できるなら避難したい 25%

福島で育児 半数「不安」 できるなら避難 24%

福島で育児 半数「不安」「できるなら避難」24%
(2015年3月12日 西日本新聞1面)から

東京電力福島第一原発事故を受け、福島県内の避難指示区域外で子育てをしている親の半数以上が地元での育児に不安を感じ、4人に1人が避難を望んでいることが、成元哲中京大教授や牛島佳代福岡大講師らのグループの調査で分かった。事故の影響が今なお深刻なことを浮き彫りにした。調査グループは「事故の影響は続いており、長期的な支援が必要だ」と指摘している。

調査は、原発事故の避難指示区域に近い福島県中通り地方の9市町村で、震災時に1?2歳だった子を育てる母親などの保護者を対象に2013年から毎年、アンケートで健康や生活状態を尋ねてきた。

福島県中通りの育児中の親への調査(2015年1月)

今年1月に配布したアンケートには4日現在、1184人が回答を寄せた。それによると、「放射能の健康影響についての不安が大きい」との質問に「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」との回答が6割近くを占め、「福島で子どもを育てることに不安を感じる」も5割を超えた。「できることなら避難したい」は24.6%に上った。

情報の信頼性への疑念も強く、「放射能に関してどの情報が正しいのか分からない」が7割、「いじめや差別を受ける不安を感じる」も、5割超に達した。

一方、「地元産の食材は使わない」が3割近くあった。事故直後の約9割から減ったものの、少しでもリスクを回避したいとの思いは根強い。そうした対応は家計の圧迫にもつながっており、6割が「事故後、何かと出費が増え、経済的負担を感じる」と回答した。

調査グループは「地元産以外の食材使用や避難などの対策には費用がかかり、収入が低いほど負担が大きい。リスクへの対処がさらなるストレスにつながっている」と分析する。

成教授は「被災地の親が今も苦しんでいるという事実を社会全体で共有し、実効性のある対策につなげていくべきだ」と強調し、今後も調査を続ける方針だ。

◆国が公表している人口動態統計によれば、甲状腺がんだけでなく、さまざまな病気が増えている。
放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク設立
(2015/01/30 風の便り)から抜粋

 
子どもの甲状腺がん検査

チェルノブイリ原発事故で汚染されたウクライナ、ベラルーシ、ロシアの各共和国では、原発事故から5年後に被ばく線量を減らすための法律 「チェルノブイリ法」を制定しました。年間1ミリシーベルト以上に汚染された地域には「移住の権利」が与えられ、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があり、住むことができません。

チェルノブイリ法の基準

年間1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、無料で検診が受けられ、薬代の無料化、公共料金の免除、非汚染食料の配給、学校給食の無料化、症状に合わせた「保養所」の旅行券が支給されるなど様々な補償があり、移住をする人には、移住先での雇用を探し、住居も提供、引越し費用や移住によって失う財産補償なども行われています。

ところが、福島原発事故から4年になる日本では、1ミリシーベルト以上の汚染地に「移住の権利」がないだけでなく、「20ミリシーベルトまで安全」だとして、避難していた住民を汚染地に戻す政策をとっています。(具体的には、避難者への慰謝料が打ち切られるため、家計の負担が大きくなって避難の継続が難しくなります)

福島県で、甲状腺がんや心臓病などが明らかに増加している
通常、子どもの甲状腺がんは、100万人に1人。未成年の甲状腺がん年間発生率も100万人に2~3人とされていました。2006年の統計で、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は、【全国で46人】でした。これは【未成年2250万人に46人】であり 【100万人に2.0人】ということになりますが、2014年の福島県では【37万人に58人】も甲状腺がんと診断されています。

福島 子どもの甲状腺がん

日本の人口の1.5%ほどの福島県で、通常の全国の発生数よりも多い58人が甲状腺がんになっているという異常な増加です。原発事故当時 0歳から18歳までの子どもたちは、この3年間で84人が甲状腺がんとなり、「がんの疑い」の28人を加えると112人になっています。

甲状腺検査 112人(今回4人含む)がんやがんの疑い 対象38万人中30万人受診 

3年間の子どもの甲状腺検査結果を見て心配なのは、福島原発事故の後、甲状腺がんが増えただけではなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増していることです。

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

5ミリ以上の結節(しこり)がある人が、0.5% → 0.7% → 0.9% と1.8倍に急増し、のう胞がある人も、36.2% → 44.7% → 55.9%に増加。精密検査が必要な子どもも1.8倍になっています。

子どもの甲状腺がんで特に心配なことは、転移が早いということです。
福島県の県民健康調査「甲状腺検査評価部会」(平成26年11月11日)の資料によると、福島県立医大で手術した甲状腺がん54例のうちリンパ節転移は74%(40例)甲状腺外浸潤が37%(20例)低分化がん4%(2例)と報告されています。また、鈴木真一教授が日本癌治療学会で、「8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人が肺にがんが転移していた」と報告しています。

チェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けたベラルーシの国立甲状腺がんセンターの統計では、15歳未満は3人に2人がリンパ節に転移し、6人に1人が肺に転移しています。

ベラルーシの統計 甲状腺がんの転移 リンパ節67.5% 肺16.5%
(菅谷昭著『原発事故と甲状腺がん』より)

医療支援でベラルーシを何度も訪問する中で私は、原発事故の被害者などが孤立せずに働くための「福祉工房」をつくったナターシャさんという女性に出会いました。彼女は、2人の子どもをガンで亡くしていますが、息子さんは9歳で被ばくし、甲状腺がんが肺に転移して21歳で亡くなっています。娘さんも胃ガンが全身に転移して亡くなっています

こうした事実を踏まえるなら、放射能汚染地の未成年の甲状腺検査は2年に1回ではなく、ベラルーシのように年に2回以上か、少なくとも毎年健診を行う必要があります。また、原発事故当時19歳以上の人たちと福島県外の汚染地での健診も早急に開始する必要があります。(チェルノブイリ法では、年1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、年齢に関係なく誰もが無料で検診を受けられます)

こうした健診の拡充について、国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告書が重要な指摘をしています。
(以下、2013年5月24日 毎日新聞から抜粋)

報告書は、県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。白血病などの発症も想定して尿検査血液検査を実施するよう求めた。甲状腺検査についても、画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求している現状を改めるよう求めている。また、一般住民の被ばく基準について、現在の法令が定める年間1ミリシーベルトの限度を守り、それ以上の被ばくをする可能性がある地域では住民の健康調査をするよう政府に要求。国が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、「人権に基づき1ミリシーベルト以下に抑えるべきだ」と指摘した。

しかし、これらの重要な指摘に日本政府は、ほとんど応えていません。
そして、この人命を左右する重大なことが一部のメディアでしか報道されず、国民の大半は知らないままです。

福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません。
チェルノブイリで増えた病気が、福島県でも増えてきています。

セシウムは、さまざまな臓器に蓄積する
ベラルーシのデータ でセシウムがたくさん蓄積している甲状腺、心臓、脳、腎臓の病気は、福島でも増えてきています。(甲状腺に影響を与えるのは放射性ヨウ素だけでありません。セシウムは、さまざまな臓器に蓄積して放射線を浴びせ続けます)

心筋や甲状腺にセシウムが蓄積する

福島県と全国平均との比較
【福島の死亡率が全国平均より1.4倍以上高い病気】

2013年の人口動態統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍)、そして、チェルノブイリと同様に最も急増しているのが、セシウムが蓄積しやすい心臓の病気で、急性心筋梗塞の死亡率が全国平均の2.40倍、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍、どちらも全国1位になっています。(これらの数字は、病気の発生率ではなく死亡率です)データソース 

慢性リウマチ性心疾患のグラフ
(慢性リウマチ性心疾患のグラフ 赤は全国平均、青は福島県)

下の表は、原発事故の後に死者が急増した病気が分かりやすくまとめられています。
2012年福島県の死因ワーストランキング
(データは宝島から拝借 クリックすると画像が拡大できます)

死亡数でもこのように増加していますが、病院での治療数や手術数が急増しています。

福島県立医大で治療数・手術数が増えている病気
様々な病気が増えていますが、2倍以上に増えている 病気を一部紹介します。(グラフ) これらの病気のほとんどは、福島県全体で増えており、周辺の県でも増えています。
※倍率は、2010年(H22年)と2012年(H24年)の比較
<福島県立医大での治療数と増加倍率>
*非外傷性頭蓋内血腫 (13→33→39)3倍    
*白内障、水晶体の疾患 (150→344→340)2.3倍 
*膀胱腫瘍(66→79→138)2.1倍        
*前立腺の悪性腫瘍(77→156→231)3倍   
*弁膜症(35→54→103)2.9倍 ※心臓弁膜症  
*静脈・リンパ管疾患(11→43→55)5倍   
*閉塞性動脈疾患(16→47)2.9倍    
*小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍(13→36→52)4倍 
*直腸肛門(直腸・S状結腸から肛門)の悪性腫瘍(31→60→92)3倍
*胆のう、肝外胆管の悪性腫瘍 (32→94→115)3.6倍
*骨軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く)(13→41→77)5.9倍 
*扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎(11→11→52)4.7倍
      ↑
甲状腺に近い「扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎」という病気は福島県全体で急増しています。(周辺県でも増えています)
この病気の治療数・手術数の合計で、福島県の病院が全国ランキングの15位までに3つも入っています。(DPC対象病院)
福島・太田総合病院付属西ノ内病院(59→81→189)3.2倍 全国3位
福島・白河厚生総合病院 (28→48→155)5.5倍 全国8位
福島・大原綜合病院 (29→43→138)4.8倍 全国14位

栃木県でも急増しています。(倍率は、2010年と2012年の比較)
栃木県・獨協医大(10→22→75)7.5倍
栃木県・済生会宇都宮病院(10→12→81)8.1倍
栃木県・栃木医療センター(14→84→132)9.4倍

     *      *      *

日本もできるだけ早く 「日本版のチェルノブイリ法」をつくって、被ばく量を軽減させる必要があります。 ところが、原発の輸出や再稼働に熱心な安倍首相は、健康影響を無視するだけでなく、東京オリンピック 招致に当たり、福島原発事故による健康への影響は、「今までも、現在も、将来も、問題ないと約束する」と信じられない発言をしました。

安倍首相「健康問題については、今までも現在も将来も問題ないと約束する」

そして、安倍首相に同調するかのように原子力規制委員会も「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策が進むどころか、逆に、避難した住民を20ミリシーベルト以下の放射能汚染地に戻す政策を進めています。なんという倫理観のない人命軽視の国なのでしょうか。

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

福島原発事故の前から存在している法律
*法律で定められた一般市民の被ばく限度は「年1ミリシーベルト」
(放射線障害防止法)
*病院のレントゲン室などの放射線管理区域は「年5.2ミリシーベルト」
(放射線障害防止法)放射線管理区域では、18歳未満の就労が禁止され、飲食も禁止されている。
*原発等の労働者がガンや白血病で亡くなった場合の労災認定基準は年5ミリシーベルト以上
累計5.2ミリシーベルトで労災が認定されている

日本赤十字社は、原子力災害時の医療救護の活動指針として、「累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば、退避する」としています。

ロシア科学アカデミー会員で、報告書『チェルノブイリ―大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(日本語訳書『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 2013年発行)をまとめたアレクセイ・ヤブロコフ博士はこう言っています。「偽りのないデータというのは、1キュリー/平方キロメートル(年約1ミリシーベルト)以上に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです。5キュリー(5ミリシーベルト)に住む人は、さらに被害が増大します。健康被害は汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します」

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌

そして、2011年4月に内閣官房参与の小佐古敏荘・東大教授(放射線安全学)は、年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに、「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした会見で、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」 と発言しています。

全文) 

2015/02/16

【原発の不都合な真実】 原発は温暖化対策に役立たない(共同通信)

【原発の不都合な真実】原発は温暖化対策に役立たない
 この世界には、はるかに有効な二酸化炭素の排出削減政策がたくさんある

(2011/08/11 共同通信)

 日本の原子力推進派の主張にはさまざまな事実誤認がある。その一つは「原子力発電の推進が地球温暖化対策に欠かせない」という主張だ。1997年、気候変動枠組み条約の第3回締約国会議で採択された京都議定書で、日本は2008〜12年までの平均で温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減するという義務を負った。その直後に通商産業省(当時)が国の政策として打ち出したのが「原発20基の増設」という目標だった。

 民主党が打ち出した「2020年までに1990年比で25%削減」という目標達成を視野に入れて昨年6月にまとめられたエネルギー基本計画にも「2020年までに9基、30年までに計14基の原発を新増設する」との文言が盛り込まれた。地球温暖化問題が深刻化し、温室効果ガスの排出削減の必要性が叫ばれるようになって以来、原子力は日本の温暖化対策の中で中心的な位置を与えられ、これが「国策」として原子力を推し進める重要な根拠とされた。

地球温暖化 CO2 増加グラフ

CO2排出量 デンマーク、スウェーデン

 2000年以降、東北電力女川原発3号機、東通原発1号機など新規の原発が運転を開始し、電力供給に占める原子力の比率も徐々に高まったのだが、グラフからも分かるように日本の二酸化炭素排出量の増加には歯止めがかからなかった。逆にこの間、排出量を大きく減らしているのは、ドイツ、デンマーク、スウェーデンなどで、いずれも原発の新増設などに頼らずに、温暖化対策を進めている国である。
 
 グラフにある8カ国の中で、原発建設を強力に進めている唯一の国である日本の排出量だけが目立って増えていることが分かる。このことは、原発頼みの日本の温暖化対策が完全に失敗していることを示している。逆に言えば、この世界には原発に頼ることよりも、はるかに有効な二酸化炭素の排出削減政策がたくさんあるということだ。

 排出量を大幅に減らしている3カ国に共通している政策は、二酸化炭素の排出量に応じて課税する炭素税やエネルギー税の導入、強力な再生可能エネルギー導入支援政策、厳しい省エネの義務づけといったエネルギーの需要と供給、両面からの多彩な政策である。日本ではこのところ普及が停滞しているコージェネレーション(熱電併給)などの「熱」利用の効率化のために強力な規制を導入している点も共通している。3カ国とも自然エネルギーの電力の固定価格制度を導入していて、大規模水力を含めた自然エネルギーが電力に占める比率はドイツが18%、デンマークが29%、スウェーデンに至っては56%という高さである。

 3カ国ともグラフから分かるように二酸化炭素の排出量は減らしているが、この間にきちんと経済成長を続けている。過去20年間、ほとんど経済成長をしていないのに、電力消費量と二酸化炭素の排出量だけが急増している日本の状況は明らかに異常である。

 つまり、原発の新増設を進めるよりも、規制を強化して省エネを進め、風力や太陽光、バイオマス発電などの自然エネルギーを進め、原発では温排水として単に海に捨てているだけの廃熱を有効利用する方が、はるかに有効な温暖化対策になるのだ。

 自然エネルギーの拡大や熱の有効利用のためには、電力や熱の消費地に近い場所で、小規模分散型の発電設備で電気を作り、その時に出る熱も有効に利用するということが必要になる。このような小規模分散型のエネルギー総合供給システムの方が、大規模集中型の発電システムに比べてはるかに効率的な上、コストも安い。

 例えば、ドイツの電気料金は家庭用の場合は、炭素税などのために日本より10%ほど高いが、産業用電力は日本の3分の2という安さである。省エネが進めば需要家は、電気料金やエネルギーコストの削減によって長期的に利得があるのだが、原発の建設は省エネの動機づけとはなり得ない。しかも、今回の東京電力福島第1原発の事故の結果、明らかになったように、電力の安定供給という点からも、小規模分散型のシステムの方が、大規模集中型に勝っているのである。

 自然エネルギーの拡大が、原子力の拡大よりも効率的な二酸化炭素排出削減対策であることは今年の5月に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した特別報告書の中でも指摘されている。

 大規模集中型の原子力発電を集中的に立地することに頼ってきた日本の誤ったエネルギー政策と温暖化対策の中で、小規模分散型の効率的なエネルギーの総合供給システムは顧みられず、原発建設に多大なコストを投じたために、エネルギーの需要と供給のシステムを改革するのに必要な「機会費用」も奪われた。この結果、日本は、自然エネルギーの開発や省エネの推進で他の先進国に大きく遅れを取った。世界で急速に拡大している自然エネルギー関連ビジネスでの日本企業の立ち遅れは深刻だ。原発依存の日本の二酸化炭素排出削減政策の弊害は大きい。(共同通信編集委員 井田徹治)


【核のごみ対策】 原発再稼働の条件に 日本学術会議が国に提言へ  「将来世代に無責任」 
(2015年2月15日 共同通信)

 学術の立場から国に政策提言など行う日本学術会議( 大西隆 (おおにし・たかし) 会長)が、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめたことが14日、分かった。17日に同会議の検討委員会で議論し、3月にも正式に 公表する予定で、世論形成や国の政策に一定の影響を与えそうだ 。

 学術会議は2012年にも「核のごみ」政策の抜本的見直しを提言しており、あらためて政府に改善を促す異例の対応。 高レベル放射性廃棄物 の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判しており、新増設も容認できないと強調している。

 政策提言案は「国、電力会社、科学者に対する国民の信頼は東京電力福島第1原発事故で崩壊した状態で(核のごみの)最終処分地の決定は困難」と指摘。信頼回復や国民の合意形成、科学的知見を深めるため、地上の乾式貯蔵施設で原則50年間「暫定保管」することを提案した。次の世代に迷惑をかけないため、保管開始後30年をめどに処分地の決定が重要としている。

 さらに負担の公平性の観点から「暫定保管の施設は原発立地以外での建設が望ましい」とし、各電力会社が責任を持って管内に最低1カ所、施設を確保する計画の作成を再稼働の条件として求めている。

 また、合意形成のために市民も参加して議論を深める「核のごみ問題国民会議」を設置する必要性を強調。再稼働で生じる放射性廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」についても議論すべきだとしている。

 国は現在、放射性廃棄物を地下深くに埋める「地層処分」を前提に「科学的な有望地」を提示した後、複数の候補地に調査受け入れを要請する方針だが、受け入れに前向きな自治体が見つかる見通しは立っていない。

(共同通信)


原発廃炉問題:日本は自由化後に試練 収入不安定化リスク
(2015年2月14日 毎日新聞)から抜粋

 シェール革命の恩恵を受ける米国で原発の廃炉が続いているが、電力販売の完全自由化を控える日本でも、自由化後の原発をどうするかは重要な課題だ。原発は建設開始から発電までに10年程度かかる上、建設などの初期投資は5000億円規模に上る。長期間にわたって安定した料金収入を得られないと、電力会社の経営基盤が揺らぎかねない。電力自由化で価格競争が進むと、事業リスクの大きい原発が敬遠され、手掛ける電力会社が限られるとの見方もある。【中井正裕】

 現在は電力会社が原発に巨額の投資をしても、電気料金で回収できる。原発を含む事業コストに一定の利益を上乗せして電気料金を決める「総括原価方式」という規制で守られているからだ。しかし、2016年に電力小売りが自由化され、20年をめどに総括原価方式が廃止されると、料金で回収できる保証はなくなる。

 一方で原発は、事故やトラブルで長期停止したり、規制強化で安全対策費用が膨らんだりするリスクも抱える。金融機関が融資を尻込みすれば、原発からの撤退を検討する電力会社が出てくる可能性もある。

 このため、経済産業省は昨年、電力自由化後の原発政策として、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に似た制度を原発に導入する案を示した。

 原発で発電する電力の販売価格をあらかじめ決めておき、実際に電力市場で取引される価格がそれを下回った場合、差額分を電気料金に上乗せして利用者から回収する仕組みだ。英国が13年に導入した制度をモデルにしている。

 ただ、「原発版FIT」の価格が高すぎると、企業や家庭の反発を招くのは必至だ。英国の買い取り価格は1キロワット時当たり16.65円(1ポンド=180円換算)で、日本政府が11年に試算した原発の発電コスト「8.9円以上」を大幅に上回る。石炭や液化天然ガス(LNG)火力より割高になる計算だ。反原発派だけでなく、産業界でも「原発稼働のために電気代が上昇すれば本末転倒」との警戒感が根強い。このため政府内では、原発建設コストの最大8割を政府が債務保証する米国の制度を導入することも検討されている。

 政府は原発や再生エネなど電源ごとの発電比率を示す電源構成(エネルギーミックス)を今夏までに策定する方針で、原発依存度を15〜25%とする方向だ。中長期的に一定の原発依存度を維持するため、老朽原発を廃炉にする代わりに、敷地内での建て替え(リプレース)を容認する可能性が高い。

 ただ、その裏付けとなるはずの原発推進策の具体化は、「誰がどのぐらい原発のコストを支払うか」の難題に関わるため、検討は後回しにされている。

『ドキュメンタリー映画 バベルの学校』

『ドキュメンタリー映画 バベルの学校』を観た。すばらしい映画だった。世界の縮図のような学校だった。

「登場人物」である11歳から15歳の子どもたちは、アフリカ、東欧、南米、アジアなどから様々な理由で、パリの中学校に集まった24名。言葉も文化も宗教も考え方も違う世界の縮図のようなクラスだ。

試験問題の暗記に多くの時間を費やしている日本と違い、このクラスでは、「疑問」を大事にしている。自分が日ごろ感じている疑問を書いて、みんなが見られるように貼りだす。日本の学校では、ほとんど時間をとらないようなことに時間をとって、話し合っている。イスラム教やキリスト教の話、カトリックとプロテスタントの対立や暴力の話、自分の頭で考えることを大事にしている。「宗教を持つべきだって誰が決めたの?」、「なぜ、大統領や王様が必要なの?」・・・

当然、さまざまな衝突も起こるが、時が経過するなかで、一人ひとりの育ってきた環境や歩んできた人生がわかってくる。ネオナチの標的にされて家族と逃げてきた少年、幼い時から預けられた家で虐待を受けてきた少女、ほとんどしゃべらない女の子が4歳から10年間、母親と別れて暮らし、今の暮らしも好きではないと知って、「かわいそう」と涙を流すクラスメイト。そこに「共感」や「友情」が芽生え育っていく。

バベルの学校 葛藤や衝突がありながらも

これが人生最後のクラスとなる担任の先生は、そんな子どもたちの成長を辛抱づよく見守る。教育評論家の尾木直樹さん(尾木ママ)は「子どもたちの無限の可能性を引き出す本当の教育とは何か。原点をじっくり教えてくれるこの作品。ぜひ多くの教育関係者、親たちに見てほしいです」と評している。

アフリカが母国の女の子は、言葉使いも態度も乱暴で「友達なんかいない」と言い放つ子だったが、将来の夢を聞かれたとき「医師になりたい」と初めて笑顔で答えた。

バベルの学校:乱暴な女の子が初めて笑っていった。「医師になりたい」

このドキュメンタリー映画は、劇映画のようでもあった。いいドキュメンタリーは、被写体となる人々が撮影されてることを意識しなくなるほどカメラが日常に溶け込んでいるものだが、ひょっとすると子どもたちは、1年間撮影したカメラマンや監督をもクラスメイトだと思っていたのかもしれない。

この映画を見終えてこんなことを思った。
今、米国には世界最大の軍需産業があり、国内外に武器を売って莫大な利益をあげている。日本も「武器輸出3原則」方針を転換して「防衛装備移転」という名の武器輸出の拡大で利益を増やそうとしている。(日本の原発メーカーは3社とも武器をつくっている)その動きと連動するように「集団的自衛権」や「積極的平和主義」という言い方で、戦後70年間、戦争をしなかった日本が戦争ができる国に変えられようとしている。世界に、暴力で物事を解決しようとする傾向が強まってきた今こそ、疑問を語り合い、対話に時間をかけることの大切さをこの映画から学びたい。

ドキュメンタリー映画 バベルの学校

違っている私たちがいっしょに生きていくこととは。20の国籍、24名の生徒の多文化学級を追ったドキュメンタリー映画『バベルの学校』

福岡市中洲の大洋映画劇場では3月6日まで上映予定

2015/02/15

福島の子ども1人がん確定、2巡目甲状腺検査。「疑い」7人。117人に異常

2巡目検査で初のがん確定 福島の子ども甲状腺検査 疑い例は7人に
(2015/02/12 10:22 共同通信)

 福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第1原発事故の放射線の影響を調べる県の甲状腺検査で、 事故直後から3年目までの 1巡目の検査では「異常なし」とされた子ども1人が、昨年4月から始まった2巡目検査で甲状腺がんと診断が確定したことが11日、関係者への取材で分かった。また、がんの疑いは7人になった。

 2巡目でがんの確定診断が出たのは初めて。12日に福島市で開かれる県の検討委員会に報告され、放射線の影響かどうか慎重に見極める。

 チェルノブイリ原発事故では4〜5年後に子どもの甲状腺がんが急増。このため県は、事故直後から3年目までに実施した1巡目の結果を放射線の影響がない現状把握のための基礎データとし、2巡目以降でがんが増えるかどうかなどを調べる計画だ。1巡目はがんと確定したのは86人、疑いは23人だった。

 1、2巡目とも検査は2段階で、1次検査で超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形状などを調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定、BとCが血液や細胞を詳しく調べる2次検査に進む。

 昨年12月の検討委員会では、1巡目で異常なしとされた4人が、2巡目で「がんの疑い」と診断されたことが報告された。委員会は1巡目で見逃した可能性などを指摘し、放射線の影響に否定的な見解を示していた。

 関係者によると、2巡目でがんが疑われた子どもは 前回の報告から 3人増え7人になった。がんと確定した1人を含む8人は震災当時6〜17歳の男女。

 検査対象は1巡目が事故当時18歳以下の約37万人で、2巡目は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万5千人。

 (共同通信)

★(資料)県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況

原子力災害専門家グループからのコメント

部会長提出3議題についての見解 2015年2月2日
渋谷 健司(東京大学大学院医学系研究科 国際保健政策学 教授)

子供の甲状腺がん検査、2巡目で初の確定 福島
(2015/2/12 23:03 日本経済新聞)

 福島県は12日、東京電力福島第1原子力発電所事故の発生当時、18歳以下の子供だった県民を対象に行っている甲状腺がんの2巡目の検査で、初めて1人ががんの診断が確定したと発表した。これとは別に7人が「がんの疑い」と判定された。8人は2011〜13年度に実施した1巡目の検査では「異常なし」と判定されていた。

 同日、福島市で開いた検査の検討委員会に14年末時点の状況が報告された。星北斗座長(県医師会常任理事)は「データが十分そろっておらず、現時点では原発事故の影響は考えにくいという従来の評価を変える必要はない」と述べた。

 2巡目の検査は14年4月から約38万人を対象に始まり、同年末までに約10万人が受けた。8人は事故当時6〜17歳。

子ども1人がん確定 福島県2巡目甲状腺検査
(2015年2月13日 河北新報)

 福島県は12日、東京電力福島第1原発事故発生時、18歳以下の子どもを対象とした2巡目の甲状腺検査の結果、1人ががんの確定診断を受けたと発表した。2巡目の検査は2014年4月から実施し、がんの確定診断は今回が初めて。がんの疑いは昨年12月の前回公表時から3人増え、計7人となった。

 福島市で同日あった県民健康調査検討委員会で県が報告した。検討委の星北斗座長は「これまでの評価を変える必要はない」と述べ、原発事故との因果関係は考えにくいとする見解を維持した。

 調査を担当した福島県立医大によると、2巡目の検査で「がんまたはがんの疑い」とされたのは事故当時6〜17歳の男女8人。11年10月に始まった1巡目の検査では、8人全員が「問題ない」と診断されていた。

 1巡目は子どもの甲状腺の状態を把握する「先行検査」、2巡目以降は原発事故の影響を調べる「本格検査」との位置付け。両者を比較することで、がん発生リスクの傾向を把握できるという。

 1巡目は約30万人が受検し、86人はがんの診断が確定、23人は「がんの疑い」とされた。2巡目は事故後に生まれた子どもを含む約38万5000人が対象。約10万6000人が受け、約7万5000人の結果が判明した。

甲状腺検査:福島の子ども1人がんと診断 疑いは7人
(2015年2月12日23時14分 毎日新聞)

 東京電力福島第1原発事故の影響を調べるため福島県が子どもを対象に行っている甲状腺検査で、同県は12日、2巡目の検査で1人ががんと診断されたことを明らかにした。昨年4月からの2巡目の検査でがんが確定したのは初めて。福島市内で同日あった県民健康調査の検討委員会で報告された。

 診断は昨年末現在。約7万5000人の検査結果が判明し、他に7人が「がんの疑い」とされた。8人は事故当時、6〜17歳だった男女としたが、個別の性別や年齢は明らかにしていない。いずれも、1巡目の検査(2011年10月〜昨年12月)で異常がなかった。

 同委員会の星北斗(ほし・ほくと)座長は記者会見で、「原発事故との因果関係はないとは言えないが、『考えにくい』というこれまでの評価を変えるものではない」と述べた。

 1巡目の検査は、当時18歳以下の対象者約37万人のうち約30万人が受け、甲状腺がんが確定したのは86人で、その疑いがあるのは23人だった。2巡目の検査は15年度まで実施する。【小林洋子】

福島の子1巡目「異常なし」 2巡目検査で初 甲状腺がん確定
(2015年2月12日 東京新聞)

 福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第一原発事故の放射線の影響を調べる県の甲状腺検査で、事故直後から3年目までの1巡目の検査では「異常なし」とされた子ども1人が、昨年4月から始まった2巡目検査で甲状腺がんと診断が確定したことが11日、関係者への取材で分かった。また、がんの疑いは7人になった。

 2巡目でがんの確定診断が出たのは初めて。12日に福島市で開かれる県の検討委員会に報告され、放射線の影響かどうか慎重に見極める。チェルノブイリ原発事故では4〜5年後に子どもの甲状腺がんが急増。このため県は、事故直後から3年目までに実施した1巡目の結果を放射線の影響がない現状把握のための基礎データとし、2巡目以降でがんが増えるかなどを調べる計画だ。1巡目はがんと確定したのは86人、疑いは23人だった。

 1、2巡目とも検査は2段階で、1次検査で超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形状などを調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定、BとCが血液や細胞を詳しく調べる2次検査に進む。

 昨年12月の検討委員会では、1巡目で異常なしとされた4人が、2巡目で「がんの疑い」と診断されたことが報告された。委員会は1巡目で見逃した可能性などを指摘し、放射線の影響に否定的な見解を示していた。関係者によると、2巡目でがんが疑われた子どもは前回の報告から3人増え7人になった。がんと確定した1人を含む8人は震災当時6〜17歳の男女。

 検査対象は1巡目が事故当時18歳以下の約37万人で、2巡目は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万5千人。

2巡目検査で初のがん確定 福島の子供甲状腺検査
(2015.2.12 08:53 産経ニュース)

 福島県の全ての子供を対象に東京電力福島第1原発事故の放射線の影響を調べる県の甲状腺検査で、事故直後から3年目までの1巡目の検査では「異常なし」とされた子供1人が、昨年4月から始まった2巡目検査で甲状腺がんと診断が確定したことが11日、関係者への取材で分かった。また、がんの疑いは7人になった。

 2巡目でがんの確定診断が出たのは初めて。12日に福島市で開かれる県の検討委員会に報告され、放射線の影響か慎重に見極める。

 チェルノブイリ原発事故では4〜5年後に子供の甲状腺がんが急増。このため県は、事故直後から3年目までに実施した1巡目の結果を放射線の影響がない現状把握のための基礎データとし、2巡目以降でがんが増えるかどうかなどを調べる計画。1巡目はがんと確定したのは86人、疑いは23人だった。

2巡目で初のがん確定診断 福島の子ども甲状腺検査 
(2015年2月12日 04時41分 中日新聞)

甲状腺検査 1巡目は異常なし(2011〜13年度)2巡目1人がん、7人がん疑い

 福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第1原発事故の放射線の影響を調べる県の甲状腺検査で、事故直後から3年目までの1巡目の検査では「異常なし」とされた子ども1人が、昨年4月から始まった2巡目検査で甲状腺がんと診断が確定したことが11日、関係者への取材で分かった。また、がんの疑いは7人になった。

 2巡目でがんの確定診断が出たのは初めて。12日に福島市で開かれる県の検討委員会に報告され、放射線の影響かどうか慎重に見極める。

 チェルノブイリ原発事故では4〜5年後に子どもの甲状腺がんが急増した。
(共同)

2巡目検査で甲状腺がん1人確定 福島
(2015年2月13日 15:25 沖縄タイムス)

 東京電力福島第1原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」の検討委員会が12日、福島市で開かれた。全ての子どもが対象の甲状腺検査で、事故から3年目までの1巡目検査で「問題ない」とされた1人が、昨年4月からの2巡目で、がんと診断が確定したと報告された。また、がんの疑いは7人に上った。

 2巡目でがんの確定診断が出たのは初。委員会で星北斗座長は「新しい結果が出たが、これまでの考えを変える必要はないと思う」と述べ、放射線の影響を否定した。

 調査主体の福島県立医大によると、確定と疑いの計8人は事故当時6〜17歳の男女で、腫瘍の大きさは6〜17・3ミリ。(共同通信)

福島の子ども1人がん確定、福島県2巡目甲状腺検査。「疑い」7人。一巡目を合わせ117人に異常。
通常の約100倍の発症率。福島県は「異常なし」繰り返す”異常さ”

(2月 13th, 2015 Finance GreenWatch)

福島県の県民健康調査検討委員会は12日、東京電力福島第1原発事故発生時、18歳以下の子どもを対象とした2巡目の甲状腺検査の結果、1人ががんの確定診断を受けたと発表した。2巡目の検査は2014年4月から実施し、がんの確定診断は今回が初めて。また「がんの疑い」と診断された人は、昨年12月の前回公表時から3人増え、計7人となった。

福島県県民健康調査は1巡目で約30万人が受診した。その結果、86人ががんであるとの診断が確定、23人は「がんの疑い」とされた。2巡目は事故後に生まれた子どもを含む約38万5000人が対象。このうち約10万6000人が受け、昨年末時点で約7万5000人の1次検査結果が判明。2次検査に進んだのはそのうち、B判定となった611人。

今回の検査で「がんまたはがんの疑い」とされたのは事故当時6〜17歳だった男女8人。いずれも2011年10月から始まった1巡目の検査では、8人全員が「問題ない」と診断されていた。

小児甲状腺がんは、一般に100万人当たり1〜3人とされる(日本臨床検査薬協会HPより)。今回は38万5000人に対して8人が「がんまたはがんの疑い」と診断されたことから、約7~20倍になる。1巡目の検査では30万人の受診者に対して、86人ががんと確定、23人ががんの疑いとされた。

1巡目と2巡目の両方を受診している人もいるが、単純に両検査を合算すると、117人が「がんまたはがんの疑い」となったことになる。したがって発生率は100万人当たり172人となり、一般的な比率を平均約100倍も上回ることになる。

しかし県民健康調査検討委員会の星北斗座長は「これまでの評価を変える必要はない」と述べ、原発事故との因果関係は考えにくいとする見解を維持した。

1986年の旧ソ連でのチェルノブイリ原発事故の影響を受けたべラルーシでは、小児の甲状腺がんの発生率は、事故後3年目から急増し、5年目にピークとなった。福島事故の場合、事故から来月で4年目となり、今年から来年にかけて、甲状腺がんの発症が顕在化する可能性がある。

2015/02/04

世界の運命を暴力によって 蹂躙させない唯一の方法は

世界の運命を暴力によって 蹂躙させない唯一の方法は
私たち一人ひとりがあらゆる暴力を肯定しないことにある
マハトマ・ガンジー

マハトマ・ガンジー

「イスラム国」シーア派の暴走も一因
フリージャーナリスト 志葉玲氏

(2015年2月3日 西日本新聞)より抜粋

イスラム国は現在こそシリア北部ラッカに拠点を置くが、バグダディ指導者はイラク出身。側近2人も、もともとは旧フセイン政権の軍人である。

英紙「ガーディアン」のインタビューに応じたイスラム国構成員は「われわれの存在は米軍の刑務所なしにはあり得なかった」と語っている。バグダディ氏自身、米軍管理下にあったイラク南部バスラのブッカ収容所に拘束され、そこで過激思想を持つようになったといわれる。

イラクを占領した米兵はテロ掃討作戦の名目で、地域の男性、ときには女性や未成年まで、テロに関与した証拠もなく拘束した。収容所では全裸にしての殴る蹴るの暴行、電気ショックや性的虐待などが繰り返された。私の知人の兄弟もブッカ収容所に拘束されていたが、米軍への怒りゆえ「過激派の養成所のようだった」と話している。

フセイン政権崩壊後に米国の後ろ盾で発足したイラク政府の罪も大きい。旧政権の軍人や役人らを公職から追放、これらの層が後にイスラム国に合流している。何より、イスラム教シーア派至上主義が主導する政府によるスンニ派への迫害こそ、兵力2万~3万人程度のイスラム国がイラクでも勢力を拡大した原因だろう。

2005年以降、イラク治安部隊やシーア派民兵は、スンニ派というだけで人々を数万人規模で拘束した。中には、電気ドリルで体中に穴を開け、そこに酸を流し込むなどの凄まじい拷問の末、殺害された者も多い。首を切断するなどの残虐行為はイスラム国の「専売特許」ではなく、シーア派民兵もさんざんやってきた。

昨年末に人権団体の「アムネスティ・インターナショナル」がその実態を報告、責任追及を求めたが、国際社会の反応は非常に鈍い。

イラク西部では13年末、非暴力の抗議活動を政府が武力で弾圧。以来、現在に至るまでテロ掃討名目でファルージャやラマディなどの都市へ空爆や砲撃を行っており、数十万人が避難民となっている。これらの地域の住民にとっては、イラク政府こそが最大の敵であり、本音ではイスラム国を忌み嫌いながらも「敵の敵は味方」と手を組まざるを得ない状況にある。

確かにイスラム国は許しがたい存在だが、日本がすべきことは、対テロ有志国連合に参加するのではなく、イラク政府に対し、各宗派や少数民族との和解を促すことだ。それが奏功すれば、イスラム国の勢力は大幅に縮小するだろう。

イラク戦争で奪われた莫大な人命の犠牲- 総括をしないのは人類の汚点 

(2013年3月20日 yahooニュース)から抜粋

2003年3月20日にイラク戦争が開始されてから10年がたつが未だこの戦争の過ちについて十分な総括が国際的になされていない。イラク戦争は、国連安保理の許可を得ない武力行使であり、明らかに国連憲章違反であったし、その理由とする「大量破壊兵器」は存在しなかった。この誤った戦争により、イラクはあまりにも壊滅的な打撃を受け、人命を奪われた。

アメリカ、ジョンホプキンズ大学ブルームバーグ公共衛生大学院の研究では、2003年のイラク戦争の結果として約65万5千人のイラク人が死亡したと推定、WHOはイラクで2003年3月から2006年6月までに15万1千人が暴力によって死亡したと推定している。

子どもたちの遺体を前に涙をぬぐう男性

2004年4月と11月の米軍によるファルージャ総攻撃では、戦争犯罪に該当する「民間人攻撃」が行われたとされ、多数の民間人が殺害されたという。白リン弾や劣化ウラン弾等残虐兵器が民間人の居住地で、市民に対する危害を最小限に抑える手段を一切講ずることな大量に使われ、おびただしい死者が出た

白リン弾使用については、イタリアのドキュメンタリーでその残虐性、極めて残酷で深刻な被害が暴露されている。アメリカ軍がアブグレイブやその他の刑務所で、拷問・非人道的取り扱いに該当する身体的虐待や侮辱などの行為をイラク人拘留者に対して行ったことは多くの証拠に裏付けられている。

こうした行為は何より戦争犯罪の可能性が高いが、きちんとした調査は行われず、ほとんど誰も責任を問われていない。訴追されるのは少数の末端の兵士だけ。意思決定に関わったトップレベルの人々、ブッシュ元大統領やラムズフェルド元国防長官、拷問を正当化した司法省、国防省関係者等の責任は全く問われていない

超大国が大規模かつ残虐な人権侵害をして幾多の罪もない人を殺害しても誰も責任を問われない、そのようなことでは、大国の都合でおびただしい虐殺が今後も果てしなく繰り返されるだろう。

イラクにおける人命の被害は決して過去のことではない。戦争後、戦争当時生まれてすらいなかった子ども、何の罪もない子どもを今も残酷に苦しめている。イラク戦争で米軍等が使った大量の有害兵器が環境汚染を引き起こし、それは特に子どもたちの生命と健康を危機にさらし続けている。

英インディペンデント紙によると、「イラクの医者たちは、2005年以来深刻な先天的障害を負った乳幼児の数の著しい増加を訴えている。先天性障害は頭が先天的に二つの頭をもった赤ちゃんから、下肢の傷害を負った赤ちゃんまで多様な症例がある。彼らは、ファルージャでのアメリカ軍と反乱軍の間の戦い後、がんの発症率が以前よりもはるかに高くなったとも話している」と述べている。

ファルージャにあるファルージャ総合病院。その関わった調査・分析によれば2003年以来ファルージャで生まれた15%の乳幼児に先天的異常があるという。

こうした先天性異常の原因の一つの可能性として考えられるのは、劣化ウラン(DU)弾である。国連環境計画(UNEP)の情報公開要請にも関わらず、アメリカ政府が2003年のイラク戦争で使用されたDU弾の具体的な量や投下位置を情報公開しないため、使用量や投下位置は今も特定されていない。2003年のイラク戦争においては約1.9トンのDU弾が使用されたと公表しているが詳細は不明である。

これ以上子どもたちを苦しめないために、なぜ先天性異常が頻発しているのか、原因を特定し、原因を除去する等効果的な予防方法を打ち立て、健康を守り治療をする政策が必要であり、被害者は補償を受けるべきだ。有害物質を大量に垂れ流したまま、環境汚染の責任を全くとらず、どんな有害物質をどの程度どこに使ったかも公開しないまま、子どもたちが死んでいくのに何の責任も取らない、これは今も続く米国等の重大な人権侵害だと思う。

伊藤 和子
弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

惨事便乗の政治 山口二郎
(2015年2月1日 東京新聞)

イスラム国によるテロに関連して、安倍晋三首相は国会における議論の中で、この種の事件において邦人を救出するために自衛隊を派遣できるよう、法整備を進める必要があると力説している。これこそまさに、カナダ人ジャーナリスト、ナオミ・クラインの言うショックドクトリン、日本語で言えば惨事便乗型の政治である。

とらわれた同胞を助けられないことに多くの良心的な人々が無力感を覚えている状況に付け込み安倍首相は偽薬を売り込んでいるようなものである。この偽薬はたちが悪い。実際に使用すれば問題はさらに悪化するが、それは薬の量が足りないからと偽政者は言いつのり、より大量の薬を投入させようとする。人々も感覚がマヒして、同胞を守るためにはこの薬を使うしかないと興奮する。犠牲が出れば出るほど、人々は強い薬を求める。

歴史を振り返れば、この薬の大量投与の揚げ句に戦争が起きている例が山ほどある。現実の問題として、自衛隊が中東に出動しても、人質を力ずくで奪還することなど不可能である。

日本人が人質に取られ、殺されたという惨事に付け込んで有害な薬を売り込むのは、悪辣な詐欺師の手法である。人質事件をテコに自衛隊の行動ルールを変えるなどというすり替えを許してはならない。野党もメディアもひるんではならない。(法政大教授)

自衛隊来るほうが危険 
アフガンで人道支援 ペシャワール会 中村哲氏

(2014年5月16日 西日本新聞)から抜粋

アフガニスタンで医療活動や灌漑水利事業などの人道支援を30年間続けている非政府組織『ペシャワール会』(事務局・福岡市)の現地代表中村哲氏(67)は15日、西日本新聞の電話取材に応じ、集団的自衛権が行使された場合、安倍晋三首相の主張とは逆に、海外で邦人が危険に巻き込まれる可能性が高まることを指摘。憲法9条の存在が国際社会での日本の立場を高めていることを強調した。

アフガニスタン人にとって、日本は軍事行動に消極的な国だと思われています。一言で言うと、敵意のない国。これは、自衛隊の行動を縛ってきた、憲法9条の威力です。日本には他国の戦争に加担しないという『掟』があることを知っています。

アフガニスタンで活動する中で、米軍のヘリコプターに撃たれそうになったり、米軍に対する反政府側の攻撃に巻き込まれそうになったりしたことはありますが、日本人だからという理由で標的にされたことはありません。この『掟』があるからです。

今、活動拠点のアフガニスタン東部のジャララバードには私以外、外国人はいません。大勢いた欧米の人は逃げ出しました。米同時多発テロの後、米国を中心とする多国籍軍が集団的自衛権を行使し、軍服を着た人々がやって来てから、軍事行動に対する報復が激しくなり、国内の治安は過去最悪の状況です。

アフガニスタン人は多くの命を奪った米国を憎んでいます。日本が米国に加担することになれば、私はここで命を失いかねません。安倍首相は記者会見で「(現状では)海外で活動するボランティアが襲われても、自衛隊は彼らを救うことはできない」と言ったそうですが、全く逆です。命を守るどころか、かえって危険です。私は逃げます。

9条は数百万人の日本人が血を流し、犠牲になって得た大いなる日本の遺産です。大切にしないと、亡くなった人たちが浮かばれません。9条に守られていたからこそ、私たちの活動も続けてこられたのです。私たちは冷静に考え直さなければなりません。

2015/01/30

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク設立

「放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク」略称:ほうきネットという団体を今日、設立しました。いろいろと準備が整っていないにもかかわらず、今日スタートしたのは、理由がありました。

全国規模の「放射能から子どもを守る」企業と市民のネットワークをつくる構想は、2年ほど前からあったのですが、個人的な事情もあって、なかなかスタートできずにいました。しかし、甲状腺がんをはじめとする病気の広がりの中で、これ以上、子どもたちを危険な状態の中に置き続けることはできないという思いが強まり、ガンジーの「あなたが望む世界の変化に、あなた自身がなりなさい」という言葉を実践することにしました。

今日、1月30日は、マハトマ・ガンジーの命日です。彼の偉大なる魂にも応援してもらいながら、この事業を確かなものにしていきたいと思います。

手をつなぐ母と子
(撮影:亀山ののこ)

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク (ほうきネット)設立について

福島原発事故のあと、年ごとに病気が増えてきています。特に、子どもたちの健康状態が心配です。このままの被ばく状況が続けば、計り知れない健康被害を招くことになると思います。その根拠について、少し書いてみたいと思います。

チェルノブイリ原発事故による被害者の医療支援に関わってきた私は、1992年からベラルーシの放射能汚染地や病院を何度も訪問し、薬や医療機器を届けてきました。 病院では、たくさんの病気の子どもたちに会い、多くの医師や医学者などから健康被害の凄まじい実態を聞きました。

ある子ども病院では、原発事故の前年と事故から8年後を比べると、急性白血病が2.4倍、ぜんそく2.7倍、糖尿病2.9倍、血液の病気3.0倍、先天性障害5.7倍、ガンが11.7倍、そして、消化器系の病気が20.9倍にも増えていました。そして、複数の慢性病を抱えている子どもが多く、免疫力が低下しているため、風邪がなかなか治らない話や老化が早いという話、そして、「この村には、健康な子どもはほとんどいません」という話も聞きました。

モズイリ子ども病院データ

病気に苦しむ子どもたちに会うたびに、「どうして、こんなに多くの子どもたちが病気になったのか」、「どうして、原発を進めてきた大人ではなく、なんの責任もない子どもたちが、犠牲にならなければいけないのか」、「どうして、この国の政府は、原発事故の真実を住民に知らせず、被ばくさせ続けたのか。なんてひどい政府なのか」という思いを抱きました。

そんな経験をしてきた者として、福島原発事故のあと、「最も放射能の被害を受ける子どもたち」を政府が守ろうとしていないことに強い憤りを感じてきました。そして今、はっきりと分かったのは、チェルノブイリ原発事故のときよりも、「日本政府の方がもっとひどい」ということです。

チェルノブイリ原発事故で汚染されたウクライナ、ベラルーシ、ロシアの各共和国では、原発事故から5年後に被ばく線量を減らすための法律 「チェルノブイリ法」を制定しました。年間1ミリシーベルト以上に汚染された地域には「移住の権利」が与えられ、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があり、住むことができません。

チェルノブイリ法の基準

年間1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、無料で検診が受けられ、薬代の無料化、公共料金の免除、非汚染食料の配給、学校給食の無料化、症状に合わせた「保養所」の旅行券が支給されるなど様々な補償があり、移住をする人には、移住先での雇用を探し、住居も提供、引越し費用や移住によって失う財産補償なども行われています。

ところが、福島原発事故から4年になる日本では、1ミリシーベルト以上の汚染地に「移住の権利」がないだけでなく、「20ミリシーベルトまで安全」だとして、避難していた住民を汚染地に戻す政策をとっています。(具体的には、避難者への慰謝料が打ち切られるため、家計の負担が大きくなって避難の継続が難しくなります)

政府は、原発事故の後に増えている病気の増加を「原発事故の影響ではない」と決めつけ、予防原則を蔑ろにして、「子どもを守ること」よりも「目先の経済」を優先しています。 水俣病の被害を拡大したときと同じことを繰り返しています

福島県で、甲状腺がんや心臓病などが明らかに増加している
通常、子どもの甲状腺がんは、100万人に1人。未成年の甲状腺がん年間発生率も100万人に2~3人とされていました。2006年の統計で、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は、【全国で46人】でした。これは【未成年2250万人に46人】であり 【100万人に2.0人】ということになりますが、2014年の福島県では【37万人に58人】も甲状腺がんと診断されています。

福島 子どもの甲状腺がん

日本の人口の1.5%ほどの福島県で、通常の全国の発生数よりも多い58人が甲状腺がんになっているという異常な増加です。原発事故当時 0歳から18歳までの子どもたちは、この3年間で84人が甲状腺がんとなり、「がんの疑い」の28人を加えると112人になっています。

甲状腺検査 112人(今回4人含む)がんやがんの疑い 対象38万人中30万人受診 

3年間の子どもの甲状腺検査結果を見て心配なのは、福島原発事故の後、甲状腺がんが増えただけではなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増していることです。

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

5ミリ以上の結節(しこり)がある人が、0.5% → 0.7% → 0.9% と1.8倍に急増し、のう胞がある人も、36.2% → 44.7% → 55.9%に増加。精密検査が必要な子どもも1.8倍になっています。

子どもの甲状腺がんで特に心配なことは、転移が早いということです。
福島県の県民健康調査「甲状腺検査評価部会」(平成26年11月11日)の資料によると、福島県立医大で手術した甲状腺がん54例のうちリンパ節転移は74%(40例)甲状腺外浸潤が37%(20例)低分化がん4%(2例)と報告されています。また、鈴木真一教授が日本癌治療学会で、「8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人が肺にがんが転移していた」と報告しています。

浸潤(しんじゅん)とは、がん細胞が、発生した場所で増え続けていくとともに、周りの器官に直接広がっていくこと。 転移でも、リンパ管や血管にたどり着くまでの最初のステップには、この浸潤がある 》

チェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けたベラルーシの国立甲状腺がんセンターの統計では、15歳未満は3人に2人がリンパ節に転移し、6人に1人が肺に転移しています。

ベラルーシの統計 甲状腺がんの転移 リンパ節67.5% 肺16.5%
(菅谷昭著『原発事故と甲状腺がん』より)

医療支援でベラルーシを何度も訪問する中で私は、原発事故の被害者などが孤立せずに働くための「福祉工房」をつくったナターシャさんという女性に出会いました。彼女は、2人の子どもをガンで亡くしていますが、息子さんは9歳で被ばくし、甲状腺がんが肺に転移して21歳で亡くなっています。娘さんも胃ガンが全身に転移して亡くなっています

こうした事実を踏まえるなら、放射能汚染地の未成年の甲状腺検査は2年に1回ではなく、ベラルーシのように年に2回以上か、少なくとも毎年健診を行う必要があります。また、原発事故当時19歳以上の人たちと福島県外の汚染地での健診も早急に開始する必要があります。(チェルノブイリ法では、年1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、年齢に関係なく誰もが無料で検診を受けられます)

こうした健診の拡充について、国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告書が重要な指摘をしています。
(以下、2013年5月24日 毎日新聞から抜粋)

報告書は、県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。白血病などの発症も想定して尿検査血液検査を実施するよう求めた。甲状腺検査についても、画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求している現状を改めるよう求めている。また、一般住民の被ばく基準について、現在の法令が定める年間1ミリシーベルトの限度を守り、それ以上の被ばくをする可能性がある地域では住民の健康調査をするよう政府に要求。国が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、「人権に基づき1ミリシーベルト以下に抑えるべきだ」と指摘した。

しかし、これらの重要な指摘に日本政府は、ほとんど応えていません。
そして、この人命を左右する重大なことが一部のメディアでしか報道されず、国民の大半は知らないままです。

福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません。
チェルノブイリで増えた病気が、福島県でも増えてきています。

セシウムは、さまざまな臓器に蓄積する
ベラルーシのデータ でセシウムがたくさん蓄積している甲状腺、心臓、脳、腎臓の病気は、福島でも増えてきています。(甲状腺に影響を与えるのは放射性ヨウ素だけでありません。セシウムは、さまざまな臓器に蓄積して放射線を浴びせ続けます)

心筋や甲状腺にセシウムが蓄積する

福島県と全国平均との比較
【福島の死亡率が全国平均より1.4倍以上高い病気】

2013年の人口動態統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍)、そして、チェルノブイリと同様に最も急増しているのが、セシウムが蓄積しやすい心臓の病気で、急性心筋梗塞の死亡率が全国平均の2.40倍、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍、どちらも全国1位になっています。(これらの数字は、病気の発生率ではなく死亡率です)データソース 

慢性リウマチ性心疾患のグラフ
(慢性リウマチ性心疾患のグラフ 赤は全国平均、青は福島県)

下の表は、原発事故の後に死者が急増した病気が分かりやすくまとめられています。
2012年福島県の死因ワーストランキング
(データは宝島から拝借 クリックすると画像が拡大できます)

死亡数でもこのように増加していますが、病院での治療数や手術数が急増しています。

福島県立医大で治療数・手術数が増えている病気
様々な病気が増えていますが、2倍以上に増えている 病気を一部紹介します。(グラフ) これらの病気のほとんどは、福島県全体で増えており、周辺の県でも増えています。
※倍率は、2010年(H22年)と2012年(H24年)の比較
<福島県立医大での治療数と増加倍率>
*非外傷性頭蓋内血腫 (13→33→39)3倍    
*白内障、水晶体の疾患 (150→344→340)2.3倍 
*膀胱腫瘍(66→79→138)2.1倍        
*前立腺の悪性腫瘍(77→156→231)3倍   
*弁膜症(35→54→103)2.9倍 ※心臓弁膜症  
*静脈・リンパ管疾患(11→43→55)5倍   
*閉塞性動脈疾患(16→47)2.9倍    
*小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍(13→36→52)4倍 
*直腸肛門(直腸・S状結腸から肛門)の悪性腫瘍(31→60→92)3倍
*胆のう、肝外胆管の悪性腫瘍 (32→94→115)3.6倍
*骨軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く)(13→41→77)5.9倍 
*扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎(11→11→52)4.7倍
      ↑
甲状腺に近い「扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎」という病気は福島県全体で急増しています。(周辺県でも増えています)
この病気の治療数・手術数の合計で、福島県の病院が全国ランキングの15位までに3つも入っています。(DPC対象病院)
福島・太田総合病院付属西ノ内病院(59→81→189)3.2倍 全国3位
福島・白河厚生総合病院 (28→48→155)5.5倍 全国8位
福島・大原綜合病院 (29→43→138)4.8倍 全国14位

栃木県でも急増しています。(倍率は、2010年と2012年の比較)
栃木県・獨協医大(10→22→75)7.5倍
栃木県・済生会宇都宮病院(10→12→81)8.1倍
栃木県・栃木医療センター(14→84→132)9.4倍

     *      *      *

日本もできるだけ早く 「日本版のチェルノブイリ法」をつくって、被ばく量を軽減させる必要があります。 ところが、原発の輸出や再稼働に熱心な安倍首相は、健康影響を無視するだけでなく、東京オリンピック 招致に当たり、福島原発事故による健康への影響は、「今までも、現在も、将来も、問題ないと約束する」と信じられない発言をしました。

安倍首相「健康問題については、今までも現在も将来も問題ないと約束する」

そして、安倍首相に同調するかのように原子力規制委員会も「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策が進むどころか、逆に、避難した住民を20ミリシーベルト以下の放射能汚染地に戻す政策を進めています。なんという倫理観のない人命軽視の国なのでしょうか。

福島民報:20ミリ以下、健康影響なし

福島原発事故の前から存在している法律
*法律で定められた一般市民の被ばく限度は「年1ミリシーベルト」
(放射線障害防止法)
*病院のレントゲン室などの放射線管理区域は「年5.2ミリシーベルト」
(放射線障害防止法)放射線管理区域では、18歳未満の就労が禁止され、飲食も禁止されている。
*原発等の労働者がガンや白血病で亡くなった場合の労災認定基準は年5ミリシーベルト以上
累計5.2ミリシーベルトで労災が認定されている

日本赤十字社は、原子力災害時の医療救護の活動指針として、「累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば、退避する」としています。

ロシア科学アカデミー会員で、報告書『チェルノブイリ―大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(日本語訳書『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 2013年発行)をまとめたアレクセイ・ヤブロコフ博士はこう言っています。「偽りのないデータというのは、1キュリー/平方キロメートル(年約1ミリシーベルト)以上に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです。5キュリー(5ミリシーベルト)に住む人は、さらに被害が増大します。健康被害は汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します」

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌

そして、2011年4月に内閣官房参与の小佐古敏荘・東大教授(放射線安全学)は、年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに、「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした会見で、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」 と発言しています。

★日本政府は、「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と言い続けていますが、20ミリシーベルトの4分の1(5ミリシーベルト)以下の汚染地に住み続けた人々の健康被害を取材したNHKの番組をもう一度シェアしたいと思います。

チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告 第2回 ウクライナは訴える(2012年9月23日 NHK ETV特集)から抜粋と補足

チェルノブイリ原発事故の25年後に公表された「ウクライナ政府報告書」は、年間0.5~5ミリシーベルトの汚染地帯に住む人々に深刻な健康被害が生じていることを明らかにしました。(低線量汚染地の住民には)心臓疾患やリウマチ性疾患など、さまざまな病気が多発し、特に心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加しています。

ウクライナ政府報告書は、汚染地帯の住民など被曝した人から生まれた32万人を調べ、健康状態を報告しています。1992年子どもの22%が健康でした。ところが2008年、それが6%に減少しました。逆に慢性疾患を持つ子どもは20%から78%に増加しました。

ウクライナ政府報告書 未来のための安全

低線量汚染地域からの報告書―チェルノブイリ26年後の健康被害』 という本が、番組 制作に関わった馬場朝子氏と山内太郎氏によって詳しく まとめられて、NHK出版から発行されています。 東北、関東に広がる「低線量汚染地域」のこれからを考える上で非常に重要な本です。その一部を抜粋・要約します。

<チェルノブイリ原発から140キロの距離にあるジトーミル州のコロステン市は移住勧告地域と放射線管理地域が混在する低線量汚染地域で、年間0.5~5ミリシーベルトの被曝線量が見込まれる地域である。コロステン中央病院の副院長アレクセイ・ザイエツ医師 「残念なことに、日本でも1年前に原発事故が起きました。多くの点が、私たちの悲劇的な事故と共通していると思います。今の日本の状況は、私たちの事故と同じであり、私たちに起きたことが福島でも起きているのです。 」

内分泌科医のガリーナ・イワーノブナさん「事故当時18歳以下の子どもたちを3か月ごとに検査をしています。彼らの多くは甲状腺疾患を患っており、自己免疫性甲状腺炎や、びまん性甲状腺腫の人もいます。事故当時、少年だった彼らは、いまや大人となり、自分たちの子どもをもうけています。その生まれた子どもたちにも、多くの甲状腺疾患が見られるのです。」

リウマチ疾患が専門ガリーナ・ミハイロブナ医師 「チェルノブイリ事故前はリウマチ患者は6人だったのに、2004年には22人、2010年には42人、2011年は45人でした。こういった症状は、チェルノブイリ事故当日、若年層だった人たちに見られます」

ウラジーミル・レオニードビッチ医師 「リンパ腫と白血病という血液の病気も増えています。事故前の6年で、血液の病気は26症例(年平均4.3例)が記録されていますが、事故後は25年間で255症例(年平均10.2例)となっています。」

ガリーナ・ミハイロブナ医師 「被ばくした両親から、障害を持って生まれる子どもがいます。例えば、2009年は 先天性障害が身体障害全体の47パーセントを占めています。今年(2012年)第一四半期においては身体障害者の100パーセントが先天性障害です。先天性障害は、主に心臓循環器系疾患、腸、目などに確認されています。2005年から心臓の先天性障害が第1位で、現在もそれは変わりません」

ザイエツ副院長 「私が最も心配しているのは、先天性障害のある子どもたちの問題です。事故前までは年に数件しかなかったのですが、今は年に30~40人、そういう子どもたちが生まれています。」

<セシウムによる被曝に限れば、コロステンにいた人の被曝量は25年間の積算で15から26の間、だいたい20ミリシーベルト前後と見積もっていいだろう。このデータからも、年間被曝線量が1ミリシーベルト前後だという数字が導き出される>

『低線量汚染地域からの報告―チェルノブイリ26年後の健康被害』

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉に、謙虚に耳を傾けたいと思います。

「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは、市民の声で実現されました。核事故の歴史は、関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも早急な防護基準の見直しが必要です」

横断幕「子どもたちを被ばくから守ろう」を持つ子どもと母たち

みんなで子どもたちを守ろう

地震大国に原発を54基もつくり、原発事故を起こした責任がある大人の一人として 「これ以上、子どもたちを被ばくさせてはならない」 「このままでは、子どもたちの健康や生命が守れない」という危機感が日に日に強まる中で、友人たちと話し合ってきました。 非力な私たちに何ができるのか? 子どもたちを守るために、本当に役に立つことは何か? 小さな会社を経営していくだけでも厳しい時代に、そんな大仕事を担えるのか? それでも、誰かが今の流れを変える「何か」を始めなければ、子どもたちを守れない――いろいろと考える中で、「もう、考えているだけではダメだ」 「私たちにできることは小さなキッカケづくりくらいにしかならないかもしれないが、とにかくやり始めよう」。そして、チェルノブイリ医療支援でやってきた経験も生かして、できることをやっていこう。できるだけ大勢の人に声をかけ、世界にも呼びかけて、皆で子どもたちを守ろう」――という結論になりました。

本来なら、このような事業は、体制を整えてから始めるべきなのかもしれませんが、時間がないので、動きながら具体的なことを決めていきたいと思います。やろうとしていることは、おおよそ次のようなことです。

医療支援と被ばく軽減の支援
1、健診の拡充
*福島県外の1ミリシーベルト以上の汚染地でも、事故当時19歳以上の人も、甲状腺検査を行う。
*移動健診のためのポータブルエコー(超音波診断装置)の購入
 健診を受けやすいように医師がエコーを持って動く。(すでに、福島の医師から要望が届いています)
*血液検査、尿検査なども行う。

2、被ばくを減らす活動
*保養の拡充(夏休みや春休みに全国で取り組まれているが、多くの団体が資金不足に苦しんでいる)
*子ども留学・疎開(家族みんなで避難はできないが、子どもだけでも避難させたい方を対象に)
 まつもと子ども留学など
*移住のサポート(移住を希望される方のサポート)

3、子どもたちを放射能から守るために重要な情報の収集と発信
*マスコミの問題でもあるが、重要な情報が一般に知られていないことが多いので、メディアの役割も担っていく

◆企業と市民のネットワークで基金をつくる
福島原発事故から4年、これまで多くの市民が「放射能から子どもを守るために」努力してきました。私個人も、福島や関東からの避難者を会社で雇ったり、福島の子どもを保養に受け入れる活動もしてきましたが、できたことは、ほんのわずかなことでした。放射能の影響を受ける地域は広く、長期間続くため、市民の力だけでは、子どもを守ることが難しい状況です。
「医療支援、被ばく軽減の支援」を拡大するためには、多額の基金が必要です。数千万では足りません。億単位の基金が必要です。そのためには、「最優先で、放射能から子どもを守ろう!」という心ある企業と 市民の連携が必要だと思います。

本来なら政府が率先して、放射能から子どもを守るために動くべきですが、残念ながら今の政府は、「目先の経済」を優先し、「子どもを守る」という意志がありません。私たちは政府に対して、税金を使って最優先で子どもを守るように求め続けますが、政府が動くまで待っていては子どもを守ることができません。

チェルノブイリ医療支援活動におけるほんの小さな経験ですが、私は支援活動が始まった当時、寄付するお金がなかったので、自社の商品(有機コーヒーや紅茶)の売り上げの一部を「薬や医療機器を支援するために寄付する」と決めて呼びかけたところ、多くの方が共感して下さり、25年たった今も、その取り組みが続いています。私の小さな会社だけでは、集まる基金は知れていますが、数百、数千という会社や自営業者が集まれば、大きな力になると思います。

ミュージシャンや作家や漫画家の皆さんが、CDや本の売り上げの1%でも寄付してくだされば、いい流れができると思います。出版社や映画の配給会社にも声をかけます。商品の販売ではなく、サービスを仕事にされている方にも声をかけていきます。とにかく、「放射能から子どもを守ろう」という心ある皆さんに参加していただき、この取り組みをできるだけ多くの市民に応援していただく、というのが基本的な考え方です。

組織としては、任意団体でスタートし、事務局は私の会社内に置き、3年間は、私が代表を務める予定です。

最後に、小出裕章さんからのメッセージをお伝えして、この呼びかけを終えたいと思います。

若い人たちに一言お詫びを申し上げたいと思います
/小出裕章氏 「未来を担う子どもたちへ」 から抜粋

「この日本という国が、もし法治国家だと言うのであれば、放射線の管理区域に指定して、一般の人たちの立ち入りを禁じなければいけないところが、おそらく1万4千平方キロメートルほど広がってしまっています。

東北地方と関東地方の広大なところを、もし法律を守るというなら、無人にしなければいけないほどの汚染なのですが、いま現在、数百万人もの人々、子どもも赤ん坊も含めて、そういう場所に捨てられてしまっています。

私のような放射能を相手にして給料を貰っている放射線業務従事者や大人であれば、まだ、そういう所で生きるという選択はあると思いますけれども、今回の事故を引き起こしたことに何の責任もない子どもたち、そして、被曝に対して大変敏感な子どもたちが、いま現在も汚染地帯の中で被曝をしながら生活しています。それを思うと、なんとも無念ですし、3年間一体何ができたのだろうかと、自分の無力さが情けなく思います。しかし、これからもまだまだこの状況が続いていくわけで、今、私たちに何ができるかということは考えなければいけないと思います。

私が何よりもやりたいことは、子どもたちの被曝を少しでも少なくする、ということです。そのために一番いい方策は、子どもたち、あるいは大人も含めてですけれども、汚染地帯から避難 させるということです。

子どもたちをある一定の期間でもいいので、疎開させる、夏の一月でもいい、春の一週間でもいい、放射能の汚染の少しでも少ない場所に移して、そこで泥んこまみれになって遊べるようにする、草の上に寝そべってもいいというような環境を子どもたちに準備をするということが必要だと思います。

次に重要なことは食べものです。いま現在、東北地方を中心にした食べものが汚染されています。日本の国は、1キログラムあたり100ベクレル以下なら安全であるかのように言って、何の規制も無いまま、食べものを流通機構に乗せてしまっています。1キログラムあたり100ベクレルというのは、事故前の1000倍もの汚染を安全だと言って、市場に出回らさせてしまっているわけです。そんなことは到底私は許せないと思いますし、特にそんな汚染のものを子どもたちに食べさせることは、許せないと思います。子どもたちが食べる学校給食は、徹底的に汚染の少ないものを調べて、子どもたちに回す、ということを私はやりたいと思います。

最後に若い人たちに一言お詫びを申し上げたいと思います。

私は大きな事故が起きる前に、原子力発電所を止めたいと思って生きてきましたけれども、残念ながら私の願いは届きませんでした。大きな事故が起きてしまって、日本中、あるいは世界中に放射能汚染が広がってしまいました。私はあと10年、20年で死んでしまうと思いますけれども、若い人たち、これから人生を刻んでいく人たちに対しては誠に申し訳ないことだと思います。

皆さんが大きくなって 大人になったときに、福島の事故を防げなかった 責任というものをたぶん私たちの世代に問うだろうと思います。問われて仕方がないことを私たちの世代はやったわけですし、まずは お詫びをしたいと思いますし、残りの人生で何ができるかということを考えながら、私は生きたいと思いますし、将来の皆さんから どうやってお前は生きてきたかと問われたときに、私なりにできることはやったというように答えたいと思います」
動画と全文

「放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク」を立ち上げた者たちは、大した力を持っていません。ほんとうに「微力」しか持っていません。しかし、その微力が日本全国から、そして、世界から集まってくれば、子どもたちの命を守る大きな力になっていくと信じています。

「子どもたちを守るために、私に何ができるのか」ということを私自身も考え続けます。
まず、お願いしたいことは、「こういう取り組みが始まったよ」ということを広めていただきたいと思います。

今、福島のお医者さんから「甲状腺の検査を受けていない子どもたちや19歳以上の若者たちの検査を早くしてあげたい。移動健診ができるポータブルエコー(持ち運びできる超音波診断装置)があれば、甲状腺健診の資格を得た私たちが健診することができる。福島県外でも健診できるので、ぜひ援助してほしい」という要請が届いているので、まず最初に、ポータブルエコーの代金500万円を早急に集めたいと思います。

そのために、寄付を募ります。(寄付はこちらへ

「放射能から子どもを守る」ための具体的なことは、今後、皆さんからのアイデアも寄せていただきながら決めていきたいと考えています。

アドバイザーの皆さんもこれから決まってきます。

どんな理由があろうとも「子どもたちの命を最優先で守る社会」に変えていきたいと望む多くの人に、この取り組みに参加していただきたいと願っています。子どもたちの健康といのちを守るために、日本全国、そして、世界にも呼びかけたいと思います。

それでは皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

2015年1月30日

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク
(ほうきネット)設立発起人
中村隆市

まだ、ほとんどできていない「ほうきネット」のホームページは、
こちらです。

2015/01/27

「もんじゅ」の存続 官僚利権の温床 血税の投入1兆円 維持費1日5500万円

根拠は何?「もんじゅ」存続
(2014年4月24日 東京新聞)

東京新聞 「もんじゅ」存続 官僚利権の温床 「老後の糧 捨てない」

ずさんな管理で運転禁止中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。初臨界から20年で、稼働したのは250日。1兆円を超す血税が注がれ、いまも1日5500万円が投じられている。いよいよ廃止かと思いきや、今月、閣議決定されたエネルギー基本計画で放射性廃棄物の「減害・減容」化研究の名目で生き残った。この理由は妥当なのか。存続の本当の理由は何なのか。(榊原崇仁、林啓太)

【もんじゅ】
従来は日本の核燃料サイクルの中核を担う施設と位置付けられてきた。1985年着工、95年初発電。核廃棄物から取り出したウランとプルトニウムなどによる混合酸化物(MOX)燃料を使う。一般的な原発とは違い、原子炉内に液体ナトリウムを入れることで、核分裂を引き起こす中性子を高速で動かせるようにしている。この仕組みを用い、使った以上の燃料を生み出す「増殖」の役割が期待されてきた。

看板に偽り 実用化「机上の空論」

「廃棄物の減容・有害度の低減のための国際的な研究拠点」。エネルギー基本計画で、もんじゅの役割はそう記された。

もんじゅは本来、核燃料を使いながら燃やす増殖炉と位置付けられてきた。しかし、巨額の国費を投じながらトラブルや不祥事続きで運転は滞り、与党内でも運転継続に批判が少なくなかった。このため、政府は国民の理解が得やすい「核のごみを減らし、有害性も低くする」という名目にシフトすることにした。

核廃棄物の処分に詳しい神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)によると、核廃棄物の中で厄介なのは長期間、放射線を出す「マイナーアクチノイド(MA)」だ。半減期が214万年のネプツニウム237や7000年余りのアメリシウム243などを指す。

これらは射程が短いが強力な放射線「アルファ線」を出すため、もし人体に入った際には深刻な内部被ばくを引き起こす。

核廃棄物の減容化・減害化という場合、このMAに重きが置かれることになるが、どう実現するのか。

もんじゅは中性子を高速で動かす「高速炉」で、核分裂を一定程度、誘発させることができる。この炉内に燃料とMAを入れ、核分裂させることで、半減期が短く、アルファ線を出さない物質に変えることで減害化を図るのだという。

核分裂でできる物質としては、半減期が30年前後のセシウム137やストロンチウム90などが想定される。100年程度たてば放射能が相当弱まり、熱も下がるため、地層処分する際に集約が技術的に可能になり、処分場の面積も少なくて済むとされている。

しかし、藤村教授は「夢のような話ばかりではない」とくぎを刺す。

MAが核分裂でアルファ線を出さない物質になったとしても、新たにできたのがセシウム137なら透過力の強いガンマ線を発するので、これらを扱う作業員らは体外から被ばくしかねない。「それに半減期が短い物質は半減期が長い物質と比べ、短い期間に集中的に放射線を出す。一概に害が少ないとは言えない」

費用対効果の面でも実現の見通しは極めて暗い。

高速炉1基でMAを減容化・減害化できるのは一般の原発1~2基分にすぎない。ここでいう高速炉はもんじゅのように実験段階に近い原型炉ではなく、開発が進んで規模も大きくなった実用炉を指す。

京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「もんじゅですら巨額を投じてろくに動かないのに、それより巨大な高速炉を何基もつくるのか」と話す。核廃棄物からMAを取り出す技術も実用化はほど遠く「政府がやろうとしているのは机上の空論にすぎない」と語る。

官僚利権の温床 「老後の糧 捨てない」

もんじゅは現在も停止中だ。原子力規制庁が3月に実施した保安検査で、冷却系の循環ポンプ関連機器の一部に点検漏れがあったことが分かった。内規に逸脱した方法で、機器の点検記録を数百カ所にわたり訂正したことも判明した。

ずさんな管理は今に始まったことではない。2012年には約1万件の機器の点検漏れが発覚。1995年には国内初のナトリウム漏れ事故を起こした。

だが、いまも多額の国費が投じられる。14年度の維持費は199億円。事業主体の独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の職員数は3770人で、年間予算1850億円のうち、政府支出金が9割。血税のむだ遣いといわれる根拠だ。

この大盤振る舞いの背景に何があるのか。核兵器材料のプルトニウムを確保するためともいわれるが、元経済産業省官僚の古賀茂明氏は「官僚の利権を守るためだ」と断言する。

文部科学省が所管する原子力機構の起源は、ともに56年に発足した旧科学技術庁傘下の特殊法人・旧日本原子力研究所と旧原子燃料公社だ。旧科技庁は省庁合併で文科省になった。

原子力機構の理事長は文科省の任命で、理事長が任命する理事7人のうち、現在は伊藤洋一、山野智寛の両氏が旧科技庁出身の文科官僚。森山善範氏は旧原子力安全・保安院(現原子力規制庁)の出身だ。官僚の身分のままの「現役出向」で事実上の天下りだ。ちなみに原子力規制委員会の田中俊一委員長も同機構の特別顧問を務めていた。

原子力機構を足場に官僚は自分の天下り先を維持するための世話も焼く。例えば、同機構は10年に、文科省のOBの再就職先を含む原発関連を含む80の公益法人に賛助会員としての「会費」などとして約8600万円を支出していた。

もんじゅについて、古賀氏は「利権構造を守るためにも、官僚としては絶対に廃止させられない」。元外務官僚の梶山恵司氏も「官僚は自分の老後の生活の糧を自ら捨てるようなことはしない」と語る。

基本計画をめくると、もんじゅ関連の記述には「トラブルが続いた現状を真摯(しんし)に受け止める」 「徹底的な改革を行う」とある。しかし、古賀氏は「そうした低姿勢の表現に官僚特有のまやかしがある」と話す。

「反原発の世論を原発推進に転換させるまでの時間稼ぎだ。放射性廃棄物の有害度を低減させるとか言いながら、批判されても逃げられるようにしている」

ただ、原子力機構が今月18日に発表した職員の意識調査の結果によると、「もんじゅのプロジェクトを進める自信がない」と答えた職員が多かった。「(原子力機構の)改革が進んでいる実感がない」 「役員との距離の遠さを感じている」といった意見が出た。

職員自身に自信がない。「安全に精通した人と相談したり、意見をもらえる体制があると良い」 「社会から期待されるレベルにない」といった答えもあった。職位が低い職員ほど、危機感を募らせ、組織ありきの運営にいら立っていることをうかがわせた。

古賀氏はこう語る。

「もんじゅについては、多くの官僚はうまくいかないと思っているはず。とはいえ、良心的な人でも、組織の中では正論を述べるリスクは取らないだろう。もし、もんじゅが廃止されるとすれば、現在の核燃料サイクルに代わる利権の仕組みが登場したときだ」

[デスクメモ]
「もんじゅ」は無用の長物と、福島事故の前から言われていた。だが、事故後も維持すると決めた。書きにくいことを書く。これは福島事故に関連して亡くなった人々を再び殺すことに等しくはないか。事故が反省の礎になれば、無念も浮かばれるかもしれない。しかし、そのかけらもない。法に触れぬ罪だ。

2015/01/23

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク (ほうきネット)設立について

福島原発事故のあと、年ごとに病気が増えてきています。特に、子どもたちの健康状態が心配です。このままの被ばく状況が続けば、計り知れない健康被害を招くことになると思います。その根拠について、少し書いてみたいと思います。

チェルノブイリ原発事故による被害者の医療支援に関わってきた私は、1992年からベラルーシの放射能汚染地や病院を何度も訪問し、薬や医療機器を届けてきました。 病院では、たくさんの病気の子どもたちに会い、多くの医師や医学者などから健康被害の凄まじい実態を聞きました。

ある子ども病院では、原発事故前年と事故から9年後を比べると、急性白血病が2.4倍、ぜんそく2.7倍、糖尿病2.9倍、血液の病気3.0倍、先天性障害5.7倍、ガンが11.7倍、そして、消化器系の病気が20.9倍にも増えていました。そして、複数の慢性病を抱えている子どもが多く、免疫力が低下しているため、風邪がなかなか治らない話や老化が早いという話、そして、「この村には、健康な子どもはほとんどいません」という話も聞きました。

モズイリ子ども病院データ

病気に苦しむ子どもたちに会うたびに、「どうして、こんなに多くの子どもたちが病気になったのか」、「どうして、原発を進めてきた大人ではなく、なんの責任もない子どもたちが、犠牲にならなければいけないのか」、「どうして、この国の政府は、原発事故の真実を住民に知らせず、被ばくさせ続けたのか。なんてひどい政府なのか」という思いを抱きました。

そんな経験をしてきた者として、福島原発事故のあと、「最も放射能の被害を受ける子どもたち」を政府が守ろうとしていないことに強い憤りを感じてきました。そして今、はっきりと分かったのは、チェルノブイリ原発事故のときよりも、「日本政府の方がもっとひどい」ということです。

チェルノブイリ原発事故で汚染されたウクライナ、ベラルーシ、ロシアの各共和国では、原発事故から5年後に被ばく線量を減らすための法律 「チェルノブイリ法」を制定しました。年間1ミリシーベルト以上に汚染された地域には「移住の権利」が与えられ、5ミリシーベルト以上は「移住の義務」があり、住むことができません。

チェルノブイリ法の基準

年間1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、無料で検診が受けられ、薬代の無料化、公共料金の免除、非汚染食料の配給、学校給食の無料化、症状に合わせた「保養所」の旅行券が支給されるなど様々な補償があり、移住をする人には、移住先での雇用を探し、住居も提供、引越し費用や移住によって失う財産補償なども行われています。

ところが、福島原発事故から4年になる日本では、1ミリシーベルト以上の汚染地に「移住の権利」がないだけでなく、「20ミリシーベルトまで安全」だとして、避難していた住民を汚染地に戻す政策をとっています。(具体的には、避難者への慰謝料が打ち切られるため、家計の負担が大きくなって避難の継続が難しくなります)

政府は、原発事故の後に増えている病気の増加を「原発事故の影響ではない」と決めつけ、予防原則を蔑ろにして、「子どもを守ること」よりも「目先の経済」を優先しています。 水俣病の被害を拡大したときと同じことを繰り返しています

福島県で、甲状腺がんや心臓病などが明らかに増加している
通常、子どもの甲状腺がんは、100万人に1人。未成年の甲状腺がん年間発生率も100万人に2~3人とされていました。2006年の統計で、甲状腺がんと診断された20歳未満の人は、【全国で46人】でした。これは【未成年2250万人に46人】であり 【100万人に2.0人】ということになりますが、2014年の福島県では【37万人に58人】も甲状腺がんと診断されています。

福島 子どもの甲状腺がん

日本の人口の1.5%ほどの福島県で、通常の全国の発生数よりも多い58人が甲状腺がんになっているという異常な増加です。原発事故当時 0歳から18歳までの子どもたちは、この3年間で84人が甲状腺がんとなり、「がんの疑い」の28人を加えると112人になっています。

甲状腺検査 112人(今回4人含む)がんやがんの疑い 対象38万人中30万人受診 

3年間の子どもの甲状腺検査結果を見て心配なのは、福島原発事故の後、甲状腺がんが増えただけではなく、がんになる可能性がある結節やのう胞が年ごとに急増していることです。

罫線入り表 甲状腺 結節のう胞 H26年6月30日現在

5ミリ以上の結節(しこり)がある人が、0.5% → 0.7% → 0.9% と1.8倍に急増し、のう胞がある人も、36.2% → 44.7% → 55.9%に増加。精密検査が必要な子どもも1.8倍になっています。

子どもの甲状腺がんで特に心配なことは、転移が早いということです。
福島県の県民健康調査「甲状腺検査評価部会」(平成26年11月11日)の資料によると、福島県立医大で手術した甲状腺がん54例のうちリンパ節転移は74%(40例)甲状腺外浸潤が37%(20例)低分化がん4%(2例)と報告されています。また、鈴木真一教授が日本癌治療学会で、「8割超の45人は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節や他の臓器への転移などがあり、2人が肺にがんが転移していた」と報告しています。

浸潤(しんじゅん)とは、がん細胞が、発生した場所で増え続けていくとともに、周りの器官に直接広がっていくこと。 転移でも、リンパ管や血管にたどり着くまでの最初のステップには、この浸潤がある 》

チェルノブイリ原発事故で大きな被害を受けたベラルーシの国立甲状腺がんセンターの統計では、15歳未満は3人に2人がリンパ節に転移し、6人に1人が肺に転移しています。

ベラルーシの統計 甲状腺がんの転移 リンパ節67.5% 肺16.5%

医療支援でベラルーシを何度も訪問する中で私は、原発事故の被害者などが孤立せずに働くための「福祉工房」をつくったナターシャさんという女性に出会いました。彼女は、2人の子どもをガンで亡くしていますが、息子さんは9歳で被ばくし、甲状腺がんが肺に転移して21歳で亡くなっています。娘さんも胃ガンが全身に転移して亡くなっています

こうした事実を踏まえるなら、放射能汚染地の未成年の甲状腺検査は2年に1回ではなく、ベラルーシのように年に2回以上か、少なくとも毎年健診を行う必要があります。また、原発事故当時19歳以上の人たちと福島県外の汚染地での健診も早急に開始する必要があります。(チェルノブイリ法では、年1ミリシーベルトを超える地域は補償の対象となり、年齢に関係なく誰もが無料で検診を受けられます)

こうした健診の拡充について、国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の報告書が重要な指摘をしています。
(以下、2013年5月24日 毎日新聞から抜粋)

報告書は、県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。白血病などの発症も想定して尿検査血液検査を実施するよう求めた。甲状腺検査についても、画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求している現状を改めるよう求めている。また、一般住民の被ばく基準について、現在の法令が定める年間1ミリシーベルトの限度を守り、それ以上の被ばくをする可能性がある地域では住民の健康調査をするよう政府に要求。国が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、「人権に基づき1ミリシーベルト以下に抑えるべきだ」と指摘した。

しかし、これらの重要な指摘に日本政府は、ほとんど応えていません。
そして、この人命を左右する重大なことが一部のメディアでしか報道されず、国民の大半は知らないままです。

逆に、祖父江友孝・大阪大学教授などは、「甲状腺がんのように進行がゆっくりだと、完治できないほど進行するまでに何年もかかる。放っておいても、がんが原因で命を落とすまでに至らないことが少なくない。そのようながんを見つけるのを過剰診断という」などと言って健診を批判し、「公費による大規模な検査では、数がかなり少ないが進行の速い甲状腺がんを早く見つける利益と、過剰診断などの不利益のバランスを考慮するべきだ」「疫学の専門家として、今後は希望者だけを検査してもいいと考える」と発言し、検査を縮小させようとしています。

彼らは何故、チェルノブイリの経験から学ばないのでしょうか。
彼らは何故、福島の現状を直視しないのでしょうか。

福島で増えている病気は、甲状腺がんだけではありません。
チェルノブイリで増えた病気が、福島県でも増えてきています。

セシウムは、さまざまな臓器に蓄積する
ベラルーシのデータ でセシウムがたくさん蓄積している甲状腺、心臓、脳、腎臓の病気は、福島でも増えてきています。(甲状腺に影響を与えるのは放射性ヨウ素だけでありません。セシウムは、さまざまな臓器に蓄積して放射線を浴びせ続けます)
心筋や甲状腺にセシウムが蓄積する

福島県と全国平均との比較
【福島の死亡率が全国平均より1.4倍以上高い病気】

2013年の人口動態統計で、全国平均より福島の死亡率が1.4倍以上高い病気は、内分泌・栄養及び代謝疾患(1.40倍) 皮膚がん(1.42倍 ) 脳血管疾患(1.44倍) 糖尿病(1.46倍) 脳梗塞(1.60倍)、そして、チェルノブイリと同様に最も急増しているのが、セシウムが蓄積しやすい心臓の病気で、急性心筋梗塞の死亡率が全国平均の2.40倍、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍、どちらも全国1位になっています。(これらの数字は、病気の発生率ではなく死亡率です)データソース 

慢性リウマチ性心疾患のグラフ
(慢性リウマチ性心疾患のグラフ 赤は全国平均、青は福島県)

下の表は、原発事故の後に死者が急増した病気が分かりやすくまとめられています。
2012年福島県の死因ワーストランキング
(データは宝島から拝借 クリックすると画像が拡大できます)

死亡数でもこのように増加していますが、病院での治療数や手術数が急増しています。

福島県立医大で治療数・手術数が増えている病気
様々な病気が増えていますが、2倍以上に増えている 病気を一部紹介します。(グラフ) これらの病気のほとんどは、福島県全体で増えており、周辺の県でも増えています。
※倍率は、2010年(H22年)と2012年(H24年)の比較
<福島県立医大での治療数と増加倍率>
*非外傷性頭蓋内血腫 (13→33→39)3倍    
*白内障、水晶体の疾患 (150→344→340)2.3倍 
*膀胱腫瘍(66→79→138)2.1倍        
*前立腺の悪性腫瘍(77→156→231)3倍   
*弁膜症(35→54→103)2.9倍 ※心臓弁膜症  
*静脈・リンパ管疾患(11→43→55)5倍   
*閉塞性動脈疾患(16→47)2.9倍    
*小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍(13→36→52)4倍 
*直腸肛門(直腸・S状結腸から肛門)の悪性腫瘍(31→60→92)3倍
*胆のう、肝外胆管の悪性腫瘍 (32→94→115)3.6倍
*骨軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く)(13→41→77)5.9倍 
*扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎(11→11→52)4.7倍
      ↑
甲状腺に近い「扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎」という病気は福島県全体で急増しています。(周辺県でも増えています)
この病気の治療数・手術数の合計で、福島県の病院が全国ランキングの15位までに3つも入っています。(DPC対象病院)
福島・太田総合病院付属西ノ内病院(59→81→189)3.2倍 全国3位
福島・白河厚生総合病院 (28→48→155)5.5倍 全国8位
福島・大原綜合病院 (29→43→138)4.8倍 全国14位

栃木県でも激増しています。(倍率は、2010年と2012年の比較)
 栃木県・獨協医大(10→22→75)7.5倍
 栃木県・済生会宇都宮病院(10→12→81)8.1倍
 栃木県・栃木医療センター(14→84→132)9.4倍

     *      *      *

日本もできるだけ早く 「日本版のチェルノブイリ法」をつくって、被ばく量を軽減させる必要があります。 ところが、原発の輸出や再稼働に熱心な安倍首相は、健康影響を無視するだけでなく、東京オリンピック 招致に当たり、福島原発事故による健康への影響は、「今までも、現在も、将来も、問題ないと約束する」と信じられない発言をしました。

そして、安倍首相に同調するかのように原子力規制委員会も「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と発表。被ばく対策が進むどころか、逆に、避難した住民を20ミリシーベルト以下の放射能汚染地に戻す政策を進めています。なんという倫理観のない人命軽視の国なのでしょうか。

福島原発事故の前から存在している法律
*法律で定められた一般市民の被ばく限度は「年1ミリシーベルト」
(放射線障害防止法)
*病院のレントゲン室などの放射線管理区域は「年5.2ミリシーベルト」
(放射線障害防止法)放射線管理区域では、18歳未満の就労が禁止され、飲食も禁止されている。
*原発等の労働者がガンや白血病で亡くなった場合の労災認定基準は年5ミリシーベルト以上
 (累計5.2ミリシーベルトで労災が認定されている

日本赤十字社は、原子力災害時の医療救護の活動指針として、「累積被ばく線量が1ミリシーベルトを超える恐れがあれば、退避する」としています。

ロシア科学アカデミー会員で、報告書『チェルノブイリ―大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(日本語訳書『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店 2013年発行)をまとめたアレクセイ・ヤブロコフ博士はこう言っています。「偽りのないデータというのは、1キュリー/平方キロメートル(年約1ミリシーベルト)以上に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです。5キュリー(5ミリシーベルト)に住む人は、さらに被害が増大します。健康被害は汚染レベルが高くなるにつれ明確に増大します」

調査報告 チェルノブイリ被害の全貌

また、1985年にノーベル平和賞を受賞した米国の「社会的責任のための医師団(Physicians for Social Responsibility)」も次のように警告しています。

「日本で危機が続く中、人に発がんの危険が生じるのは最低100ミリシーベルト(mSv)被曝したときだという報道が様々なメディアでますます多くなされるようになっている。これまでの研究で確立された知見に照らしてみると、この主張は誤りであることがわかる。100 mSv の線量を受けたときの発がんリスクは100人に1人、10 mSv では1000人に1人、そして1 mSV でも1万人に1人である」

そして、2011年4月に内閣官房参与の小佐古敏荘・東大教授(放射線安全学)は、年間20ミリシーベルトを基準に決めたことに、「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と抗議の辞任をした会見で、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」 と発言しています。

★日本政府は、「年20ミリシーベルト以下は健康影響なし」と言い続けていますが、20ミリシーベルトの4分の1(5ミリシーベルト)以下の汚染地に住み続けた人々の健康被害を取材したNHKの番組をもう一度シェアしたいと思います。

チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告 第2回 ウクライナは訴える(2012年9月23日 NHK ETV特集)から抜粋と補足

チェルノブイリ原発事故の25年後に公表された「ウクライナ政府報告書」は、年間0.5~5ミリシーベルトの汚染地帯に住む人々に深刻な健康被害が生じていることを明らかにしました。(低線量汚染地の住民には)心臓疾患やリウマチ性疾患など、さまざまな病気が多発し、特に心筋梗塞や狭心症など心臓や血管の病気が増加しています。

ウクライナ政府報告書は、汚染地帯の住民など被曝した人から生まれた32万人を調べ、健康状態を報告しています。1992年子どもの22%が健康でした。ところが2008年、それが6%に減少しました。逆に慢性疾患を持つ子どもは20%から78%に増加しました。

低線量汚染地域からの報告書―チェルノブイリ26年後の健康被害』 という本が、番組 制作に関わった馬場朝子氏と山内太郎氏によって詳しく まとめられて、NHK出版から発行されています。 東北、関東に広がる「低線量汚染地域」のこれからを考える上で非常に重要な本です。その一部を抜粋・要約します。

<チェルノブイリ原発から140キロの距離にあるジトーミル州のコロステン市は移住勧告地域と放射線管理地域が混在する低線量汚染地域で、年間0.5~5ミリシーベルトの被曝線量が見込まれる地域である。コロステン中央病院の副院長アレクセイ・ザイエツ医師 「残念なことに、日本でも1年前に原発事故が起きました。多くの点が、私たちの悲劇的な事故と共通していると思います。今の日本の状況は、私たちの事故と同じであり、私たちに起きたことが福島でも起きているのです。 」

内分泌科医のガリーナ・イワーノブナさん「大きく増えたのがびまん性甲状腺腫、結節性甲状腺腫、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症などです。甲状腺がんも増えました。事故前まで私は、大人・子どもにかかわらず甲状腺がんの診断をしたことがありませんでした。私たちが最初に甲状腺がんを確認したのは、事故1年後の1987年で、子どもの症例が1例確認されました。91年には9症例、この市のレベルでは大変多い数です。」

事故当時18歳以下の子どもたちを3か月ごとに検査をしています。彼らの多くは甲状腺疾患を患っており、自己免疫性甲状腺炎や、びまん性甲状腺腫の人もいます。事故当時、少年だった彼らは、いまや大人となり、自分たちの子どもをもうけています。その生まれた子どもたちにも、多くの甲状腺疾患が見られるのです。」

リウマチ疾患が専門ガリーナ・ミハイロブナ医師 「チェルノブイリ事故前はリウマチ患者は6人だったのに、2004年には22人、2010年には42人、2011年は45人でした。こういった症状は、チェルノブイリ事故当日、若年層だった人たちに見られます」

ウラジーミル・レオニードビッチ医師 「事故前 の(がんの)平均発病率は10万人あたり200人でした。現在は10万人あたり310人です。 リンパ腫と白血病という血液の病気も増えています。事故前の6年で、血液の病気は26症例(年平均4.3例)が記録されていますが、事故後は25年間で255症例(年平均10.2例)となっています。」

ガリーナ・ミハイロブナ医師 「被ばくした両親から、障害を持って生まれる子どもがいます。例えば、2009年は 先天性障害が身体障害全体の47パーセントを占めています。今年(2012年)第一四半期においては身体障害者の100パーセントが先天性障害です。先天性障害は、主に心臓循環器系疾患、腸、目などに確認されています。2005年から心臓の先天性障害が第1位で、現在もそれは変わりません」

ザイエツ副院長 「私が最も心配しているのは、先天性障害のある子どもたちの問題です。事故前までは年に数件しかなかったのですが、今は年に30~40人、そういう子どもたちが生まれています。」

<おおざっぱに言って、セシウムによる被曝に限れば、コロステンにいた人の被曝量は25年間の積算で15から26の間、だいたい20ミリシーベルト前後と見積もっていいだろう。このデータからも、年間被曝線量が1ミリシーベルト前後だという数字が導き出される>

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士の言葉に、謙虚に耳を傾けたいと思います。

「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは、市民の声で実現されました。核事故の歴史は、関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも早急な防護基準の見直しが必要です」

みんなで子どもたちを守ろう

地震大国に原発を54基もつくり、原発事故を起こした責任がある大人の一人として 「これ以上、子どもたちを被ばくさせてはならない」 「このままでは、子どもたちの健康や生命が守れない」という危機感が日に日に強まる中で、友人たちと話し合ってきました。 非力な私たちに何ができるのか? 子どもたちを守るために、本当に役に立つことは何か? 小さな会社を経営していくだけでも厳しい時代に、そんな大仕事を担えるのか? それでも、誰かが今の流れを変える「何か」を始めなければ、子どもたちを守れない――いろいろと考える中で、「もう、考えているだけではダメだ」 「私たちにできることは小さなキッカケづくりくらいにしかならないかもしれないが、とにかくやり始めよう」。そして、チェルノブイリ医療支援でやってきた経験も生かして、できることをやっていこう。できるだけ大勢の人に声をかけ、世界にも呼びかけて、皆で子どもたちを守ろう」――という結論になりました。

本来なら、このような事業は、体制を整えてから始めるべきなのかもしれませんが、時間がないので、動きながら具体的なことを決めていきたいと思います。やろうとしていることは、おおよそ次のようなことです。

医療支援と被ばく軽減の支援
1、健診の拡充
*福島県外の1ミリシーベルト以上の汚染地でも、事故当時19歳以上の人も、甲状腺検査を行う。
*移動健診のためのポータブルエコー(超音波診断装置)の購入
 健診を受けやすいように医師がエコーを持って動く。(すでに、福島の医師から要望が届いています)
*血液検査、尿検査なども行う。

2、被ばくを減らす活動
*保養の拡充(夏休みや春休みに全国で取り組まれているが、多くの団体が資金不足に苦しんでいる)
*子ども留学・疎開(家族みんなで避難はできないが、子どもだけでも避難させたい方を対象に)
*移住のサポート(移住を希望される方のサポート)

◆企業と市民のネットワークで基金をつくる
福島原発事故から4年、これまで多くの市民が「放射能から子どもを守るために」努力してきました。私個人も、福島や関東からの避難者を会社で雇ったり、福島の子どもを保養に受け入れる活動もしてきましたが、できたことは、ほんのわずかなことでした。放射能の影響を受ける地域は広く、長期間続くため、市民の力だけでは、子どもを守ることが難しい状況です。
「医療支援、被ばく軽減の支援」を拡大するためには、多額の基金が必要です。数千万では足りません。億単位の基金が必要です。そのためには、「最優先で、放射能から子どもを守ろう!」という心ある企業と 市民の連携が必要だと思います。

本来なら政府が率先して、放射能から子どもを守るために動くべきですが、残念ながら今の政府は、「目先の経済」を優先し、「子どもを守る」という意志がありません。私たちは政府に対して、税金を使って最優先で子どもを守るように求め続けますが、政府が動くまで待っていては子どもを守ることができません。

チェルノブイリ医療支援活動におけるほんの小さな経験ですが、私は支援活動が始まった当時、寄付するお金がなかったので、自社の商品(有機コーヒーや紅茶)の売り上げの一部を「薬や医療機器を支援するために寄付する」と決めて呼びかけたところ、多くの方が共感して下さり、25年たった今も、その取り組みが続いています。私の小さな会社だけでは、集まる基金は知れていますが、数百、数千という会社や自営業者が集まれば、大きな力になると思います。

ミュージシャンや作家や漫画家の皆さんが、CDや本の売り上げの1%でも寄付してくだされば、いい流れができると思います。出版社や映画の配給会社にも声をかけます。商品の販売ではなく、サービスを仕事にされている方にも声をかけていきます。とにかく、「放射能から子どもを守ろう」という心ある皆さんに参加していただき、この取り組みをできるだけ多くの市民に応援していただく、というのが基本的な考え方です。

組織としては、任意団体でスタートし、事務局は私の会社内に置き、3年間は、私が代表を務める予定です。

最後に、小出裕章さんからのメッセージをお伝えして、この呼びかけを終えたいと思います。

◆若い人たちに一言お詫びを申し上げたいと思います。
/小出裕章氏 「未来を担う子どもたちへ」 から抜粋

「この日本という国が、もし法治国家だと言うのであれば、放射線の管理区域に指定して、一般の人たちの立ち入りを禁じなければいけないところが、おそらく1万4千平方キロメートルほど広がってしまっています。

東北地方と関東地方の広大なところを、もし法律を守るというなら、無人にしなければいけないほどの汚染なのですが、いま現在、数百万人もの人々、子どもも赤ん坊も含めて、そういう場所に捨てられてしまっています。

私のような放射能を相手にして給料を貰っている放射線業務従事者や大人であれば、まだ、そういう所で生きるという選択はあると思いますけれども、今回の事故を引き起こしたことに何の責任もない子どもたち、そして、被曝に対して大変敏感な子どもたちが、いま現在も汚染地帯の中で被曝をしながら生活しています。それを思うと、なんとも無念ですし、3年間一体何ができたのだろうかと、自分の無力さが情けなく思います。しかし、これからもまだまだこの状況が続いていくわけで、今、私たちに何ができるかということは考えなければいけないと思います。

私が何よりもやりたいことは、子どもたちの被曝を少しでも少なくする、ということです。そのために一番いい方策は、子どもたち、あるいは大人も含めてですけれども、汚染地帯から避難 させるということです。

子どもたちをある一定の期間でもいいので、疎開させる、夏の一月でもいい、春の一週間でもいい、放射能の汚染の少しでも少ない場所に移して、そこで泥んこまみれになって遊べるようにする、草の上に寝そべってもいいというような環境を子どもたちに準備をするということが必要だと思います。

次に重要なことは食べものです。いま現在、東北地方を中心にした食べものが汚染されています。日本の国は、1キログラムあたり100ベクレル以下なら安全であるかのように言って、何の規制も無いまま、食べものを流通機構に乗せてしまっています。1キログラムあたり100ベクレルというのは、事故前の1000倍もの汚染を安全だと言って、市場に出回らさせてしまっているわけです。そんなことは到底私は許せないと思いますし、特にそんな汚染のものを子どもたちに食べさせることは、許せないと思います。子どもたちが食べる学校給食は、徹底的に汚染の少ないものを調べて、子どもたちに回す、ということを私はやりたいと思います。

最後に若い人たちに一言お詫びを申し上げたいと思います。

私は大きな事故が起きる前に、原子力発電所を止めたいと思って生きてきましたけれども、残念ながら私の願いは届きませんでした。大きな事故が起きてしまって、日本中、あるいは世界中に放射能汚染が広がってしまいました。私はあと10年、20年で死んでしまうと思いますけれども、若い人たち、これから人生を刻んでいく人たちに対しては誠に申し訳ないことだと思います。

皆さんが大きくなって 大人になったときに、福島の事故を防げなかった 責任というものをたぶん私たちの世代に問うだろうと思います。問われて仕方がないことを私たちの世代はやったわけですし、まずは お詫びをしたいと思いますし、残りの人生で何ができるかということを考えながら、私は生きたいと思いますし、将来の皆さんから どうやってお前は生きてきたかと問われたときに、私なりにできることはやったというように答えたいと思います」
動画と全文

【 略称 「ほうきネット」の「ほうき」の意味について 】
環境=文化NGO「ナマケモノ倶楽部」の仲間が中心となって、原発事故の翌年2012年に出版された 『ホーキせよ!』 という本をヒントにして、以下のような意味を持たせています。

蜂起・・・「放射能から子どもを守る」ために、ハチが巣から一斉に飛びたつように蜂起して行動を起こす
放棄・・・「子どもの命よりも経済を優先する生き方」を放棄し、いのちを大切にする生き方を実践し広める
箒・・・子どもを守ろうとしないような「心が汚れた」日本を箒で大掃除する

それでは皆さん、どうぞよろしくお願いします。

2015年1月23日

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク
(ほうきネット)設立発起人 
中村隆市

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